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セキュリティ・1/23・8分

情報セキュリティの3要素と基本の考え方

ゴール

情報セキュリティの3要素(機密性・完全性・可用性)について、攻撃や対策の選択肢を見て「どの要素の話か」を即答できるようになる。あわせて、真正性・信頼性などの追加特性、セキュリティバイデザイン、ゼロトラストの定義問題も解けるようにする。

セキュリティ分野の問題の多くは「この攻撃・対策はどの要素に関係するか」という仕分けで解けます。要件定義で「非機能要件のセキュリティ」を書くときにも、この3つの観点がそのまま使えます。

このレッスンで稽古する(用語チェック・過去問)

結論:セキュリティは「見られない・変わらない・止まらない」の3つ

情報セキュリティとは、次の3つを守ることです。JIS Q 27001(情報セキュリティの国際規格 ISO/IEC 27001 を日本語にしたもの)でもこの3つで定義されています。英語の頭文字を取って CIA と呼ばれます。

要素 英語 ひとことで言うと 守れなかった状態
機密性 Confidentiality 許された人だけが見られる 漏れた・盗まれた・覗かれた
完全性 Integrity 内容が正しく、勝手に書き換わらない 改ざんされた・壊れた
可用性 Availability 使いたいときに使える 止まった・遅すぎて使えない

たとえ:銀行の ATM に置きかえると覚えやすくなります。他人に自分の残高を見られない=機密性、残高が勝手に書き換わらない=完全性、お金を下ろしたいときに ATM が動いている=可用性です。

攻撃・脅威をどの要素に仕分けるか(最頻出)

試験では「“完全性”を脅かす攻撃はどれか」という問いが、ほぼ同じ選択肢で何度も出ています。キーワードを見て仕分けられれば正解できます。

選択肢に出てくる言葉 何が起きるか 脅かされる要素
不正コピー・盗聴・情報漏えい・のぞき見 中身を見られる・持ち出される 機密性
改ざん(Web ページの改ざんなど)・データの破壊・書き換え 中身が正しくなくなる 完全性
DoS 攻撃(大量のアクセスでサーバを過負荷にし、サービスを止める攻撃)・故障・停電 使えなくなる 可用性

コツ:「中身はそのままでも外に出た」なら機密性、「中身が変わった」なら完全性、「中身は無事だが使えない」なら可用性です。不正コピーは、元データが変わっていないので完全性ではありません。

元のデータAA中身はそのまま外に出た不正コピー・盗聴AB中身が変わった正しくなくなる改ざん・破壊A停止中身は無事使えないDoS攻撃・故障機密性完全性可用性不正コピーは元データが変わらない→ 完全性ではなく機密性
同じ元のデータに起きたことを3通りに分けると、どの要素が脅かされたかが決まる。

対策をどの要素に仕分けるか

逆向きに「この対策はどの要素を守るか」も問われます。上の攻撃とセットで覚えます。

対策 何をするか 守る要素
暗号化(HDD やファイル、通信の暗号化) 盗まれても読めないようにする 機密性
アクセス制御・パスワード 見られる人を限定する 機密性
チェックサム(データから計算した検査用の値)・ハッシュ値・デジタル署名 中身が変わっていないかを確かめる 完全性
ミラーリング(同じデータを2台のディスクに同時に書く仕組み) 1台壊れても使い続ける 可用性
バックアップ・遠隔地保管・冗長化(予備を用意すること) 壊れても復旧できる 可用性

「情報漏えい対策はどれか」と聞かれたら、機密性の対策=暗号化やアクセス制御を選びます。チェックサムは完全性、ミラーリングとバックアップは可用性の対策なので、漏えいは防げません。

元のデータ計算チェックサム送る・保存する届いたデータ再計算チェックサム比べる同じ変わっていない違う改ざん・破損あり中身の正しさを確かめる=完全性見られることは防げない(漏えい対策ではない)
チェックサムは送る前と届いた後に同じ計算をして比べ、中身が変わっていないかを確かめる(完全性の対策)。

3要素に追加される特性(真正性・信頼性など)

JIS Q 27000 では、CIA に加えて次の特性も定義されています。試験では定義文を読んで用語を選ばせる形で出ます。

特性 定義の要点 見分けるキーワード
真正性 エンティティ(利用者・機器・プロセスなど)が、主張するとおりのものである 「本物か」「なりすましでないか」
信頼性 意図する行動と結果が一貫している 「期待どおりに動くか」
責任追跡性 誰が何をしたかを後から追跡できる ログ・操作履歴
否認防止 「やっていない」と後から否定させない デジタル署名・証拠

定義を選ぶ問題では、残りの選択肢に CIA の定義が混ぜられます。「認可された人が要求したときに使える」は可用性、「認可されていない人に開示しない」は機密性です。この2つを先に消すと、真正性と信頼性の2択になります。

セキュリティバイデザインとゼロトラスト(考え方の用語)

セキュリティバイデザインは、システムの企画・設計の段階からセキュリティを組み込む考え方です。作り終えてから脆弱性診断や監査をして直すことは、これに当たりません。

ゼロトラストは、社内ネットワークの中であっても信用せず、アクセスのたびに確認する考え方です。たとえるなら、社員証を持っていても部屋のドアごとに本人確認をするオフィスです。

