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プロジェクトマネジメント・1/5・10分

プロジェクトとは何か:定義・ライフサイクル・プロセス群

ゴール

プロジェクトと定常業務の違い、プログラムマネジメント、ライフサイクルの特性、5つのプロセス群とベースライン、PDCA の名称を区別し、この分野の入門問題を選択肢から確実に選べるようになる。

プロジェクトマネジメント分野の最初に出る定義問題は、用語の対応を覚えていれば数秒で解ける得点源です。要件定義や開発案件を「いつ・何を基準に管理するか」を考える土台にもなります。

このレッスンで稽古する(用語チェック・過去問)

結論:プロジェクトは「期限つき・一品もの」の仕事

プロジェクトとは、有期性(始まりと終わりがある)と独自性(毎回違う成果物を作る)の両方を持つ活動です。どちらか一方でも欠けていれば、プロジェクトではなく別の業務です。

たとえば結婚式の準備はプロジェクトです。式の日という終わりがあり、同じ式は二度とありません。一方、式場が毎週末に料理を出し続ける仕事は定常業務です。

プロジェクトと定常業務の違い

試験では「定常業務の特性はどれか」のように裏返して聞かれます。次の表の右の列だけが定常業務です。

観点 プロジェクト 定常業務
期間 始まりと終わりがある(有期性) 終わりを決めずに続く
成果物 毎回独自のものを作る(独自性) 同じものを反復的に作る
チーム その目的のために期間限定で編成する 常設の組織が担う
終わり方 目的を達成したら終了する 継続そのものが目的
例 新システムの開発、店舗の新規開店 給与計算、ヘルプデスク運用

「期間限定のチーム」「独自のプロダクトを創造」「目的達成で終了」の3つは、どれもプロジェクト側の特徴です。

プロジェクト・プログラム・ポートフォリオ・PMO

プログラムマネジメントとは、互いに関係する複数のプロジェクトを連携・統合して管理し、個別に動かすより大きな価値を生み、組織の戦略を実現する考え方です。たとえば「全店舗のDX」という戦略に対して、レジ刷新・在庫システム・アプリ開発の各プロジェクトを束ねて管理します。

用語 何を管理するか 目的
プロジェクトマネジメント 1つのプロジェクト その成果物を期限・予算内で作る
プログラムマネジメント 関連する複数プロジェクトの結合体 連携・統合・相互作用で価値を高め、戦略を実現する
ポートフォリオマネジメント 組織が持つプロジェクトやプログラムの全体 どれに投資するかを選び、優先順位を付ける
PMO(プロジェクトマネジメントオフィス) 支援する専門組織 組織全体のPM能力や品質を底上げする

「専門組織を設けて支援する」はPMOの説明です。プログラムマネジメントの問題でひっかけとして出ます。

ポートフォリオ(全体から投資を選ぶ)プログラム(戦略:全店舗のDX)プロジェクト:レジ刷新プロジェクト:在庫システムプロジェクト:アプリ開発連携・統合して価値を高める単独のプロジェクトPMO支援する専門組織
ポートフォリオの中にプログラムがあり、プログラムが複数のプロジェクトを束ねる。PMOは外から支援する専門組織。

プロジェクトライフサイクル:終盤ほど何が増え、何が減るか

プロジェクトライフサイクルとは、開始から終了までの段階の流れです。進むにつれて「分からないこと」は減りますが、「後戻りの痛さ」は増えます。

項目 開始時 完了に近づくと
リスク・不確実性 最大 減少する
ステークホルダ(利害関係者)がコストを変えずに及ぼせる影響 最大 小さくなる
変更やエラー修正のコスト・影響 小さい 大きくなる
要員数・コスト 少ない 中盤でピークになり、終盤で急に減る

家の建築にたとえると分かりやすいです。設計図の段階なら間取りの変更は安く済みますが、完成直前に壁を動かすと高くつきます。一方、完成が近いほど「本当に建つのか」という不安(リスク)は減ります。

大小開始完了時間リスク・不確実性(減る)変更やエラー修正のコスト(増える)要員数・コスト(中盤でピーク)
終盤に近づくほどリスクは減り、変更・修正のコストは増える。要員数・コストは中盤でピークになる。

