レビューの種類(ウォークスルー・インスペクション)
デザインレビューの目的(手戻りを減らす)と、ウォークスルー・インスペクション・ラウンドロビン・パスアラウンドの違いを見分けられるようになる。インスペクションのモデレータの役割と、外部仕様・内部仕様のレビューで何を確かめるかを選べるようになる。
レビュー手法は、短い説明文を読んで「どの手法か」「誰の役割か」を選ばせる問題が繰り返し出ている。手法ごとのキーワードを覚えれば即答できる、取りやすい分野。
このレッスンで稽古する(用語チェック・過去問)結論:レビューは「早く見つけて、手戻りを減らす」ため
レビューとは、作った資料(設計書・コードなど)を人が読んで誤りを探す作業のこと。目的は、仕様の不備や設計の誤りを早い段階で見つけて、手戻り工数(あとでやり直す手間)を減らすこと。
誤りが見つかるのが遅いほど、直す範囲が広がる。家づくりでたとえると、設計図の段階で「窓の位置が違う」と気づけば図面を消して描き直すだけだが、壁が建ってからだと壁を壊すことになる。
試験では、このねらいを「スケジュールの見直し」「見積り精度の向上」「テストの簡略化」といったそれらしい別の目的と並べてくる。レビューのねらいは 早期発見と手戻り削減 の一点だけ、と覚えておけばよい。
レビュー手法の比較(ここが一番出る)
手法の名前と説明文を結びつけさせる問題が多い。それぞれ キーワード1つ で覚える。
| 手法 | 誰が進めるか | 進め方のキーワード | 形式 |
|---|---|---|---|
| ウォークスルー | 作成者(開発者同士) | 作成者が成果物を説明し、関係者が質問・指摘。誤りの検出に専念(解決策はその場で決めない) | 比較的くだけた会議 |
| インスペクション | モデレータ(進行役) | 参加者が役割を分担し、チェックリストに沿って指摘。正式な記録を残す | 最も公式 |
| ラウンドロビン | 参加者が持ち回り | 参加者が順番に司会者とレビュアを交代しながら進める | 会議形式 |
| パスアラウンド | なし(会議を開かない) | 成果物を配布・回覧して、各自がコメントを返す | 会議なし |
| 机上デバッグ | 個人 | 1人でプログラムを読み、頭の中で動かして誤りを探す | 個人作業 |
- 「モデレータ」「チェックリスト」「正式な記録」が出たら → インスペクション
- 「作成者と複数の関係者」「作成者が説明」が出たら → ウォークスルー
- 「順番に司会者」が出たら → ラウンドロビン
- 「配布又は回覧」が出たら → パスアラウンド
ウォークスルー:開発者同士で「見つけるだけ」
ウォークスルーは、作成者が設計書などを順に説明し、ほかの開発者が質問や指摘をして誤りを見つける手法。作成者と複数の関係者で行い、目的は設計上の誤りの早期発見。
大事なのは、会議では問題点の検出に専念し、解決策の検討はしないこと。直し方まで話し始めると時間が足りなくなり、ほかの誤りを見落とすからだ。
試験では次のようなずれた説明でひっかけてくる。
- 「ユーザを交えて解決策を検討する」→ ×(解決策はその場で決めない)
- 「開発者は参加せず、開発管理者主導で行う」→ ×(作成者を含む開発者同士で行う)
- 「ウォークスルー用の要約版を使う」→ ×(成果物そのものを見る)
インスペクション:モデレータが仕切る公式レビュー
インスペクションは、最もきちんとした形のレビュー。モデレータ(進行役)が全体を取り仕切り、参加者がそれぞれ決まった役割を持ち、チェックリストに沿って指摘し、正式な記録を残す。
役割の見分けが問われる。サッカーの審判がボールを蹴らずに試合を回すのと同じで、モデレータは自分では直さず、レビューを主導して、参加者に役割を果たさせる。
| 役割 | やること |
|---|---|
| モデレータ | レビューを主導し、参加者に役割を果たさせる(進行役) |
| 作成者 | 成果物を作った人。見つかった欠陥を修正する |
| 説明者(リーダ) | 対象の資料を参加者に説明する(作成者が兼ねることもある) |
| 記録係(書記) | 出た欠陥・課題・コメントを記録する |
| レビュア(検査者) | チェックリストに沿って欠陥を探す |
仕様レビューの観点:外部仕様と内部仕様
外部仕様はユーザから見える部分(画面・帳票の様式、入力と出力)、内部仕様はプログラムの中の作り(モジュールの分け方、制御の流れ)のこと。
| レビュー対象 | 確かめること |
|---|---|
| 外部仕様 | ユーザ要件を満たしているか、実現可能か |
| 内部仕様 | 外部仕様との不整合がないか、内部仕様書の中に矛盾がないか |
