音と動画のディジタル化・データ量・圧縮規格
PCMの3工程の順番と役割を答えられ、音声・動画のデータ量や帯域幅を「1秒あたりの量×時間」で計算できるようになる。MIDI・JPEG・PNG・MPEG系・H.264の用途を見分けられるようになる。
音声データ量の計算は、免除試験を含めると20回以上出ている頻出テーマです。単位換算(ビット⇔バイト、秒⇔分)を落とさなければ確実に取れるので、ここは得点源になります。
このレッスンで稽古する(用語チェック・過去問)結論:音も動画も「1秒あたりのビット数×秒数」
このレッスンの計算問題は、すべて同じ1本の式で解けます。
データ量(ビット)= 1秒あたりのビット数 × 秒数
- 音声:1秒あたり = 標本化周波数(1秒に測る回数)× 量子化ビット数(1回の記録に使うビット数)
- 動画:1秒あたり = 画素数 × 1画素のビット数 × フレーム数/秒
最後に「÷8でバイトにする」「分を秒に直す(×60)」を忘れないことが、正解への近道です。選択肢には、この換算を1つだけ忘れた数値が必ず並んでいます。
PCMの3工程:標本化→量子化→符号化
PCM(パルス符号変調)は、アナログの音の波形をディジタルに変える基本的な方式です。工程の順番は標本化→量子化→符号化で固定です。体温を記録する場面に置き換えると分かりやすくなります。
| 工程 | やること | 体温の記録にたとえると | 何を離散化するか |
|---|---|---|---|
| 標本化(サンプリング) | 一定の周期で波の値をアナログ値のまま切り出す | 「毎朝7時に測る」と決めて測る | 時間(横軸) |
| 量子化 | 切り出した値を、決まった段階の数値に丸める | 36.48℃を「36.5℃」に丸める | 値の大きさ(縦軸) |
| 符号化 | 丸めた数値を0と1のビット列にする | 36.5を2進数で書き込む | 表し方(ビット列化) |
| 逆量子化 | 量子化した値を元の大きさに戻す(再生側の処理) | ― | ― |
flowchart LR
A["アナログ音声"] --> B["標本化:一定周期で切り出す"]
B --> C["量子化:段階値に丸める"]
C --> D["符号化:0と1にする"]
D --> E["ディジタルデータ"]
「アナログ値のまま切り出す」と書かれていたら標本化です。まだ丸めていないので量子化ではありません。
音声のデータ量・記録時間の計算(最頻出)
音声のデータ量は次の式で求めます。
1秒あたりのビット数 = 標本化周波数(回/秒)× 量子化ビット数
- 標本化周波数:1秒に何回サンプリングするか。単位Hz(ヘルツ)。44.1kHz=1秒に44,100回です。
- 量子化ビット数:1回の値を何ビットで表すか。8ビットなら256段階、16ビットなら65,536段階です。
- ステレオ(左右2チャンネル)なら×2しますが、過去問はモノラル(1チャンネル)が中心です。
問われ方は3パターンあります。
| 問われ方 | 解き方 |
|---|---|
| データ量を求める | 1秒あたりのビット数 × 秒数 ÷ 8 = バイト |
| 記録できる時間を求める | 容量(バイト)÷ 1秒あたりのバイト数 = 秒 → ÷60で分 |
| サンプリング間隔を求める | 1秒あたりのビット数 ÷ 量子化ビット数 = 回/秒 → 1 ÷ 回数 = 間隔(秒) |
単位の目安:1マイクロ秒=100万分の1秒です。1分=60秒、60分=3,600秒もすぐ出せるようにしておきます。
動画の帯域幅・データ量の計算
動画は「静止画(前のレッスンの画素計算)をパラパラ漫画のように1秒に何枚も見せる」ものです。1秒あたりの枚数を**フレームレート(fps)**といいます。
1秒あたりのビット数 = 横画素数 × 縦画素数 × 1画素のビット数 × フレーム数/秒
