無線 LAN とモバイル通信
無線LAN(CSMA/CA・SSID・チャネル割当て・Wi-Fi Direct)、近距離無線(Bluetooth)、モバイル通信(LTE・テザリング)の過去問で、用語の定義を問う選択肢から正解を選べるようになる。
このレッスンの用語は、どれも一言で「何をするものか」を言えれば解ける知識問題です。似た無線用語を並べてひっかける出題が中心なので、比較表で見分けられるようになれば確実に得点できます。
このレッスンで稽古する(用語チェック・過去問)結論:7つの用語は「一言で何をするか」で選ぶ
このレッスンの問題は、ほぼ全部が用語と役割の組合せを問います。選択肢には無線に関係ありそうな用語が並びますが、役割がそれぞれ違うので、下の表の「一言」を覚えれば選べます。
| 用語 | 一言でいうと | 分類 |
|---|---|---|
| CSMA/CA | 無線LANで、送る前に待って衝突を避ける | 無線LANの送信ルール |
| SSID | 無線LANのネットワーク名(最長32オクテット) | 無線LANの識別子 |
| チャネル割当て | 隣のアクセスポイントは1・6・11のように離す | 2.4GHz帯の運用 |
| Bluetooth | 免許不要の2.4GHz帯を使う近距離無線・指向性なし | 近距離無線 |
| Wi-Fi Direct | アクセスポイントなしで機器同士を無線LANで直結 | 無線LANの規格 |
| LTE | 3GPPが標準化した携帯電話網の規格・全パケット交換+MIMO | モバイル通信 |
| テザリング | スマホをモデム/アクセスポイント代わりにしてPCをネットにつなぐ | スマホの機能 |
アクセスポイントとは、無線LANの電波を出して端末を有線ネットワークにつなぐ親機(家庭のWi-Fiルーターの無線部分)のことです。
Bluetooth:免許不要の2.4GHz帯・指向性なし(最頻出)
**Bluetoothは、免許不要の2.4GHz帯の電波を使う近距離無線通信の規格です。**イヤホンやマウス、キーボードを無線でつなぐときに使われています。電波なので向きを合わせる必要がなく(指向性=特定の方向にしか届かない性質がない)、到達距離は数m〜100m程度です。
試験では、別の規格の特徴を混ぜた選択肢が並びます。特に赤外線通信のIrDAとの区別が頻出です。
| 規格 | 通信手段 | 指向性 | 遮へい物 | 覚え方 |
|---|---|---|---|---|
| Bluetooth | 電波(2.4GHz帯・免許不要) | なし | 間仕切り程度なら越えて届く | 無線イヤホン |
| IrDA | 赤外線 | あり(向かい合わせる) | 見通しが必要・遮られると不可 | テレビのリモコンと同じ光 |
| NFC | 電波(約10cmの近接) | — | かざす距離で使う | 交通系ICカード |
| USB | 有線 | — | — | 最大127台接続 |
| IEEE 1394 | 有線 | — | — | ビデオ機器の接続 |
| シリアルATA | 有線 | — | — | PC内部のストレージ接続 |
「間仕切りの向こうのPCにケーブルなしで送る」という問題は、無線であること(有線のIEEE 1394・シリアルATAを除外)と、見通しが不要なこと(IrDAを除外)の2段階で絞るとBluetoothが残ります。「127台」はUSB、「1,000m以上」はBluetoothの距離ではない、と即座に切れるようにしておきましょう。
CSMA/CA:送る前に「待って」衝突を避ける
**CSMA/CAは、無線LANで電波の衝突を避けるための送信ルールです。**同じ周波数の電波が同時に出ると混ざって読めなくなるため、送る前に周りが静かか確認し、空いていても少しランダムに待ってから送ります。
たとえるなら、会議で話し始める前に一呼吸おいて、誰も話し出さないのを確かめてから話すやり方です。有線LAN(イーサネット)で使われたCSMA/CDは、送りながら衝突を検出して送り直す方式でした。無線は送信中に他の電波を聞き分けにくいので、事前に**回避(Avoidance)**する方式を使います。
| 方式 | 使う場所 | 衝突への対処 | 送信順 |
|---|---|---|---|
| CSMA/CA | 無線LAN | 送る前に待って回避 | 決めない(コンテンション方式) |
| CSMA/CD | 有線LAN | 送りながら検出して再送 | 決めない(コンテンション方式) |
| トークンリング/FDDI | 有線(リング型) | 送信権(トークン)を持つ機器だけ送る | 順番を決める |
コンテンション方式とは、順番を決めずに各機器が早い者勝ちで送信を始める方式です。CSMA/CAとCSMA/CDはこれに当たり、トークンを順番に回すトークンリングやFDDIは当たりません。
