ネットの決済・フィンテックと共有型サービス
デビットカードなどの決済方式、エスクロー、アカウントアグリゲーション、マイニング、クラウドファンディング/クラウドソーシング、シェアリングエコノミーの定義を選択肢から正しく選べるようになる。エスクローの取引の順番を図から埋められるようになる。
ネットのお金と共有のサービスは、科目Aで「〜の説明はどれか」という定義問題として毎回のように出ます。どれも似た名前の別の仕組みを選択肢に並べてくるので、用語を区別できれば確実に取れる点です。
このレッスンで稽古する(用語チェック・過去問)電子決済の方式:いつ口座からお金が出るか
決済の方式は 「お金がいつ動くか」 で見分けます。デビットカードは、使った瞬間に銀行の預金口座から引き落とされる 即時払い です。クレジットカードは後払い、電子マネー(プリペイド型)は先にチャージする前払いです。
| 方式 | 支払のタイミング | ひと言で |
|---|---|---|
| デビットカード | 即時(利用時に預金口座から引落し) | 口座直結 |
| クレジットカード | 後払い(後日まとめて請求) | ツケ払い |
| 電子マネー(プリペイド型) | 前払い(先にチャージした残高から払う) | 電子の財布 |
過去問では「カード内で残高管理を行い、財布のように利用できる」という選択肢が電子マネーの説明として混ぜられました。デビット=預金口座から即時引落し と覚えれば十分です。
エスクローサービス:第三者がお金を預かる
エスクロー とは、売り手と買い手の間に信頼できる第三者が入り、代金を一時的に預かる仕組みです。買い手は「お金を払ったのに商品が来ない」、売り手は「商品を送ったのにお金が来ない」という不安を、ネットオークションなどで同時に解消できます。肝心なのは、買い手が商品を受け取ったと通知してから、はじめて売り手にお金が渡る 点です。
たとえるなら、知らない人と中古品を売り買いするときに、共通の知人にいったんお金を預けておき、品物が届いたのを確認したら知人から売り手に渡してもらうようなものです。
| 順番 | 向き | 行為 |
|---|---|---|
| ① | 売り手 ⇔ 買い手 | 売買の成立 |
| ② | 買い手 → エスクロー会社 | 代金の払込み(預ける) |
| ③ | エスクロー会社 → 売り手 | 代金の入金通知(預かったので発送してよい) |
| ④ | 売り手 → 買い手 | 商品の発送 |
| ⑤ | 買い手 → エスクロー会社 | 商品受領の通知 |
| ⑥ | エスクロー会社 → 売り手 | 代金の支払 |
「エスクローの説明はどれか」という問われ方では、ほかの安全対策が選択肢に並びます。第三者機関による個人情報保護の監視(プライバシーマークのような仕組み)、送信元メールの認証、カード情報の暗号化と認証局による店の確認(SSL/TLS)は、どれも 決済を仲介していない ので誤りです。
フィンテックとアカウントアグリゲーション
フィンテック(FinTech) は金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語で、ITを使った新しい金融サービスの総称です。その一つの アカウントアグリゲーション は、複数の銀行や証券会社のIDとパスワードを登録しておき、口座の取引情報を一つの画面にまとめて表示するサービスです。身近な例は、複数の銀行口座やカードの明細を自動で取り込む家計簿アプリです。
| サービス | 中身 |
|---|---|
| アカウントアグリゲーション | 複数の金融機関の口座情報を 一括表示 |
| 資金移動業者による送金 | 銀行以外の登録業者が送金サービスを提供 |
| 電子記録債権 | 手形を電子化したもの。分割して譲渡できる |
| 後払い決済 | 購入者の与信をして代金を立て替える |
ブロックチェーンとマイニング
ブロックチェーン は、取引の記録をまとめた「ブロック」を鎖のようにつなぎ、多数の参加者で同じ記録を共有する仕組みです。仮想通貨(暗号資産)の取引記録はこの仕組みで管理されています。マイニング は、取引が正しいかを確認して記録するための計算作業に参加し、その報酬として仮想通貨を受け取ることです。
名前の由来は金の採掘(mining)です。計算作業という労力を払うと、新しい通貨が掘り出されるように報酬として手に入るので、こう呼ばれます。
| 行為 | マイニングか |
