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ビジネスインダストリ・6/8・9分

IoTを支える機器とエネルギー管理

ゴール

IoT の定義と4つの基本要素、IC タグ(RFID)の特徴、IC カードの読み取り距離、組込みシステム、LiDAR、エネルギーハーベスティング、HEMS・スマートメータ・スマートグリッドを区別し、これらを問う科目Aの過去問を自力で解けるようになる。

IoT 機器と電力管理の用語は、説明文を1つ選ぶ形式でくり返し出題されます。特に RFID は観測値で30回出ており、このレッスンの得点源です。工場の保守や家庭の省エネを仕組みとして説明するときの基本の語彙にもなります。

このレッスンで稽古する(用語チェック・過去問)

IoT の定義と4つの基本要素

IoT(Internet of Things、モノのインターネット)は、コンピュータなどの情報通信機器だけでなく、いろいろなモノに通信機能を持たせてネットワークにつなぎ、データを集めて分析し、判断や自動制御に生かす仕組みです。対象は「インターネット又は閉域網(社内網のように外とつながない専用のネットワーク)に接続できる全てのモノ」です。アナログかディジタルか、人や生物かどうか、自分で分析する機器かどうかで対象を絞ることはしません。

試験では、データの流れを4つの段階に分けて問われます。

基本要素 役割 例(工場の機器メンテナンス)
収集 現場の状態を測る 機器の温度センサ
伝送 集めたデータを運ぶ 工場内無線通信
解析 データから意味を引き出す 異常値判定ツール
活用 結果を人や機械に返す 作業指示用ディスプレイ

人の体にたとえると、センサが「目や耳」、通信が「神経」、解析が「脳」、表示や制御が「手足」です。「収集」に当てはまるものを聞かれたら、物理的な量を測っている部品(センサ)を選びます。

「IoT を説明したもの」を選ぶ問題では、データセンタ・ネットオークション・インターネット広告の説明が誤りの選択肢として並びます。様々なモノに通信機能・自動認識・遠隔計測・データの収集と分析・自動制御という言葉がそろっている選択肢が正解です。

IC タグ(RFID):いちばん出る知識

RFID(Radio Frequency Identification)は、小さな IC チップとアンテナを組み込んだ IC タグを電波で読み取り、人やモノを識別・管理する技術です。リーダに触れさせずに読めるので、タグが汚れていても読めますし、箱に入れたまま梱包の外からでも読めます。電池を持たないタグは、リーダから届く電波をエネルギーにして動きます。

バーコードと比べると特徴がよく分かります。

比較 バーコード IC タグ(RFID)
読み取り方 光で印刷面を読む 電波で非接触に読む
隠れていても読めるか 読めない 読める(梱包の外から)
汚れ 弱い 強い
情報の置き場所 印刷された模様そのもの タグ内の IC チップ

試験では、ほかの技術の特徴を混ぜた選択肢が並びます。正体が分かれば消去できます。

選択肢に出る説明 正体
GPS で現在地や属性情報を表示する GPS(衛星を使った位置測定)
専用の磁気読取り装置に挿入する 磁気カード
大量の情報を外部記憶装置に置く IC タグの特徴ではない(情報はチップに記憶する)
紙に印刷されたコードをリーダで読む バーコード・QR コード
携帯電話とヘッドフォンの音声通信 Bluetooth
赤外線を使った近距離通信 赤外線通信
微小な無線チップで人や物を識別・管理 RFID(正解)
汚れに強く、梱包の外から読める IC タグ(正解)
電波で読む:箱の中のタグも反応リーダ電波を出す梱包(箱)IC タグ電池なし①電波=エネルギー②ID を返す③情報は IC チップに記憶触れずに読めるので汚れにも強い
リーダの電波が梱包の外から中のタグに届き、電池のないタグがその電波で動いて ID を返す流れ。

IC カードの方式:距離で名前が変わる

IC カードには、金属の端子を当てて読む接触型と、電波で読む非接触型があります。非接触型は、読み取れる距離によって呼び名が変わります。

方式 読み取れる距離の目安 使い方のイメージ
接触型 0(端子を接触させる) 端末にカードを差し込む
密着型 約2mm 以内 リーダにぴったり付ける
近接型 約10cm 以内 交通系 IC カードのように、かざす・軽く触れる
近傍型 約70cm 以内 少し離れていても反応する

「ゲートのアンテナに軽く触れるだけで入退場」と書いてあれば近接型です。距離は「密着 < 近接 < 近傍」の順に長くなります。「近接」と「近傍」は字が似ているので、取り違えないよう注意してください。

組込みシステム:機器の中の専用コンピュータ

組込みシステムは、家電・自動車・医療機器などの中に組み込まれ、その機器を制御する専用のコンピュータシステムです。FA(工場の自動化)機器、音響・映像機器、銀行の ATM 端末も、機器を動かすための専用システムなので組込みシステムに当たります。一方、列車の座席予約を管理するホストコンピュータのように、多くの利用者の業務データをまとめて処理するシステムは、組込みシステムではありません。

