ネット時代のマーケティングとメディア
ロングテール・アフィリエイト・SEO・行動ターゲティング・O2O・CGM・ディジタルサイネージなど、ネットのマーケティング用語を説明文から当てられるようになる。とくに、よく似た説明が並ぶ選択肢から正解を選び分けられるようになる。
このテーマは「〇〇の説明はどれか」という用語当ての問題がほとんどで、覚えれば確実に取れる得点源です。ほかの選択肢にも別のネット用語の正しい説明が並ぶので、1問解くたびに3〜4語まとめて覚えられます。
このレッスンで稽古する(用語チェック・過去問)結論:このレッスンは「説明文→用語」の対応表を頭に入れれば勝てる
このテーマに計算問題はありません。出題は用語の説明を4つ並べて、1つを選ばせる形だけです。
ほかの3つの選択肢も、別の用語の正しい説明になっていることがほとんどです。なので「この説明はあの用語のこと」と言い当てられれば、消去法でも解けます。
出題回数が多いのはロングテール(合計16回)とCGM(合計10回)です。この2つを最優先で覚えましょう。
ロングテール:売れない商品の「合計」が効いてくる(最頻出)
ロングテールとは、ネット販売で、1つ1つはあまり売れない商品でも、全部合わせると売上全体のなかで無視できない割合になる現象のことです。売れ行き順に商品を並べてグラフにすると、売れない商品が恐竜の長い尻尾(tail)のように右へ伸びるので、この名前があります。
たとえ:駅前の本屋は棚が限られるので、ベストセラーしか置けません。ネット書店には棚の制限がないので、年に数冊しか売れない専門書を10万種類並べられます。その10万種類の売上を足すと、ベストセラーに匹敵します。
戦略として成り立たせる条件
ロングテールで稼ぐには、次の2つが要ります。
- 品ぞろえが豊富なこと:めったに売れない商品も置いて、売り逃し(機会損失)を減らす
- 在庫と配送のコストが低いこと:大規模な物流センタなどで、1点あたりの保管費・配送費を下げる
令和7年度の科目Aでは「成功させるための施策はどれか」が問われ、正解は「豊富な品ぞろえ+在庫・配送費用を抑える物流センタ」でした。有名ブランドだけを集める、生活必需品に絞って広く浅く置く、といった売れ筋を中心にした施策はひっかけです。
経済の法則と見分ける
| 用語 | 中身 | キーワード |
|---|---|---|
| ロングテール | 売れない商品の売上合計が無視できない。幅広く品ぞろえして機会損失を減らす | 販売機会が少ない商品・アイテム数を幅広く |
| パレートの法則 | 売上の80%は上位20%の売れ筋商品から生まれる(80:20の法則) | 80:20・上位20% |
| 範囲の経済 | 複数の事業で経営資源を共有すると、別々に営むよりコストが下がる | 複数の事業活動・経営資源の共有 |
| ネットワーク外部性 | 加入者が増えるほどネットワークの価値が上がる(価値は加入者数の2乗に比例、という説明が典型) | 加入者数の2乗 |
パレートの法則は上位の売れ筋に注目し、ロングテールは下位の売れない商品の合計に注目します。見ている場所が正反対です。
同じ問題に並ぶEC用語
| 用語 | 中身 |
|---|---|
| ロングテール | 売れない商品の売上合計が無視できない割合になる |
| CMS(Contents Management System) | Webサイトの文章や画像を、まとめて管理・配信する仕組み |
| アフィリエイト | 自分のサイトに広告リンクを貼り、そこ経由で売れたら紹介料がもらえる |
| ドロップシッピング | メーカや卸が直接発送するので、在庫を持たずに自分のサイトで販売できる |
| オプトイン | 広告メールなどを受け取ることに、利用者が事前に同意すること |
アフィリエイト:お金の流れと順番
アフィリエイトは、ブログなどの運営者が広告主の商品を紹介し、実際に売れたら成果に応じて報酬をもらう仕組みです。報酬は広告主から運営者へ流れます。
flowchart LR
OP["Webサイト運営者(商品広告)"]
V["Webサイト閲覧者(買い手)"]
EC["ECサイト(広告主)・販売ページ"]
OP -->|"① プログラムに参加"| EC
V -->|"② 広告をクリック"| OP
OP -->|"③ 広告のリンク先(販売ページ)へ移動"| EC
V -->|"④ 商品を購入"| EC
EC -->|"⑤ 成功報酬を支払う"| OP