- 帯域幅:回線で1秒間に送れるデータ量です。単位はビット/秒(bps)。圧縮しない動画の配信には、上の1秒あたりのビット数がそのまま必要です。
- 色数が書かれていたらビット数に直します。256色=2の8乗なので8ビット=1バイト、24ビットフルカラー=3バイトです。
- 「1分間のデータ量」なら、さらに×60します。
音のディジタル化の方式:PCM・MIDI・MP3
MIDIは出題が少ないので、PCMとの違いを押さえるだけで十分です。MIDIは音の波形ではなく、楽譜のような演奏情報(音程・長さ・強弱・音色)を記録します。
| 用語 | 記録するもの | 見分けるキーワード |
|---|---|---|
| PCM | 音の波形そのものを標本化・量子化・符号化したもの | 標本化、量子化 |
| MIDI | 演奏情報(音程・音の長さ・強弱・音色) | 音程、音色、電子楽器 |
| MP3 | 音声を圧縮したデータ(非可逆) | 音声圧縮 |
圧縮規格:静止画・動画を用途で見分ける
まず圧縮は2種類に分かれます。可逆圧縮は伸張(元に戻すこと)すると元のデータと完全に一致する方式です。非可逆圧縮は人が気づきにくい情報を捨てる方式で、そのぶんファイルを小さくできます。
| 方式 | 元に戻るか | ファイルサイズ | 圧縮率と画質の関係 |
|---|---|---|---|
| 可逆圧縮 | 完全に戻る | 大きめ | 圧縮率を変えても画質は変わらない |
| 非可逆圧縮 | 完全には戻らない | 小さくできる | 圧縮率を上げるほど画質が落ちる(圧縮率は調整できる) |
伸張後の画像の縦横サイズは、どちらの方式でも元と同じです。小さくなるのはファイルサイズだけです。
| 規格 | 対象 | 特徴・用途 |
|---|---|---|
| JPEG | 静止画 | 静止画圧縮の国際標準。写真向けで主に非可逆 |
| PNG | 静止画 | 可逆圧縮。インタレース表示に対応。CRCで破損を検出できる。24ビットより多い色(RGB各16ビットの48ビットなど)も表現できる |
| GIF | 静止画 | 256色まで。民間(企業)の規格で国際標準ではない |
| BMP | 静止画 | 基本は無圧縮 |
| MPEG-1 | 動画 | ビデオCDなどの蓄積用 |
| MPEG-2 | 動画 | DVD・ディジタル放送 |
| MPEG-4 | 動画 | 携帯電話など低速回線向け(64kビット/秒程度から) |
| MPEG-7 | ― | 動画の内容を記述するメタデータの規格。圧縮方式ではない |
| H.264/MPEG-4 AVC | 動画 | 高圧縮の動画符号化方式。ワンセグやインターネット配信で使われる |
CRC(巡回冗長検査)は、データから計算した検査用の値を付けておき、壊れていないか確かめる仕組みです。
試験での問われ方
- PCMの工程:「アナログ値のまま切り出す」=標本化。量子化(丸める)、符号化(ビット列にする)、逆量子化(戻す)が並びます。順番の問題は「標本化→量子化→符号化」の1つだけが正解です。
- 音声・動画の計算:選択肢は、正解の1/8・8倍・1/60・60倍などの換算ミス版で作られます。計算結果が選択肢と10倍ずれていたら、÷8か×60を見直します。
- H.264:正解は「動画の圧縮符号化方式」です。ストリーミングの制御方式(RTSP)、テレビ会議の通信方式(H.323)、番組情報のメタデータ、音声圧縮、静止画圧縮が誤答として並びます。
- 静止画:国際標準はJPEGです。MPEG(動画)とGIF(企業の規格)がひっかけになります。PNGは「可逆・CRCあり・インタレース可」です。
記録できる時間を求める(11,000回/秒・8ビット・512×10^6バイト)
ア 77
イ 96
ウ 775
エ 969
解き方と答えを見る
- 1秒あたりのビット数を出す:11,000回 × 8ビット = 88,000ビット/秒
