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システム監査・8/11・9分

入力・処理・データのコントロール

ゴール

入力原票の扱い方、入力の漏れ・重複の確かめ方、データ連携の件数照合、DB・スプレッドシート・ソフトウェア資産の監査ポイントを見分け、各過去問の正解を自力で選べるようになる。

この分野は「その目的に合うコントロール(統制の仕組み)はどれか」を選ばせる問題がほとんどで、技法名を取り違えると失点します。逆に「何を守るための仕組みか」を一言で言えれば、ほぼ確実に取れる得点源です。

このレッスンで稽古する(用語チェック・過去問)

結論:まず「何を守りたいか」を決めれば答えが決まる

監査人が確かめるのは、リスクを抑えるコントロール(統制。ミスや不正を防ぐ・見つける仕組み)がきちんと働いているかです。問題文には必ず「漏れなく重複なく」「正確性」「不具合のリスク」のような守りたいものが書いてあります。それに合う仕組みを選び、別の目的の仕組みを消せば正解にたどり着けます。

問題文のキーワード 守りたいもの 正解になる仕組み・確認
業務部門の原票を代わりに入力 入力の正確さ 処理結果リストを業務部門へ返して確認させる
漏れなく、重複することなく入力 網羅性(全部ある・二重がない) プルーフリストと伝票の照合(照合印)
送信側と受信側の件数の合計を照合 連携データの欠落・重複 コントロールトータルチェック
データベースのインテグリティ データの正しさ・完全さ 障害回復の手段があるか
スプレッドシートの処理ロジックの正確性 計算の正しさ 内容が文書化され検証されているか
ソフトウェア資産管理 正規に使う権利 ライセンス証書などの証拠の保管
パッチ適用で不具合が起きるリスク 安定稼働 本稼働前の十分な動作確認

入力原票の管理:入力した結果は「頼んだ側」に確認させる

入力原票とは、業務部門が手書きなどで作る入力の元になる伝票です。情報システム部門が代わりに入力するときは、入力した結果を処理結果リストとして業務部門に返し、原票ごとに確認してもらうのが正しい統制です。内容を一番よく知っているのは起票した業務部門だからです。

選択肢の行動 判定 理由
処理結果リストを業務部門に送付して確認させる ○ 入力の正確さを起票者がチェックできる
明らかな誤りは入力担当者の判断だけで原票を修正 × 起票者の承認なしの修正は不正・誤りの温床
受領枚数などの授受確認を処理期日直前に一括で行う × 受け取った時点で確認しないと紛失に気づけない
入力後すぐ原票を廃棄 × 後で照合・追跡ができなくなる(一定期間保管が原則)

たとえるなら、クリーニング店が預かり品を受け取ったその場で枚数を数え、仕上がりをお客さんに確認してもらうのと同じです。「勝手に直す」「後でまとめて数える」「すぐ捨てる」は、どれも統制の不備です。

業務部門情報システム部門原票を起票・渡す受取時に枚数確認原票どおり入力処理結果リスト作成リストを返す原票ごとに確認原票は一定期間保管起票者が正確さをチェック
情報システム部門が代わりに入力するときの正しい流れ。受け取った時点で枚数を数え、処理結果リストを業務部門に返して原票ごとに確認してもらい、原票は一定期間保管する。

入力の漏れ・重複を確かめる:プルーフリスト照合

「起票された伝票が漏れなく、重複なく入力されたか」を確かめるには、プルーフリスト(入力されたデータをシステムから印刷した一覧)と元の伝票を1件ずつ突き合わせ、照合した証拠の照合印を確かめます。伝票と入力データを直接突き合わせるので、抜けも二重入力も見つかります。

試験では、目的の違う監査技法がひっかけとして並びます。

手続・技法 何を確かめるか 漏れ・重複の確認に使えるか
プルーフリストと伝票の照合 入力データと原票が1対1で一致しているか ○ 正解
テストデータ法 監査人が作ったテストデータを処理させ、入力チェック(論理・フォーマット)などが正しく働くか × プログラムの機能の確認
並行シミュレーション法 監査人が用意した同じ論理のプログラムで実データを処理し、本番の結果と一致するか × プログラムの論理の正確性の確認
例外取引データの抽出と承認記録の確認 値引きなど例外取引がきちんと承認されているか × 承認の妥当性の確認

見分け方は「伝票(紙)とデータを突き合わせているか」です。「プログラム」「テストデータ」の話になっている選択肢は、漏れ・重複の問題では外れです。

伝票(紙)プルーフリスト伝票 No.1伝票 No.2伝票 No.3No.1(入力なし)No.3No.3(二重)照合印漏れ照合印重複対応する伝票なし伝票とデータを1対1で突き合わせる抜けも二重入力も見つかる
プルーフリストと伝票を1件ずつ突き合わせると、伝票にあるのに入力されていない「漏れ」と、伝票1枚に対し2回入力された「重複」の両方が見つかる。

