ネットワークを支える管理系サービス
DHCP・DNS・NTP・SNMP・RADIUS・SDN(OpenFlow)を役割で見分け、略語の選択肢問題で迷わず正解を選べるようになる。NTPの4つの時刻から時計のずれを計算できるようになる。
ネットワークは「住所を配る」「名前を調べる」「時計を合わせる」「見張る」「本人か確かめる」といった裏方のサービスで動いています。試験では、似た略語を4つ並べて役割と結び付けさせる問題が毎年のように出ます。役割で覚えれば確実に取れる得点源です。
このレッスンで稽古する(用語チェック・過去問)結論:管理系サービスは「役割の動詞」で覚える
このレッスンの知識は、ほぼ全部が**「この役割のプロトコルはどれか」**という形で出ます。略語を丸暗記するより、**何をする係か(動詞)**とセットで覚えるのが近道です。
| 略語 | 役割(動詞) | ひとことで |
|---|---|---|
| DHCP | 配る | IPアドレスなどの設定を自動で割り当てる |
| DNS | 調べる | ドメイン名・ホスト名 → IPアドレス |
| NTP | 合わせる | 機器の時計をタイムサーバに合わせる |
| SNMP | 見張る | ネットワーク機器の状態・障害情報を集める |
| RADIUS | 確かめる | 無線LANやVPNにつなぐ利用者を認証する |
| SDN(OpenFlow) | まとめて操る | 経路の制御をソフトウェアに集めて一括管理 |
PCが起動してWebサイトを見るまでの流れで見ると、DHCPとDNSの順番がつかめます。
flowchart LR
A["PCの電源を入れる"] --> B["DHCPでIPアドレスをもらう"]
B --> C["DNSで相手のIPアドレスを調べる"]
C --> D["相手と通信を始める"]
DHCP:IPアドレスを自動で「配る」係(最頻出)
DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)は、PCが起動したときなどにIPアドレスなどのネットワーク設定を自動で割り当てるプロトコルです。プロトコルとは、機器どうしの通信の約束ごとのことです。
たとえるならホテルのフロントです。チェックインした客(PC)に、空いている部屋番号(IPアドレス)を貸し出し、使い終われば回収して次の客に回します。だから利用者が手で設定しなくても、つないだだけでネットにつながります。
試験で出る言い回しは次の3つで、どれも答えはDHCPです。
- 「IPアドレスを動的に割り当てる」
- 「PCの起動時などに自動設定する」
- 「使用されていないIPアドレスを割り当てる」
ひっかけの定番:同じ「アドレス」が付くARP(IPアドレス → MACアドレスを調べる)やNAT(プライベートIP ↔ グローバルIPを変換する、前のレッスンの内容)が並びます。「割り当てる・配る」ならDHCP、「調べる」ならARPやDNS、「変換する」ならNATです。
DNS:名前からIPアドレスを「調べる」係(最頻出)
DNS(Domain Name System)は、ドメイン名やホスト名とIPアドレスを対応付ける仕組みです。名前からIPアドレスを調べることを名前解決といいます。
たとえるならスマホの連絡先です。人は「山田さん」という名前で電話をかけますが、実際に発信されるのは電話番号です。同じように、人は「example.co.jp」と打ち、裏でDNSがIPアドレスを調べてくれます。
試験の言い回しは「ホスト名をIPアドレスに変換する」「通信相手のIPアドレスを問い合わせる」です。「変換」という言葉が出てもNATと混同しないこと。名前 → IPアドレスならDNSです。
特に間違えやすいのがARPとの区別です。
| DNS | ARP | |
|---|---|---|
| 何から | ドメイン名・ホスト名 | IPアドレス |
| 何を調べる | IPアドレス | MACアドレス(機器固有の番号) |
| 使う場面 | インターネット上の相手を探す | 同じLAN内で実際に届ける相手を探す |
略語の見分け表:選択肢に並ぶ「ハズレ」役の正体
選択肢には、正解と字面の似た略語が必ず混ざります。ハズレ役の正体を知っておけば、消去法でも解けます。
| 略語 | 正式名称 | 役割 |
|---|---|---|
| ARP | Address Resolution Protocol | IPアドレス → MACアドレス |