内部仕様は外部仕様をもとに作るので、両者はつながっているのが当然(独立していることは望ましくない)。また「帳票・画面の様式」は外部仕様側の話。
試験での問われ方
- 手法の名前を当てる:説明文のキーワード(モデレータ/作成者の説明/順番に司会/回覧)から選ぶ
- ウォークスルーの進め方:「検出に専念」が正解。「解決策を検討」「管理者主導」はひっかけ
- モデレータの役割:「主導して役割を果たさせる」が正解。「記録する」は書記、「修正する」「説明する」は作成者
- デザインレビューのねらい:「早期発見・手戻り削減」が正解。スケジュール・見積り・テスト簡略化はひっかけ
- 仕様レビュー:外部=要件と実現可能性、内部=外部との整合と矛盾
要点(試験直前に読む)
- デザインレビューのねらいは「仕様の不備・設計の誤りを早期に発見し、手戻り工数を減らす」こと。
- ウォークスルー=作成者と関係者(開発者同士)で、問題点の検出に専念する。解決策は検討しない。
- インスペクション=モデレータが主導し、役割分担・チェックリスト・正式な記録の3点がそろう。
- モデレータは「主導して参加者に役割を果たさせる」人。記録=書記、修正・説明=作成者。
- ラウンドロビン=順番に司会者交代、パスアラウンド=配布・回覧、机上デバッグ=個人作業。
- 外部仕様のレビュー=ユーザ要件と実現可能性、内部仕様のレビュー=外部仕様との整合と内部の矛盾。
ひっかけ
- レビューのねらいに「スケジュール見直し」「見積り精度向上」「テスト簡略化」を混ぜてくる → 正解は早期発見・手戻り削減だけ。
- ウォークスルーを「ユーザを交えて解決策を検討」「管理者主導」と説明してくる → 開発者同士で検出に専念するのが正しい。
- 手法の説明文を並べて選ばせる → モデレータ=インスペクション、順番に司会=ラウンドロビン、配布・回覧=パスアラウンド、作成者が説明=ウォークスルー。
- モデレータの役割に書記(記録)や作成者(修正・説明)の仕事を混ぜる → 進行役かどうかで見分ける。
- 「外部仕様と内部仕様は独立が望ましい」「帳票・画面の様式は内部仕様」→ どちらも誤り。内部は外部に基づき、帳票・画面は外部仕様。
用語(11)
設計書を関係者で確認して、仕様の不備や設計の誤りを早い段階で見つけ、手戻りを減らす活動。
⚠ スケジュールの見直しや見積り精度の向上が目的ではない。ねらいは「早期発見・手戻り削減」。
後の工程で誤りが見つかり、前の工程まで戻って作り直すこと。
作成者が成果物を説明し、開発者同士で質問・指摘をして誤りの検出に専念するレビュー。
⚠ インスペクションとの違いは、モデレータ・チェックリスト・正式記録が無いこと。解決策はその場で検討しない。
モデレータが進行し、参加者が役割を分担してチェックリストに沿って指摘し、正式な記録を残す公式なレビュー。
⚠ 「作成者が説明して参加者が質問」だけならウォークスルー。モデレータが出たらインスペクション。
インスペクションでレビューを主導し、参加者にそれぞれの役割を果たさせる進行役。
⚠ 記録するのは書記、欠陥を直すのは作成者、資料を説明するのは作成者(説明者)。
確認すべき項目をあらかじめ一覧にしたもので、インスペクションで漏れなく指摘するために使う。
参加者が順番に司会者とレビュアを交代しながら進めるレビュー。
⚠ 「順番に司会者」がキーワード。進行役が固定されるインスペクションとは別。
会議を開かずに成果物を複数のレビュアへ配布・回覧し、各自がコメントを返すレビュー。
⚠ 「配布又は回覧」がキーワード。会議形式のウォークスルーとは違う。
1人でプログラムを読み、頭の中で動かして誤りを探す個人作業。
⚠ 複数の関係者で行うウォークスルーとは違い、個人で行う。
画面・帳票の様式や入出力など、ユーザから見えるシステムのふるまいを決めたもの。
⚠ 帳票・画面の様式は外部仕様。内部仕様と取り違えない。
モジュールの分け方や制御の流れなど、プログラム内部の作りを決めたもの。
⚠ 外部仕様をもとに作るので外部仕様とつながっている。レビューでは外部仕様との不整合と内部の矛盾を見る。
このレッスンの過去問
- 設計レビューの目的(手戻り削減)基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20260125 実施分 問36
- ウォークスルーによる設計レビュー平成23年度 特別試験 基本情報技術者試験 午前 問47
- インスペクションのモデレータの役割平成29年度 春期 基本情報技術者試験 午前 問47
- 仕様レビューの観点(外部仕様と内部仕様)基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20130623 実施分 問50