電子商取引の形態と企業間のデータ交換
EC・EDI・XBRL・eマーケットプレイス・逆オークションなど、電子商取引と企業間データ交換の用語を、説明文の選択肢から正しく選べるようになる。とくにEDIの4つの規約のうち、どれが何を決めるかを区別できるようになる。
ネット上の取引や企業間のデータ交換は、どの業界のシステムにも出てくる土台の話です。試験では「説明文を読んで用語を選ぶ」形でよく出て、ひっかけの選択肢には別の用語の正しい説明が並びます。
このレッスンで稽古する(用語チェック・過去問)結論:ECは「ネットで商売すること」全体、EDIは「企業同士の伝票データ交換」
**EC(電子商取引)**は、消費者向けでも企業間でも、商取引をインターネットなどのネットワーク上で行うこと全般を指します。EDIはその中でも、企業間で受発注や請求などのデータを、決まった規約に沿ってコンピュータ同士でやり取りする仕組みです。
このレッスンで覚える用語は、次の3つのグループに分かれます。
- 企業間データ交換:EDI・EDIの4つの規約・XBRL
- ネット上の取引の形:eマーケットプレイス・逆オークション・B to B などの区分
- お店の形:クリックアンドモルタル・フランチャイズチェーン
ECの定義:ほかの経営手法と混ぜないこと
ECの問題は、**「商取引を電子的なネットワークで行う」**と書かれた選択肢を選べば正解です。ひっかけには、ITを使う別の経営手法の説明が並びます。
| 用語 | 一言で | 見分けるキーワード |
|---|---|---|
| EC | ネット上で商取引をする | 「商取引」「電子的なネットワーク」 |
| SFA | 営業活動をITで支援する | 「営業の効率と品質」 |
| リテールサポート | メーカや卸が小売店の経営を手伝う | 「小売店の経営活動を支援」 |
| ERP | 会社全体の資源をまとめて計画・管理する | 「経営資源を総合的に」 |
EDI:企業間で「同じ書式の伝票」を機械同士でやり取りする
**EDI(Electronic Data Interchange:電子データ交換)**は、企業同士が受発注・出荷・請求などのデータを、標準的な規約に沿ってネットワーク経由でコンピュータ間で交換する仕組みです。人が紙の伝票を書いてFAXする作業を、システム同士の自動的なやり取りに置き換えます。
たとえるなら、取引先ごとに書き方が違う注文書をやめて、業界共通の注文書フォーマットを決めるようなものです。書式が共通なので、受け取った側のシステムがそのまま読み込めます。
試験では、EDIの説明文の横に通信まわりの別サービスの説明が並びます。
| 用語 | 一言で | 見分けるキーワード |
|---|---|---|
| EDI | 企業間の取引データを標準規約で交換する | 「商取引のデータ」「標準的な規約」「コンピュータ間」 |
| VAN(付加価値通信網) | データの蓄積や形式変換などを加えた通信サービス | 「付加価値」「フォーマット変換」 |
| EOS(電子発注システム) | 端末から発注情報を入れて本部や仕入先に送る | 「発注」「データエントリ端末」 |
| MHS(メッセージ通信処理システム) | OSIに基づく電子メールサービスの規格 | 「電子メール」「OSI」 |
| CA(認証局) | デジタル証明書を発行する機関 | 「証明書」 |
| SSL/TLS | 通信を暗号化する仕組み | 「暗号化」 |
| XBRL | 財務情報を記述するための言語 | 「財務情報」「XML」 |
「企業間でデータ交換する仕組みはどれか」と問われたらEDIです。CA・SSL・XBRLもECに関係する用語ですが、役割が違います。
EDIの4つの規約:「何を決めるか」で区別する
EDIを始めるには、取引する企業同士で4種類の取決め(規約)をそろえます。試験で一番よく問われるのは情報表現規約=メッセージの形式です。
| 規約 | 何を決めるか | たとえ |
|---|---|---|
| 情報伝達規約 | 通信回線の種類、伝送制御手順(通信の手順) | 線をつなぐ |
| 情報表現規約 | メッセージの形式、データのコードなど、互いのコンピュータが内容を理解できるようにする決まり | 書式を合わせる |
| 業務運用規約 | システムの運用時間、障害時の対応など業務の進め方 | 運用を決める |
| 取引基本規約 | 取引の契約内容、法的な有効性 | 契約する |
表の上から順に「線をつなぐ → 書式を合わせる → 運用を決める → 契約する」と覚えます。この並びは覚えやすさのためのもので、規約同士に上下関係があるわけではありません。
EDIFACT(JIS X 7011)は、国際的に使われるEDIの標準で、標準メッセージなどデータの表し方を定めています。つまり情報表現規約の側に入ります。「回線や伝送手順」「運用の取決め」「契約書」を説明した選択肢は、ほかの3つの規約のことなので選びません。