SSID:無線LANのネットワーク名
**SSIDは、無線LANのネットワークを識別する名前で、最長32オクテット(32バイト)です。**スマホのWi-Fi設定画面に並ぶ名前がSSIDで、どのアクセスポイントにつなぐかを選ぶのに使います。
ひっかけはMACアドレスとの混同です。
| 項目 | SSID | MACアドレス |
|---|---|---|
| 何を識別するか | ネットワーク | 機器(ホスト) |
| 長さ | 最長32オクテット | 48ビット固定 |
| 決め方 | 管理者が自由に付ける名前 | 機器に割り当てられた番号 |
「48ビット」「ホスト識別子」「ネットワーク上で一意」という語が出たら、SSIDの説明ではありません。
2.4GHz帯のチャネル割当て:隣同士は1・6・11
2.4GHz帯の無線LANは、隣り合うチャネル同士の周波数が重なって干渉します。そのため、アクセスポイントを複数置くときは、隣り合うものに1と6、6と11のように離れた番号を割り当てます。1・6・11は互いに重ならない組合せとして覚えます。
全部を同じチャネルにそろえると互いに干渉し、1・2・3と連番にすると隣の周波数が重なります。SSIDを変えても電波そのものは干渉するので、「SSIDが違えば影響しない」も誤りです。
Wi-Fi Direct・テザリング・LTE:つなぎ方の違い
この3つは「何と何をつなぐか」で区別します。**Wi-Fi Directは、アクセスポイントなしでPC・プリンタ・カメラなどを無線LANで直接つなぐ規格です。**テザリングは、スマホをモデムやアクセスポイント代わりにして、PCなどからスマホの回線でインターネットを使う機能です。
LTEは、携帯電話網の通信規格です。3GPP(携帯電話の規格を国際的に決めるプロジェクト)が標準化し、全ての通信をパケット交換で処理し、複数のアンテナで同時に送受信するMIMOを使えるのが特徴です。パケット交換とは、データを小さな塊(パケット)に分けて回線を共有しながら送る方式です。
| 用語 | つなぐもの | 説明文に出るキーワード |
|---|---|---|
| Wi-Fi Direct | 機器 ↔ 機器 | アクセスポイントを用いない |
| テザリング | PC → スマホ → インターネット | モデム/アクセスポイントのように用いる |
| 公衆無線LAN | 端末 → 街頭のアクセスポイント | 通信事業者・自治体が街頭に設置 |
| LTE | スマホ ↔ 携帯電話網 | 3GPP・全パケット交換・MIMO |
| キャリアアグリゲーション | 複数の周波数帯を束ねる | 帯域を束ねて高速化 |
テザリングの問題では、SIMロック解除(他社SIMを使う)、ローミング(契約外のエリアで他社網を使う)、フィルタリング(有害サイトを表示しない)が誤りの選択肢として並びます。
試験での問われ方
- 定義を選ぶ型:「○○の説明として適切なものはどれか」。選択肢の残り3つは、たいてい別の用語の正しい説明です(例:Wi-Fi Directの問題でテザリング・NFC・公衆無線LANの説明が並ぶ)。
- 状況から用語を選ぶ型:「電波の衝突を回避するもの」「間仕切りの向こうへケーブルなしで送る」など。条件を1つずつ当てはめて消去します。
- 特徴の組合せ型:LTEのように特徴を3つ並べて規格名を選ばせます。MAC(Media Access Control)・MDM(モバイル端末の一括管理)・VoIP(IP網で音声通話)は通信規格ではないと分かれば消せます。
要点(試験直前に読む)
- 無線LANの衝突対策はCSMA/CA(送る前に待って回避)。有線のCSMA/CDは検出。どちらも順番を決めないコンテンション方式。
- SSIDは最長32オクテットのネットワーク名。48ビット・ホスト識別子はMACアドレス。
- 2.4GHz帯の複数アクセスポイントは、隣同士を1・6・11のように離れたチャネルにする。
- Bluetoothは免許不要の2.4GHz帯・指向性なし・近距離。赤外線で見通しが必要なのはIrDA、127台はUSB。
- Wi-Fi Direct=アクセスポイントなしで機器同士を直結。テザリング=スマホをモデム代わりにしてネット接続。
- LTE=3GPP標準・全パケット交換・MIMO。
ひっかけ
- Bluetoothの選択肢に「127台接続(USB)」「指向性があり向かい合わせる(IrDA)」「1,000m以上(長距離通信)」を混ぜる。2.4GHz帯・免許不要以外は他規格の特徴と見抜く。
- 「間仕切りの向こうへケーブルなしで送る」でIrDAを選ばせる。赤外線は遮られると届かないので不可。
- 衝突回避の問題でSSID・キャリアアグリゲーション・テザリングを並べる。無線っぽい語でも役割が違うので、衝突回避はCSMA/CAだけ。
