アイデア出しの手法とデータ活用
ブレーンストーミング、デルファイ法、クラスタ分析、ビッグデータ、B to C などの名前と説明を正しく結び付けて、「〜の説明はどれか」「〜の事例はどれか」という問題を選べるようになる。
この分野は計算がなく、手法の名前と説明を覚えていれば解ける問題がほとんどです。中でもデルファイ法は公開過去問で計14回出ていて(本試験2回・免除12回)、キーワードを3つ覚えれば確実に取れます。
このレッスンで稽古する(用語チェック・過去問)この単元の正体:名前と説明の対応問題
結論から言うと、この単元は手法の名前と説明の組合せを問う問題です。ひっかけの選択肢には、同じ単元に出てくる別の手法の説明が並びます。そのため、手法ごとに一言で言える特徴を覚えておくのがいちばん効きます。
| 手法 | 一言で | 誰が・何を使う |
|---|---|---|
| ブレーンストーミング | 批判せずにアイディアを大量に出す | 複数人が一つの場に集まる |
| デルファイ法 | 専門家への匿名アンケートを繰り返して意見をまとめる | 専門家(集まらない) |
| クラスタ分析 | 似ているデータ同士をグループに分ける | 観測データ |
| テキストマイニング | 文章中の単語の出現頻度などを分析する | 自由記述・書込み |
| ビッグデータ活用 | 量が多く種類も多様で、刻々と増えるデータを分析する | ログ・SNS・画像など |
会議の手法:ブレーンストーミングとファシリテータ
ブレーンストーミングは、複数人で思いつくままに自由にアイディアを出し合い、発想を広げる会議の方法です。守るルールは「批判しない・自由奔放・質より量・他人の案に便乗してよい」の4つです。
ファシリテータは会議の進行役です。中立公平な立場でメンバーに発言を促し、議論の流れを整理します。結論を誘導する人ではありません。
| 選択肢の説明 | 正体 |
|---|---|
| 自由奔放に多くのアイディアを出し合う会議 | ブレーンストーミング |
| 本題の前に緊張をほぐすゲームや雑談 | アイスブレイク |
| 情報を決められた枠組みで整理し、筋道立てて考える | ロジカルシンキング |
| 相手の発言を繰り返したり言い換えたりして理解を確かめる | 傾聴・確認の技法(コーチング系) |
| 会議での役割 | すること |
|---|---|
| ファシリテータ | 中立の立場で発言を促し、議論を整理する |
| 議長 | 会議を主宰し、結論をまとめる(経営層の意向に沿わせるのはファシリテータではない) |
| 専門家 | 自分の専門分野についてだけ助言する |
| 事務局 | 日程調整・資料準備・議事録などの事務作業 |
デルファイ法(最頻出):キーワードは「専門家・匿名・繰り返し」
デルファイ法は、複数の専門家に匿名でアンケートし、集計した結果を回答者に返して(フィードバック)もう一度聞く、という手順を繰り返して意見を収束させる手法です。答えが一つに決まらない未来予測や、プロジェクトのリスク識別に使われます。匿名にするのは、声の大きい人や上司の意見に引っ張られないようにするためです。
たとえるなら、料理コンテストの審査員が名前を伏せて採点し、全員の平均点を見てから採点し直す、というのを何回か繰り返すイメージです。
flowchart TD
A["専門家を複数選ぶ"] --> B["匿名でアンケート"]
B --> C["回答を集計・要約"]
C --> D["結果を全員にフィードバック"]
D --> E{"意見は収束した?"}
E -- "まだ" --> B
E -- "した" --> F["統計処理して分布とともに示す"]
| 選択肢の説明 | 正体 |
|---|---|
| 専門家の匿名回答を要約・再配布し、繰り返して収束させる | デルファイ法 |
| 集まって批判せず自由にアイディアを出す | ブレーンストーミング |
| 専門家に1回インタビューして回答をまとめる | インタビュー(繰り返しがない) |
| 過去の知識をリストにして照らし合わせる | チェックリスト法 |
| 確率分布を使ってシミュレーションする | モンテカルロ法 |
| 将来どうなるかの筋書き(シナリオ)を複数書く | シナリオライティング法 |
| バラバラの情報を似たもの同士でまとめる | 親和図法 |
| ある時点の複数対象を横に並べて比べる | クロスセクション法 |
| 強み・弱み・機会・脅威で分析する | SWOT分析 |
データ分析の手法:クラスタ分析とテキストマイニング
クラスタ分析は、観測データを似ているもの同士の集団(クラスタ)に分け、それぞれの集団の特徴を分析する手法です。結果は**樹形図(デンドログラム)**で表します。樹形図は、データの枝が段階的に合流していき、最後に1本になる図です。
