社会のデジタル化と電子政府
ディジタルディバイドの定義と解消策、電子政府の取引区分(G to B/G to C/G to G)を見分けられるようになる。Society 5.0・MaaS・ワンストップサービスの説明文を、似た用語の選択肢から選べるようになる。
ディジタルディバイドは公開過去問で本試験系8回・免除15回と、ビジネスインダストリ分野でも特によく出る用語です。電子政府の区分も含めて定義を1文で言えれば取れるので、得点しやすい問題です。
このレッスンで稽古する(用語チェック・過去問)結論:このレッスンで覚えること
このレッスンで覚えることは次の5つです。
- ディジタルディバイド=ITを使える人と使えない人の間に生まれる格差(最頻出)
- G to B=政府・自治体から企業への取引(例:電子入札)
- ワンストップサービスの前提=ディジタルディバイド対策が必要
- Society 5.0=サイバー空間とフィジカル空間を融合した超スマート社会
- MaaS=複数の移動手段の検索・予約・決済を一括で行うサービス
どれも計算はなく、用語の定義を1文で覚えておけば解けます。
ディジタルディバイド:「格差」そのものを指す
ディジタルディバイド(digital divide)とは、情報リテラシの有無やIT環境の違いによって生じる社会的・経済的な格差のことです。情報リテラシは、情報機器を使いこなし、情報を正しく扱う能力を指します。
たとえば、ネット予約限定のセール品は、スマホを持たない人やネット予約のやり方が分からない人には買えません。このようにチャンスに差がつく状態がディジタルディバイドです。試験では、似た概念の説明が選択肢に並びます。
| 選択肢の言い方 | 実際に指すもの | ディジタルディバイド? |
|---|---|---|
| ITリテラシやIT環境の違いで生じる格差 | ディジタルディバイド | ○ |
| 情報機器を使えず情報を得にくい人々 | 格差の影響を受ける人(いわゆる情報弱者) | ×(人そのもの) |
| 誰もが情報通信を使えるよう整備された環境 | 情報バリアフリー環境(対策の結果) | ×(環境) |
| 全ての人が利用できるかの度合い | アクセシビリティ | ×(度合い) |
見分けるポイントは、選択肢の文末です。文末が「格差のことである」になっているものを選びます。「人々」「環境」「度合い」で終わる選択肢は、どれも別の概念です。
ディジタルディバイドの解消策
解消策は情報リテラシを身に付ける機会を増やすことと、機器やサービスを使いやすくすることの2つです。格差の原因が「使い方が分からない」「使える環境がない」の2つなので、その両方をなくします。
解消策を問う問題では、IT関連の別の取り組みが選択肢に混ざります。
| 選択肢の内容 | 正体 |
|---|---|
| 情報リテラシの習得機会を増やす・利用しやすい環境を整える | ディジタルディバイド解消 |
| IT投資の効果目標を決めて事前に評価する | IT投資評価 |
| ITで省エネ・テレワークによりエネルギー消費を減らす | グリーンIT |
| ICタグで生産から廃棄までを追跡できるようにする | トレーサビリティ |
電子政府・電子自治体の取引区分(G to B など)
電子政府は行政手続きをITで行う仕組みで、自治体版を電子自治体と呼びます。取引の区分は「誰から誰へ」で決まり、Gは政府・自治体(Government)、Bは企業(Business)、Cは住民(Citizen/Consumer)を表します。
| 区分 | 相手 | 例 |
|---|---|---|
| G to B | 企業 | 物品・資材の電子調達、電子入札 |
| G to C | 住民 | 住民票・婚姻届・パスポートなどの電子申請 |
| G to G | 行政どうし(自治体内部・自治体間) | 電子決裁、電子公文書管理、住基ネットでの住民票データの送受信 |
解くときは、まず選択肢の取引相手が誰かを確認します。「入札」「調達」とあれば相手は企業なのでG to B、「住民が申請」ならG to Cです。住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)は住民の情報を扱いますが、データをやり取りするのは自治体どうしなのでG to Gになります。
ワンストップサービスとディジタルディバイド
ワンストップサービスは、1か所の窓口やポータルサイトで複数の手続きをまとめて済ませられる仕組みです。PCやインターネットを使うことが前提になるので、ディジタルディバイド対策が必要になります。「サービス提供者そのものを統合する」「個人情報を集約して多目的に利用する」は必須の要件ではありません。特に個人情報は慎重に扱う対象なので、こうした選択肢は誤りです。
Society 5.0 と MaaS
Society 5.0は、IoTなどのICTでサイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を融合し、誰もが快適に暮らせることを目指す超スマート社会のことです。狩猟社会(1.0)、農耕社会(2.0)、工業社会(3.0)、情報社会(4.0)に続く社会として、政府が掲げています。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| Society 5.0 | サイバーとフィジカルを融合した超スマート社会 |
| e-Gov | 政府の行政手続き・情報の総合窓口サイト |
| Web 2.0 | 利用者が情報を発信・共有する参加型のWeb |
| ダイバーシティ社会 | 多様な人材や価値観を受け入れる社会 |
