LAN をつなぐ機器とイーサネットの送信ルール
LAN をつなぐ機器(リピータ・ブリッジ・L2スイッチ・ルータ・L3スイッチ・ゲートウェイ)を「何層で動き、何を見て中継するか」で区別できるようになる。あわせて、MACアドレスの構成、ブロードキャスト、CSMA/CD、1000BASE-T の選択肢問題を即答できるようになる。
LAN間接続装置は本試験・免除試験あわせて50回以上出ている、ネットワーク分野の定番です。社内LANやクラウドのネットワーク構成図に出てくる「スイッチ」「ルータ」「ゲートウェイ」が何をしている箱なのかを読めるようになります。
このレッスンで稽古する(用語チェック・過去問)結論:機器は「何層で・何を見るか」の1枚表で覚える
LAN間接続装置の問題は、機器と層(OSI基本参照モデル)と見るアドレスの組合せを入れ替えたひっかけがほとんどです。下の表が頭に入れば、この分野の大半は解けます。覚え方は「リ・ブ・ル・ゲ = 1・2・3・4以上」です。
| 機器 | 動く層 | 見るもの | やること |
|---|---|---|---|
| リピータ | 第1層 物理層 | 電気信号だけ(アドレスは見ない) | 信号を増幅して伝送距離を延ばす |
| リピータハブ | 第1層 物理層 | 電気信号だけ | 届いた信号を全ポートにそのまま流す |
| メディアコンバータ | 第1層 物理層 | 電気信号・光信号 | 異なる伝送媒体(光ファイバ⇔銅線など)をつなぎ、信号を変換する |
| ブリッジ | 第2層 データリンク層 | MACアドレス | 必要なセグメントにだけフレームを中継する |
| L2スイッチ(スイッチングハブ) | 第2層 データリンク層 | MACアドレス | 宛先MACアドレスがつながっているポートだけに転送する |
| ルータ | 第3層 ネットワーク層 | IPアドレス | 宛先IPアドレスを見て経路を選び、パケットを中継する |
| L3スイッチ | 第3層 ネットワーク層 | IPアドレス | ルータと同じ中継(ルーティング)をスイッチの形で高速に行う |
| ゲートウェイ | 第4層以上(トランスポート層〜アプリケーション層) | プロトコル全体 | 異なるプロトコル同士を変換してつなぐ |
たとえるなら、リピータは声を大きくして遠くまで届ける拡声器です。L2スイッチは部屋番号(MAC)を見て届ける館内の配達係、ルータは住所(IP)を見て次の局へ回す郵便局、ゲートウェイは言葉の違う相手との間に立つ通訳です。
L2スイッチ:MACアドレスを覚えて、必要なポートだけに送る
スイッチングハブ(L2スイッチ)は、宛先MACアドレスがつながっているポートだけにフレームを転送します。 届いたフレームの送信元MACアドレスを見て「このMACは何番ポートの先にいる」と自動で覚えます(MACアドレステーブル)。こうして覚えた対応表を使い、関係のないポートには流しません。
比べる相手はリピータハブです。リピータハブは何も覚えないので、全ポートに同じ信号を流します。
| リピータハブ | L2スイッチ | |
|---|---|---|
| 層 | 第1層 | 第2層 |
| 宛先の判断 | しない | MACアドレスで判断する |
| 送り先 | 全ポート | 宛先のポートだけ |
過去問の誤りの選択肢は、ほかの機器やサーバの仕事です。
- IPアドレスを割り当てる → DHCPサーバ
- IPアドレスを見て中継・破棄を判断する → ルータ・L3スイッチ
- ネットワーク層でパケットを分割する(フラグメンテーション) → ルータ
- 全ポートに流す → リピータハブ
MACアドレス:48ビット=メーカー番号24+製造番号24
MACアドレスはネットワーク機器ごとに付けられた48ビットの番号です。 先頭24ビットはOUI(ベンダID)、後続24ビットはそのメーカーが付ける固有製造番号です。データリンク層で、フレームの送信元と宛先を特定するために使います。