| DHCP | Dynamic Host Configuration Protocol | IPアドレス等の自動割当て |
| DNS | Domain Name System | 名前 → IPアドレス |
| NAT | Network Address Translation | プライベートIP ↔ グローバルIP |
| NTP | Network Time Protocol | 時刻同期 |
| NNTP | Network News Transfer Protocol | ニュース記事の転送 |
| RTP | Real-time Transport Protocol | 音声・映像のリアルタイム転送 |
| RIP | Routing Information Protocol | 経路制御(ルーティング) |
| ICMP | Internet Control Message Protocol | エラー通知・疎通確認(ping) |
| SMTP | Simple Mail Transfer Protocol | 電子メールの送信・転送 |
| SNMP | Simple Network Management Protocol | ネットワーク機器の管理 |
| FTP | File Transfer Protocol | ファイル転送 |
| PPP | Point-to-Point Protocol | 2点間の接続(ダイヤルアップ等) |
| LDAP | Lightweight Directory Access Protocol | ディレクトリサービスへのアクセス |
NTPとNNTP、NTPとRTPは字面が似ていて、3つとも T を含みます。**NTP の T は Time(時刻)、NNTP の T は Transfer(ニュースの転送)、RTP の T は Transport(音声・映像の転送)**です。Time の T をもつのは NTP だけなので、時刻の問題なら NTP を選びます。
SMTPとSNMPも1文字違いです。SMTP は Mail(メール)、**SNMP は Network Management(ネットワーク管理)**です。
NTP:機器の時計をタイムサーバに「合わせる」係
NTP(Network Time Protocol)は、タイムサーバ(正確な時刻を配るサーバ)を基準に、ネットワーク上のPCやサーバの時計を合わせるプロトコルです。時計がずれていると、ログの前後関係が分からなくなり、障害調査や不正アクセスの追跡ができません。
ひっかけの定番は「時刻に関係ありそうな別の用途」です。応答時間の測定、ファイルの更新時刻で最新かどうかを判断する、メールの受信時刻を比べる、などはどれもNTPの用途ではありません。NTPは時計そのものを合わせるためのものです。
ずれの計算(出題は少なめ):PCは4つの時刻(自分の送信・サーバの受信・サーバの送信・自分の受信)から、サーバとの時計のずれを計算します。行きと帰りの伝送遅延が等しいと仮定するのがポイントです。
- 式:ずれ = {(サーバ受信 − PC送信) + (サーバ送信 − PC受信)} ÷ 2
- 結果がマイナスならPCが進んでいる、プラスならPCが遅れている
手順は下の例題で確認してください。
SNMP と RADIUS:「見張る」係と「確かめる」係
SNMP(Simple Network Management Protocol)は、ルータやスイッチなどのネットワーク機器の構成や障害の情報を集めて管理するプロトコルです。管理する側(マネージャ)が機器の中にある管理情報(MIB)を取りに行ったり、機器が異常を知らせたりします。選択肢の「ネットワーク管理プロトコル」「障害時の情報収集」はSNMPです。
RADIUS(Remote Authentication Dial In User Service)は、無線LANやVPNに接続する利用者を認証するための認証サーバの仕組みです。ひっかけはDES(暗号方式)、DNS(名前解決)、IDS(侵入を検知する仕組み)です。「利用者の認証」と見たらRADIUSです。
LANアナライザ:便利だが「盗聴」に使える道具
LANアナライザは、ネットワークを流れるパケット(小分けにされたデータ)を取り込んで中身を表示する、障害調査の道具です。スイッチのミラーポート(ほかのポートを流れる通信のコピーを出すポート)につないで使います。