テキストマイニングは、アンケートの自由記述などの文章から、単語の出現頻度や単語同士のつながりを分析する手法です。
| 手法 | 分析する対象・目的 |
|---|---|
| クラスタ分析 | データを類似性でグループ分けする |
| テキストマイニング | 文章中の単語の出現頻度などを調べる |
| マーケットバスケット分析 | 購買データから「一緒に買われる商品」を見つける |
| アクセスログ分析 | Webサイトの閲覧記録を分析する |
| 指数平滑法 | 過去の実績を使って需要を予測する(新しいデータほど重く扱う) |
| モンテカルロ法 | 乱数を使ったシミュレーション |
| シックスシグマ | 品質のばらつきを減らす改善手法 |
| 図 | 何の図か |
|---|---|
| 樹形図(デンドログラム) | クラスタ分析 |
| 降順に並んだ棒グラフ | パレート図 |
| 直線で囲まれた領域 | 線形計画法 |
| 魚の骨の形 | 特性要因図 |
ビッグデータ:量・種類・速さがそろったデータ
ビッグデータは、量が膨大(Volume)、種類が多様(Variety)、発生と更新が速い(Velocity)という特徴を持つデータです。SNSの書込み、音声、画像のような非構造化データ(表の形に整っていないデータ)や、アクセス履歴のようなリアルタイム性の高いデータもそのまま分析の対象にします。
| 選択肢の記述 | 判定 |
|---|---|
| 蓄積したデータに加え、リアルタイム性の高いデータも対象にする | ○ 正解 |
| 不特定多数のSNS投稿は対象にすべきでない | × 多様なデータこそ対象 |
| 一部だけサンプリングして全体を推測する | × 全体をまるごと扱えるのが強み |
| 音声・画像など非構造化データは対象にすべきでない | × 対象に含める |
「活用事例はどれか」と聞かれたら、多種多様で大量のデータを分析している選択肢を選びます。顧客DBから連絡先を取り出す、人事情報から社員を絞り込む、財務諸表から利益率を計算する、といったものは従来のデータベースで足りる定型処理なので不正解です。
ソーシャルメディアと電子商取引
ソーシャルメディアの活用とは、利用者が意見を発信・共有できる双方向の場をインターネット上に作り、製品改善などに役立てることです。雑誌や専門誌に記事を載せる、ネット通販で物を買う、といった一方向の行為は活用事例ではありません。
**電子商取引(EC)**は、誰と誰の取引かで分類します。バーチャルモールは、ネット上に多数のお店が出店する商店街で、B to Cにあたります。
| 用語 | 取引形態・意味 |
|---|---|
| バーチャルモール | ネット上の商店街。B to C(企業→消費者) |
| Web-EDI | 企業間の受発注データをWebでやりとりする。B to B |
| CALS | 設計から調達、保守までの情報を企業間で共有する仕組み。B to B |
| バーチャルカンパニー | 複数の企業がネットワークでつながり、一つの会社のように連携する形態 |
| C to C | 消費者同士の取引(ネットオークションなど) |
要点(試験直前に読む)
- デルファイ法は「専門家・匿名・フィードバックを繰り返して収束」の3点がそろう手法で、用途は未来予測とリスク識別。
- ブレーンストーミングは集まって批判せずにアイディアを大量に出す会議。ファシリテータは中立の立場で発言を促す進行役。
- クラスタ分析は似たデータのグループ分けで、結果の図は樹形図(デンドログラム)。文章の単語を分析するのはテキストマイニング。
- ビッグデータは量・種類・速さが特徴。リアルタイムデータも非構造化データもSNS投稿も対象に含める。
- ソーシャルメディアの活用は、双方向の意見共有の場を作ること。バーチャルモールは B to C で、Web-EDI と CALS は B to B。
ひっかけ
- デルファイ法の問題では、ブレスト(集まって自由に発言)、インタビュー(1回きり)、チェックリスト、モンテカルロ、SWOT の説明が誤答に並ぶ。「匿名」と「繰り返し」が書かれているかで判断する。
- ファシリテータの問題では「経営層の意向に沿う結論に導く」「事務作業に特化」「専門分野だけ助言」が誤答。正解のキーワードは「中立公平」。
- ビッグデータの問題では「SNS・非構造化データは対象外」「サンプリングで推測」が誤答。活用事例の問題では、DBからの抽出・計算のような定型処理が誤答として並ぶ。
