会社の組織の形と人の役割
組織の形(職能別・事業部制・マトリックス・プロジェクト・カンパニー制など)、CIO などの役職、OJT や働き方の用語を、説明文から正しく見分けられるようになる。
科目Aの企業活動分野では「〜を説明したものはどれか」という定義当ての問題が毎回のように出る。CxO(CIO など)は本試験系で 9 回、組織構造の種類は 6 回出ていて、覚えれば確実に取れる得点源になる。
このレッスンで稽古する(用語チェック・過去問)結論:組織の形は「何で部門を分けるか」で見分ける
組織の形を問う問題は、部門を分ける軸とずっと続くか一時的かの2点で解ける。職能別は「仕事の種類」、事業部制は「製品・地域・顧客」、マトリックスは「その両方」で分ける。プロジェクト組織だけは目的を果たしたら解散する一時的な組織である。
身近なたとえで言うと、職能別は「料理人・ホール・会計が別々の部署」のレストランである。事業部制は「和食店・洋食店・中華店をそれぞれ独立採算で運営する」グループにあたる。
組織構造の比較表(本試験系 6 回・最重要)
| 組織 | 部門の分け方・特徴 | 選択肢での言い回し |
|---|---|---|
| 職能別組織 | 購買・生産・販売・財務など仕事の専門性で分ける | 「機能分化」「専門性」「職能別に構成」 |
| 事業部制組織 | 製品・地域・顧客ごとに分け、各事業部が利益責任をもつ | 「利益責任」「自己完結的」「事業単位ごとに意思決定」 |
| マトリックス組織 | 職能部門と事業(プロジェクト)部門の両方に所属する。上司が2人いる | 「両方に所属」「両方の特徴を生かす」 |
| プロジェクト組織 | 課題のために各部門から専門家を集め、達成したら解散 | 「一定期間」「解散」「タスクフォース」 |
| 社内カンパニー制 | 事業分野ごとに仮想の会社を作り、権限を任せる | 「擬似的な会社」「仮想企業」「意思決定の迅速化」 |
| 社内ベンチャ | 新事業開発のために社内に独立した小さな単位を作る | 「新事業開発」「小さな企業であるかのように」 |
| ラインアンドスタッフ組織 | 命令系統(ライン)に、助言する専門部門(スタッフ)を加えた恒常的な組織 | 「ライン」「スタッフ」 |
| ネットワーク組織 | 提携や共同開発のため、企業の枠をまたいで組む | 「外部の経営資源」「企業間にまたがる」 |
タスクフォース(特定の課題のために一時的に作るチーム)はプロジェクト組織の一種と覚える。マトリックス組織は恒常的な組織であり、「解散する」とは書かれない点で区別できる。
社内カンパニー制・社内ベンチャ・分社化の違い
3つとも「独立させる」話なので混同しやすい。会社の中にとどまるか、本当に別会社にするかで切り分ける。
| 用語 | 法人格 | ねらい |
|---|---|---|
| 社内カンパニー制 | 同じ会社のまま(擬似的な会社) | 既存の事業分野ごとに権限を任せ、意思決定を速くし、経営責任をはっきりさせる |
| 社内ベンチャ | 同じ会社のまま | 新しい事業を小さな企業のように立ち上げる |
| 分社化 | 別会社として切り離す | 機動力のある多角化 |
M&A(合併・買収)は、外部の企業から経営資源を得る手段であり、組織の形ではない。
組織構造の原則(スカラー原則など)
免除試験で2回出ている小さな論点である。試験でよく問われる原則は次の4つで、選択肢にこの4つが並ぶ。
| 原則 | 中身 |
|---|---|
| スカラー原則(階層の原則) | トップから現場まで権限を明確にし、命令が一貫して流れるようにする |
| 命令統一の原則 | 部下は1人の上司からだけ命令を受ける |
| 管理範囲の原則(スパン・オブ・コントロール) | 1人の上司が見る部下の人数を管理できる範囲に収める |
| 専門化の原則 | メンバが専門の業務を担当できるようにする |
スカラー原則は「上から下へ階段状に命令が流れる」と覚える。スカラー(scalar)は「階段・はしご」が語源である。
CxO:本試験系 9 回の最頻出。中でも CIO が中心
CxO(CIO など)は本試験系で9回、免除試験で12回出ている。CxO は「Chief ○○ Officer」の略で、○○分野の最高責任者を指す。添付の過去問では CIO を問う問題が中心である。
| 略語 | 正式名称 | 統括する分野 |
|---|---|---|
| CEO | Chief Executive Officer | 経営全体(経営戦略の立案と業務執行) |
| CIO | Chief Information Officer | 情報管理・情報システムの戦略立案と執行 |