- バイトに直す:88,000 ÷ 8 = 11,000バイト/秒(8ビットなので1回=1バイト、と考えても同じ)
- 記録できる秒数:512×10^6 ÷ 11,000 = 512,000,000 ÷ 11,000 ≒ 46,545秒
- 分に直す:46,545 ÷ 60 ≒ 775.8分 → 最大775分
- よくある誤り:ビットをバイトに直す÷8を忘れて88,000のまま割ると、512,000,000 ÷ 88,000 ≒ 5,818秒 ≒ 97分になり、選択肢イの96を選んでしまう
答え:ウ(775分)
サンプリング間隔を求める(64,000ビット/秒・8ビット)
ア 0.125
イ 8
ウ 125
エ 512
解き方と答えを見る
- 1秒あたりのサンプリング回数:64,000ビット ÷ 8ビット = 8,000回/秒
- 1回あたりの間隔:1 ÷ 8,000 = 0.000125秒
- マイクロ秒に直す(×1,000,000):0.000125 × 1,000,000 = 125マイクロ秒
- 選択肢アの0.125はミリ秒の値で、単位の取り違えを狙っている
答え:ウ(125マイクロ秒)
データ量を求める(60分・44.1kHz・16ビット・モノラル)
ア 80
イ 160
ウ 320
エ 640
解き方と答えを見る
- 1秒あたりのビット数:44,100回 × 16ビット = 705,600ビット/秒
- 60分を秒に直す:60 × 60 = 3,600秒
- 全体のビット数:705,600 × 3,600 = 2,540,160,000ビット
- バイトに直す:2,540,160,000 ÷ 8 = 317,520,000バイト ≒ 317.5Mバイト
- 最も近い選択肢は320Mバイト。÷8を忘れると約2,540Mとなり、選択肢の桁から外れる
答え:ウ(約320Mバイト)
動画配信に必要な帯域幅を求める(800×600・24ビット・30フレーム/秒)
ア 350k ビット/秒
イ 3.5M ビット/秒
ウ 35M ビット/秒
エ 350M ビット/秒
解き方と答えを見る
- 1画面の画素数:800 × 600 = 480,000画素
- 1画面のビット数:480,000 × 24ビット = 11,520,000ビット
- 1秒あたり:11,520,000 × 30フレーム = 345,600,000ビット/秒 ≒ 345.6Mビット/秒
- 帯域幅はビット/秒で答えるので÷8はしない。約350Mビット/秒
- ここで÷8してしまうと約43Mになり、桁が1つずれた35Mを選びやすい
答え:エ(350Mビット/秒)
1分間の動画データ量を求める(30万画素・256色・30フレーム/秒)
ア 77
イ 270
ウ 540
エ 2,300
出典:基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20131215 実施分 問14
解き方と答えを見る
- 256色は2の8乗なので、1画素=8ビット=1バイト
- 1画面:300,000画素 × 1バイト = 300,000バイト
- 1秒:300,000 × 30フレーム = 9,000,000バイト
- 1分:9,000,000 × 60秒 = 540,000,000バイト = 540Mバイト
- ×60を忘れて1秒分で止めると9Mバイトになり、どの選択肢とも合わない
答え:ウ(540Mバイト)
要点(試験直前に読む)
- PCMは標本化(アナログ値のまま切り出す)→量子化(丸める)→符号化(ビット列にする)の順
- 音声:標本化周波数 × 量子化ビット数 × 秒数 ÷ 8 = バイト
- 動画:画素数 × 1画素のビット数 × fps(×秒数)。帯域幅はビット/秒のまま答える
- 256色=8ビット=1バイト、24ビットフルカラー=3バイト
- 静止画の国際標準はJPEG。PNGは可逆・CRC・インタレース可。MIDIは演奏情報
