伝送時間・回線利用率などの計算
伝送時間・回線利用率・ビット誤り率・衛星通信の伝送遅延を、単位を「ビット」と「秒」にそろえて計算できるようになる。このレッスンで扱う過去問8問(うち6問は例題として手順を解説)を自力で解ける。
伝送時間(本試験系9回・免除22回)と回線利用率(本試験系5回・免除11回)は、くり返し出題されている計算問題。式はほぼ1本で、単位をそろえれば確実に取れる。実務でも「このファイルを送るのに何秒かかるか」「回線の太さは足りるか」の見積もりにそのまま使える。
このレッスンで稽古する(用語チェック・過去問)結論:全部「ビットにそろえて、速度で割る」
このレッスンの計算は、すべて データ量(ビット)÷ 速度(ビット/秒)= 時間(秒) の変形です。間違える原因はほぼ全部、計算ではなく 単位のそろえ忘れ(バイトのまま、M を落とす、分を秒にしない)です。
flowchart TD
A["① データ量をビットに直す(バイト×8)"] --> B["② 上乗せ・割引を反映(制御情報×1.2、速度×伝送効率)"]
B --> C["③ 時間=ビット÷ビット/秒、利用率=実際の速度÷回線速度"]
単位換算:ここで8割が決まる
回線の速度は ビット/秒(bps:1秒に送れるビット数)、ファイルの大きさは バイト で書かれるのが普通です。1バイト=8ビットなので、まずバイトに ×8 してビットにします。
| 表記 | 意味 | 注意 |
|---|---|---|
| 1バイト | 8ビット | バイト→ビットは ×8 |
| k(キロ) | 10^3 | 64kビット/秒=64,000ビット/秒 |
| M(メガ) | 10^6 | 問題文に「1Mバイト=10^6バイト」と書かれることが多い |
| G(ギガ) | 10^9 | 1Gバイト=1,000Mバイトとして計算 |
| 1分 / 1時間 | 60秒 / 3,600秒 | 速度は「毎秒」なので時間も秒に直す |
10^-10 のような小さな数は、ビット誤り率で出てきます。指数は「10^6×10^2=10^8(足し算)」「1÷10^9=10^-9」とだけ覚えれば足ります。
伝送時間の計算(伝送効率込み)【最頻出】
伝送時間 = データ量(ビット)÷(回線速度 × 伝送効率)
伝送効率 とは、回線の公称速度のうち実際にデータを運べる割合です。高速道路にたとえると、制限速度(回線速度)どおりには走れず、合流や車間で実際に流れる量は半分、というのが伝送効率50%です。
ポイントは 効率は速度に掛けて小さくする こと。速度が遅くなるので、答え(時間)は効率を掛けないときより 長く なります。答えが短くなったら方向が逆です。
回線利用率の計算(オーバヘッド込み)
回線利用率 = 実際に流したビット/秒 ÷ 回線速度 です。回線の能力のうち何%を使っているかを表します。
実際に流れる量には、データ本体に加えて 制御情報(ヘッダ) が乗ります。手紙の中身に封筒と宛名が付くのと同じで、送る量はその分だけ増えます。
伝送時間の「伝送効率」と、利用率の「制御情報」は、どちらに掛けるかが逆なので混同しないでください。
| 項目 | 伝送効率 | 制御情報(オーバヘッド) |
|---|---|---|
| 何を表すか | 回線のうち実際にデータを運べる割合 | データに追加で付く管理用の情報 |
| 掛ける相手 | 回線速度(小さくする) | データ量(大きくする) |
| 式の形 | 速度 × 0.5 など | データ × 1.2(20%付加)など |
| よく出る問題 | 伝送時間 | 回線利用率 |
「1時間に○件」「10秒ごとに」のように頻度で与えられたら、1秒あたりのビット数 に直してから回線速度で割ります。
ビット誤り率の計算
ビット誤り率 = 誤ったビット数 ÷ 送ったビット数 です。「○秒に1回誤る」と出たら、その秒数で送ったビット数(速度×秒)を分母にします。
衛星通信の伝送遅延時間
電波が届くまでの時間は 距離 ÷ 伝搬速度(3×10^8 m/秒) で、データの大きさとは関係ありません。A→衛星→B の2区間を足し、衛星での中継遅延を1回加えます。
| 用語 | 伝送時間 | 伝送遅延(伝搬遅延) |
|---|---|---|
| 決めるもの | データ量と回線速度 | 距離と電波の速さ |
| 式 | ビット ÷ ビット/秒 | m ÷ m/秒 |
| 例 | 12Mバイトを送るのに128秒 | 衛星経由で0.26秒 |