留意点の正解はいつも同じで、パケットの中身が見えるため、盗聴などに悪用されないよう管理することです。ミラーポートはコピーを受け取るだけなので、次の選択肢は誤りです。
- 「アナライザがパケットを破棄する」→ 破棄しない
- 「測定のためにLANケーブルを抜く・切断する」→ 抜かない
- 「保管場所と使い方を利用者に周知する」→ むしろ悪用されないよう管理する側の話
SDN(OpenFlow):経路の制御をソフトウェアに集める
SDN(Software-Defined Networking)は、ネットワーク機器がもつ2つの機能を論理的に分離する技術です。2つとは、経路を決める制御機能と、決まった経路どおりにデータを送る転送機能です。制御はSDNコントローラというソフトウェアに集め、機器は転送に専念させて、ネットワーク全体を一元的・集中的に制御します。
その代表的な規格がOpenFlow(ONFが標準化を進めるプロトコル)です。「SDNを実現する代表的な規格は?」と聞かれたらOpenFlowを選びます。
説明文を選ぶ問題では、似た技術の説明が並びます。
| 選択肢の説明 | 正体 |
|---|---|
| 制御と転送を分離し、コントローラで集中制御 | SDN(正解) |
| 管理ステーションがMIBを定期取得して監視 | SNMP |
| 機器どうしが経路情報を交換して経路を決める | ルーティングプロトコル(RIPなど) |
| 制御と転送の機能をもつソフトを仮想環境で動かす | NFV(ネットワーク機能の仮想化) |
| コンテンツを効率よく配るサーバの配置 | CDN |
| ループを防ぐ | スパニングツリープロトコル |
見分けのキーワードは**「分離」+「コントローラ(ソフトウェア)で集中制御」**の2点セットです。機器どうしが話し合って決める方式は、SDNの逆(分散型)です。
NTPの4つの時刻からPCの時計のずれを求める
ア 100 マイクロ秒進んでいる。
イ 200 マイクロ秒進んでいる。
ウ 500 マイクロ秒進んでいる。
エ 700 マイクロ秒進んでいる。
解き方と答えを見る
- 4つの時刻をマイクロ秒の部分だけ書き出す(aa:bb:ccは共通なので無視できる)。PC送信 T1=100、サーバ受信 T2=200、サーバ送信 T3=400、PC受信 T4=900。
- 行きの差を求める:T2 − T1 = 200 − 100 = 100。
- 帰りの差を求める:T3 − T4 = 400 − 900 = −500。
- ずれ = (行きの差 + 帰りの差) ÷ 2 = (100 + (−500)) ÷ 2 = −400 ÷ 2 = −200。
- 符号を読む:ずれは「サーバの時刻 − PCの時刻」の意味なので、マイナスはPCの時計がサーバより進んでいることを表す。よってPCは200マイクロ秒進んでいる。
- 検算(遅延で確かめる):往復にかかった時間は T4 − T1 = 900 − 100 = 800。そのうちサーバ内での処理時間は T3 − T2 = 400 − 200 = 200。伝送にかかった時間は 800 − 200 = 600 で、片道は 600 ÷ 2 = 300。
- PCが100で送った問合せは片道300かかるので、PCの時計で400に届いたはず。サーバの時計では200なので、PCは 400 − 200 = 200 だけ進んでいる。手順5と一致する。
答え:イ:200マイクロ秒進んでいる。片道遅延(300)や往復時間(800)をずれと取り違えないこと、符号(マイナス=PCが進んでいる)の向きを逆にしないことが要点。
要点(試験直前に読む)
- 配る=DHCP(IPアドレスの自動割当て)、調べる=DNS(名前→IPアドレス)、合わせる=NTP(時刻同期)。
- ARPは「IPアドレス→MACアドレス」。DNSの「名前→IPアドレス」と出発点が違う。
- 見張る=SNMP(機器の構成・障害情報の収集)、確かめる=RADIUS(無線LAN・VPNの利用者認証)。
- LANアナライザの留意点は「パケットの中身が見えるので盗聴に悪用されないようにする」。
- SDNは「制御と転送を分離」+「コントローラで集中制御」。代表規格はOpenFlow。
- NTPのずれ={(サーバ受信−PC送信)+(サーバ送信−PC受信)}÷2。マイナスならPCが進んでいる。
ひっかけ
