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企業活動・2/9・12分

企業統治と社会的責任・環境配慮

ゴール

コーポレートガバナンス・内部統制(職務分掌)・コンプライアンス・アカウンタビリティ・グリーン購入・カーボンフットプリント・環境表示・アクセシビリティを、紛らわしい選択肢の中から定義で選べるようになる。内部統制では「誰と誰の仕事を分ければ牽制になるか」を判断できるようになる。

このテーマの用語は、過去問で何度も出ている「用語の定義当て」です。観測値(本試験系/免除試験は別々に数えた値)では、グリーン購入が本試験系4回・免除4回、アクセシビリティが本試験系1回・免除8回、職務分掌が本試験系1回・免除6回です。正解以外の選択肢も同じ分野の用語の説明なので、1問覚えると隣の用語もまとめて押さえられます。

このレッスンで稽古する(用語チェック・過去問)

結論:3つのグループに分けて覚える

このレッスンの用語は、①会社を正しく動かす仕組み、②守る・説明する責任、③環境と社会への配慮の3グループに分かれます。試験では、同じグループの別の用語の説明が「ひっかけの選択肢」として並びます。各用語は一言の定義で区別できるようにしておけば十分です。

グループ 用語 一言でいうと
①仕組み コーポレートガバナンス 経営者を監視して企業を健全に保つ仕組み
①仕組み 内部統制 社内の業務が正しく行われるようにする社内ルールと手続
②責任 コンプライアンス 法令や規則を守り、不法行為を防ぐこと
②責任 アカウンタビリティ 利害関係者に経営の内容・実績を説明する責任
③配慮 CSR 社会の一員として果たす責任全般
③配慮 グリーン購入 環境負荷の小さい製品を優先して買う
③配慮 アクセシビリティ 高齢者や障害者を含む誰でも使いやすいこと

コーポレートガバナンス:経営者を見張る仕組み

コーポレートガバナンス(企業統治)は、経営が適切に行われているかを監視・監督し、企業活動の健全性と透明性を保つ仕組みです。「会社は誰のために経営されているか」「経営トップの体制はどうなっているか」「組織に自浄能力があるか」が監視の観点になります。具体的には、社外取締役や監査役による経営陣のチェックなどです。

たとえるなら、マンションの管理組合が管理会社の仕事ぶりをチェックするようなものです。実際に管理するのは管理会社(経営陣)でも、それが住民(株主など)のためになっているかを別の立場から見張ります。

ひっかけの選択肢

選択肢の説明 正体
他社にまねできない独自の技術・能力 コアコンピタンス
企業の理念やイメージを統一して示す コーポレートアイデンティティ(CI)
利害関係者を洗い出して分析する ステークホルダ分析
社会をより良くするために貢献する CSR
投資家向けに経営状況を継続して公表する IR
環境保全の費用と効果を定量化して公表する 環境会計

キーワードは「監視・監督」と「健全性」です。

株主など経営を任せる株主のためか経営陣社外取締役・監査役監視・監督別の立場から見張る経営する会社の業務目的:企業の健全性と透明性
経営するのは経営陣で、社外取締役・監査役が別の立場からその経営を監視・監督する。

内部統制と職務分掌:1人に全部やらせない

内部統制は、業務の正しさや財務報告の信頼性を確保するために、社内に組み込むルールと手続のことです。中でもよく出るのが職務分掌(仕事の担当範囲を分けること)による相互牽制(お互いにチェックし合う状態)です。一連の仕事を1人や1部門に任せると不正やミスを止められない、というのが基本の考え方です。

身近な例はレジの締め作業です。売上を打つ人と、閉店後に現金を数えて帳簿と照合する人を分けておけば、ごまかしがすぐに見つかります。

過去問に出た「分けるべき組合せ」

まとめてはいけない仕事 正しい分け方
発注 と 検収(納品物の確認) 別の人が担当する
販売(営業) と 回収条件・与信限度の決定 営業部門ではなく審査部門が決める
システム開発 と データ入力 情報システム部門は利用部門から独立し、データの正確性は利用部門が担う

金融庁の基準による内部統制の6つの基本的要素(どの要素に当たるかを選ばせる問題が出ます)

