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システム開発技術・8/12・8分

レビューの種類(ウォークスルー・インスペクション)

ゴール

デザインレビューの目的(手戻りを減らす)と、ウォークスルー・インスペクション・ラウンドロビン・パスアラウンドの違いを見分けられるようになる。インスペクションのモデレータの役割と、外部仕様・内部仕様のレビューで何を確かめるかを選べるようになる。

レビュー手法は、短い説明文を読んで「どの手法か」「誰の役割か」を選ばせる問題が繰り返し出ている。手法ごとのキーワードを覚えれば即答できる、取りやすい分野。

このレッスンで稽古する(用語チェック・過去問)

結論:レビューは「早く見つけて、手戻りを減らす」ため

レビューとは、作った資料(設計書・コードなど)を人が読んで誤りを探す作業のこと。目的は、仕様の不備や設計の誤りを早い段階で見つけて、手戻り工数(あとでやり直す手間)を減らすこと。

誤りが見つかるのが遅いほど、直す範囲が広がる。家づくりでたとえると、設計図の段階で「窓の位置が違う」と気づけば図面を消して描き直すだけだが、壁が建ってからだと壁を壊すことになる。

試験では、このねらいを「スケジュールの見直し」「見積り精度の向上」「テストの簡略化」といったそれらしい別の目的と並べてくる。レビューのねらいは 早期発見と手戻り削減 の一点だけ、と覚えておけばよい。

誤りに気づく時点と直す範囲棒の高さ=直す範囲(手戻り)レビューで見つける描き直すだけ広がる壊して作り直す設計の段階製造の段階テストの段階時間 →
誤りに気づくのが遅いほど、直す範囲(手戻り)が大きくなる。レビューは設計の段階で見つけるためのもの。

レビュー手法の比較(ここが一番出る)

手法の名前と説明文を結びつけさせる問題が多い。それぞれ キーワード1つ で覚える。

手法 誰が進めるか 進め方のキーワード 形式
ウォークスルー 作成者(開発者同士) 作成者が成果物を説明し、関係者が質問・指摘。誤りの検出に専念(解決策はその場で決めない) 比較的くだけた会議
インスペクション モデレータ(進行役) 参加者が役割を分担し、チェックリストに沿って指摘。正式な記録を残す 最も公式
ラウンドロビン 参加者が持ち回り 参加者が順番に司会者とレビュアを交代しながら進める 会議形式
パスアラウンド なし(会議を開かない) 成果物を配布・回覧して、各自がコメントを返す 会議なし
机上デバッグ 個人 1人でプログラムを読み、頭の中で動かして誤りを探す 個人作業
  • 「モデレータ」「チェックリスト」「正式な記録」が出たら → インスペクション
  • 「作成者と複数の関係者」「作成者が説明」が出たら → ウォークスルー
  • 「順番に司会者」が出たら → ラウンドロビン
  • 「配布又は回覧」が出たら → パスアラウンド
ウォークスルー作成者関係者関係者関係者作成者が説明→指摘検出に専念インスペクションモデレータ説明者レビュア記録係チェックリスト正式な記録使う道具残す成果物役割分担・最も公式ラウンドロビン司会レビュアレビュアレビュア交代順番に司会者を交代パスアラウンド成果物各自各自各自配布・回覧→コメント会議なし
4つの手法を「誰が・どう進めるか」の形で並べた図。インスペクションの角丸の札は役割ではなく、使う道具と残す成果物。

ウォークスルー:開発者同士で「見つけるだけ」

ウォークスルーは、作成者が設計書などを順に説明し、ほかの開発者が質問や指摘をして誤りを見つける手法。作成者と複数の関係者で行い、目的は設計上の誤りの早期発見。

大事なのは、会議では問題点の検出に専念し、解決策の検討はしないこと。直し方まで話し始めると時間が足りなくなり、ほかの誤りを見落とすからだ。

試験では次のようなずれた説明でひっかけてくる。

  • 「ユーザを交えて解決策を検討する」→ ×(解決策はその場で決めない)
  • 「開発者は参加せず、開発管理者主導で行う」→ ×(作成者を含む開発者同士で行う)
  • 「ウォークスルー用の要約版を使う」→ ×(成果物そのものを見る)

インスペクション:モデレータが仕切る公式レビュー

インスペクションは、最もきちんとした形のレビュー。モデレータ(進行役)が全体を取り仕切り、参加者がそれぞれ決まった役割を持ち、チェックリストに沿って指摘し、正式な記録を残す。

役割の見分けが問われる。サッカーの審判がボールを蹴らずに試合を回すのと同じで、モデレータは自分では直さず、レビューを主導して、参加者に役割を果たさせる。

役割 やること
モデレータ レビューを主導し、参加者に役割を果たさせる(進行役)
作成者 成果物を作った人。見つかった欠陥を修正する
説明者(リーダ) 対象の資料を参加者に説明する(作成者が兼ねることもある)
記録係(書記) 出た欠陥・課題・コメントを記録する
レビュア(検査者) チェックリストに沿って欠陥を探す
インスペクションの役割と流れモデレータは進行役。直すのは作成者モデレータ主導して役割を果たさせる① 説明者:資料を説明する② レビュア:欠陥を見つける③ 記録係:欠陥を記録する④ 作成者:欠陥を修正する※説明者は作成者が兼ねることもある
インスペクションで欠陥が見つかってから直るまでの流れ(①→④)。モデレータは自分では直さず、各役割を果たさせる。