| 番号 | 誰から誰へ | 何が起きるか |
|---|---|---|
| ① | 運営者 → 広告主 | アフィリエイトプログラムに同意して参加する |
| ② | 閲覧者 → 運営者のサイト | 運営者のサイトに載った広告をクリックする |
| ③ | 運営者のサイトの広告 → 広告主の販売ページ | 広告のリンク先へ移動する |
| ④ | 閲覧者 → 広告主の販売ページ | 希望する商品を買う |
| ⑤ | 広告主 → 運営者 | 売上に応じた成功報酬を払う |
ネット広告の種類:SEO・行動ターゲティングなど
SEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)は広告ではありません。自社サイトが検索結果の上位に出るように、ページの中身などを見直す取組みのことです。一方、お金を払って検索結果の横に広告を出すのはリスティング広告(検索連動型広告)です。
行動ターゲティングは、利用者の検索履歴・閲覧したページ・購買履歴から興味を分析して、その人に合った広告を出す手法です。広告を「何を手がかりに出すか」で見分けます。
| 用語 | 何を手がかりに表示するか |
|---|---|
| SEO | 広告ではない。自社サイトを検索の上位に出す工夫 |
| リスティング広告(検索連動型) | 利用者がいま入力した検索キーワード |
| コンテンツ連動型広告 | いま見ているWebページの内容 |
| 行動ターゲティング広告 | その人の過去の行動(検索・閲覧・購買の履歴) |
| 位置情報連動型広告 | スマホのGPSでわかる現在地 |
| レコメンデーション | 購入履歴から、次に買いそうな商品をECサイトがすすめる機能(広告ではない) |
O2O と ID付きPOSデータ
O2O(Online to Offline、O to O とも書く)は、スマホなどを使ってネット(仮想店舗)と実店舗のあいだでお客を行き来させ、購入につなげる仕組みです。アプリでクーポンを配ってお店に来てもらう、という形が典型です。逆向き(実店舗からネットへ)も含みます。
| 用語 | 中身 |
|---|---|
| O2O | ネットと実店舗のあいだで顧客を誘導して購入につなげる |
| フリーミアム | 基本は無料で、高度な機能だけ有料にする |
| BTO(Build To Order) | 注文を受けてから、客の仕様に合わせて製品を作る |
| エスクローサービス | 第三者が代金をいったん預かり、「払ったのに届かない」などのトラブルを防ぐ |
ID付きPOSデータは、レジの販売記録(POS:Point Of Sales、販売時点情報管理)にポイントカードなどの顧客IDをひも付けたデータです。「誰が・いつ・何を買ったか」が残るので、同じ商品をどのくらいの頻度で買っているかがわかります。一方、買った動機・実際に使う人・店までの流通経路はレジの記録には残らないので、わかりません。
CGM とソーシャルメディア(頻出)
CGM(Consumer Generated Media:消費者生成メディア)は、一般の個人が作って発信した情報でできているメディアです。ブログ、SNS、口コミサイト、動画共有サイトがこれにあたります。
たとえ:企業のサイトは「店の公式チラシ」で、CGMは「客同士の口コミ掲示板」です。誰が書いたかで見分けます。
| 選択肢によく出る説明 | 正体 | CGMか |
|---|---|---|
| 個人が自分で使った商品の評価をブログやSNSで発信する | CGM | ○ |
| 個人が作ったディジタルコンテンツを配信し、利用者同士で共有できる | CGM | ○ |
| 企業が自社商品の特徴を消費者向けに発信する自社サイト | 企業の公式サイト | × |
| 企業や行政が投資家や市民向けに情報を公開するサイト | IRサイト・行政サイト | × |
| 消費者同士の個人売買を仲介する | ネットオークション | × |
| 個人商店のネットショップを集めて、決済を代行する | オンラインモール | × |
| 希望者に定期的にメールで情報を配信する | メールマガジン | × |
ソーシャルメディアは、利用者同士のつながりを広げ、利用者が発信した情報を多くの人へ広めていく仕組みです。CGMと重なる部分は多いですが、試験では「つながり」と「情報が広がる(伝播)」がキーワードになります。
ディジタルサイネージ