|---|---|
| 取引の確認・記録の計算に参加し、報酬 として仮想通貨を得る | ○ マイニング |
| 仮想通貨を売買して値上がり益(キャピタルゲイン)を得る | × 投資・売買 |
| 個人や組織に仮想通貨で送金する | × 送金 |
| 店で仮想通貨を使って支払う | × 決済 |
クラウドファンディングとクラウドソーシング
どちらもネット上の不特定多数の人(crowd=群衆)を相手にする仕組みですが、集めるものが違います。クラウドファンディング は、Webで公開したプロジェクトに賛同した人々から小口の 資金 を集める仕組みで、出資者は製品や権利などのリターンを期待します。クラウドソーシング は、発注者がネットで業務内容と条件を告知して、仕事の受け手 を募集する仕組みです。
| 用語 | 集めるもの | 見分け方 |
|---|---|---|
| クラウドファンディング | お金(小口資金) | funding=資金調達 |
| クラウドソーシング | 人(業務の受注者) | sourcing=外部に仕事を出す |
| アフィリエイト | (成果報酬の仕組み) | 広告経由で売れたら、サイト運営者に報酬 |
| アカウントアグリゲーション | (情報の一括表示) | 複数の金融機関の口座をまとめて表示 |
| ネットオークション | (入札者) | 入札者が価格を競って落札 |
| 電子マネー | (決済手段) | デジタルデータ化したお金で払う |
クラウドファンディングの問題では、上の表の下4つがそのまま誤りの選択肢として並びました。「資金」が出てきたらファンディング、「業務」「発注」「受注者」が出てきたらソーシングです。
シェアリングエコノミー
シェアリングエコノミー は、個人が持っている使っていない資産(空き部屋、車、駐車場、スキルなど)を、主に個人同士がネットを通じて共有したり貸し借りしたりする仕組みです。キーワードは 「個人の遊休資産」 と 「共有・貸し借り」 です。
| 選択肢に出る説明 | 正体 |
|---|---|
| SNSのコミュニティなどを使い、個人同士で遊休資産を共有・貸し借りする | シェアリングエコノミー |
| ITの活用で経済全体の生産性が高まり、インフレなき成長が続くという考え方 | ニューエコノミー |
| ITで再生可能エネルギーや都市基盤を効率よく管理・運営し、生活の質を高める | スマートシティ |
| 実店舗販売とネット販売を組み合わせ、連携して売上を伸ばす | オムニチャネル |
エスクローの⑤に入る行為を埋める
ア 商品受領の通知
イ 商品の発送
ウ 代金の支払
エ 代金の入金通知
解き方と答えを見る
- 矢印の向きを確認する。⑤は「買い手 → エスクローサービス会社」の行為。
- 原則を思い出す。エスクロー会社は代金を預かり、買い手が商品を受け取ったことを確認してから売り手に支払う。
- ②で買い手が代金を預けた後の③(会社 → 売り手)は「代金の入金通知」。お金を預かったので発送してよいという合図になる。
- ④(売り手 → 買い手)は「商品の発送」。
- ⑤(買い手 → 会社)は、商品が届いたことを知らせる「商品受領の通知」。
- ⑥(会社 → 売り手)が最後の「代金の支払」。受領の通知(⑤)があって初めて支払(⑥)が起きる。
答え:ア(商品受領の通知)
要点(試験直前に読む)
- デビット=預金口座から即時に引落し。クレジット=後払い、電子マネー(プリペイド型)=前払い。
- エスクロー=第三者が代金を預かる。流れは「入金通知 → 商品の発送 → 商品受領の通知 → 代金の支払」。
- アカウントアグリゲーション=複数の金融機関の口座情報を一括表示する。
- マイニング=取引の確認・記録の計算作業に参加し、報酬として仮想通貨を得る。
- クラウドファンディング=お金を集める。クラウドソーシング=仕事の受注者を集める。
- シェアリングエコノミー=個人の遊休資産を個人同士で共有・貸し借りする。
ひっかけ
- デビットカードの問題で「残高をカード内で管理」(電子マネー)や「後払い」(クレジット)を選ばせる。「預金口座から即時」だけが正解。
- エスクローの順番の問題では、⑤(買い手 → 会社)に「代金の支払」を入れたくなる。支払は会社 → 売り手の⑥。矢印の向きで判断する。
- エスクローの定義の問題では、暗号化や認証などの安全対策を並べてくる。「決済を仲介し、受渡し完了後に送金」しているかで見破る。
