資格道場 › レッスン一覧 › ネットワーク
ネットワーク・11/11・14分

伝送時間・回線利用率などの計算

ゴール

伝送時間・回線利用率・ビット誤り率・衛星通信の伝送遅延を、単位を「ビット」と「秒」にそろえて計算できるようになる。このレッスンで扱う過去問8問(うち6問は例題として手順を解説)を自力で解ける。

伝送時間(本試験系9回・免除22回)と回線利用率(本試験系5回・免除11回)は、くり返し出題されている計算問題。式はほぼ1本で、単位をそろえれば確実に取れる。実務でも「このファイルを送るのに何秒かかるか」「回線の太さは足りるか」の見積もりにそのまま使える。

このレッスンで稽古する(用語チェック・過去問)

結論:全部「ビットにそろえて、速度で割る」

このレッスンの計算は、すべて データ量(ビット)÷ 速度(ビット/秒)= 時間(秒) の変形です。間違える原因はほぼ全部、計算ではなく 単位のそろえ忘れ(バイトのまま、M を落とす、分を秒にしない)です。

flowchart TD
  A["① データ量をビットに直す(バイト×8)"] --> B["② 上乗せ・割引を反映(制御情報×1.2、速度×伝送効率)"]
  B --> C["③ 時間=ビット÷ビット/秒、利用率=実際の速度÷回線速度"]

単位換算:ここで8割が決まる

回線の速度は ビット/秒(bps:1秒に送れるビット数)、ファイルの大きさは バイト で書かれるのが普通です。1バイト=8ビットなので、まずバイトに ×8 してビットにします。

表記 意味 注意
1バイト 8ビット バイト→ビットは ×8
k(キロ) 10^3 64kビット/秒=64,000ビット/秒
M(メガ) 10^6 問題文に「1Mバイト=10^6バイト」と書かれることが多い
G(ギガ) 10^9 1Gバイト=1,000Mバイトとして計算
1分 / 1時間 60秒 / 3,600秒 速度は「毎秒」なので時間も秒に直す

10^-10 のような小さな数は、ビット誤り率で出てきます。指数は「10^6×10^2=10^8(足し算)」「1÷10^9=10^-9」とだけ覚えれば足ります。

伝送時間の計算(伝送効率込み)【最頻出】

伝送時間 = データ量(ビット)÷(回線速度 × 伝送効率)

伝送効率 とは、回線の公称速度のうち実際にデータを運べる割合です。高速道路にたとえると、制限速度(回線速度)どおりには走れず、合流や車間で実際に流れる量は半分、というのが伝送効率50%です。

ポイントは 効率は速度に掛けて小さくする こと。速度が遅くなるので、答え(時間)は効率を掛けないときより 長く なります。答えが短くなったら方向が逆です。

伝送効率50%=速度が半分になる回線速度(公称)×0.5=実際の速度合流・車間で使えないかかる時間効率なし短すぎ(誤り)効率込み2倍長い(正しい)速度が半分→時間は2倍に延びる
伝送効率50%だと実際の速度が半分になり、かかる時間は効率を掛けないときより長くなる。

回線利用率の計算(オーバヘッド込み)

回線利用率 = 実際に流したビット/秒 ÷ 回線速度 です。回線の能力のうち何%を使っているかを表します。

実際に流れる量には、データ本体に加えて 制御情報(ヘッダ) が乗ります。手紙の中身に封筒と宛名が付くのと同じで、送る量はその分だけ増えます。

伝送時間の「伝送効率」と、利用率の「制御情報」は、どちらに掛けるかが逆なので混同しないでください。

項目 伝送効率 制御情報(オーバヘッド)
何を表すか 回線のうち実際にデータを運べる割合 データに追加で付く管理用の情報
掛ける相手 回線速度(小さくする) データ量(大きくする)
式の形 速度 × 0.5 など データ × 1.2(20%付加)など
よく出る問題 伝送時間 回線利用率

「1時間に○件」「10秒ごとに」のように頻度で与えられたら、1秒あたりのビット数 に直してから回線速度で割ります。

制御情報はデータ量に上乗せデータ本体制御情報データ×1.2(20%付加)実際に流した量空き外枠=回線速度利用率=実際に流した量÷回線速度頻度は1秒あたりのビット数に直す
制御情報はデータ量に上乗せし、1秒あたりに直してから回線速度で割ると利用率になる。