- クラスタ分析の図を選ぶ問題では、パレート図(降順の棒グラフ)、特性要因図(魚の骨)、線形計画(斜線の領域)が紛れている。枝が合流していく樹形図を選ぶ。
- B to C の問題では、名前が似たバーチャルカンパニーや、B to B の CALS・Web-EDI が誤答。「消費者が買い物に来る場所」はバーチャルモールだけ。
用語(19)
複数人で批判をせずに、自由にできるだけ多くのアイディアを出し合う会議の方法。
⚠ アイスブレイク(緊張をほぐす雑談やゲーム)。「アイディアを大量に出す」ならブレスト
研修や商談の本題に入る前に、ゲームや雑談で参加者の緊張をほぐすこと。
⚠ ブレーンストーミング。目的が「緊張をほぐす」ならアイスブレイク
中立公平な立場で会議の参加者に発言を促し、議論の流れを整理する進行役。
⚠ 議長(結論を導く人)、事務局(事務作業)。「中立」「発言を促す」が見分けるポイント
複数の専門家に匿名でアンケートし、集計結果をフィードバックして再回答してもらうことを繰り返し、意見を収束させる予測手法。
⚠ ブレスト(集まって話す)、インタビュー(1回きり)。「匿名」と「繰り返し」がそろえばデルファイ法
将来起こりうる展開を、複数の筋書き(シナリオ)として書き出して検討する手法。
⚠ デルファイ法。専門家へのアンケートを繰り返すならデルファイ法
バラバラの言葉や情報を、内容の近いもの同士でまとめて整理する手法。
⚠ クラスタ分析。親和図法は言葉を人の手でまとめ、クラスタ分析は数値データを統計的に分類する
観測データを類似性によって集団(クラスタ)に分け、それぞれの特徴を調べる分析手法。
⚠ マーケットバスケット分析(一緒に買われる商品を見つける)
データの枝が段階的に合流していく木の形の図で、クラスタ分析の結果を表す。
⚠ パレート図(降順の棒グラフ)、特性要因図(魚の骨)
過去の実績値に、新しいものほど大きな重みをかけて将来の需要を予測する手法。
⚠ デルファイ法も予測手法だが、こちらは専門家の意見を使う
乱数と確率分布を使って何度もシミュレーションし、結果を見積もる手法。
⚠ デルファイ法の誤答選択肢として「確率分布でシミュレーション」の形で出る
自由記述などの文章から、単語の出現頻度や単語同士の関係を分析する手法。
⚠ マーケットバスケット分析(購買データ)、アクセスログ分析(閲覧記録)。対象が「文章」ならテキストマイニング
購買データから、同時に買われやすい商品の組合せを見つける分析。
⚠ テキストマイニング。対象が「購買履歴」ならこちら
量が膨大で種類が多様、しかも高速に発生し続けるデータで、リアルタイムのデータや非構造化データも含む。
⚠ 顧客DBからの抽出のような定型処理はビッグデータ活用ではない
音声・画像・文章など、表の行と列に整っていないデータ。
⚠ 「非構造化データは対象外」はビッグデータ問題でよく出る誤りの選択肢
利用者が情報を発信し、互いに共有・交流できるインターネット上の媒体。
⚠ 雑誌や専門誌への掲載は一方向なので、ソーシャルメディアの活用にあたらない
企業と一般消費者の間の電子商取引。
⚠ B to B(企業間の取引。Web-EDI や CALS)
インターネット上に多数の店舗が出店する仮想の商店街で、B to C の代表例。
⚠ バーチャルカンパニー(企業同士の連携形態)
企業間の受発注などの取引データを、Webブラウザを通じてやりとりする仕組み(B to B)。
⚠ バーチャルモール(B to C)
製品の設計・調達・保守などの情報を、企業間で電子的に共有する仕組み(B to B)。
⚠ バーチャルモール(B to C)
このレッスンの過去問
- 発想法・会議手法の名称(ブレーンストーミング等)令和8年度 基本情報技術者試験 科目A 公開問題 問19
- ファシリテータの役割平成29年度 春期 基本情報技術者試験 午前 問75
- デルファイ法の定義平成26年度 春期 基本情報技術者試験 午前 問70
- クラスタ分析の定義基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20200726 実施分 問69
- テキストマイニングの定義基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20260726 実施分 問58
- ビッグデータの特徴とマーケティング活用令和元年度 秋期 基本情報技術者試験 午前 問63
- ソーシャルメディアのビジネス活用事例平成27年度 秋期 基本情報技術者試験 午前 問73
- 電子商取引の取引形態(B to C)とバーチャルモール基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20160124 実施分 問73