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セキュリティ・22/23・9分

ISMS・ガバナンスと各種基準・ガイドライン

ゴール

ISMS適合性評価制度・情報セキュリティ方針・トップマネジメントの定義と、情報セキュリティガバナンス・経産省のガイドライン・PCI DSS を区別できるようになる。制度やガイドラインの名前と中身を組み合わせる4択を、消去法を使わずに直接正解できることがゴール。

このテーマは「制度名・規格番号・目的の組合せ」を問う形で、免除試験を含む過去問に繰り返し出ています。実務でも、取引先から「ISMS認証はありますか」「カード情報はPCI DSS準拠ですか」と聞かれたときに、何を指しているかがすぐ分かるようになります。

このレッスンで稽古する(用語チェック・過去問)

結論:規格番号と「何を守るか」をセットで覚える

このレッスンの問題は、ほとんどが名前と中身の組合せで解けます。計算はありません。

名前 基になる規格・作成元 対象・目的
ISMS適合性評価制度 JIS Q 27001 組織が作った情報セキュリティの管理の仕組み(ISMS)を第三者が評価・認証する
プライバシーマーク制度 JIS Q 15001 個人情報を適切に守る体制がある事業者を認定する
ISO/IEC 15408(コモンクライテリア) ISO/IEC 15408 IT製品のセキュリティ機能を評価する(組織ではなく製品が対象)
暗号モジュール試験及び認証制度(JCMVP) 電子政府推奨暗号リストなど 暗号モジュール(暗号処理を行う部品)を試験・認証する
PCI DSS カードブランド各社が作った業界基準 クレジットカード会員データを守るための技術面・運用面の要件
特定個人情報保護評価 マイナンバー法 マイナンバーを扱う機関が、扱う前にリスクを自己評価する

見分けのコツは「何を評価するか」です。組織の仕組みならISMS、個人情報ならPマーク、製品ならISO/IEC 15408、カード情報ならPCI DSS です。

ISMS とは:組織の「セキュリティを回し続ける仕組み」

ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)は、情報セキュリティを場当たりではなく、方針→計画→実行→見直しのサイクルで管理し続ける組織の仕組みです。要求事項を定めた規格が JIS Q 27001、用語の定義をまとめた規格が JIS Q 27000 です。

たとえると、ISMS適合性評価制度は「飲食店の衛生管理の仕組みを保健所ではなく第三者機関が監査して、合格証を出す」ようなものです。料理(個々の製品)ではなく、店の管理のやり方を見ます。

規格 中身
JIS Q 27000 ISMS の用語の定義(トップマネジメントなど)
JIS Q 27001 ISMS の要求事項(認証の基準)
JIS Q 27002 具体的な管理策の実践の手引
JIS Q 27014 情報セキュリティガバナンス
ISMS=回し続ける組織の仕組み方針計画実行見直しISMS組織の管理のやり方第三者機関仕組みを評価・認証個々の製品ISMSでは見ない
ISMSは方針→計画→実行→見直しを回し続ける組織の仕組みで、第三者機関はこの仕組みを評価し、個々の製品は見ない。

情報セキュリティ方針:経営陣の「方向性と支持」を示す文書

ISMS では、組織が情報セキュリティのための方針群を定めます。その役割は、経営陣の方向性及び支持を規定することです。つまり「経営陣がセキュリティをこう進める、だから全員協力してほしい」と宣言する文書です。

方針は従業員や関係者に周知するもので、隠しておく機密文書ではありません。また、ビジネス環境や技術の変化に合わせて定期的に見直すものです。特定システムの運用手順のような細かい内容は、方針ではなく下位の規程や手順書に書きます。

トップマネジメント:役職ではなく「指揮・管理する人(たち)」

JIS Q 27000 のトップマネジメントは、「最高位で組織を指揮し、管理する個人又は人々の集まり」です。複数名で構成されていてもよい点がポイントです。

「代表取締役でなければならない」「情報システム部門長でなければならない」のように特定の役職に限定する選択肢は誤りです。ISMS の適用範囲が一つの事業部なら、その事業部の長がトップマネジメントになることもあります。また、トップマネジメントは ISMS を率いる立場なので、「適用範囲から独立」している必要もありません。

トップマネジメントは役職で決まらない組織全体代表取締役A事業部=ISMS適用範囲事業部長+幹部複数名でもよい=トップマネジメントB事業部適用範囲外×「代表取締役に限る」×「情報システム部門長に限る」
ISMSの適用範囲が一つの事業部なら、その事業部の長を含む複数名がトップマネジメントになり得る。