ビット誤り率の計算

ビット誤り率 = 誤ったビット数 ÷ 送ったビット数 です。「○秒に1回誤る」と出たら、その秒数で送ったビット数(速度×秒)を分母にします。

○秒に1回誤る=その間に送った分が分母誤った1ビット(分子)速度×秒=送ったビット数(分母)誤り率=誤ったビット数÷送ったビット数
「○秒に1回誤る」なら、その秒数の間に送ったビット数(速度×秒)が分母、誤った1ビットが分子になる。

衛星通信の伝送遅延時間

電波が届くまでの時間は 距離 ÷ 伝搬速度(3×10^8 m/秒) で、データの大きさとは関係ありません。A→衛星→B の2区間を足し、衛星での中継遅延を1回加えます。

用語 伝送時間 伝送遅延(伝搬遅延)
決めるもの データ量と回線速度 距離と電波の速さ
式 ビット ÷ ビット/秒 m ÷ m/秒
例 12Mバイトを送るのに128秒 衛星経由で0.26秒
衛星+中継遅延地点A地点B37,500km37,500km高度36,000kmは使わない時間=距離÷3×10^8 m/秒
伝送遅延は地点A→衛星→地点Bの2区間の距離を電波の速さで割り、衛星での中継遅延を1回足す。

試験での問われ方

  • 選択肢には、×8を忘れた値・効率を掛け忘れた値・制御情報を足し忘れた値 がほぼ必ず並びます。自分の答えが選択肢にあっても安心しないこと。
  • 2問目以降の確認には「掛け忘れたらどの選択肢になるか」を逆算すると、ひっかけの構造が見え、自分の答えの裏付けになります。
  • 衛星問題では、問題文にある 高度36,000km は使いません。与えられた地点との距離(37,500km)を使います。
例題 1

伝送時間:12Mバイトを1.5Mビット/秒・効率50%で送る

1.5M ビット/秒の伝送路を用いて 12M バイトのデータを転送するのに必要な伝送時間は何秒か。ここで,伝送路の伝送効率を 50% とする。

ア 16
イ 32
ウ 64
エ 128

出典:平成30年度 秋期 基本情報技術者試験 午前 問31

解き方と答えを見る
  1. ① データ量をビットに:12Mバイト × 8 = 96Mビット
  2. ② 実際の速度:1.5Mビット/秒 × 0.5 = 0.75Mビット/秒
  3. ③ 伝送時間:96 ÷ 0.75 = 128秒
  4. ④ 検算:効率を掛け忘れると 96 ÷ 1.5 = 64秒(ウ)。効率を逆向きに使うと 96 × 0.5 ÷ 1.5 = 32秒(イ)。×8を忘れると 12 ÷ 0.75 = 16秒(ア)

答え:エ(128秒)

例題 2

回線利用率:1Gバイトを40Mビット/秒で5分・制御情報20%

1G バイトの動画データを 40M ビット/秒の回線を使用してダウンロードしたところ,5 分掛かった。このときの回線利用率はおよそ何%か。ここで,ダウンロード時には動画データに 20%の制御情報が付加されるものとする。

ア 10
イ 53
ウ 67
エ 80

出典:令和7年度 基本情報技術者試験 科目A 公開問題 問7

解き方と答えを見る
  1. ① データ量をビットに:1Gバイト = 1,000Mバイト、× 8 = 8,000Mビット
  2. ② 制御情報20%を足す:8,000 × 1.2 = 9,600Mビット
  3. ③ 時間を秒に:5分 = 300秒
  4. ④ 実際の速度:9,600 ÷ 300 = 32Mビット/秒
  5. ⑤ 利用率:32 ÷ 40 = 0.8 → 80%
  6. ⑥ 検算:20%を足し忘れると 8,000 ÷ 300 ≒ 26.7Mビット/秒、26.7 ÷ 40 ≒ 0.67 → 67%(ウ)

答え:エ(80%)

例題 3

回線利用率:1Mバイトを10秒ごと・10Mビット/秒・制御情報20%

10 M ビット/秒の回線で接続された端末間で,平均 1 M バイトのファイルを,10 秒ごとに転送するときの回線利用率は何%か。ここで,ファイル転送時には,転送量の 20%が制御情報として付加されるものとし,1 M ビット=10^6 ビットとする。

