3次元CGの表現・処理工程と応用技術
3DCGの「形の表し方(ポリゴン・ワイヤフレーム)」「絵にする工程(クリッピング・隠面消去・シェーディング・レンダリング)」「質感・動きの技法(テクスチャマッピング・レイトレーシング・モーフィング・モーションキャプチャ)」とARを、選択肢の説明文から一発で見分けられるようになる。
科目Aでは「次の説明はどの用語か」という用語当て問題として毎年のように出る。どの問題も同じ6〜8個の用語の説明を入れ替えて選択肢を作っているので、キーワードを覚えれば確実な得点源になる。
このレッスンで稽古する(用語チェック・過去問)結論:3DCGは「形を作る→見た目を付ける→2次元の絵にする」の3段階
3DCG(3次元コンピュータグラフィックス)は、コンピュータの中に立体の模型を作り、それをカメラで撮ったように画面用の平面の絵にする技術。試験に出る用語は、どれもこの流れのどこかの作業の名前。どの段階の作業かが分かれば、選択肢の大半は消せる。
flowchart LR
A["モデリング:形を作る(ポリゴン等)"] --> B["テクスチャマッピング:表面に模様を貼る"]
B --> C["クリッピング:枠の外を捨てる"]
C --> D["隠線・隠面消去:隠れた所を消す"]
D --> E["シェーディング:陰影を付ける"]
E --> F["2次元画像の完成"]
C〜Eをまとめて、3Dモデルから2次元の画像を作る処理全体をレンダリングと呼ぶ。図の順番は教科書的な目安で、試験で順番そのものは問われない。問われるのは各用語の中身。
形の表し方:ポリゴンとワイヤフレーム
ポリゴンは、立体の表面を作る小さな多角形(主に三角形)のこと。サッカーボールが五角形と六角形の革をつなぎ合わせて球に近づけているように、たくさんの多角形を組み合わせて多面体を作ったり、曲面を近似したりする基本の部品。選択肢では「閉じた立体となる多面体を構成」「曲面を近似する基本的な要素」と説明される。
形をどこまで表すかで、モデルの種類が分かれる。
| 表現方法 | 何で表すか | イメージ |
|---|---|---|
| ワイヤフレーム表現 | 3次元形状を全て線だけで表す | 針金細工。面がないので向こう側が透けて見える |
| サーフェスモデル | 線に加えて**表面(面)**も持つ | 紙で作った箱。中は空っぽ |
| ソリッドモデル | 表面に加えて**中身(体積)**も持つ | 粘土のかたまり |
ワイヤフレームは出題3回(免除試験)。正解の選択肢は「3次元形状を全て線で表現する」でほぼ決まり。ほかの選択肢は、次の章の用語の説明を入れ替えたものが並ぶ。
最頻出:絵にする工程の区別(レンダリング・クリッピング・隠面消去・シェーディング)
このレッスンで一番出る範囲(本試験5回・免除9回)。説明文に出るキーワードで見分ける。
| 用語 | 一言でいうと | 選択肢に出るキーワード |
|---|---|---|
| レンダリング | 3Dモデルから最終的な2次元画像を作る処理全体 | 「最終段階」「ディスプレイに描画できるように映像化」「2次元化」「光源・表面の性質を考慮し、遮られる部分を消して立体感のある2次元画像」 |
| クリッピング | 表示する枠(ウィンドウ)の外を切り捨てる | 「ウィンドウの外側を除去」「画面に収まる部分だけ表示」「はみ出す箇所を表示対象から外す」 |
| 隠線消去・隠面消去 | 視点から見て、手前の物に隠れた線・面を描かない | 「指定された視点から見える部分だけを描く」「手前の物によって遮られる部分を消す」 |
| シェーディング | 光の当たり方で面に陰影・明るさを付ける | 「光源の位置と光の当たり具合」「色・明るさを決定」「陰影を付ける」「立体感」 |
| アンチエイリアシング | 図形の境界に出る階段状のギザギザ(ジャギー)を目立たなくする | 「画素数が有限」「階段状のギザギザ」 |
クリッピングと隠面消去は、どちらも「見える部分だけ」と書かれるので一番まぎらわしい。カメラで集合写真を撮る場面で考えると、ファインダーの枠からはみ出た人が写らないのがクリッピング、前の人の頭に隠れた後ろの人が写らないのが隠面消去。基準が「枠(ウィンドウ・画面)」ならクリッピング、「視点・手前の物」なら隠面消去と覚える。
アンチエイリアシングは「ギザギザを消す側」。「サンプリング(画素で区切って記録すること)が不十分なために生じる現象」はギザギザそのもの=エイリアシングの説明なので、アンチエイリアシングの説明としては誤り。