- H.264はワンセグ等の動画圧縮。MPEG-4は低速回線向け、MPEG-7はメタデータ
ひっかけ
- 計算の答えが選択肢と8倍・60倍ずれる → ÷8(ビット→バイト)と×60(分→秒)を確認する
- 帯域幅を問われているのに÷8してしまう → 帯域幅はビット/秒なので÷8しない
- サンプリング間隔で0.125を選ぶ → 0.125はミリ秒。マイクロ秒なら125
- 「アナログ値のまま切り出す」に量子化を選ぶ → 丸める前なので標本化
- H.264をストリーミング制御・テレビ会議・メタデータの規格と取り違える → 「動画の圧縮符号化」が正解
用語(17)
アナログの音声波形を、標本化・量子化・符号化の順にディジタルデータへ変える方式。
⚠ MIDIは波形ではなく演奏情報を記録する。MP3は音声の圧縮規格。
一定の時間間隔で、アナログ信号の値をアナログのまま切り出す処理。
⚠ 量子化は切り出した値を段階値に丸める処理。「アナログ値のまま」とあれば標本化。
標本化で切り出した値を、決められた段階の数値に丸める処理。
⚠ 符号化は丸めた数値を0と1のビット列にする処理。
量子化した数値を2進数のビット列に変える処理で、PCMの最後の工程。
⚠ 量子化との順番を入れ替えた選択肢に注意する。
量子化された値を元の大きさの値に戻す、再生側の処理。
⚠ PCMでディジタル化する工程には含まれない。
1秒間に標本化する回数で、単位はHz。44.1kHzは1秒に44,100回。
⚠ サンプリング間隔は標本化周波数の逆数(1÷回数)。
標本化した1回分の値を何ビットで表すか。8ビットなら256段階。
音程・音の長さ・強弱・音色などの演奏情報を規定した規格。
⚠ PCMは音の波形そのものをディジタル化する。
動画で1秒間に表示する画像(フレーム)の枚数。
通信回線が1秒間に送れるデータ量で、単位はビット/秒(bps)。
⚠ 答えはビット/秒なので、バイトに直す÷8はしない。
伸張すると元のデータと完全に一致する圧縮方式で、圧縮率が画質に影響しない。
⚠ 非可逆圧縮の方がファイルを小さくできる。
一部の情報を捨てて小さくする圧縮方式で、圧縮率を上げるほど画質が落ちる。
⚠ 小さくなるのはファイルサイズで、画像の縦横サイズは変わらない。
静止画の圧縮符号化の国際標準で、写真向けの主に非可逆な方式。
⚠ MPEGは動画。GIFは企業の規格で国際標準ではない。
可逆圧縮の静止画形式で、インタレース表示に対応し、CRCで破損を検出できる。
⚠ 非可逆・インタレース不可・最大24ビットという選択肢は誤り。
データから計算した検査値を付けておき、データが壊れていないかを確かめる仕組み。
動画圧縮の規格群で、MPEG-1は蓄積、MPEG-2はDVD・放送、MPEG-4は低速回線向け。
⚠ MPEG-7は内容記述(メタデータ)の規格で、圧縮方式ではない。
ワンセグやインターネット配信で使われる高圧縮の動画符号化方式。
⚠ 配信制御(RTSP)、テレビ会議の通信方式(H.323)、音声圧縮、静止画圧縮ではない。
このレッスンの過去問
- PCMの工程(標本化・量子化・符号化)平成29年度 春期 基本情報技術者試験 午前 問24
- 音声サンプリングのデータ量・記録時間計算平成31年度 春期 基本情報技術者試験 午前 問25
- MIDIの定義基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 201101 実施分 問30
- 動画像の必要帯域幅計算平成26年度 秋期 基本情報技術者試験 午前 問25
- 動画圧縮規格の用途(H.264等)令和元年度 秋期 基本情報技術者試験 午前 問24
- 静止画圧縮規格(JPEG)平成21年度 春期 基本情報技術者試験 午前 問30
- PNGの特徴(可逆圧縮・CRC)基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 200907 実施分 問30