XBRL:財務情報のためのXML
**XBRL(eXtensible Business Reporting Language)**は、XMLを財務情報の交換に応用したデータ記述言語です。決算書の「売上高」「純利益」などの項目に共通のタグを付けるので、どの会社の財務データでもシステムで集計・比較できます。
XMLは、データの意味や構造をタグで書き表すためのマークアップ言語(タグで印を付ける言語)です。XBRLは、そのXMLの書き方を財務報告向けに決めたものです。
| 用語 | 何のためのものか |
|---|---|
| XBRL | 財務情報をやり取りするための言語(XMLベース) |
| XML | データの構造を記述するマークアップ言語(汎用) |
| HTML | Webページを記述する言語 |
| レイアウトやフォントまで保ったまま文書を表示する形式 |
選択肢に**「XML」と「財務」が両方入っていればXBRL**です。
ネット上の取引の形:だれが条件を出すかに注目
逆オークションは、買い手が欲しい品物と条件(価格など)を出し、売り手がそれに応じる取引です。普通のオークションは売り手が品物を出して買い手が値を競いますが、逆オークションは向きが逆になります。たとえるなら、「この予算でこれを作ってくれる人」と依頼主が募集し、業者が名乗り出る形です。
eマーケットプレイスは、ネット上に開かれた市場で、たくさんの売り手とたくさんの買い手が出会い、問屋など中間の業者を通さずに直接取引する仕組みです。
| 用語 | 一言で | 見分けるキーワード |
|---|---|---|
| 逆オークション | 買い手が条件を出し、売り手が応じる | 「買いたい品物と購入条件を提示」 |
| eマーケットプレイス | ネット上の市場で多数の売り手・買い手が直接取引する | 「多くの売手と買手」「中間流通業者を介さず」 |
| バーチャルモール | 複数のネットショップが集まった商店街 | 「仮想商店街」 |
| B to B | 企業と企業の取引 | 取引する主体の組合せ |
| B to C | 企業と消費者の取引 | 取引する主体の組合せ |
| C to C | 消費者同士の取引(フリマなど) | 取引する主体の組合せ |
| G to C | 行政と市民の間のやり取り | 取引する主体の組合せ |
| O2O | ネットで集客し、実店舗に来てもらう | 「実世界の店舗に誘導」 |
| SCM | 調達から販売まで、取引先と情報を共有して全体を最適化する | 「原材料の調達から製品の流通まで」 |
B to B・G to Cなどは「だれとだれが取引するか」の区分で、条件をだれが出すかは表しません。
お店の形:クリックアンドモルタルとフランチャイズチェーン
クリックアンドモルタルは、実店舗とネット販売の両方を持つ企業です。クリック(ネット)とモルタル(建物の壁)を組み合わせた言葉です。
| 用語 | 販売の場 |
|---|---|
| クリックアンドモルタル | 実店舗+ネット |
| ブリックアンドモルタル | 実店舗だけ(ブリック=れんが) |
| ドットコム企業 | ネットだけ |
フランチャイズチェーンは、本部が加盟店から対価(ロイヤルティ)を受け取り、商標を使う権利と経営指導を提供する形です。
| 用語 | だれが中心か |
|---|---|
| フランチャイズチェーン | 本部が加盟店に商標の使用権と指導を与え、対価を受け取る |
| ボランタリーチェーン | 卸売業者が中心になり、独立した小売店が自分から参加する |
| コーペラティブチェーン | 小売店同士が集まって組織をつくり、共同で仕入れなどをする |
要点(試験直前に読む)
- EC=商取引をネットワーク上で行うこと全般。EDI=企業間の取引データを標準規約に沿ってコンピュータ同士で交換すること。
- EDIの4つの規約:情報伝達(回線・伝送手順)/情報表現(メッセージ形式)/業務運用(運用時間)/取引基本(契約)。最頻出は「情報表現規約=メッセージの形式」。
- EDIFACT(JIS X 7011)は標準メッセージを定めるもので、情報表現規約の側に入る。
- XBRL=XMLを財務情報の交換に応用した言語。「XML+財務」で即決。
- 逆オークション=買い手が条件を出し、売り手が応じる。eマーケットプレイス=多数の売り手と買い手が中間業者なしで直接取引する。
- クリックアンドモルタル=店舗+ネット。フランチャイズ=本部が対価を受け取り、商標の使用権と経営指導を与える。
ひっかけ
- EDIの説明問題では、VAN(付加価値通信サービス)・EOS(端末からの発注)・MHS(電子メール規格)の説明が並ぶ。「商取引のデータ」と「標準的な規約」の両方が入った選択肢を選ぶ。
- 情報表現規約の問題では、伝送制御手順(情報伝達規約)・運用時間(業務運用規約)・契約内容(取引基本規約)が並ぶ。「形式」「お互いのコンピュータで理解できる」がキーワード。