5つのプロセス群:どのプロセスがどの群に入るか

プロジェクトの作業は、5つのプロセス群(同じ役割の作業のまとまり)に分けられます。JIS Q 21500 では「監視・コントロール」を「管理」と呼び、「立上げ」を「立ち上げ」と表記します。

プロセス群 役割 所属する主なプロセス
立上げ プロジェクトの開始を正式に承認する プロジェクト憲章の作成、ステークホルダの特定
計画 やることを決め、ベースラインを確定する スコープの定義、WBSの作成、スケジュールの作成、コストの見積り
実行 計画どおりに作業を進める プロジェクト作業の指揮、品質保証の実施、チームの育成
監視・コントロール(管理) 計画とのずれを測って直す 進捗の管理、変更の管理、品質のコントロール
終結 正式に終える プロジェクトの完了、教訓のまとめ
flowchart LR
  A["立上げ"] --> B["計画"]
  B --> C["実行"]
  C --> E["終結"]
  D["監視・コントロール"] -.-> B
  D -.-> C

見分けるコツは、「始める許可」なら立上げ、「何をどこまでやるか決める」なら計画、「手を動かす」なら実行です。「品質保証」は「品質管理」という名前に引きずられがちですが、実行に入ります。

ベースライン:比べるための「基準線」

ベースラインとは、監視・管理しているパフォーマンスを評価するために照らし合わせる参照基準です。計画プロセス群で承認・確定し、その後の実績と比べます。スコープ・スケジュール・コストの3つが代表的なベースラインです。

体重管理の「目標体重のグラフ」にあたります。毎日の体重(実績)をこの線と比べて、順調か遅れているかを判断します。

進捗時間ベースライン(計画で承認・確定)今日ずれ(遅れ)実績
計画で確定したベースラインと毎日の実績を比べ、その差でずれ(遅れ)を判断する。

PDCAサイクル

PDCAは Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)の順に回す改善サイクルです。3番目の C は Check で、Control(管理)や Change(変更)ではありません。

Plan計画Do実行Check評価Act改善くり返す3番目の C は CheckControl・Change ではない
Plan→Do→Check→Act の順に回り続ける改善サイクル。3番目のCはCheck。

要点(試験直前に読む)

  • プロジェクト=有期性+独自性の「両方あり」。反復的・継続的な生産は定常業務。
  • プログラムマネジメント=複数プロジェクトを連携・統合して戦略を実現する考え方。専門組織による支援はPMO。
  • ライフサイクルが終盤に近づくと、リスクとステークホルダの影響力は減り、変更・修正のコストは増える。
  • プロセス群の分類:憲章作成とステークホルダ特定は立上げ、スコープ定義は計画、品質保証の実施は実行。
  • ベースライン=評価のために照らし合わせる参照基準。確定するのは計画プロセス群。
  • PDCA=Plan・Do・Check・Act。CはCheck。

ひっかけ

  • 「定常業務の特性はどれか」で、期間限定・独自・目的達成で終了という選択肢を選ばせる。この3つはすべてプロジェクト側。残る「反復的・継続的」が定常業務。
  • ライフサイクル問題では、影響度や変更コストの増減を逆にした選択肢が出る。「リスクは減る、変更コストは増える」とセットで覚える。
  • 計画プロセス群の問題に、立上げ(憲章作成・ステークホルダ特定)や実行(品質保証の実施)のプロセスを混ぜてくる。「始める許可か、決めるか、手を動かすか」で振り分ける。
  • プログラムマネジメントの問題で、PMO(専門組織による支援)や個別プロジェクトを細かく管理する説明を正解に見せる。キーワードは「複数プロジェクトの連携・統合・戦略実現」。
  • PDCAのCをControlやChangeと書いた選択肢。PDCAのCは評価を意味するCheck。

用語(19)