ディジタルサイネージは、ディスプレイに映像や文字を表示する電子看板です。駅や店頭にある動く広告画面がこれにあたります。
「ディジタル〇〇」という似た名前の用語と並べて出題されます。
| 用語 | 中身 |
|---|---|
| ディジタルサイネージ | ディスプレイに表示する電子看板 |
| ディジタルディバイド | ITを使える人と使えない人のあいだに生まれる格差 |
| ディジタル署名 | 情報が本物であること(正当性)を保証する電子的な署名 |
| 電子透かし | 不正利用を防ぐため、データに識別情報を埋め込む技術 |
アフィリエイトの⑤に入るのはどれか(順番と矢印の向きで解く)
ア Web サイト上の掲載広告をクリックする。
イ アフィリエイトプログラムに同意し参加する。
ウ 希望する商品を購入する。
エ 商品の売上に応じた成功報酬を支払う。
解き方と答えを見る
- 図の登場人物は3者です。Webサイト運営者(自分のサイトに商品広告を載せる)、閲覧者(買い手)、ECサイト(広告主・販売ページ)。
- ③の矢印は「運営者のサイトの商品広告 → 販売ページ(リンク先へ移動する)」で、これだけは問題文で中身が明かされています。広告から販売ページへ飛ぶ場面なので、その直前の②は「閲覧者が広告をクリックする」(ア)だとわかります。
- ①は運営者 → 広告主の矢印で、いちばん最初の手順です。広告を出す前にやることなので「アフィリエイトプログラムに同意し参加する」(イ)が入ります。
- ④は閲覧者 → 販売ページの矢印です。販売ページに着いたあとの行動なので「希望する商品を購入する」(ウ)が入ります。
- ⑤は広告主 → 運営者の矢印で、最後の手順です。購入が終わったあとに広告主から運営者へ渡るものなので、「商品の売上に応じた成功報酬を支払う」(エ)が入ります。
- 確認:アフィリエイトは成果報酬型なので、お金は購入(④)が起きたあとに、広告主から運営者へ流れます。向きも順番も合っています。
答え:エ(商品の売上に応じた成功報酬を支払う)
要点(試験直前に読む)
- ロングテール=売れない商品の売上合計が無視できない割合になる。成功の条件は「豊富な品ぞろえ+在庫・配送コストを抑える物流」。
- パレートの法則(80:20)は上位の売れ筋、ロングテールは下位の売れない商品の合計。見ている場所が逆。
- アフィリエイトの流れは、参加 → 広告クリック → 販売ページへ移動 → 購入 → 広告主が運営者に成功報酬を払う。
- SEOは広告ではなく、検索結果の上位に出るための工夫。行動ターゲティングは過去の履歴をもとに広告を出す。
- O2O=ネットと実店舗のあいだで客を誘導する。ID付きPOSデータでわかるのは購入頻度で、動機はわからない。
- CGM=個人が発信するメディア(ブログ・SNS・口コミ)。ディジタルサイネージ=電子看板。
ひっかけ
- ロングテールの問題で「80:20」「上位20%」の選択肢 → それはパレートの法則。「加入者数の2乗」はネットワーク外部性、「複数の事業で資源を共有」は範囲の経済。
- ロングテール戦略の施策で「有名ブランドを集める」「生活必需品に絞る」 → どちらも売れ筋を中心にした施策なので誤り。品ぞろえと物流コストの話を選ぶ。
- 広告の種類は「何を手がかりに出すか」で見分ける。検索キーワード=リスティング、見ているページ=コンテンツ連動、GPSの現在地=位置情報、過去の履歴=行動ターゲティング。
- CGMの問題で企業や行政の公式サイト、オークション、メルマガが並ぶ → 発信しているのが一般の個人でなければCGMではない。
- 「ディジタル〇〇」は名前で選ばない。電子看板=サイネージ、格差=ディバイド、正当性の保証=署名、識別情報の埋め込み=電子透かし。
用語(22)
ネット販売で、あまり売れない多くの商品の売上を合計すると、全体のなかで無視できない割合になる現象。幅広い品ぞろえで機会損失を減らす戦略としても語られる。
⚠ パレートの法則(上位20%の売れ筋で売上の80%)。ロングテールは「売れない側の合計」に注目する。
売上の約80%は上位約20%の商品から生まれる、という経験則。
⚠ ロングテールと注目する側が逆。「80:20」「上位20%」とあればパレートの法則。
複数の事業で経営資源を共有すると、別々に営むよりコストが下がること。
⚠ 「複数の事業活動」「経営資源の共有」とあればこれ。ロングテールではない。
利用者が増えるほど、ネットワークやサービスの価値が高まること。
⚠ 「加入者数の2乗に比例」とあればこれ。