要素 中身 過去問の選択肢の例
統制環境 組織の気風・経営者の姿勢。他の要素の土台 経営者が経営方針を全社に明示する
リスクの評価と対応 リスクを見つけて評価し、対応を決める 故障に備えて保険に入る(リスク移転)
統制活動 不正やミスを防ぐ具体的な方針と手続 発注と検収を別の者に担当させる
情報と伝達 必要な情報を正しく伝える仕組み ―
モニタリング 内部統制が機能しているかを継続的に評価する 内部監査部門が定期的に業務監査をする
ITへの対応 業務にITを適切に組み込み、統制に使う ―

職務分掌は「統制活動」に当たる、と覚えておきましょう。

× 1人が全部担当発注納品検収Aさん業者Aさん発注も検収もAさんが担当→ 不正やミスを止められない○ 分けて担当(職務分掌)発注納品検収Aさん業者BさんBさんが納品物を確認する→ ごまかしが見つかる(相互牽制)
発注と検収を同じ人にやらせると不正やミスが止まらず、別の人に分けると相互牽制が効く。

コンプライアンスとアカウンタビリティ

コンプライアンスは法令遵守のことで、コンプライアンス強化とは、経営者や従業員による不法行為を抑え、企業存続の危機を防ぐことです(観測:本試験系0回・免除2回)。**アカウンタビリティ(説明責任)**は、経営層が株主などの利害関係者に対し、経営活動の内容と実績を説明する責任です(観測:本試験系1回・免除1回)。

用語 誰に 何をする
コンプライアンス 社内・社会 法令やルールを守る(不法行為の抑止)
アカウンタビリティ 株主など利害関係者 経営の内容と実績を説明する責任を負う
IR 投資家・アナリスト 投資判断に必要な情報を適時・継続的に提供する広報活動

アカウンタビリティとIRは似ていますが、アカウンタビリティは「責任」、IRは投資家向けの「広報活動」です。

環境配慮:グリーン購入が最頻出

グリーン購入は、製品やサービスを買うときに、環境負荷の小さいものを優先して選んで購入することです。国や地方公共団体には、グリーン購入法で率先した取組みが求められています。このレッスンの知識の中では出題が最も多く、観測値は本試験系4回・免除4回です。

出題の形は2つあります。

  1. 「CSRの施策のうち環境対策はどれか」:答えはグリーン購入。情報開示・ボランティア支援・倫理ヘルプラインもCSRの施策ですが、環境対策ではありません。
  2. 「環境に配慮した製品を選んで買う取組みは何か」:答えはグリーン購入。CSR・エコマーク認定・環境アセスメントがひっかけとして並びます。

環境まわりの用語の見分け方

用語 一言でいうと 見分けるキーワード
グリーン購入 環境に良いものを優先して買う 購入・調達
エコマーク認定 環境に良い商品に第三者機関がマークを認定する 認定・マーク
環境アセスメント 開発事業の前に環境への影響を調査・評価する 事前評価
環境表示(環境ラベル) 製品の環境配慮点を説明文やマーク・図表で主張する 主張・表示
カーボンフットプリント 原材料調達から廃棄までの温室効果ガス排出量をCO2に換算して表示する ライフサイクル全体・CO2換算・表示
カーボンニュートラル 排出量から吸収・除去量を差し引いて実質ゼロにする 差し引きゼロ
排出量取引 排出枠の不足分・超過分を市場で取引する 排出枠
グリーン電力証書 再生可能エネルギーの環境価値を証書にして取引する 証書
環境会計 環境保全の費用と効果を定量化して公表する 費用対効果

カーボンフットプリントは、令和7年度の公開問題で本試験系1回出ています。足跡(フットプリント)のように、商品が一生のうちに残すCO2の量を見えるようにするもの、と覚えます。環境表示(観測:本試験系0回・免除2回)は、企業が自分の製品の環境配慮を説明文やマークで「主張」するもの、と押さえておけば足ります。

原材料調達から廃棄まで原材料調達生産流通使用廃棄CO2CO2CO2CO2CO2排出量をCO2に換算製品に表示=カーボンフットプリント
カーボンフットプリントは、商品の一生の各段階で出る温室効果ガスを合計し、CO2に換算して表示する。