質感の技法:テクスチャマッピングとレイトレーシング
テクスチャマッピングは、物体の表面に柄や模様などの2次元画像を貼り付けて質感を出す技法。無地の箱に木目のシールを貼って木箱に見せるイメージ。キーワードは「表面に画像を貼り付ける」「柄や模様」。
レイトレーシング(光線追跡法)は、光線の進み方をたどって反射・屈折・透過を計算し、ガラスや鏡のような写実的な絵を作る技法。シェーディングも光を扱うが、こちらは「陰影を付ける」まで。「反射・屈折・透過」と書いてあればレイトレーシング。
| 用語 | キーワード |
|---|---|
| テクスチャマッピング | 表面に画像を貼る・質感 |
| レイトレーシング | 光線を追跡・反射・屈折・透過 |
| シェーディング | 光源から陰影を付ける |
| クリッピング | 画面からはみ出す部分を外す |
動きの技法:モーフィングとモーションキャプチャ
アニメーションの技法は、名前と中身の組合せで問われる(本試験2回・免除5回)。
| 用語 | 中身 | 見分けるキーワード |
|---|---|---|
| モーフィング | 画像(物体)Aから形の異なるBへ、中間の画像を作って滑らかに変化させる | 「AからBへ滑らかに変化」「中間を補う画像」 |
| モーションキャプチャ | センサやカメラで人間・動物の実際の動きをデータとして取り込む | 「センサ」「ビデオカメラ」「実際の身体の動き」 |
| キーフレーム法 | 要所の場面(キーフレーム)だけ作り、間のコマをコンピュータが補う | 「要所のフレーム」「補間」 |
| ピクセルシェーダ | 画素(ピクセル)ごとの色を計算して描画するGPUのプログラム | 「画素」 |
モーフィングとキーフレーム法はどちらも「間を補う」が、モーフィングは別の形に変身させるのが特徴。顔写真がだんだん別人の顔に変わっていく映像がモーフィング。
AR(拡張現実)とVR(仮想現実)
ARは、目の前の現実の映像にコンピュータの情報を重ねる技術。スマホのカメラ越しに家具を置いてみるアプリが代表例。現実が主役で、そこに情報を足すのがAR。
| 用語 | 正式名称 | 中身 |
|---|---|---|
| AR | Augmented Reality(拡張現実) | 現実の映像の一部に仮想の情報を付加 |
| VR | Virtual Reality(仮想現実) | ヘッドマウントディスプレイなどで、完全に仮想の空間にいるように感じさせる |
選択肢に「3次元の仮想空間」「実際には存在しない場所や世界」「ヘッドマウントディスプレイ」とあればVRの説明なのでARではない。
試験での問われ方
出題はほぼ「次の説明に当たるものはどれか」「〇〇の説明はどれか」の2パターン。誤りの選択肢は、同じ分野のほかの用語の正しい説明をそのまま持ってきたもの。
- 説明→用語:4つの説明文が、レンダリング/クリッピング/アンチエイリアシング/シェーディングのように1対1で別の用語になっていることが多い。全部の選択肢に用語名を当ててから選ぶと間違えない。
- 用語の定義を入れ替える:「クリッピングとは陰影で表現すること」「レンダリングとはウィンドウの外を切り取ること」のように、名前と中身をずらしてくる。
- CG以外の画像処理を混ぜる:レンダリングを問う問題で、2値化(明るさで白黒に分ける)、平滑化(ぼかす)、CSG(直方体や球などの基本形を組み合わせて形を作るモデリング手法)の説明が誤りの選択肢として出る。
要点(試験直前に読む)
- ポリゴン=多面体や曲面の近似に使う多角形の部品。ワイヤフレーム=全て線だけで表す。
- レンダリング=3Dモデルから2次元画像を作る最終工程(隠面消去・陰影付けを含む)。
- クリッピング=枠(ウィンドウ)の外を捨てる/隠面消去=視点から隠れた所を消す。基準が「枠」か「視点」かで見分ける。
- シェーディング=陰影を付ける/レイトレーシング=反射・屈折・透過を計算/テクスチャマッピング=表面に画像を貼る/アンチエイリアシング=ギザギザを目立たなくする。
- モーフィング=AからBへ滑らかに変身/モーションキャプチャ=センサ・カメラで実際の動きを取り込む。
- AR=現実に情報を重ねる/VR=完全な仮想空間。
ひっかけ