コントロールトータルチェック:送った数と届いた数を合わせる

コントロールトータルチェックは、送信側で数えた件数や金額の合計と、受信側で数えた合計を照合して、データの欠落や重複がないかを確認する仕組みです。宅配便で「段ボール5箱」と伝票に書き、受け取った人が5箱あるか数えるのと同じ発想です。1件ずつの中身ではなく、合計値の一致を見るのがポイントです。

用語 何をチェックするか キーワード
コントロールトータルチェック 件数・金額などの合計が送受信で一致するか 合計・件数・照合
エディットバリデーションチェック 入力された個々の項目の形式・範囲・論理が正しいか 個別項目の妥当性
チェックデジット コード番号に付けた検査用の数字で入力ミスを検出 コード・検査数字
アクセスコントロール 権限のある人だけが使えるようにする 権限・認証

問題文に「合計」「件数」「送信側と受信側」が出たら、迷わずコントロールトータルチェックです。

送信側受信側件数 5 件件数 5 件一致 → 欠落・重複なし件数 5 件1件欠落件数 4 件不一致 → 欠落を検出中身ではなく合計値を比べる
コントロールトータルチェックは中身を1件ずつ見ず、送信側と受信側の件数の合計だけを比べる。5件と5件なら一致、5件と4件なら欠落が見つかる。

ソフトウェア資産管理とパッチ適用:証拠と事前確認

出題が最も多い知識です。ソフトウェア資産管理とは、組織が使うソフトウェアとその利用権(ライセンス)を正しく把握・管理することです。監査のチェックポイントは、ライセンス証書などの「使う権利がある」ことを示す証拠が保管されているかです。車でいえば、乗っている車と車検証がそろっているかを確かめるイメージです。

ひっかけの選択肢は、別の観点のチェックポイントです。

選択肢 本当の観点 ソフトウェア資産管理の正解か
ライセンス証書などのエビデンスを保管しているか 権利の証明(資産管理) ○
提供元の開発体制を考慮しているか 調達先の評価 ×
導入時に既存システムとの整合性を評価しているか 導入の計画・評価 ×
データベースの分割で障害を局所化しているか 障害対策(可用性) ×

同じ系統で、パッチ(ソフトウェアの修正プログラム)の適用で不具合が起きるリスクを下げるコントロールも問われます。答えは本稼働前にシステムの動作確認を十分に行っているかです。キャパシティプランニング(将来の処理量に備えた資源計画)、マスタデータの管理手続、ハードウェア管理台帳は、パッチによる不具合とは関係の薄い統制なので外します。

DBのインテグリティとスプレッドシート:正しさを守る仕組みを見る

インテグリティ(完全性。データが正確で欠けていない状態)の監査では、データに不具合が起きたときの障害回復の手段が組み込まれているかを確認します。利用効率・領域のバランス・レスポンスタイムは性能の観点なので外れです。

スプレッドシートの処理ロジックの正確性は、計算の中身(プログラム内容)が文書化され、検証されているかで確かめます。バックアップは可用性、利用者を決めるのは機密性の対策で、計算が正しいかどうかとは無関係です。

選択肢のパターン 観点 「正確性・インテグリティ」の答えか
障害回復手段・文書化と検証 正確性・完全性 ○
利用効率・レスポンスタイム・領域のバランス 性能・効率 ×
バックアップ 可用性 ×
利用者を決める・作成者と利用者が同一 機密性・職務分担 ×

要点(試験直前に読む)

  • 原票を代わりに入力したら、処理結果リストを業務部門に返して確認させる。独断修正・授受確認の後回し・即廃棄は不備。
  • 「漏れなく重複なく入力」の確認=プルーフリストと伝票の照合(照合印を確かめる)。
  • 「送信側と受信側の件数の合計を照合」=コントロールトータルチェック。
  • ソフトウェア資産管理の監査ポイント=ライセンス証書などのエビデンスの保管。パッチの不具合リスク対策=本稼働前の十分な動作確認。
  • DBのインテグリティ=障害回復手段。スプレッドシートのロジックの正確性=文書化と検証。