アクセシビリティ:誰でも使えること

アクセシビリティは、ソフトウェア・情報機器・Webサイトなどを、高齢者や障害者を含む幅広い人が利用しやすいことです(観測:本試験系1回・免除8回)。問われ方は「定義を選ぶ」問題と「Web設計の良い例を選ぶ」問題の2種類です。

定義問題のひっかけ:モバイル環境、テレワーク、相互運用性(違う仕組みのコンピュータどうしが連携できること)、トレーサビリティ(履歴を追跡できること)、住基ネット。どれも「便利さ」の話ですが、「誰でも使える」という意味の用語ではありません。

Web設計の良し悪し

設計 判定 理由
必須項目を色だけでなく「(必須)」と文字でも書く ◎ 色の見分けが難しい人にも伝わる
ページを開くと同時に音声を自動再生する × 読み上げソフトの音声とぶつかる。利用者が自分で止められない
見た目を整えるためにレイアウトに表組みを使う × 読み上げの順序が崩れる
リンク画像のalt属性(代替テキスト)にURLを書く × altにはリンク先の内容を書くのが正しい

判断の決め手は、情報を1つの手段(色だけ・見た目だけ)に頼っていないかです。

試験での問われ方まとめ

  • 「〜の説明はどれか」型が中心です。4つの選択肢はすべて実在する用語の正しい説明なので、選択肢それぞれの正体を言えると確実に解けます。
  • 内部統制では「適切な体制はどれか」を選ばせます。同じ人・同じ部門が一連の仕事をまとめて担当している選択肢は不正解です。一見もっともらしい「経験を生かして長く同じ部署に置く」「実態をよく知る営業が値引きを決める」も、牽制が効かなくなるので×です。
  • 6要素の分類問題では、統制活動=職務分掌、モニタリング=内部監査、リスクの評価と対応=保険、統制環境=経営方針の明示、と対応させます。

要点(試験直前に読む)

  • コーポレートガバナンス=経営を「監視・監督」して健全性を保つ仕組み。CSR・IR・環境会計と区別する。
  • 内部統制の職務分掌は「一連の仕事を1人・1部門にまとめない」こと。発注と検収、営業と与信・回収条件の決定、開発とデータ入力は分ける。6要素では「統制活動」に当たる。
  • コンプライアンス=法令を守り不法行為を防ぐ。アカウンタビリティ=利害関係者への説明責任。IR=投資家向けの広報活動。
  • グリーン購入=環境負荷の小さいものを優先して買う。CSRの施策で「環境対策」に当たるのはこれ。
  • カーボンフットプリント=ライフサイクル全体の排出量をCO2換算して表示。環境表示=環境配慮点を説明文やマークで主張したもの。
  • アクセシビリティ=高齢者・障害者を含む誰もが使いやすいこと。情報を色だけに頼らず文字でも示す。

ひっかけ

  • 4つの選択肢はどれも実在する用語の正しい説明。「監視=ガバナンス」「守る=コンプライアンス」「説明責任=アカウンタビリティ」「投資家向け広報=IR」「費用対効果の公表=環境会計」と、キーワードで正体を見抜く。
  • 「経験者を長く同じ部署に置く」「実態を知る営業が値引き・与信・消込みを担う」はもっともらしく見えるが、牽制が効かないので不適切。
  • 6要素の分類では、保険=リスクの評価と対応、内部監査=モニタリング、経営方針の明示=統制環境。職務分掌だけが統制活動。
  • 環境用語は動詞で区別する。「買う」=グリーン購入、「認定」=エコマーク、「事前評価」=環境アセスメント、「CO2換算して表示」=カーボンフットプリント、「差し引きゼロ」=カーボンニュートラル。
  • アクセシビリティのWeb設計問題では、音声の自動再生・表組みでのレイアウト・altにURLを書く、はすべて×。altにはリンク先の内容を書く。

用語(18)