プロジェクト ぷろじぇくと
始まりと終わりがあり、独自の成果物を作るための一時的な活動。
⚠ 定常業務は終わりがなく同じ成果物を反復して作る。有期性と独自性の両方を持つものだけがプロジェクト。
有期性 ゆうきせい
明確な開始と終了がある性質。
⚠ 独自性と対で問われる。プロジェクトは有期性と独自性の「両方あり」が正解。
独自性 どくじせい
過去にない固有の成果物やサービスを生み出す性質。
⚠ 反復的な生産は定常業務の特徴。
定常業務 ていじょうぎょうむ
同じ成果物を継続的・反復的に生産して提供する業務。
⚠ 「期間限定のチーム」「独自の創造」「目的達成で終了」はどれもプロジェクト側の特徴。
プログラムマネジメント ぷろぐらむまねじめんと
関連する複数のプロジェクトを連携・統合して管理し、組織の戦略を実現する考え方。
⚠ PMOは支援のための専門組織。プログラム言語の「プログラム」とも無関係。
ポートフォリオマネジメント ぽーとふぉりおまねじめんと
組織が抱えるプロジェクトやプログラム全体に対し、投資先と優先順位を決める管理。
⚠ プログラムは「関連する複数プロジェクトを統合して価値を出す」、ポートフォリオは「全体から選ぶ」。
PMO Project Management Office(プロジェクトマネジメントオフィス)
組織内のプロジェクトを横断的に支援し、マネジメント能力や品質を高める専門組織。
⚠ 「専門組織を設ける」という選択肢はPMOの説明で、プログラムマネジメントではない。
プロジェクトライフサイクル ぷろじぇくとらいふさいくる
プロジェクトの開始から終了までの一連の段階。
⚠ 終盤ほどリスクは減り、変更コストは増える。両者の向きを逆に覚えないこと。
ステークホルダ すてーくほるだ
プロジェクトに影響を与えたり、影響を受けたりする利害関係者。
⚠ コストを変えずに成果物へ影響を与えられる度合いは開始時が最大。完了直前ではない。
プロセス群 ぷろせすぐん
プロジェクトの作業を立上げ・計画・実行・監視・コントロール(管理)・終結の5つに分けたまとまり。
⚠ ライフサイクルの「段階」とは別物。プロセス群は段階をまたいで繰り返される。
立上げプロセス群 たちあげぷろせすぐん
プロジェクトを正式に開始・承認するプロセスのまとまり。
⚠ プロジェクト憲章の作成とステークホルダの特定はここに入る。計画ではない。
計画プロセス群 けいかくぷろせすぐん
スコープや日程、コストを決め、ベースラインを確定するプロセスのまとまり。
⚠ ベースラインを「確定する」のは計画群。ベースラインと「比べる」のは監視・コントロール群。
実行プロセス群 じっこうぷろせすぐん
計画に従って作業を遂行するプロセスのまとまり。
⚠ 品質保証の実施はここに入る。名前に引きずられて計画や監視に入れないこと。
監視・コントロールプロセス群 かんし・こんとろーるぷろせすぐん(JIS Q 21500では管理プロセス群)
実績を測定して計画とのずれを把握し、是正するプロセスのまとまり。
⚠ 実行群は作業そのもの。こちらは作業をチェックして直す側。
終結プロセス群 しゅうけつぷろせすぐん
プロジェクトを正式に完了させ、教訓をまとめるプロセスのまとまり。
プロジェクト憲章 ぷろじぇくとけんしょう
プロジェクトの存在を正式に認め、目的やPMの権限を記した文書。
⚠ 立上げで作る。計画で作るスコープ記述書と混同しない。
スコープ すこーぷ
プロジェクトで作る成果物と、そのために行う作業の範囲。
⚠ スコープの定義は計画プロセス群に属する。
ベースライン べーすらいん
パフォーマンスを評価するときに照らし合わせる、承認済みの参照基準。
⚠ 作業の塊(ワークパッケージ)、進捗のチャート群(ダッシュボード)、測定方法の記述(測定指標)とは別物。
PDCAサイクル Plan・Do・Check・Act
計画・実行・評価・改善を繰り返して業務を良くしていく手法。
⚠ CはCheck(評価)で、ControlやChangeではない。AはAct(改善)。

このレッスンの過去問

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