- マイニングの問題では、売買益・送金・決済を混ぜてくる。「計算作業に参加して報酬」以外はすべて誤り。
- クラウドファンディングとクラウドソーシングは、同じ問題の選択肢に互いが入っている。「資金」か「業務の発注」かで判断する。
用語(17)
使った金額がその場で預金口座から引き落とされる、即時払いのカード。
⚠ クレジットカードは後払い、プリペイド型の電子マネーは前払い。「預金口座から即時」ならデビット。
カード会社が代金を立て替え、利用者が後日まとめて支払う後払いのカード。
⚠ デビットカードとの違いは支払のタイミング(後払いか即時か)。
お金をデジタルデータにして支払に使う仕組み。プリペイド型は先にチャージした残高から払う。
⚠ 「カード内で残高を管理し、財布のように使える」はデビットではなく電子マネーの説明。
第三者が買い手から代金を預かり、商品の受取りが確認された後に売り手へ支払う決済の仲介サービス。
⚠ プライバシーマーク、送信元メールの認証、SSL/TLSによる暗号化はどれも安全対策だが、決済を仲介しないのでエスクローではない。
ITを活用した新しい金融サービスの総称。
複数の金融機関のIDやパスワードを登録しておき、口座の取引情報を一つの画面にまとめて表示するサービス。
⚠ クラウドファンディングの問題でも誤りの選択肢として出る。「複数の口座を一括表示」が目印。
銀行以外で、登録を受けて送金サービスを提供できる事業者。
⚠ アカウントアグリゲーションの問題の誤りの選択肢。送金ならこちら。
手形などの債権を電子的に記録したもので、一部を分割して譲渡できる。
⚠ アカウントアグリゲーションの問題の誤りの選択肢。「電子手形」「分割して譲渡」ならこちら。
取引記録のまとまりを鎖のようにつなぎ、多数の参加者で同じ記録を共有して管理する仕組み。
仮想通貨の取引の確認・記録のための計算作業に参加し、その報酬として仮想通貨を得ること。
⚠ 仮想通貨の売買益(キャピタルゲイン)、送金、店での決済と混同させられる。「計算作業」「報酬」が目印。
資産を買ったときより高く売って得る値上がり益。
⚠ マイニングの問題の誤りの選択肢。売買による利益はマイニングではない。
Webで公開したプロジェクトに賛同する不特定多数の個人から、小口の資金を集める仕組み。
⚠ クラウドソーシングは「仕事の受注者」を集める。お金を集めるならファンディング。
発注者がネットで業務内容と条件を告知し、不特定多数の人から受注者を募集する仕組み。
⚠ クラウドファンディングは「資金」を集める。業務の発注ならソーシング。
Webサイトの広告経由で商品が売れたとき、広告主がサイト運営者に成果報酬を支払う仕組み。
⚠ クラウドファンディングの問題の誤りの選択肢。「成果報酬」が目印。
個人が持つ使っていない資産を、主に個人同士がネットを通じて共有したり貸し借りしたりする仕組み。
⚠ ニューエコノミー、スマートシティ、オムニチャネルと並べられる。「個人の遊休資産を共有・貸し借り」が目印。
ITで再生可能エネルギーや都市基盤を効率よく管理・運営し、住民の生活の質と持続的な発展を目指す都市。
⚠ シェアリングエコノミーの問題の誤りの選択肢。「都市」「エネルギー」「インフラ」が目印。
実店舗とネット販売などの販売経路を連携させ、どの経路でも同じように買えるようにして売上を伸ばす仕組み。
⚠ シェアリングエコノミーの問題の誤りの選択肢。「実店舗とネット販売の連携」が目印。
このレッスンの過去問
- 電子決済の方式(デビットカード・クレジットカード・電子マネー)平成21年度 春期 基本情報技術者試験 午前 問73
- エスクローサービスの取引モデル平成26年度 春期 基本情報技術者試験 午前 問72
- フィンテックのアカウントアグリゲーション基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20260726 実施分 問55
- ブロックチェーンマイニングの定義令和元年度 秋期 基本情報技術者試験 午前 問71
- クラウドファンディングの定義令和元年度 秋期 基本情報技術者試験 午前 問72
- クラウドソーシングの定義基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20240728 実施分 問55
- シェアリングエコノミーの定義平成31年度 春期 基本情報技術者試験 午前 問73