ア 1.2
イ 6.4
ウ 8.0
エ 9.6

出典:令和元年度 秋期 基本情報技術者試験 午前 問30

解き方と答えを見る
  1. ① データ量をビットに:1Mバイト × 8 = 8Mビット
  2. ② 制御情報20%を足す:8 × 1.2 = 9.6Mビット
  3. ③ 1秒あたり:10秒ごとに送るので 9.6 ÷ 10 = 0.96Mビット/秒
  4. ④ 利用率:0.96 ÷ 10 = 0.096 → 9.6%
  5. ⑤ 検算:20%を足し忘れると 8 ÷ 10 ÷ 10 = 8.0%(ウ)。×8を忘れると 1.2 ÷ 10 ÷ 10 = 1.2%(ア)

答え:エ(9.6%)

例題 4

回線利用率:伝票2件まとめ+ヘッダ400バイト・1時間10万件

本社と工場との間を専用線で接続してデータを伝送するシステムがある。このシステムでは 2,000 バイト/件の伝票データを 2 件ずつまとめ,それに 400 バイトのヘッダ情報を付加して送っている。伝票データは,1 時間に平均 100,000 件発生している。回線速度を 1M ビット/秒としたとき,回線利用率はおよそ何%か。

ア 6.1
イ 44
ウ 49
エ 53

出典:平成29年度 春期 基本情報技術者試験 午前 問30

解き方と答えを見る
  1. ① 1回に送る量:2,000バイト × 2件 + 400バイト = 4,400バイト
  2. ② 1時間の送信回数:100,000件 ÷ 2 = 50,000回
  3. ③ 1時間の総量:4,400 × 50,000 = 220,000,000バイト、× 8 = 1,760,000,000ビット
  4. ④ 1秒あたり:1,760,000,000 ÷ 3,600 ≒ 488,900ビット/秒
  5. ⑤ 利用率:488,900 ÷ 1,000,000 ≒ 0.49 → 約49%
  6. ⑥ 検算:ヘッダを無視すると 4,000 × 50,000 × 8 ÷ 3,600 ≒ 444,000 → 44%(イ)。ヘッダを1件ごとに付けると 2,400 × 100,000 × 8 ÷ 3,600 ≒ 533,000 → 53%(エ)。×8を忘れると約6.1%(ア)

答え:ウ(約49%)

例題 5

ビット誤り率:30Mビット/秒で100秒に1ビット誤り

伝送速度30Mビット/秒の回線を使ってデータを連続送信したとき,平均して100秒に1回の1ビット誤りが発生した。この回線のビット誤り率は幾らか。

ア 4.17×10^-11
イ 3.33×10^-10
ウ 4.17×10^-5
エ 3.33×10^-4

出典:基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20260125 実施分 問24

解き方と答えを見る
  1. ① 100秒で送るビット数:30 × 10^6 × 100 = 3 × 10^9 ビット
  2. ② 誤り率:1 ÷ (3 × 10^9)
  3. ③ 計算:1 ÷ 3 ≒ 0.333 なので 0.333 × 10^-9 = 3.33 × 10^-10
  4. ④ 検算:M(10^6)を落として 1 ÷ (30 × 100) とすると 3.33 × 10^-4(エ)になる

答え:イ(3.33×10^-10)

例題 6

衛星通信の伝送遅延:A→静止衛星→B

地上から高度約 36,000 km の静止軌道衛星を中継して,地上の A 地点と B 地点で通信をする。衛星と A 地点,衛星と B 地点の距離がどちらも 37,500 km であり,衛星での中継による遅延を 10 ミリ秒とするとき,A から送信し始めたデータが B に到達するまでの伝送遅延時間は何秒か。ここで,電波の伝搬速度は 3×10^8 m/秒とする。

ア 0.13
イ 0.26
ウ 0.35
エ 0.52

出典:平成28年度 秋期 基本情報技術者試験 午前 問35

解き方と答えを見る
  1. ① 電波が進む距離:A→衛星 37,500km + 衛星→B 37,500km = 75,000km = 7.5 × 10^7 m
  2. ② 伝搬時間:7.5 × 10^7 ÷ (3 × 10^8) = 0.25秒
  3. ③ 中継遅延を足す:0.25 + 0.01 = 0.26秒
  4. ④ 検算:片道1区間(37,500km)だけだと 0.125 + 0.01 ≒ 0.135秒で、アの0.13に近い値になる。往復4区間(150,000km)だと 0.5 + 0.01 = 0.51秒で、エの0.52に近いが一致はしない。0.52になるのは、往復で中継遅延も2回(0.02秒)数えた場合。高度36,000kmは計算に使わない