「ゼロ」が付く紛らわしい用語との区別も問われます。

用語 意味
ゼロトラスト 内部ネットワークも信用しない前提で対策する考え方
ゼロデイ(攻撃) 修正プログラムがまだ提供されていない脆弱性を突く攻撃
ゼロ知識証明 秘密そのものは見せずに、秘密を知っていることだけを証明する方法
ビヘイビア法 定義ファイルを使わず、プログラムの動き(振る舞い)からマルウェアを見つける方法
従来:入口だけで確認社内ネットワーク利用者確認資源A資源B中は素通りゼロトラスト:毎回確認社内ネットワーク利用者確認確認確認資源A資源B社内ネットワークの中でも信用しない
従来は入口で1回確認すれば中は素通りだが、ゼロトラストは社内でもアクセスのたびに確認する。

要点(試験直前に読む)

  • 情報セキュリティの3要素は機密性・完全性・可用性(CIA)。安全性・効率性・保守性は含まれない。
  • 改ざんは完全性、不正コピー・盗聴・漏えいは機密性、DoS・故障は可用性への脅威。
  • 暗号化・アクセス制御は機密性、チェックサム・ハッシュは完全性、ミラーリング・バックアップは可用性の対策。
  • 真正性は「主張どおりの本物であること」、信頼性は「意図した動作と結果が一貫していること」。
  • セキュリティバイデザインは企画・設計段階からの対策。ゼロトラストは内部ネットワークも信用しない考え方。

ひっかけ

  • 「“完全性”を脅かす攻撃」で不正コピーを選ばせる罠。コピーしても元データは変わらないので機密性の問題。答えは改ざん。
  • 3要素の残り1つを選ぶ問題で、安全性・保守性などのもっともらしい言葉が並ぶ。正解は可用性だけ。
  • 「情報漏えい対策」で、チェックサム(完全性)やミラーリング・遠隔地バックアップ(可用性)を混ぜてくる。漏えいを防ぐのは暗号化。
  • 真正性・信頼性の定義を選ぶ問題で、可用性(要求時に使える)と機密性(認可されない人に開示しない)の定義が混ぜられる。CIA の定義を先に消す。
  • 「ゼロ」が付く用語の取り違え。ゼロデイは未修正の脆弱性、ゼロ知識証明は秘密を見せない証明、ビヘイビア法は振る舞いによる検知。

用語(14)

機密性 きみつせい(Confidentiality)
許可された人だけが情報を見たり使ったりできる状態を保つこと。
⚠ 完全性と混同しやすい。中身が「漏れた」なら機密性、中身が「変わった」なら完全性。
完全性 かんぜんせい(Integrity)
情報が正確で、勝手に改ざん・破壊されていない状態を保つこと。
⚠ 不正コピーは中身が変わらないので完全性ではなく機密性の問題。
可用性 かようせい(Availability)
許可された人が、使いたいときに情報やシステムを使える状態を保つこと。
⚠ DoS 攻撃・故障・停電は可用性への脅威。ミラーリング・バックアップは可用性の対策。
真正性 しんせいせい(Authenticity)
利用者や機器などが、主張しているとおりの本物であること。
⚠ 信頼性は「動作と結果が一貫していること」。本物かどうかを問うのは真正性。
信頼性 しんらいせい(Reliability)
意図した動作と、その結果が一貫していること。
⚠ 真正性(本物であること)と取り違えやすい。
責任追跡性 せきにんついせきせい(Accountability)
誰がいつ何をしたかを後から追跡できること。
⚠ 否認防止は「やっていないと言わせない」こと。追跡できること自体は責任追跡性。
否認防止 ひにんぼうし(Non-repudiation)
行った操作や送った内容を、後から本人に否定させないこと。
⚠ 責任追跡性と似ているが、否認防止は「否定できない証拠」に重点がある。
JIS Q 27001 / JIS Q 27000 じすきゅー にまんななせんいち/にまんななせん
情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の日本産業規格で、27001 は要求事項、27000 は用語の定義を定めている。
DoS 攻撃 Denial of Service attack(ドスこうげき)
大量のリクエストなどでサーバを過負荷にし、サービスを使えなくする攻撃。
⚠ データを盗んだり書き換えたりする攻撃ではないので、脅かすのは可用性。
チェックサム checksum
データから計算した検査用の値で、データが途中で変わっていないかを確かめるのに使う。
⚠ 暗号化(機密性)と違い、中身を隠す機能はない。完全性の対策。
ミラーリング mirroring
同じデータを2台以上のディスクに同時に書き込み、1台が壊れても使い続けられるようにする仕組み。
⚠ 情報漏えいは防げない。可用性の対策。
セキュリティバイデザイン Security by Design
システムの企画・設計段階からセキュリティを組み込んでおく考え方。
⚠ 開発後の脆弱性診断・リスクアセスメント・監査による改修は該当しない。
ゼロトラスト Zero Trust
社内ネットワークも安全とはみなさず、アクセスのたびに検証する考え方。
⚠ ゼロデイ(修正プログラムが未提供の脆弱性)、ゼロ知識証明、ビヘイビア法と取り違えやすい。
ゼロデイ攻撃 zero-day attack
修正プログラムがまだ提供されていない脆弱性を突く攻撃。
⚠ ゼロトラスト(内部も信用しない考え方)とは無関係。

このレッスンの過去問

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