情報セキュリティガバナンスと IT ガバナンス:「重複する場合がある」

ガバナンスとは、経営陣が組織の活動を方向付け、監視する仕組みのことです。JIS Q 27014 では、情報セキュリティガバナンスと IT ガバナンスの範囲は重複する場合があるとされています。

情報は紙や人の会話にもあるので、情報セキュリティは IT だけの話ではありません。逆に IT ガバナンスには、セキュリティ以外の投資判断なども含まれます。だから「一方が他方を包含する」でも「完全に独立」でもなく、一部が重なる関係です。

2つのガバナンスは一部が重なる情報セキュリティガバナンス紙の書類人の会話ITガバナンスセキュリティ以外の投資判断重複する場合があるJIS Q 27014×一方が他方を包含×完全に独立
情報セキュリティガバナンスとITガバナンスは一部が重なり、包含関係でも完全な独立でもない。

経産省のガイドライン2つ:誰に向けた何の文書か

名前 作成元 中心となる内容
サイバーセキュリティ経営ガイドライン 経済産業省・IPA 経営者がリーダーシップを取ってセキュリティ対策を進めるための指針。自社だけでなくサプライチェーンのビジネスパートナや委託先の対策状況も確認すべきとする
サイバー・フィジカル・セキュリティ対策フレームワーク(CPSF) 経済産業省 サイバー空間と現実(フィジカル)空間がつながる新たな産業社会で、価値を生む活動が直面するリスクを捉えるモデルを作り、求められる対策の全体像を整理する

サプライチェーンとは、原材料の調達から製造・販売まで、自社の事業を支える取引先のつながりのことです。委託先が攻撃されて自社の情報が漏れることがあるので、経営ガイドラインは取引先の対策も確認範囲に入れています。株主・個人利用者・地域社会は確認対象ではありません。

経営ガイドラインが確認する範囲サプライチェーン(取引先のつながり)ビジネスパートナ自社委託先委託先が攻撃されると自社の情報も漏れる→取引先の対策状況も確認する確認対象ではない株主個人利用者地域社会
サイバーセキュリティ経営ガイドラインは、自社に加えてサプライチェーンのビジネスパートナや委託先の対策状況も確認範囲に入れる。

試験での問われ方

  • 制度名と規格番号の入れ替え:「JIS Q 15001 に基づき組織の ISMS を評価」のように、Pマークの規格番号を ISMS に付けた選択肢を作る。
  • 評価対象のすり替え:製品を評価する ISO/IEC 15408 や暗号モジュールの認証を、ISMS の説明として並べる。
  • 方針の性質を逆にする:「機密文書」「変更してはならない」「特定システムの詳細」は誤り。
  • 役職への限定:トップマネジメントを代表取締役や情報システム部門長に限定する選択肢は誤り。
  • 他ガイドラインの目的を混ぜる:CPSF の問題に、テレワーク・クラウド・データセンタ向けのガイドラインの目的を並べる。

要点(試験直前に読む)

  • ISMS適合性評価制度=JIS Q 27001 で組織の ISMS を評価。Pマーク=JIS Q 15001、製品評価=ISO/IEC 15408。
  • 情報セキュリティ方針=経営陣の方向性及び支持を規定。周知し、定期的に見直す。
  • トップマネジメント=組織を指揮・管理する人又は人々の集まり。複数名でもよい。
  • 情報セキュリティガバナンスと IT ガバナンスの範囲は「重複する場合がある」(JIS Q 27014)。
  • サイバーセキュリティ経営ガイドライン=自社に加えてサプライチェーンのビジネスパートナの対策も確認。
  • CPSF=新たな産業社会のリスクをモデル化し対策の全体像を整理。PCI DSS=カード会員データの保護基準。

ひっかけ

  • 規格番号の入れ替え:ISMS に JIS Q 15001、Pマークに JIS Q 27001 を付けた選択肢は誤り。27001=ISMS、15001=個人情報と覚える。
  • 評価対象のすり替え:「IT関連製品のセキュリティ機能を評価」は ISO/IEC 15408 の説明。ISMS は組織を評価する。
  • 方針の性質:「社内関係者以外に見せない」「変更してはならない」「特定システムの詳細を記述」は誤り。方針は経営陣の方向性を示し、周知・見直しする。
  • トップマネジメントを特定の役職(代表取締役・情報システム部門長)に限定する選択肢は誤り。「複数名でもよい」が正解の目印。
  • ガバナンスの範囲は「包含」「独立」ではなく「重複する場合がある」。CPSF の問題ではテレワーク・クラウド・データセンタ向けの目的が誤りとして並ぶ。