仕様レビューの観点:外部仕様と内部仕様

外部仕様はユーザから見える部分(画面・帳票の様式、入力と出力)、内部仕様はプログラムの中の作り(モジュールの分け方、制御の流れ)のこと。

レビュー対象 確かめること
外部仕様 ユーザ要件を満たしているか、実現可能か
内部仕様 外部仕様との不整合がないか、内部仕様書の中に矛盾がないか

内部仕様は外部仕様をもとに作るので、両者はつながっているのが当然(独立していることは望ましくない)。また「帳票・画面の様式」は外部仕様側の話。

何を確かめるかユーザ要件満たしているか外部仕様画面・帳票の様式実現可能か不整合はないか内部仕様モジュール・制御の流れ仕様書の中で矛盾はないか2つを見比べる1つの中で確かめる内部仕様は外部仕様をもとに作る(つながる)
実線の矢印は2つの間を見比べる確認、点線の札はその仕様だけで確かめる確認。外部仕様は要件と実現可能性、内部仕様は外部との整合と中の矛盾を見る。

試験での問われ方

  • 手法の名前を当てる:説明文のキーワード(モデレータ/作成者の説明/順番に司会/回覧)から選ぶ
  • ウォークスルーの進め方:「検出に専念」が正解。「解決策を検討」「管理者主導」はひっかけ
  • モデレータの役割:「主導して役割を果たさせる」が正解。「記録する」は書記、「修正する」「説明する」は作成者
  • デザインレビューのねらい:「早期発見・手戻り削減」が正解。スケジュール・見積り・テスト簡略化はひっかけ
  • 仕様レビュー:外部=要件と実現可能性、内部=外部との整合と矛盾

要点(試験直前に読む)

  • デザインレビューのねらいは「仕様の不備・設計の誤りを早期に発見し、手戻り工数を減らす」こと。
  • ウォークスルー=作成者と関係者(開発者同士)で、問題点の検出に専念する。解決策は検討しない。
  • インスペクション=モデレータが主導し、役割分担・チェックリスト・正式な記録の3点がそろう。
  • モデレータは「主導して参加者に役割を果たさせる」人。記録=書記、修正・説明=作成者。
  • ラウンドロビン=順番に司会者交代、パスアラウンド=配布・回覧、机上デバッグ=個人作業。
  • 外部仕様のレビュー=ユーザ要件と実現可能性、内部仕様のレビュー=外部仕様との整合と内部の矛盾。

ひっかけ

  • レビューのねらいに「スケジュール見直し」「見積り精度向上」「テスト簡略化」を混ぜてくる → 正解は早期発見・手戻り削減だけ。
  • ウォークスルーを「ユーザを交えて解決策を検討」「管理者主導」と説明してくる → 開発者同士で検出に専念するのが正しい。
  • 手法の説明文を並べて選ばせる → モデレータ=インスペクション、順番に司会=ラウンドロビン、配布・回覧=パスアラウンド、作成者が説明=ウォークスルー。
  • モデレータの役割に書記(記録)や作成者(修正・説明)の仕事を混ぜる → 進行役かどうかで見分ける。
  • 「外部仕様と内部仕様は独立が望ましい」「帳票・画面の様式は内部仕様」→ どちらも誤り。内部は外部に基づき、帳票・画面は外部仕様。

用語(11)

デザインレビュー でざいんれびゅー(design review)
設計書を関係者で確認して、仕様の不備や設計の誤りを早い段階で見つけ、手戻りを減らす活動。
⚠ スケジュールの見直しや見積り精度の向上が目的ではない。ねらいは「早期発見・手戻り削減」。
手戻り てもどり
後の工程で誤りが見つかり、前の工程まで戻って作り直すこと。
ウォークスルー うぉーくするー(walkthrough)
作成者が成果物を説明し、開発者同士で質問・指摘をして誤りの検出に専念するレビュー。
⚠ インスペクションとの違いは、モデレータ・チェックリスト・正式記録が無いこと。解決策はその場で検討しない。
インスペクション いんすぺくしょん(inspection)
モデレータが進行し、参加者が役割を分担してチェックリストに沿って指摘し、正式な記録を残す公式なレビュー。
⚠ 「作成者が説明して参加者が質問」だけならウォークスルー。モデレータが出たらインスペクション。
モデレータ もでれーた(moderator)
インスペクションでレビューを主導し、参加者にそれぞれの役割を果たさせる進行役。
⚠ 記録するのは書記、欠陥を直すのは作成者、資料を説明するのは作成者(説明者)。
チェックリスト ちぇっくりすと(checklist)
確認すべき項目をあらかじめ一覧にしたもので、インスペクションで漏れなく指摘するために使う。
ラウンドロビン らうんどろびん(round robin)
参加者が順番に司会者とレビュアを交代しながら進めるレビュー。
⚠ 「順番に司会者」がキーワード。進行役が固定されるインスペクションとは別。
パスアラウンド ぱすあらうんど(pass-around)
会議を開かずに成果物を複数のレビュアへ配布・回覧し、各自がコメントを返すレビュー。
⚠ 「配布又は回覧」がキーワード。会議形式のウォークスルーとは違う。
机上デバッグ きじょうでばっぐ
1人でプログラムを読み、頭の中で動かして誤りを探す個人作業。
⚠ 複数の関係者で行うウォークスルーとは違い、個人で行う。
外部仕様 がいぶしよう
画面・帳票の様式や入出力など、ユーザから見えるシステムのふるまいを決めたもの。
⚠ 帳票・画面の様式は外部仕様。内部仕様と取り違えない。
内部仕様 ないぶしよう
モジュールの分け方や制御の流れなど、プログラム内部の作りを決めたもの。
⚠ 外部仕様をもとに作るので外部仕様とつながっている。レビューでは外部仕様との不整合と内部の矛盾を見る。

このレッスンの過去問

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