MaaS(Mobility as a Service)は、電車・バス・タクシーなどの移動手段を組み合わせ、検索・予約・決済を一括で行えるようにするサービスです。乗換案内アプリで、ルート検索のあとにそのまま全区間の予約と支払いまで済ませられるイメージです。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| MaaS | 移動手段を組み合わせ、検索・予約・決済を一括で提供するサービス |
| CASE | 車の変革を表す4語(Connected・Autonomous・Shared & Services・Electric) |
要点(試験直前に読む)
- ディジタルディバイド=情報リテラシやIT環境の違いで生じる「格差」。人々・環境・度合いではない
- ディジタルディバイドの解消策=情報リテラシを学ぶ機会を増やす+使いやすい環境を整える
- G to B=企業向け(電子調達・電子入札)、G to C=住民向け(電子申請)、G to G=行政どうし(電子決裁・住基ネット)
- ワンストップサービスはネット利用が前提なので、ディジタルディバイド対策が要件になる
- Society 5.0=サイバー空間とフィジカル空間を融合した超スマート社会
- MaaS=移動手段の検索・予約・決済を一括で行うサービス。CASEは車の変革
ひっかけ
- ディジタルディバイドの定義の問題では、「情報を得にくい人々」「誰もが使える環境」「利用しやすさの度合い」が並ぶ。文末が「格差」の選択肢を選ぶ
- ディジタルディバイドの解消策の問題では、IT投資評価、グリーンIT、トレーサビリティの説明が混ざる。リテラシを学ぶ機会と利用環境に触れている選択肢が正解
- G to Bの問題では、自治体内の電子決裁や住基ネット(どちらもG to G)、住民の電子申請(G to C)が並ぶ。取引相手が企業(入札・調達)かどうかで判断する
- ワンストップサービスの問題で「提供者の統合」や「個人情報の集約・多目的利用」が出たら誤り
- MaaSの問題ではCASE(コネクテッド・自動運転・シェア・電動化)の説明がひっかけとして出る。「検索・予約・決済を一括」と書かれた選択肢がMaaS
用語(15)
情報リテラシの有無やIT環境の違いによって生じる、社会的・経済的な格差。
⚠ アクセシビリティ(利用しやすさの度合い)や情報弱者(格差の影響を受ける人)と混同しやすい。「格差」と書かれた選択肢がディジタルディバイド。
情報機器を使いこなし、情報を正しく探して扱う能力。
高齢者や障害者を含む全ての人が、機器やサービスを利用できるかどうか、利用しやすいかどうかの度合い。
⚠ ディジタルディバイドは「格差」、アクセシビリティは「度合い」。
行政手続きや行政サービスをITで提供する仕組み。自治体版は電子自治体と呼ぶ。
政府・自治体と企業の間の取引。電子調達や電子入札が該当する。
⚠ 住民向けの電子申請はG to C、自治体内部や自治体間のやり取りはG to G。
政府・自治体と住民の間の取引。住民票や婚姻届などの電子申請が該当する。
⚠ 相手が企業ならG to B。
行政機関どうしの取引。自治体内の電子決裁や、自治体間での住民データの送受信が該当する。
⚠ 住基ネットは住民の情報を扱うが、やり取りするのは自治体どうしなのでG to G。
自治体などが行う入札を、ネット経由で企業が参加できるようにしたもの(電子調達の一種)。
自治体どうしで住民票の情報を共有・送受信するためのネットワーク。
⚠ G to Cではなく、G to Gの例。
1か所の窓口やサイトで、複数の手続きやサービスをまとめて受けられる仕組み。
⚠ サービス提供者の統合や個人情報の集約は要件ではない。要件はディジタルディバイド対策。
サイバー空間とフィジカル空間を融合し、経済発展と社会課題の解決を両立する人間中心の超スマート社会。
⚠ e-Gov(政府の窓口サイト)、Web 2.0(参加型Web)、ダイバーシティ社会(多様性の受容)とは別物。
政府が運営する、行政手続きや行政情報の総合窓口サイト。
⚠ Society 5.0と並べて出される。e-Govはサイトの名前で、社会の構想ではない。
利用者自身が情報を発信・共有する、参加型のWebのあり方。
⚠ Society 5.0の誤答の選択肢として出る。
複数の移動手段を組み合わせ、検索・予約・決済を一括で提供するサービス。
⚠ CASEは車そのものの変革(つながる・自動運転・シェア・電動化)。MaaSは移動をサービスとして提供すること。
コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化という自動車業界の4つの変革を表す言葉。
⚠ MaaSの誤答の選択肢として出る。
このレッスンの過去問
- Society 5.0の定義基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20250126 実施分 問53
- MaaS(Mobility as a Service)の定義基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20260726 実施分 問54
- 電子政府・電子自治体の取引区分(G to B等)平成27年度 春期 基本情報技術者試験 午前 問72
- 電子政府のワンストップサービス実現要件(ディジタルディバイド対策)基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 200906 実施分 問70
- ディジタルディバイドの定義令和元年度 秋期 基本情報技術者試験 午前 問69