試験での問われ方
- 選択肢には、×8を忘れた値・効率を掛け忘れた値・制御情報を足し忘れた値 がほぼ必ず並びます。自分の答えが選択肢にあっても安心しないこと。
- 2問目以降の確認には「掛け忘れたらどの選択肢になるか」を逆算すると、ひっかけの構造が見え、自分の答えの裏付けになります。
- 衛星問題では、問題文にある 高度36,000km は使いません。与えられた地点との距離(37,500km)を使います。
伝送時間:12Mバイトを1.5Mビット/秒・効率50%で送る
ア 16
イ 32
ウ 64
エ 128
解き方と答えを見る
- ① データ量をビットに:12Mバイト × 8 = 96Mビット
- ② 実際の速度:1.5Mビット/秒 × 0.5 = 0.75Mビット/秒
- ③ 伝送時間:96 ÷ 0.75 = 128秒
- ④ 検算:効率を掛け忘れると 96 ÷ 1.5 = 64秒(ウ)。効率を逆向きに使うと 96 × 0.5 ÷ 1.5 = 32秒(イ)。×8を忘れると 12 ÷ 0.75 = 16秒(ア)
答え:エ(128秒)
回線利用率:1Gバイトを40Mビット/秒で5分・制御情報20%
ア 10
イ 53
ウ 67
エ 80
出典:令和7年度 基本情報技術者試験 科目A 公開問題 問7
解き方と答えを見る
- ① データ量をビットに:1Gバイト = 1,000Mバイト、× 8 = 8,000Mビット
- ② 制御情報20%を足す:8,000 × 1.2 = 9,600Mビット
- ③ 時間を秒に:5分 = 300秒
- ④ 実際の速度:9,600 ÷ 300 = 32Mビット/秒
- ⑤ 利用率:32 ÷ 40 = 0.8 → 80%
- ⑥ 検算:20%を足し忘れると 8,000 ÷ 300 ≒ 26.7Mビット/秒、26.7 ÷ 40 ≒ 0.67 → 67%(ウ)
答え:エ(80%)
回線利用率:1Mバイトを10秒ごと・10Mビット/秒・制御情報20%
ア 1.2
イ 6.4
ウ 8.0
エ 9.6
解き方と答えを見る
- ① データ量をビットに:1Mバイト × 8 = 8Mビット
- ② 制御情報20%を足す:8 × 1.2 = 9.6Mビット
- ③ 1秒あたり:10秒ごとに送るので 9.6 ÷ 10 = 0.96Mビット/秒
- ④ 利用率:0.96 ÷ 10 = 0.096 → 9.6%
- ⑤ 検算:20%を足し忘れると 8 ÷ 10 ÷ 10 = 8.0%(ウ)。×8を忘れると 1.2 ÷ 10 ÷ 10 = 1.2%(ア)
答え:エ(9.6%)
回線利用率:伝票2件まとめ+ヘッダ400バイト・1時間10万件
ア 6.1
イ 44
ウ 49
エ 53
解き方と答えを見る
- ① 1回に送る量:2,000バイト × 2件 + 400バイト = 4,400バイト
- ② 1時間の送信回数:100,000件 ÷ 2 = 50,000回
- ③ 1時間の総量:4,400 × 50,000 = 220,000,000バイト、× 8 = 1,760,000,000ビット
- ④ 1秒あたり:1,760,000,000 ÷ 3,600 ≒ 488,900ビット/秒
- ⑤ 利用率:488,900 ÷ 1,000,000 ≒ 0.49 → 約49%
- ⑥ 検算:ヘッダを無視すると 4,000 × 50,000 × 8 ÷ 3,600 ≒ 444,000 → 44%(イ)。ヘッダを1件ごとに付けると 2,400 × 100,000 × 8 ÷ 3,600 ≒ 533,000 → 53%(エ)。×8を忘れると約6.1%(ア)
答え:ウ(約49%)
ビット誤り率:30Mビット/秒で100秒に1ビット誤り
ア 4.17×10^-11
イ 3.33×10^-10
ウ 4.17×10^-5
エ 3.33×10^-4
出典:基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20260125 実施分 問24
解き方と答えを見る
- ① 100秒で送るビット数:30 × 10^6 × 100 = 3 × 10^9 ビット
- ② 誤り率:1 ÷ (3 × 10^9)
- ③ 計算:1 ÷ 3 ≒ 0.333 なので 0.333 × 10^-9 = 3.33 × 10^-10
- ④ 検算:M(10^6)を落として 1 ÷ (30 × 100) とすると 3.33 × 10^-4(エ)になる
答え:イ(3.33×10^-10)