答え:イ(0.26秒)

要点(試験直前に読む)

  • まずデータ量をビットに:バイト×8。k=10^3、M=10^6、G=10^9。時間は秒に直す
  • 伝送時間=ビット÷(回線速度×伝送効率)。効率を掛けると答えは長くなる
  • 回線利用率=1秒あたりに流すビット(制御情報込み)÷回線速度。制御情報20%ならデータ×1.2
  • ビット誤り率=誤りビット数÷(速度×秒数)
  • 衛星の遅延=(A→衛星+衛星→B)÷3×10^8+中継遅延1回。高度36,000kmは使わない

ひっかけ

  • ×8を忘れた値が必ず選択肢にある。単位に「バイト」が出たら最初に×8したか確認する
  • 伝送効率の掛け忘れ・逆向き(割る/データに掛ける)。効率を入れたら時間は長くなるはず、で見破る
  • 制御情報20%の足し忘れ(2025年度は67%、2019年度は8.0%がこのひっかけ)。「付加される」と書いてあれば×1.2
  • ヘッダの付き方の取り違え。「2件ずつまとめて400バイト」なら2件に1回だけ足す
  • 衛星問題で片道1区間だけ、または往復で計算する。A→衛星→B の2区間と、中継遅延1回だけを足す

用語(14)

ビット びっと(binary digit)
0か1かを表す、データの最小単位。
⚠ バイトと混同しやすい。回線速度はビット、ファイルサイズはバイトで書かれることが多く、1バイト=8ビット。
バイト ばいと
8ビットをひとまとまりにしたデータの単位。
⚠ ビットとの取り違え。計算前に必ず×8してビットにそろえる。
bps bits per second(ビット毎秒)
1秒間に送れるビット数で表した回線の速度。
⚠ Bps(バイト毎秒)と区別。試験の「Mビット/秒」はビット単位。
伝送速度(回線速度) でんそうそくど
回線が公称として1秒間に送れるデータ量。
⚠ 実効速度と区別。伝送効率を掛ける前の値。
伝送効率 でんそうこうりつ
回線速度のうち、実際にデータを運ぶのに使える割合。
⚠ 制御情報と区別。伝送効率は速度に掛けて小さくし、制御情報はデータ量に足して大きくする。
実効速度 じっこうそくど
回線速度に伝送効率を掛けた、実際に出る速度。
伝送時間 でんそうじかん
データを送り終えるまでの時間で、データ量÷実効速度で求める。
⚠ 伝送遅延(伝搬遅延)と区別。伝送時間はデータ量で決まり、伝搬遅延は距離で決まる。
回線利用率 かいせんりようりつ
回線速度のうち、実際に流しているデータ量(1秒あたり)が占める割合。
⚠ 伝送効率と区別。伝送効率は条件として与えられる割合、利用率は答えとして求める割合。
制御情報(オーバヘッド) せいぎょじょうほう(overhead)
データ本体を正しく届けるために付け加わる、宛先や管理用の情報。
⚠ 伝送効率と区別。制御情報20%ならデータ量×1.2にする。
ヘッダ へっだ(header)
送るデータの先頭に付ける、宛先などの管理情報。
⚠ 「何件ごとに1つ付くか」を問題文で確認する。2件まとめなら2件に1つ。
ビット誤り率 びっとごりりつ(BER: Bit Error Rate)
送ったビットのうち、誤って届いたビットの割合。
伝搬速度 でんぱんそくど
電波や信号が空間や線路を進む速さで、電波なら約3×10^8 m/秒。
⚠ 伝送速度(ビット/秒)と区別。伝搬速度は m/秒で、距離の計算に使う。
伝送遅延時間(伝搬遅延) でんそうちえんじかん
信号が送信地点から受信地点に届くまでの時間で、距離÷伝搬速度に中継の遅れを足して求める。
⚠ 伝送時間と区別。データの大きさは関係しない。
静止軌道衛星 せいしきどうえいせい
高度約36,000kmを地球の自転と同じ周期で回り、地上から止まって見える衛星。
⚠ 計算では高度ではなく、地上の地点との距離を使う。

このレッスンの過去問

このレッスンで稽古する