- 「アドレス」が付く選択肢の混同:割り当てるならDHCP、IP→MACならARP、名前→IPならDNS、プライベート↔グローバルならNAT。
- T を含む略語の混同:NTP の T は Time、NNTP は Transfer、RTP は Transport。時刻同期は NTP だけ。SMTP(メール)と SNMP(ネットワーク管理)の1文字違いにも注意。
- NTPの用途で「応答時間の測定」「ファイル更新時刻で最新判定」など時刻に関係する別機能を選ばせる。NTPは時計そのものを合わせるだけ。
- NTPの計算で、片道遅延や往復時間をそのままずれと答えさせたり、進み・遅れを逆にさせたりする。式の結果の符号まで必ず確認する。
- SDNの説明問題でSNMP(MIBの取得)、ルーティング(機器どうしの経路交換)、NFV(仮想化)の説明が並ぶ。「分離」と「コントローラによる集中制御」がそろっているものを選ぶ。
用語(16)
PCの起動時などに、IPアドレスなどのネットワーク設定を自動で割り当てるプロトコル。
⚠ ARP(IPアドレスからMACアドレスを調べる)、NAT(アドレスを変換する)。「割り当てる・配る」ならDHCP。
ドメイン名やホスト名とIPアドレスを対応付け、名前からIPアドレスを調べる仕組み。
⚠ ARPは「IPアドレス→MACアドレス」。DNSは「名前→IPアドレス」。
ドメイン名やホスト名から、通信に使うIPアドレスを求めること。
IPアドレスから、同じLAN内の機器のMACアドレスを調べるプロトコル。
⚠ DNS(名前→IPアドレス)。ARPの出発点はIPアドレス。
タイムサーバを基準に、ネットワーク上の機器の時計を合わせるプロトコル。
⚠ NNTP(T=Transfer、ニュース転送)、RTP(T=Transport、音声・映像の転送)。T が Time なのはNTPだけ。
正確な時刻を保持し、NTPで他の機器に時刻を配るサーバ。
ネットニュースの記事を転送するプロトコル。
⚠ NTP(時刻同期)。Nが1つ多い方がニュース。
音声や映像をリアルタイムで転送するためのプロトコル。
⚠ NTP(時刻同期)。Real-time(リアルタイム)という語に引っぱられて時刻と取り違えない。
ネットワーク機器の構成や障害の情報を集めて監視・管理するプロトコル。
⚠ SMTP(メール送信)。SNMPのNMはNetwork Management。
SNMPで管理される、各ネットワーク機器がもつ管理情報のデータベース。
⚠ MIBの定期取得による監視はSNMPの説明であり、SDNの説明ではない。
無線LANやVPNに接続する利用者を認証するための認証サーバの仕組み。
⚠ DES(暗号方式)、IDS(侵入検知)、DNS(名前解決)。「利用者の認証」ならRADIUS。
ネットワークを流れるパケットを取り込んで内容を表示する、障害調査用の装置やソフトウェア。
⚠ パケットを破棄したりケーブルを抜いたりはしない。中身が見えるので盗聴に悪用されないよう管理が必要。
スイッチの他のポートを流れる通信のコピーを出力するポート。
経路を決める制御機能とデータの転送機能を論理的に分離し、ソフトウェアでネットワーク全体を集中制御する技術。
⚠ NFV(ネットワーク機能を仮想環境で動かす)、SNMP(機器の監視)、ルーティングプロトコル(機器どうしで経路を決める)。
SDNを実現する代表的なプロトコルで、ONFが標準化を進めている。
⚠ SNMPやスパニングツリープロトコルはSDNの規格ではない。
SDNで経路制御を担い、転送機能をもつスイッチなどを一元的に管理するソフトウェア。
このレッスンの過去問
- DHCPの機能平成28年度 秋期 基本情報技術者試験 午前 問32
- DNSの名前解決機能平成30年度 秋期 基本情報技術者試験 午前 問33
- NTPの用途(時刻同期)平成26年度 秋期 基本情報技術者試験 午前 問35
- NTPによる時刻ずれの計算平成28年度 秋期 基本情報技術者試験 午前 問34
- SNMPによるネットワーク機器の管理基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20260614 実施分 問26
- RADIUSによる認証サーバ平成21年度 秋期 基本情報技術者試験 午前 問40
- ネットワーク障害調査用アナライザの留意点平成27年度 秋期 基本情報技術者試験 午前 問41
- SDN(OpenFlow)の定義平成31年度 春期 基本情報技術者試験 午前 問35