| CFO | Chief Financial Officer | 財務(資金調達・財務報告) |
| CTO | Chief Technology Officer | 技術戦略・研究開発 |
| COO | Chief Operating Officer | 日々の業務の執行 |
CIO の役割は「全社的な視点で、経営戦略に合わせた情報化戦略を立てる」ことである。投資効果を全社で最適化する計画を作るのも CIO の仕事に入る。一方、個別のトラブル対応への指示、システム監査、プロジェクト運営、各部門のシステム化案の提出は CIO の仕事ではない。CIO は経営層の立場で、全体を見て戦略を決める人だと押さえる。
人を育てる:OJT と Off-JT
OJT(On the Job Training)は、職場で実務をしながら上司や先輩に教わる育成方法である。Off-JT(Off the Job Training)は、講習会・通信教育・社内研修など職場を離れて学ぶ方法を指す。
| OJT | Off-JT | |
|---|---|---|
| 場所 | 職場・実務の中 | 職場の外(研修・講習・通信教育) |
| 強み | 実践的で、仕事に必要な力が直接身に付く | 体系的・一般的な知識を学べる。教育に専念できる |
| 弱み | 教える人の力量で質がばらつく | 実務に直結しにくい |
「社内研修」は社内で行っても職場を離れるので Off-JT である。ここがひっかけになりやすい。
働き方・人事の用語(本試験系 3 回)
名前の似た制度を説明文から当てる問題が出る。キーワードで見分けよう。
| 用語 | 中身 | 見分けるキーワード |
|---|---|---|
| ワークシェアリング | 1人当たりの勤務時間を減らし、仕事を分け合って雇用を守る・増やす | 「勤務時間短縮」「雇用維持」 |
| 裁量労働制 | 専門業務・企画業務で、実際の時間に関係なく決めた時間働いたとみなす | 「みなす」「労使で取り決めた時間」 |
| ワークライフバランス | 仕事と生活の調和 | 「仕事と生活」 |
| カフェテリアプラン | 福利厚生を一定の範囲内で従業員が選べる | 「福利厚生」「選択」 |
| フリーエージェント制 | 従業員が職場や職務を自分で選べる | 「職場・職務を選択」 |
| ダイバーシティマネジメント | 性別・年齢・国籍などの多様性を尊重し、組織の活力を高める | 「多様性」「性別・年齢・国籍」 |
| 目標管理制度(MBO) | 自分で決めた目標の達成度で評価する | 「自ら設定した目標」「達成度」 |
カフェテリアプランは、社食のカフェテリアで好きな料理を選ぶように、福利厚生のメニューを選べる制度だと覚えるとよい。
要点(試験直前に読む)
- 組織の形は分ける軸で見分ける。職能別=仕事の種類、事業部制=製品・地域・顧客(利益責任)、マトリックス=両方に所属
- 「一定期間」「解散」「タスクフォース」があればプロジェクト組織。マトリックスは解散しない
- 社内カンパニー制=社内の擬似的な会社(意思決定の迅速化・責任の明確化)。別会社にするのは分社化、新事業の立ち上げは社内ベンチャ
- CIO=全社視点で、経営戦略に合わせた情報化戦略を立てる人。CEO=経営、CFO=財務、CTO=技術・研究開発
- OJT=職場で実務をしながら学ぶ。講習会・通信教育・社内研修は Off-JT
- ワークシェアリング=時間を減らして雇用を守る、裁量労働制=決めた時間働いたとみなす、ダイバーシティ=多様性の尊重
ひっかけ
- マトリックス組織を問う問題では、事業部制(利益責任・自己完結)、職能別(専門性で機能分化)、プロジェクト組織(一時的・解散)の説明が並ぶ。「両方に所属」「両方の特徴」を探す
- CIO の役割を問う問題では、トラブル報告への具体的な指示(運用管理者)、システム監査(監査人)、プロジェクト運営(プロジェクトマネージャ)が並ぶ。「全社的」「経営戦略との整合」がある選択肢が正解
- CxO の説明文では、CEO(経営全体)・CFO(財務)・CTO(技術・研究開発)が並ぶ。「情報」の語があるものが CIO
- OJT の問題では「社内の研修」が紛れ込む。社内でも職場を離れるので Off-JT。「実務の中で指導役が教える」が OJT
- ワークシェアリングの問題では、ワークライフバランス・カフェテリアプラン・フリーエージェント制の説明が並ぶ。「勤務時間短縮で雇用確保」を探す
用語(24)
購買・生産・販売・財務など、仕事の種類ごとに部門を分けた組織。
⚠ 事業部制は製品・地域・顧客で分けて利益責任をもつ。「機能」「専門性」とあれば職能別。