- Wi-Fi Directの問題では、テザリング・NFC・公衆無線LANの正しい説明が誤答として並ぶ。「アクセスポイントを用いない」が決め手。
- チャネル割当てで「全部同じ番号にそろえる」「連番で割り当てる」「SSIDが違えば干渉しない」はすべて誤り。
用語(19)
無線LANで、送信前に通信路が空いているか確かめ、ランダムに待ってから送ることで電波の衝突を避ける方式。
⚠ CSMA/CDは有線LANで衝突を「検出」して再送する方式。無線=回避(CA)、有線=検出(CD)。
有線LANで、送信中に衝突を検出したら待って再送する方式。
⚠ CSMA/CAとの違いは、衝突を事前に避けるか(CA)、起きてから検出するか(CD)。
通信路を共有する機器が、順番を決めずに早い者勝ちで送信を始める方式。
⚠ トークンパッシング方式(トークンリング・FDDI)は送信権を順番に回すので該当しない。
リング状につないだ機器の間で送信権(トークン)を回し、持っている機器だけが送信する方式。
⚠ 順番を決める方式なので、コンテンション方式ではない。
光ファイバのリング型ネットワークで、トークンを使って送信順を制御する規格。
⚠ トークンリングと同じく順番制御。CSMA系とは逆。
無線LANのネットワークを識別する最長32オクテットの名前で、接続するアクセスポイントの選択に使う。
⚠ MACアドレスは48ビットの機器(ホスト)の識別子。「48ビット」「ホスト」が出たらSSIDではない。
ネットワーク機器ごとに割り当てられた48ビットの識別番号。
⚠ SSIDはネットワーク名、MACアドレスは機器の番号。
無線LANの電波を出し、端末を有線ネットワークへ中継する親機。
⚠ Wi-Fi Directはこれを使わずに機器同士をつなぐ。
2.4GHz帯を細かく区切った周波数の番号で、隣り合う番号同士は周波数が重なって干渉する。
⚠ 複数のアクセスポイントを置くときは同じ番号や連番ではなく、1・6・11のように離して割り当てる。
免許不要の2.4GHz帯の電波を使い、数m〜100m程度で機器をつなぐ近距離無線通信の規格。
⚠ IrDAは赤外線で指向性があり見通しが必要。Bluetoothは電波で指向性がなく、間仕切り程度なら届く。
赤外線を使う近距離無線通信の規格で、機器を向かい合わせて通信する。
⚠ 無線だが遮へい物があると通信できない点でBluetoothと区別する。
10cm程度までの近距離で、かざして通信する無線規格。電子マネーや改札で使われる。
⚠ Wi-Fi Directの問題で「10cm程度・改札」の選択肢はNFCの説明。
アクセスポイントを使わずに、PC・プリンタ・カメラなどの機器同士を無線LANで直接つなぐ規格。
⚠ テザリングはスマホ経由でインターネットにつなぐ機能。Wi-Fi Directは機器同士の直結が目的。
スマホをモデムやアクセスポイントのように使い、PCなどからスマホの回線でインターネットにつなぐ機能。
⚠ SIMロック解除(他社SIMを使う)、ローミング(他社網を使う)、フィルタリング(有害サイト遮断)と混同させる。
3GPPが標準化した携帯電話網の通信規格で、全通信をパケット交換で処理し、MIMOを利用できる。
⚠ MAC・MDM・VoIPは通信規格ではないので、特徴3つの組合せ問題では消去できる。
送信側と受信側で複数のアンテナを使い、同時に複数の電波で送受信して速度を上げる技術。
⚠ 衝突回避の技術ではない。コンテンション方式の問題で選ばない。
複数の周波数帯を束ねて1つの通信に使い、高速化する技術。
⚠ 電波の衝突を回避する技術ではない(それはCSMA/CA)。
携帯電話の通信規格を国際的に標準化するプロジェクト。
データを小さな塊に分け、回線を複数の通信で共有しながら送る方式。
⚠ 回線交換は通話中ずっと1本の回線を占有する方式。
このレッスンの過去問
- CSMA/CAによる無線LAN衝突回避令和8年度 基本情報技術者試験 科目A 公開問題 問8
- SSIDの定義(無線LANネットワーク識別子)基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20250727 実施分 問23
- 2.4GHz帯無線LANのチャネル割当て(干渉回避)基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20221211 実施分 問34
- Bluetoothの特徴(2.4GHz帯・免許不要)平成25年度 春期 基本情報技術者試験 午前 問13
- Wi-Fi Directの定義基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20260614 実施分 問23
- LTEの技術的特徴平成30年度 秋期 基本情報技術者試験 午前 問35
- テザリングの定義平成26年度 春期 基本情報技術者試験 午前 問74