IoT を支える技術:LiDAR とエネルギーハーベスティング

LiDAR(Light Detection and Ranging)は、レーザ光を当てて、跳ね返ってくるまでの時間から対象物までの距離を測る技術です。自動運転での障害物の検出に使われます。エネルギーハーベスティング(環境発電)は、周りにある振動・熱・光・電磁波などの小さなエネルギーを集めて電力に変え、IoT デバイスに供給する技術で、電池の交換が難しい場所のセンサに向いています。

どちらも、よく似た技術の説明と並べて出題されます。

選択肢に出る説明 正体
周囲の振動・熱・光・電磁波を電力に変える エネルギーハーベスティング
LAN ケーブルでデータと一緒に電力も送る PoE(Power over Ethernet)
必要なときだけ電源を入れて省電力にする 省電力のための運用
エネルギー使用量や稼働状況を把握して最適化する 電力の見える化・エネルギー管理
レーザ光で距離を測り、障害物を検出する LiDAR
仮想空間のアバターを滑らかに動かす モーションキャプチャなど
LiDAR:往復の時間から距離を測る車(LiDAR)障害物レーザ光を当てる跳ね返り往復の時間 → 距離 → 障害物を検出エネルギーハーベスティング振動熱光電磁波電力に変えるIoT デバイス(センサ)電池の交換が難しい場所に向く
上は LiDAR がレーザ光の往復時間で距離を測る様子、下はエネルギーハーベスティングが周りの小さなエネルギーを電力に変えて IoT デバイスに送る様子。

エネルギー管理:HEMS・スマートメータ・スマートグリッド

電力をネットワークでうまく管理する仕組みは、どこを管理するかで区別します。HEMS(ヘムス)は家の中、スマートグリッドは電力網全体を管理します。スマートメータは、その間をつなぐ「通信機能を持った電力メータ」です。

用語 管理する範囲 中身
HEMS 家庭 家電・太陽光発電・センサなどを家庭内ネットワークでつなぎ、電力の可視化と消費の最適制御を行う
BEMS ビル ビルの空調や照明のエネルギーを管理する
CEMS 地域・都市 街灯や交通など、街全体のエネルギーを管理する(スマートシティ)
スマートメータ 各家庭の電力メータ 自動検針・需要制御(ピーク抑制)・消費量の可視化
スマートグリッド 電力網全体 通信と情報処理で発電と消費を総合的に制御し、再生可能エネルギーの活用・安定供給・需給調整を図る

たとえるなら、HEMS は「家の電気の家計簿と自動節電係」、スマートグリッドは「国全体の電気の交通整理」です。

HEMS(出題9回): 「家庭内」と「可視化と最適制御」がそろっていれば正解です。工場の機械の劣化を分析して部品を交換する話は予知保全、自動車のセンサで運転を支援する話はコネクテッドカー、都市全体の制御はスマートシティ(CEMS)です。発電した電気を家庭で使える形に変える装置(パワーコンディショナ)、家電のリサイクル、ヒートポンプ給湯機も HEMS ではありません。

スマートメータ(出題5回): 目的は自動検針・需要制御・可視化の3つです。「停電時に補助電源で電力を供給し続ける」は、スマートメータの機能ではありません。

スマートグリッド(出題5回): 「発電と電力消費の総合制御」と「再生可能エネルギー・需給調整」が見分けるキーワードです。医療・テレワーク・車載情報サービスの説明はひっかけです。

スマートグリッド電力網全体:発電と消費を総合制御再生可能エネルギー・需給調整電気使用量データスマートメータ自動検針・需要制御・可視化家庭(HEMS が管理)家電太陽光発電センサHEMS可視化と最適制御
家庭の中を HEMS が管理し、スマートメータが家庭と電力網全体(スマートグリッド)の間をつなぐ位置関係。

要点(試験直前に読む)

  • IoT は情報通信機器だけでなく、インターネット又は閉域網に接続できる全てのモノが対象。基本要素は収集(センサ)→伝送(通信)→解析(判定ツール)→活用(表示・制御)。
  • IC タグ(RFID)は電波で非接触に読み、汚れに強く、梱包の外からでも読める。微小な無線チップで人や物を識別・管理する技術。
  • IC カードは密着型(約2mm)< 近接型(約10cm・軽く触れる)< 近傍型(約70cm)。接触型は端子を接触させる。
  • 組込みシステムは機器を制御する専用システムで、ATM 端末は該当し、座席予約のホストは該当しない。LiDAR はレーザ光による距離計測、エネルギーハーベスティングは周囲の微小なエネルギーを電力に変える技術。
  • HEMS は家庭の電力の可視化と最適制御、スマートメータは自動検針・需要制御・可視化(停電時の給電はしない)、スマートグリッドは発電と消費の総合制御。