用語(16)

ISMS Information Security Management System
組織が情報セキュリティを方針・計画・実行・見直しのサイクルで管理し続けるための仕組み。
⚠ ISMS は組織の管理の仕組み。IT製品のセキュリティ評価(ISO/IEC 15408)とは対象が違う。
ISMS適合性評価制度 あいえすえむえすてきごうせいひょうかせいど
組織が作った ISMS が JIS Q 27001 に適合しているかを第三者が評価・認証する制度。
⚠ プライバシーマーク制度(JIS Q 15001・個人情報保護の体制を認定)と混同しやすい。規格番号 27001 か 15001 かで見分ける。
JIS Q 27001 じすきゅーにまんななせんいち
ISMS を作って運用するための要求事項を定めた規格で、ISMS認証の基準になる。
⚠ JIS Q 27000 は用語の定義、JIS Q 27002 は管理策の手引、JIS Q 27014 はガバナンス。
JIS Q 27000 じすきゅーにまんななせん
ISMS で使う用語(トップマネジメントなど)の意味を定めた規格。
⚠ 要求事項の JIS Q 27001 と取り違えやすい。用語集なら 27000。
情報セキュリティ方針 じょうほうせきゅりてぃほうしん
情報セキュリティについての経営陣の方向性と支持を示し、関係者に周知して定期的に見直す文書。
⚠ 特定システムの手順書や機密文書と取り違えさせる選択肢が出る。方針は公開・周知・見直し前提。
トップマネジメント とっぷまねじめんと
最高位で組織を指揮し管理する個人又は人々の集まりで、複数名でもよい。
⚠ 代表取締役や情報システム部門長という特定の役職ではない。
情報セキュリティガバナンス じょうほうせきゅりてぃがばなんす
経営陣が組織の情報セキュリティを方向付け、監視する仕組み。JIS Q 27014 で定める。
⚠ IT ガバナンスとは「重複する場合がある」関係。包含でも独立でもない。
ITガバナンス あいてぃーがばなんす
経営陣が組織の IT の利用を方向付け、監視する仕組み。
⚠ 情報セキュリティガバナンスと範囲が一部重なる。
JIS Q 27014 じすきゅーにまんななせんじゅうよん
情報セキュリティガバナンスの考え方を定めた規格。
⚠ ISMS 認証の基準である JIS Q 27001 とは別。
サイバーセキュリティ経営ガイドライン さいばーせきゅりてぃけいえいがいどらいん
経済産業省と IPA が作った、経営者主導でセキュリティ対策を進めるための指針。
⚠ 自社に加えて確認すべきはサプライチェーンのビジネスパートナや委託先。株主・個人利用者・地域社会ではない。
サプライチェーン さぷらいちぇーん
調達・製造・販売など、自社の事業を支える取引先のつながり。
サイバー・フィジカル・セキュリティ対策フレームワーク Cyber/Physical Security Framework(CPSF)
サイバー空間と現実空間がつながる新たな産業社会のリスクを捉えるモデルを作り、対策の全体像を整理した経済産業省の枠組み。
⚠ テレワーク、クラウドサービス、データセンタ向けの各ガイドラインの目的と混ぜて出される。「新たな産業社会」「モデル」「全体像」がキーワード。
PCI DSS Payment Card Industry Data Security Standard
クレジットカード会員データを守るための技術面と運用面の要件を定めた業界基準。
⚠ 個人情報全般の Pマーク、組織の仕組みの ISMS とは対象が違う。「カード会員データ」なら PCI DSS。
プライバシーマーク制度 ぷらいばしーまーくせいど
JIS Q 15001 に基づき、個人情報を適切に保護する体制がある事業者を認定する制度。
⚠ ISMS適合性評価制度(JIS Q 27001)と混同しやすい。
ISO/IEC 15408 Common Criteria(コモンクライテリア)
IT製品やシステムのセキュリティ機能が適切で確実かを評価するための国際規格。
⚠ 評価対象は製品。組織の仕組みを見る ISMS とは違う。
特定個人情報保護評価 とくていこじんじょうほうほごひょうか
マイナンバーを扱う機関が、扱う前にリスクと対策を自己評価して公表する仕組み。
⚠ PCI DSS の問題で誤りの選択肢として出る。マイナンバーかカード情報かで見分ける。

このレッスンの過去問

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