製品・地域・顧客ごとに部門を分け、各部門が利益責任をもって自己完結的に動く組織。
⚠ 社内カンパニー制は、さらに権限を任せた擬似的な会社。「利益責任」「自己完結」とあれば事業部制。
職能部門と事業(プロジェクト)部門の両方に同時に所属する、縦横2本の指揮系統をもつ組織。
⚠ プロジェクト組織は一時的で解散する。マトリックスは恒常的な二重所属。
特定の課題のために各部門から専門家を集め、目的を達成したら解散する一時的な組織。
⚠ マトリックス組織と混同しやすい。「期間限定」「解散」「タスクフォース」とあればプロジェクト組織。
特定の課題を解決するために一時的に編成するチームで、プロジェクト組織の一種。
事業分野ごとに社内に擬似的な会社を作り、権限を任せて意思決定を速め、経営責任をはっきりさせる組織形態。
⚠ 分社化は本当に別会社にする。社内ベンチャは新事業の立ち上げが目的。
新事業を開発するために、社内に独立した単位を作り、小さな企業のように運営する仕組み。
⚠ カンパニー制は既存の事業分野ごとの仮想企業。「新事業開発」とあれば社内ベンチャ。
命令を伝えるライン部門に、専門的な助言をするスタッフ部門を加えた恒常的な組織。
⚠ プロジェクト組織のように解散はしない。
トップから現場まで権限を明確にし、命令が階段状に一貫して流れるようにする原則。
⚠ 命令統一の原則は「上司は1人だけ」、管理範囲の原則は「部下の人数を管理できる範囲に収める」。
部下は常に1人の上司からだけ命令を受けるようにする原則。
⚠ スカラー原則は命令の流れの一貫性、命令統一は上司の人数。
1人の上司が監督する部下の人数を、管理できる範囲に収める原則。
経営戦略の立案と業務執行を統括する最高経営責任者。
⚠ CIO は情報システム分野だけの責任者。
全社的な視点で、経営戦略に合った情報化戦略を立て、その執行を統括する最高情報責任者。
⚠ CTO は技術・研究開発、CFO は財務。個別のトラブル対応への指示やシステム監査は CIO の役割ではない。
資金調達や財務報告など、財務面の戦略と執行を統括する最高財務責任者。
自社の技術戦略や研究開発計画を立て、その執行を統括する最高技術責任者。
⚠ CIO は情報システム、CTO は製品や研究の技術。
職場で実務をしながら、上司や先輩の指導を受けて実践的に技能を身に付ける育成方法。
⚠ Off-JT は講習会・通信教育・社内研修など職場を離れて学ぶ方法。
職場を離れて、研修や講習で体系的な知識を学ぶ育成方法。
⚠ 社内で行う研修も、職場を離れるので Off-JT。
1人当たりの勤務時間を減らして仕事を分け合い、社会全体の雇用を維持・創出する取組み。
⚠ ワークライフバランスは仕事と生活の調和。「雇用維持」とあればワークシェアリング。
専門業務や企画業務で、実際の労働時間に関係なく、労使で決めた時間を働いたとみなす制度。
⚠ ワークシェアリングは時間を減らして雇用を分け合う仕組み。「みなす」とあれば裁量労働制。
仕事と生活の調和を図り、多様で柔軟な働き方をめざす考え方。
福利厚生のメニューを、一定の範囲内で従業員が自分で選べる方式。
従業員が自分で職場や職務を選べる人事制度。
性別・年齢・国籍などの多様性を尊重し、それを組織の活力向上につなげる経営手法。
⚠ ワークライフバランスは仕事と生活の調和、MBO は目標の達成度による評価。
従業員が自分で目標を決めて主体的に取り組み、その達成度で評価される制度。
このレッスンの過去問
- 組織構造の種類(社内ベンチャ・事業部制等)平成28年度 春期 基本情報技術者試験 午前 問76
- 社内カンパニー制の定義平成31年度 春期 基本情報技術者試験 午前 問76
- マトリックス組織の定義基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20250608 実施分 問56
- プロジェクト組織の定義基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20240609 実施分 問56
- 組織構造の基本原則(スカラー原則)基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20111218 実施分 問72
- CxO(CIO等)の役割定義令和5年度 基本情報技術者試験 科目A 公開問題 問19
- OJTの特徴平成29年度 秋期 基本情報技術者試験 午前 問76
- 雇用形態・労働政策の用語(ワークシェアリング等)平成27年度 春期 基本情報技術者試験 午前 問76
- ダイバーシティマネジメントの定義令和5年度 基本情報技術者試験 科目A 公開問題 問16