自分のサイトに広告主の商品リンクを貼り、そこ経由で商品が売れたら広告主から成功報酬を受け取る仕組み。
⚠ ドロップシッピング(在庫を持たずに自分で販売する)。アフィリエイトは紹介するだけで、売るのは広告主。
メーカや卸売業者が客へ直接発送するので、在庫を持たずに自分のサイトで商品を販売できる仕組み。
⚠ アフィリエイトとの違いは、販売者が自分であること。
Webサイトの文章や画像などのコンテンツを、まとめて管理・配信する仕組み。
⚠ ロングテールの問題で選択肢アに出る。「統合的・体系的な管理」とあればCMS。
広告メールの受け取りなどに、利用者が事前に同意すること。
検索結果で自社サイトが上位に出るよう、ページの中身などを見直す取組み。
⚠ リスティング広告(お金を払って検索キーワードに広告を出す)。SEOは広告ではない。
検索エンジンの運営会社と契約し、指定したキーワードが検索されたときに広告を表示する仕組み。
⚠ 行動ターゲティング(過去の行動履歴で広告を出す)。リスティング広告は、いま入力されたキーワードで出す。
利用者の検索履歴・閲覧ページ・購買履歴から興味を分析し、関連する広告を表示する手法。
⚠ コンテンツ連動型(見ているページの内容で出す)、位置情報連動型(現在地で出す)。手がかりが「履歴」なら行動ターゲティング。
顧客の購入履歴を分析し、買いそうな商品をECサイトが自動ですすめる機能。
⚠ 行動ターゲティングは他社のサイトにも出る広告。レコメンデーションはECサイトの中での商品のおすすめ。
ネット(仮想店舗)と実店舗のあいだで顧客を誘導し、購入につなげる仕組み。
⚠ フリーミアム・BTO・エスクローサービスと並べて出る。「仮想店舗と実店舗」とあればO2O。
基本のサービスは無料で提供し、高度な機能だけ有料にするビジネスモデル。
⚠ O2Oの問題でひっかけとして出る。
注文を受けてから、顧客の仕様に合わせて最終製品を生産する方式。
取引の代金を第三者がいったん預かり、支払いや商品の未着トラブルを防ぐ仕組み。
レジの販売記録に顧客IDをひも付けたデータ。同じ客の購入頻度などがわかる。
⚠ 購入の動機・最終的な使用者・流通経路はわからない。
ブログ・SNS・口コミサイトなど、一般の個人が作って発信した情報でできているメディア。
⚠ 企業・行政の公式サイト、オークション、オンラインモール、メールマガジンはCGMではない。発信者が個人かどうかで見分ける。
利用者同士のつながりを広げ、利用者が発信した情報を多くの人に広めていく仕組み。
⚠ 選択肢に並ぶアフィリエイト・位置情報広告・検索連動型広告は広告の仕組み。「つながり」「伝播」がキーワード。
ディスプレイに映像や文字を表示する電子看板。
⚠ ディジタルディバイド(ITを使えるかどうかによる格差)、ディジタル署名(正当性の保証)、電子透かし(識別情報を埋め込む)。
ITを使う機会や能力の差によって、地域間や個人間に生まれる経済的・社会的な格差。
⚠ ディジタルサイネージの問題でひっかけとして出る。
不正利用を防ぐため、画像などのデータに見えにくい識別情報を埋め込む技術。
このレッスンの過去問
- ロングテールの定義基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20210124 実施分 問72
- ロングテール戦略の成立条件令和7年度 基本情報技術者試験 科目A 公開問題 問18
- アフィリエイトプログラムの業務の流れ平成29年度 春期 基本情報技術者試験 午前 問74
- SEOの定義基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20251214 実施分 問55
- 行動ターゲティング広告の定義基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20220724 実施分 問73
- O2O(Online to Offline)の定義平成30年度 秋期 基本情報技術者試験 午前 問73
- ID付きPOSデータ分析で分かること(購入頻度)平成30年度 春期 基本情報技術者試験 午前 問72
- CGM(消費者生成メディア)の定義平成31年度 春期 基本情報技術者試験 午前 問72
- ソーシャルメディアの定義平成25年度 春期 基本情報技術者試験 午前 問73
- ディジタルサイネージの定義平成31年度 春期 基本情報技術者試験 午前 問74