ひっかけ

  • 漏れ・重複の確認問題に、テストデータ法や並行シミュレーション法を並べてくる。これらはプログラムの確認なので、伝票とデータを突き合わせる選択肢を選ぶ。
  • 「明らかな誤りなら入力担当者が修正」は親切そうに見えるが、起票者の承認がない修正は統制違反。
  • コントロールトータルチェックの問題に、チェックデジットやエディットバリデーションチェックを混ぜてくる。「合計・件数」の一致を見るものだけが正解。
  • インテグリティや正確性を問う問題に、レスポンスタイム・利用効率・バックアップ・利用者の限定を混ぜてくる。性能・可用性・機密性の対策は外す。
  • ソフトウェア資産管理の問題に、開発体制・導入時の整合性・障害の局所化を混ぜてくる。「権利の証拠(ライセンス証書)」が答え。

用語(17)

コントロール こんとろーる
ミスや不正を防いだり見つけたりするために組織が組み込む仕組みや手続のこと。
入力原票 にゅうりょくげんぴょう
業務部門が起票する、システムへ入力するデータの元になる伝票のこと。
⚠ プルーフリストは入力した後にシステムから出す一覧で、原票は入力前の元資料。
処理結果リスト しょりけっかりすと
入力・処理した結果の一覧で、起票した業務部門が自分の原票と見比べて確認するためのもの。
プルーフリスト ぷるーふりすと
入力されたデータをシステムから印刷した一覧で、元の伝票と照合して入力の漏れ・重複・誤りを見つけるのに使う。
⚠ テストデータ法・並行シミュレーション法はプログラムの確認で、原票との突合ではない。
照合印 しょうごういん
プルーフリストと伝票を突き合わせて確認したことを示すために押す印で、照合が行われた証拠になる。
テストデータ法 てすとでーたほう
監査人が用意したテストデータをプログラムに処理させ、予想した結果と比べてチェック機能や処理の正しさを確かめる監査技法。
⚠ 並行シミュレーション法は監査人側がプログラムを用意し実データを流す。テストデータ法はデータを用意して本番プログラムに流す。
並行シミュレーション法 へいこうしみゅれーしょんほう
監査人が本番と同じ処理をするプログラムを用意して実データを処理し、本番の結果と一致するかでプログラムの論理の正確性を確かめる監査技法。
⚠ テストデータ法は「データを用意」、並行シミュレーション法は「プログラムを用意」と覚える。
論理チェック・フォーマットチェック ろんりちぇっく・ふぉーまっとちぇっく
入力値が項目同士の関係として矛盾しないか、決められた桁数や文字種の形式に合っているかを入力時に検査すること。
⚠ 入力時の個別チェックであり、伝票全体の漏れ・重複は確かめられない。
コントロールトータルチェック こんとろーるとーたるちぇっく
送信側と受信側でデータの件数や金額の合計を照合し、欠落や重複がないかを確かめる仕組み。
⚠ エディットバリデーションチェックは個々の項目の妥当性、チェックデジットはコード番号の入力ミスを見る。「合計」ならこれ。
エディットバリデーションチェック えでぃっとばりでーしょんちぇっく
入力された個々のデータ項目の形式・範囲・論理が妥当かを検査する仕組み。
⚠ コントロールトータルチェックは合計値の照合で、こちらは1項目ずつの検査。
チェックデジット ちぇっくでじっと
コード番号に計算で求めた検査用の数字を付け加え、入力時にその数字を再計算して入力ミスを検出する仕組み。
⚠ 件数や合計の照合ではなく、1つのコードの誤りを見つけるもの。
アクセスコントロール あくせすこんとろーる
権限を持つ人だけがシステムやデータを使えるよう制限する仕組み。
⚠ データの欠落・重複の確認とは無関係で、機密性の対策。
インテグリティ integrity(完全性)
データが正確で、欠けたり矛盾したりしていない状態のことで、その維持には障害時の回復手段などが必要になる。
⚠ 利用効率やレスポンスタイムは性能の観点で、インテグリティの監査ポイントではない。
ソフトウェア資産管理 そふとうぇあしさんかんり
組織が保有・利用するソフトウェアとそのライセンスを把握し、正しく管理すること。
⚠ 開発体制の考慮・導入時の整合性評価・障害の局所化は別観点のチェックポイント。
ライセンス証書 らいせんすしょうしょ
ソフトウェアを正規に使う権利があることを示す書類で、資産管理の監査ではその保管状況を確認する。
パッチ ぱっち
ソフトウェアの不具合や脆弱性を直すための修正プログラムで、適用前に本稼働前の動作確認を行うのが不具合リスクを下げる統制。
キャパシティプランニング きゃぱしてぃぷらんにんぐ
将来の処理量の増加を予測し、必要なCPUや記憶容量などの資源を計画すること。
⚠ 性能・容量の計画であり、パッチ適用時の不具合リスクの対策ではない。

このレッスンの過去問

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