衛星通信の伝送遅延:A→静止衛星→B
ア 0.13
イ 0.26
ウ 0.35
エ 0.52
解き方と答えを見る
- ① 電波が進む距離:A→衛星 37,500km + 衛星→B 37,500km = 75,000km = 7.5 × 10^7 m
- ② 伝搬時間:7.5 × 10^7 ÷ (3 × 10^8) = 0.25秒
- ③ 中継遅延を足す:0.25 + 0.01 = 0.26秒
- ④ 検算:片道1区間(37,500km)だけだと 0.125 + 0.01 ≒ 0.135秒で、アの0.13に近い値になる。往復4区間(150,000km)だと 0.5 + 0.01 = 0.51秒で、エの0.52に近いが一致はしない。0.52になるのは、往復で中継遅延も2回(0.02秒)数えた場合。高度36,000kmは計算に使わない
答え:イ(0.26秒)
要点(試験直前に読む)
- まずデータ量をビットに:バイト×8。k=10^3、M=10^6、G=10^9。時間は秒に直す
- 伝送時間=ビット÷(回線速度×伝送効率)。効率を掛けると答えは長くなる
- 回線利用率=1秒あたりに流すビット(制御情報込み)÷回線速度。制御情報20%ならデータ×1.2
- ビット誤り率=誤りビット数÷(速度×秒数)
- 衛星の遅延=(A→衛星+衛星→B)÷3×10^8+中継遅延1回。高度36,000kmは使わない
ひっかけ
- ×8を忘れた値が必ず選択肢にある。単位に「バイト」が出たら最初に×8したか確認する
- 伝送効率の掛け忘れ・逆向き(割る/データに掛ける)。効率を入れたら時間は長くなるはず、で見破る
- 制御情報20%の足し忘れ(2025年度は67%、2019年度は8.0%がこのひっかけ)。「付加される」と書いてあれば×1.2
- ヘッダの付き方の取り違え。「2件ずつまとめて400バイト」なら2件に1回だけ足す
- 衛星問題で片道1区間だけ、または往復で計算する。A→衛星→B の2区間と、中継遅延1回だけを足す
用語(14)
0か1かを表す、データの最小単位。
⚠ バイトと混同しやすい。回線速度はビット、ファイルサイズはバイトで書かれることが多く、1バイト=8ビット。
8ビットをひとまとまりにしたデータの単位。
⚠ ビットとの取り違え。計算前に必ず×8してビットにそろえる。
1秒間に送れるビット数で表した回線の速度。
⚠ Bps(バイト毎秒)と区別。試験の「Mビット/秒」はビット単位。
回線が公称として1秒間に送れるデータ量。
⚠ 実効速度と区別。伝送効率を掛ける前の値。
回線速度のうち、実際にデータを運ぶのに使える割合。
⚠ 制御情報と区別。伝送効率は速度に掛けて小さくし、制御情報はデータ量に足して大きくする。
回線速度に伝送効率を掛けた、実際に出る速度。
データを送り終えるまでの時間で、データ量÷実効速度で求める。
⚠ 伝送遅延(伝搬遅延)と区別。伝送時間はデータ量で決まり、伝搬遅延は距離で決まる。
回線速度のうち、実際に流しているデータ量(1秒あたり)が占める割合。
⚠ 伝送効率と区別。伝送効率は条件として与えられる割合、利用率は答えとして求める割合。
データ本体を正しく届けるために付け加わる、宛先や管理用の情報。
⚠ 伝送効率と区別。制御情報20%ならデータ量×1.2にする。
送るデータの先頭に付ける、宛先などの管理情報。
⚠ 「何件ごとに1つ付くか」を問題文で確認する。2件まとめなら2件に1つ。
送ったビットのうち、誤って届いたビットの割合。
電波や信号が空間や線路を進む速さで、電波なら約3×10^8 m/秒。
⚠ 伝送速度(ビット/秒)と区別。伝搬速度は m/秒で、距離の計算に使う。
信号が送信地点から受信地点に届くまでの時間で、距離÷伝搬速度に中継の遅れを足して求める。
⚠ 伝送時間と区別。データの大きさは関係しない。
高度約36,000kmを地球の自転と同じ周期で回り、地上から止まって見える衛星。
⚠ 計算では高度ではなく、地上の地点との距離を使う。
このレッスンの過去問
- 伝送時間の計算(伝送効率込み)平成30年度 秋期 基本情報技術者試験 午前 問31
- 回線利用率の計算(オーバヘッド込み)令和7年度 基本情報技術者試験 科目A 公開問題 問7
- ビット誤り率の計算基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20260125 実施分 問24
- 衛星通信の伝送遅延時間の計算平成28年度 秋期 基本情報技術者試験 午前 問35