監査証拠と監査調書
監査証拠(被監査部門から入手した客観的な資料)と監査調書(監査人が残す作業記録)を区別できるようになる。ヒアリング(聞き取り)の問題で「裏付けとなる文書や記録を入手する」を迷わず選べるようになる。
システム監査の問題は「監査人が自分で作った書類」と「相手からもらった資料」を混ぜた選択肢で引っかけてきます。ヒアリング時の対処は本試験系だけで5回出ている定番なので、型を覚えれば確実に1点取れます。
このレッスンで稽古する(用語チェック・過去問)結論:証拠は「相手からもらう」、調書は「自分で書く」
監査証拠は、監査人が被監査部門(監査を受ける側の部署)から入手した、運用記録などの客観的な資料です。監査調書は、監査人が「何を調べて何が分かったか」を書き残した作業記録で、監査意見の根拠になります。
たとえると、監査証拠は刑事が現場で押収した「証拠品」、監査調書は刑事の「捜査メモ」です。メモがあるから、最後の結論(監査意見)に筋の通った説明がつきます。
flowchart LR
A["被監査部門の資料・記録"] -->|"入手"| B["監査証拠"]
B -->|"手続と結果を記録"| C["監査調書"]
C -->|"根拠にする"| D["監査意見"]
D --> E["監査報告書"]
ヒアリングで聞いた話は「裏付け」を取る(最頻出)
ヒアリング(インタビュー)で聞いた話は、それだけでは証拠として弱いです。監査人は裏付けとなる文書や記録を入手するよう努めるのが正解です。「担当者が『毎日バックアップしています』と言った」なら、バックアップの実行ログを見せてもらう、というイメージです。
この問題は選択肢がほぼ毎回同じ4パターンです。正解以外の3つがなぜダメかを覚えれば即答できます。
| 選択肢のパターン | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 得た情報を裏付ける文書や記録を入手する | ○ | 話だけでなく客観的な証拠で確かめるのが監査の基本 |
| 気付いた不備をその場で改善を指示する | × | 監査人は指示しない。改善は報告書で勧告(提案)する |
| 監査経験のある管理者/業務に精通した管理者だけを対象に選ぶ | × | 相手の経歴で対象者を絞る理由はない。必要な人に聞く |
| 記録に相違が出るので1人で行う | × | 1人だと聞き漏れ・思い込みが増える。複数人のほうが確実 |
監査調書は「実施記録+意見の根拠」
監査調書の正解は毎回「監査手続の実施記録であり、監査意見の根拠となる」です。監査手続とは、資料を見る・聞く・突き合わせるなど、証拠を集めるための具体的な作業のことです。
誤りの選択肢は次の3種類で固定です。
- 監査人のセキュリティ誓約書をまとめたもの → 調書ではない
- 利用した基準書・ガイドラインをまとめたもの → 調書ではない
- 監査報告書と一緒に公表が義務付けられている → 調書は監査人側で保存する内部資料で、公表義務はない
「監査証拠になるもの」の見分け方
誰が作った書類かで判定します。監査チーム自身が作ったものは証拠にならない、と覚えれば十分です。
| 書類 | 作った人 | 監査証拠? |
|---|---|---|
| 被監査部門から入手したシステム運用記録 | 被監査部門 | ○ |
| 監査意見を取りまとめるミーティングの議事録 | 監査チーム | × |
| 監査報告書に書いた指摘事項 | 監査チーム | × |
| 個別監査計画書 | 監査チーム | × |
監査を受ける側の正しい姿勢(出題少)
監査は評価や助言をもらえる機会なので、受ける側は検討内容や決定手続などの情報を整理して協力します。同じ会社の監査人でも、監査対象部門から独立していれば問題はなく、コストパフォーマンス(費用対効果)も監査の対象になりえます。
要点(試験直前に読む)
- 監査証拠=被監査部門から入手した客観的資料(例:システム運用記録)
- 監査チームが自分で作った書類(議事録・報告書の指摘事項・個別監査計画書)は証拠ではない
- ヒアリングで得た情報は、裏付けとなる文書や記録を入手して確かめる
- 監査調書=監査手続の実施記録で、監査意見の根拠。公表義務はない
- 監査人は改善を「指示」しない。報告書で「勧告」する
- 監査を受ける側は検討内容や決定手続を整理して協力する
ひっかけ
- 「その場で改善を指示する」は誤り。監査人は命令する立場ではなく、改善は報告書で勧告する
- 「1人で行う」「経験者や精通者を対象に選ぶ」はもっともらしいが誤り。正解は必ず「裏付けとなる文書や記録を入手」
- 監査調書の問題で「誓約書」「基準書・ガイドライン集」「報告書と一緒に公表を義務付け」が出たら誤り。正解は「実施記録・意見の根拠」
- 監査証拠の問題は「誰が作ったか」で判定する。監査チームが作成したものは全部外す
- 「同じ企業の監査人は独立性がない」「コストは対象外」は誤り
用語(12)
監査人が監査意見の裏付けとして被監査部門から入手する運用記録などの客観的な資料。
⚠ 監査調書と混同しやすい。証拠は相手からもらうもので、調書は監査人が自分で書く記録。
監査人が行った監査手続とその結果を書き残した記録で、監査意見の根拠となるもの。
⚠ 監査報告書と混同しやすい。報告書は結論を依頼者に伝える文書で、調書は監査人側で保存する作業記録(公表義務はない)。
資料の閲覧、ヒアリング、突き合わせなど、監査証拠を集めるための具体的な作業。
監査証拠にもとづいて監査人が下す評価・結論。
監査の結論(監査意見・指摘事項・改善勧告)を依頼者に伝える文書。
⚠ 報告書に書いた指摘事項は監査人が作ったものなので監査証拠にはならない。
個々の監査について対象・手続・日程などを定めた、監査人が作る計画書。
⚠ 監査人が作成した書類なので監査証拠ではない。
監査を受ける側の部署。
被監査部門の担当者に質問して情報を得る監査手続。
⚠ 聞いた話はそれだけでは弱いので、文書や記録で裏付けを取る。
聞いた話が事実かどうかを文書や記録で確かめること。
監査で見つかった問題点として報告書に記載する内容。
⚠ 監査人が書くものなので監査証拠ではない。
監査人が報告書で改善を提案すること。実際に改善するのは被監査部門。
⚠ 「改善指示」と混同しやすい。監査人は命令しない。その場での指示は役割外。
監査人が監査対象から利害関係や上下関係の面で切り離されていること。
⚠ 同じ会社の監査人でも、対象部門から独立していれば監査はできる。
このレッスンの過去問
- 監査証拠の定義(被監査部門から入手した資料)基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20190609 実施分 問60
- システム監査ヒアリング時の対処(証拠による裏付け)平成31年度 春期 基本情報技術者試験 午前 問58
- 監査調書の定義平成29年度 秋期 基本情報技術者試験 午前 問60
- システム監査を受ける際の被監査側の姿勢基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 200906 実施分 問51