- 「見える部分だけ」が2つある:「ウィンドウ・画面に収まる」はクリッピング、「視点から見える・手前に遮られる」は隠面消去。
- 「サンプリング不十分が原因で生じる現象」はエイリアシング(ギザギザ)の説明。アンチエイリアシングはそれを目立たなくする処理なので誤り。
- 用語と説明の入れ替えに注意:「クリッピング=陰影で表現」「レンダリング=ウィンドウ外を切り取る」はどちらも誤り。4つの選択肢それぞれに用語名を当ててから選ぶ。
- 光を扱う用語が2つある:「陰影・明るさ」ならシェーディング、「反射・屈折・透過」ならレイトレーシング。
- AR問題は「仮想空間」「ヘッドマウントディスプレイ」「存在しない世界」と書かれた選択肢がVRのひっかけ。現実の映像に付加する説明がAR。
用語(15)
多面体を作ったり曲面を近似したりするのに使う、3DCGの基本部品となる多角形。
⚠ テクスチャ(表面に貼る画像)と混同しやすい。ポリゴンは「形」の部品、テクスチャは「模様」。
3次元形状を全て線だけで表す表現方法。
⚠ サーフェスモデル(面も持つ)、ソリッドモデル(中身も持つ)。線だけならワイヤフレーム。
コンピュータの中に、物体の3次元の形を作る工程。
⚠ レンダリング(作った形を2次元の画像にする工程)。作るのがモデリング、絵にするのがレンダリング。
3次元モデルから、光や隠れる部分を考慮して画面に表示できる2次元画像を作る最終工程。
⚠ クリッピングの説明(ウィンドウの外を切り取る)とすり替えられる。「最終段階」「2次元化」ならレンダリング。
表示する枠(ウィンドウ)の外側を取り除き、内側だけを表示する処理。
⚠ 隠面消去も「見える部分だけ」と書かれる。基準が枠・画面ならクリッピング、視点・手前の物なら隠面消去。
指定した視点から見て、手前の物に隠れて見えない線や面を描かないようにする処理。
⚠ クリッピング(枠の外を捨てる)。半透明で背後も見せる表示は逆の処理なので誤り。
光源の位置と光の当たり方から、物体の表面の色・明るさ・陰影を決めて立体感を出す処理。
⚠ レイトレーシングも光を扱うが、「反射・屈折・透過」を計算するのはレイトレーシング。
物体の表面に柄や模様などの2次元画像を貼り付けて質感を表現する技法。
⚠ ポリゴン(形の部品)やシェーディング(陰影付け)。「貼り付ける」ならテクスチャマッピング。
光線の進み方をたどり、反射・屈折・透過を計算して写実的な画像を描く技法。
⚠ シェーディング(陰影を付けるだけ)。キーワード「反射・屈折・透過」で見分ける。
画素数が有限なために図形の境界に出る階段状のギザギザ(ジャギー)を目立たなくする処理。
⚠ エイリアシング(ギザギザが生じる現象そのもの)。「現象」と書かれていたらアンチではない。
画像Aから形の異なる画像Bへ、中間の画像を作って滑らかに変化させるアニメーション技法。
⚠ キーフレーム法も間を補うが、別の形へ変身させるのがモーフィング。
センサやビデオカメラで人間や動物の実際の動きをデジタルデータとして取り込む技法。
⚠ モーフィング(形の変化)。「センサ」「カメラ」「実際の身体の動き」ならモーションキャプチャ。
動きの要所となる場面だけを作り、その間のコマをコンピュータが補って動きを作る方法。
⚠ モーフィング(AからBへ形を変える)。要所のフレームを補間するならキーフレーム法。
目の前の現実の映像の一部に、コンピュータで作った情報を重ねて表示する技術。
⚠ VR(完全な仮想空間に入り込む)。現実が土台にあるならAR。
ヘッドマウントディスプレイなどを使い、実在しない3次元の仮想空間にいるように感じさせる技術。
⚠ AR(現実に情報を重ねる)。「仮想空間」「存在しない世界」ならVR。
このレッスンの過去問
- ポリゴンの定義平成24年度 春期 基本情報技術者試験 午前 問27
- CG用語の定義(ワイヤフレーム表現)基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20250126 実施分 問17
- 3DCG処理の工程名(クリッピング等)令和5年度 基本情報技術者試験 科目A 公開問題 問5
- CG技法の名称(テクスチャマッピング・レイトレーシング等)平成27年度 春期 基本情報技術者試験 午前 問25
- CGアニメーション技法の名称(モーフィング等)平成26年度 春期 基本情報技術者試験 午前 問24
- AR(拡張現実)の定義平成30年度 春期 基本情報技術者試験 午前 問26