ひっかけ

  • IoT の対象を「ディジタル機器だけ」「データ分析する機器だけ」「人や生物を除く」と限定する選択肢は誤り。接続できる全てのモノが対象。
  • RFID の問題では GPS・磁気カード・バーコード・Bluetooth・赤外線通信の説明が混ぜられる。「電波・非接触・汚れに強い・梱包の外から読める・識別と管理」がそろうものを選ぶ。
  • 「軽く触れるだけ」は近接型。接触型・密着型と取り違えさせるのが狙い。
  • HEMS の問題では、予知保全(工場)・コネクテッドカー(自動車)・スマートシティ(都市)・パワーコンディショナ・ヒートポンプ給湯機が並ぶ。「家庭内」と「可視化と最適制御」で見分ける。
  • スマートメータの「適切でないもの」を選ぶ問題では「停電時に補助電源で電力を供給し続ける」が答え。エネルギーハーベスティングの問題では PoE や省電力運用と区別する。

用語(15)

IoT Internet of Things(モノのインターネット)
情報通信機器だけでなく、いろいろなモノに通信機能を持たせてネットワークにつなぎ、データの収集・分析・自動制御に生かす仕組み。
⚠ データセンタ・ネットオークション・ネット広告の説明と混ぜられる。様々なモノがつながり、計測・分析・制御まで行うものが IoT。
閉域網 へいいきもう
インターネットとはつながず、特定の組織や利用者だけが使う専用のネットワーク。
⚠ IoT の対象はインターネットにつながるモノだけではなく、閉域網につながるモノも含む。
センサ せんさ
温度・振動・光などの物理的な量を測り、データに変える部品で、IoT では「収集」を担う。
⚠ 伝送(無線通信)・解析(異常値判定ツール)・活用(ディスプレイ)の例と取り違えやすい。
RFID Radio Frequency Identification
IC チップとアンテナを持つ IC タグを電波で非接触に読み取り、人やモノを識別・管理する技術。
⚠ バーコードは光で読むため、隠れていたり汚れていたりすると読めない。RFID は汚れに強く、梱包の外からでも読める。
IC タグ あいしーたぐ
RFID で使う小さな無線チップで、情報はチップ自身に記憶する。
⚠ GPS・磁気カード・外部記憶装置の説明が混ぜられる。
接触型(IC カード) せっしょくがた
カードの金属端子をリーダに接触させて読み書きする IC カード。
⚠ 密着型は非接触型の一種で、約2mm 以内に密着させて使う。
近接型(IC カード) きんせつがた
約10cm 以内にかざす、または軽く触れるだけで読み取れる非接触型の IC カード。
⚠ 近傍型は約70cm まで届く。「軽く触れる」とあれば近接型。
近傍型(IC カード) きんぼうがた
約70cm 以内なら離れていても読み取れる非接触型の IC カード。
⚠ 近接型(約10cm)と字が似ている。距離は密着 < 近接 < 近傍の順に長い。
組込みシステム くみこみしすてむ
家電・医療機器・ATM 端末などの機器に組み込まれ、その機器を制御する専用のコンピュータシステム。
⚠ 列車の座席予約を管理するホストのような業務システムは該当しない。ATM 端末は該当する。
LiDAR Light Detection and Ranging
レーザ光の反射から対象物までの距離を測る技術で、自動運転の障害物検出などに使われる。
⚠ モーションキャプチャ(アバターの動き)やエネルギーハーベスティングの説明と混ぜられる。
エネルギーハーベスティング Energy Harvesting(環境発電)
周囲の振動・熱・光・電磁波などの小さなエネルギーを集めて電力に変え、IoT デバイスに供給する技術。
⚠ PoE(LAN ケーブルで給電)、必要なときだけ電源を入れる省電力運用、電力の見える化とは別のもの。
PoE Power over Ethernet
LAN ケーブルを使って、データと一緒に機器へ電力を送る技術。
⚠ 周りの環境から電力を得るのはエネルギーハーベスティング。
HEMS Home Energy Management System
家庭の家電やエネルギー機器をネットワークでつなぎ、電力の可視化と消費の最適制御を行うシステム。
⚠ 都市全体は CEMS(スマートシティ)、ビルは BEMS。パワーコンディショナやヒートポンプ給湯機は機器そのもので、HEMS ではない。
スマートメータ Smart Meter
通信機能を持つ電力メータで、自動検針・需要制御・消費量の可視化を行う。
⚠ 停電時に補助電源で電力を供給する機能はない。
スマートグリッド Smart Grid(次世代送電網)
通信と情報処理で発電と電力消費を総合的に制御し、再生可能エネルギーの活用・安定供給・需給調整を図る電力網。
⚠ 家庭単位の管理は HEMS。医療・テレワーク・車載情報サービスの説明はひっかけ。

このレッスンの過去問

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