コーポレートガバナンス Corporate Governance(企業統治)
経営が適切に行われているかを監視・監督し、企業活動の健全性と透明性を保つ仕組み。
⚠ CSR(社会貢献)・IR(投資家向け広報)・コアコンピタンス(独自の強み)と混同しやすい。「監視」「健全性」があればガバナンス。
内部統制 ないぶとうせい
業務の正しさや財務報告の信頼性を確保するために、社内に組み込むルールと手続。
⚠ ガバナンスは経営者を外から監視する仕組み、内部統制は社内の業務を正しく回す仕組み。
職務分掌 しょくむぶんしょう
仕事の担当範囲と責任を、人や部門ごとに分けて決めること。
相互牽制 そうごけんせい
仕事を複数の人や部門に分け、お互いにチェックさせて不正やミスを防ぐ状態。
⚠ 同じ部署への長期配置や、1部門による一括担当は相互牽制を弱める。
統制活動 とうせいかつどう
内部統制の6要素の1つで、職務分掌や承認手続など、不正やミスを防ぐ具体的な方針と手続。
⚠ 統制環境(経営方針の明示)・リスクの評価と対応(保険など)・モニタリング(内部監査)と区別する。
モニタリング monitoring
内部統制の6要素の1つで、内部統制が機能しているかを継続的に評価すること。内部監査が代表例。
⚠ 不正を防ぐ手続そのものは統制活動。モニタリングはそれが機能しているかの評価。
コンプライアンス Compliance(法令遵守)
法令や社内規則を守り、経営者や従業員の不法行為を防ぐこと。
⚠ アカウンタビリティは「説明する」責任、コンプライアンスは「守る」こと。
アカウンタビリティ Accountability(説明責任)
経営層が株主などの利害関係者に対して、経営活動の内容と実績を説明する責任。
⚠ IRは投資家向けの情報提供という広報活動。アカウンタビリティは「責任」。
IR Investor Relations
投資家やアナリストに、投資判断に必要な経営情報を適時・継続的に提供する広報活動。
⚠ アカウンタビリティ(説明責任)と似ているが、IRは「投資家向けの広報」。
CSR Corporate Social Responsibility(企業の社会的責任)
企業が利益を追うだけでなく、社会の一員として環境や地域などに責任ある行動をとること。
⚠ グリーン購入はCSRの施策のうち「環境対策」に当たる具体策の1つ。
ステークホルダ stakeholder(利害関係者)
株主・顧客・従業員・取引先・地域社会など、企業活動の影響を受ける関係者。
グリーン購入 ぐりーんこうにゅう
製品やサービスを買うとき、環境負荷の小さいものを優先して選んで購入すること。
⚠ エコマーク認定(マークの認定)・環境アセスメント(事前の影響評価)・環境表示(企業による主張)と区別。「買う」ならグリーン購入。
カーボンフットプリント Carbon Footprint of Products(CFP)
原材料調達から廃棄・リサイクルまでの温室効果ガス排出量をCO2に換算し、商品やサービスに表示すること。
⚠ カーボンニュートラルは排出と吸収を差し引いて実質ゼロにすること。こちらは「量を表示」する。
カーボンニュートラル Carbon Neutral
温室効果ガスの排出量から吸収量・除去量を差し引いて、合計を実質ゼロにする取組み。
⚠ カーボンフットプリントは排出量の「見える化(表示)」。
環境表示(環境ラベル) かんきょうひょうじ
製品やサービスの環境配慮点や環境負荷の低減効果を、説明文・マーク・図表などで主張したもの。
⚠ 排出量取引・グリーン購入法・グリーン電力証書の説明と並べて出される。「主張したもの」が決め手。
環境会計 かんきょうかいけい
環境保全にかけた費用とその効果を定量的に測り、公表する仕組み。
⚠ ガバナンスやアカウンタビリティを問う問題のひっかけとしてよく使われる。
アクセシビリティ Accessibility
ソフトウェアやWebサイトなどを、高齢者や障害者を含む幅広い人が利用しやすいこと。
⚠ 相互運用性(システム間の連携)・トレーサビリティ(履歴の追跡)・モバイル環境と混同させる。「誰でも使える」がアクセシビリティ。
トレーサビリティ Traceability
製品や食品などについて、生産から消費・廃棄までの履歴を追跡できること。
⚠ アクセシビリティやカーボンフットプリントの問題のひっかけとして出る。

このレッスンの過去問

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