- 逆オークションの問題では、B to B・G to C・バーチャルモールが並ぶ。これらは取引主体や店の形の区分で、「買い手が条件を提示する」という意味は持たない。
- eマーケットプレイスの問題では、O2O(実店舗へ誘導)・SCM(調達から流通の全体最適)・EDI(データ形式の統一)が並ぶ。「多くの売手と買手」「中間流通業者を介さず」が決め手。
- フランチャイズの問題では、ボランタリーチェーン(卸売業者が主導)とコーペラティブチェーン(小売店同士が主宰)が並ぶ。「本部が対価を徴収して商標を使わせる」ならフランチャイズ。
用語(16)
消費者向けや企業間の商取引を、インターネットなどの電子的なネットワークを使って行うこと。
⚠ SFA(営業支援)やERP(経営資源の統合管理)と混同しやすい。ECの説明には「商取引」と「ネットワーク」が入っている。
企業間の受発注や請求などの取引データを、標準的な規約に沿ってネットワーク経由でコンピュータ同士がやり取りする仕組み。
⚠ VANは「付加価値を加えた通信サービス」、EOSは「端末から発注するシステム」。EDIの説明には「標準的な規約」「データ交換」が入っている。
EDIで、メッセージの形式やデータのコードなど、互いのコンピュータがデータを理解できるようにするための取決め。
⚠ 伝送制御手順は情報伝達規約、運用時間は業務運用規約、契約内容は取引基本規約が決める。
EDIで、通信回線の種類や伝送制御手順など、データを送り届ける方法についての取決め。
⚠ 「メッセージの形式」は情報表現規約。伝達規約は通信の手順だけを決める。
EDIで、システムの運用時間や障害時の対応など、業務とシステムの運用についての取決め。
⚠ 契約や法的有効性は取引基本規約が決める。
EDIで、取引の契約内容や電子データの法的な有効性についての取決め。
⚠ 業務運用規約(運用時間など)と混同しやすい。「契約」「法的」と書かれていれば取引基本規約。
国際的に使われるEDIの標準で、標準メッセージなどデータの表し方を定めたもの。
⚠ 回線や伝送手順の取決めではない。情報表現規約の側に入る。
データの蓄積やフォーマットの変換などのサービスを、通信に上乗せして提供するネットワークサービス。
⚠ EDIは「データ交換の仕組みそのもの」。VANはそれを支える通信サービス。
店舗の端末から発注データを入力し、本部や仕入先に送って発注するシステム。
⚠ EDIは受発注を含む取引データ全般を標準規約で交換する仕組みで、EOSより範囲が広い。
XMLを財務情報の交換に応用した、財務報告用のデータ記述言語。
⚠ XMLそのもの(汎用のマークアップ言語)、HTML、PDFと混同しやすい。「財務情報」が入っていればXBRL。
データの意味や構造をタグで書き表すための汎用のマークアップ言語。
⚠ 財務情報向けに応用したものがXBRL。
ネット上の市場で、多数の売り手と買い手が中間業者を通さずに直接取引する仕組み。
⚠ バーチャルモールはネットショップが集まった商店街、O2Oはネットから実店舗へ人を誘導する手法、SCMは調達から流通までの全体最適。
買い手が欲しい品物と条件を出し、売り手がそれに応じる取引形態。
⚠ B to B、G to Cは取引主体の組合せの区分、バーチャルモールは店の集まり。「買い手が条件を提示」なら逆オークション。
電子商取引を、取引する主体(企業・消費者・行政)の組合せで分けた呼び方。
⚠ 取引の進め方(だれが条件を出すか)は表さないので、逆オークションの問題では正解にならない。
実店舗での販売とネット販売の両方を行う企業。
⚠ ブリックアンドモルタルは実店舗だけ、ドットコム企業はネットだけ。
本部が加盟店から対価を受け取り、商標の使用権を与えて経営指導・援助を行う組織形態。
⚠ ボランタリーチェーンは卸売業者が中心で小売店が自分から参加する形、コーペラティブチェーンは小売店同士が共同で組織をつくる形。
このレッスンの過去問
- EC(電子商取引)の定義基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20110702 実施分 問71
- EDIの定義平成25年度 秋期 基本情報技術者試験 午前 問72
- EDIの情報表現規約(メッセージ形式)平成28年度 秋期 基本情報技術者試験 午前 問74
- XBRLの定義平成22年度 秋期 基本情報技術者試験 午前 問71
- eマーケットプレイスの定義平成27年度 春期 基本情報技術者試験 午前 問74
- 逆オークションの定義平成28年度 春期 基本情報技術者試験 午前 問73
- クリックアンドモルタル企業の定義基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 200907 実施分 問72
- フランチャイズチェーンの定義平成23年度 特別試験 基本情報技術者試験 午前 問69