IPアドレスはネットワークの設計に合わせて後から割り当てる「住所」です。これに対してMACアドレスは、機器に最初から付いている「製造番号」です。MACアドレスの中にIPアドレスやエリアIDが入っている、という選択肢は誤りです。
| MACアドレス | IPアドレス | ポート番号 | |
|---|---|---|---|
| 層 | 第2層 データリンク層 | 第3層 ネットワーク層 | 第4層 トランスポート層 |
| 識別するもの | 機器(の通信部品) | ネットワーク上の機器の位置 | 機器の中のアプリケーション |
ブロードキャスト:同じセグメントの全員に「1回で」送る
ブロードキャストフレームは、同一セグメント内の全ノードに対して、送信元が1回の送信でデータを届けます。 宛先MACアドレスを全ビット1(FF-FF-FF-FF-FF-FF)にして送ると、スイッチがそのセグメントの全ポートに広げてくれます。セグメントとは、ルータで区切られる前の、ひとつながりのLANの範囲のことです。
| 送り方 | 宛先 | 送信回数 |
|---|---|---|
| ユニキャスト | 特定の1台 | 1回 |
| マルチキャスト | 選ばれた複数台(グループ) | 1回 |
| ブロードキャスト | 同一セグメントの全台 | 1回 |
選択肢は「全て」か「選択された複数」か、「一度に」か「順番に」かの組合せで作られています。**「全て+一度」**だけが正解です。「順番に送る」は、単にユニキャストを何回も繰り返しているだけで、ブロードキャストではありません。
CSMA/CD:空いていたら送る、ぶつかったらランダムに待って再送
CSMA/CDは有線イーサネットで、誰がいつ送るかを決めるルール(メディアアクセス制御方式)です。 名前がそのまま手順になっています。
- CS(Carrier Sense=キャリア検知):送る前に、伝送路が使用中かどうかを調べる
- MA(Multiple Access=多重アクセス):空いていれば、誰でも送信してよい
- CD(Collision Detection=衝突検知):同時に送って衝突したら、それを検知する。ランダムな時間待ってから再送する
会議で、誰も話していないのを確かめてから発言し、2人同時に話し始めたら、それぞれ適当に間をおいて言い直すイメージです。待ち時間をランダムにするのは、同じタイミングで再送して何度も衝突するのを防ぐためです。
誤りの選択肢は、ほかの方式の説明です。
| 方式 | 見分けるキーワード |
|---|---|
| CSMA/CD(有線イーサネット) | キャリア検知・衝突を検出したらランダム時間後に再送 |
| トークンパッシング | 送信権(トークン)を巡回・受け渡し、受け取ったノードだけが送る。「環状に接続」「論理的な順位付け」 |
| TDMA(時分割多元接続) | タイムスロットを割り当てられたノードだけが送る |
| CSMA/CA(無線LAN) | RTS/CTS、ACKで受信確認。衝突を「避ける(Avoidance)」 |
1000BASE-T:4対のUTP・最大100m
1000BASE-Tは、4対のUTPケーブル(より対線)を使うギガビットイーサネットで、最大距離は100mです。 名前は「1000=1000Mbps」「BASE=ベースバンド伝送」「T=ツイストペアケーブル」と読みます。2対で100mは100BASE-TXなので、取り違えないようにします。光ファイバを使うのは1000BASE-SX・1000BASE-LXなどです。
要点(試験直前に読む)
- 層と見るものは「リ・ブ・ル・ゲ = 1・2・3・4以上」。リピータ=信号増幅、ブリッジ/L2スイッチ=MAC、ルータ/L3スイッチ=IP、ゲートウェイ=トランスポート層以上のプロトコル変換。
- L2スイッチはMACアドレスを学習し、宛先のポートだけに転送する。全ポートに流すのはリピータハブ。
- MACアドレスは48ビット=先頭24ビットがOUI(ベンダID)、後続24ビットが固有製造番号。データリンク層で送信元・宛先を特定する。
- ブロードキャストは「同一セグメントの全ノードに、1回の送信で」届ける。
- CSMA/CDは「空きを確認して送信し、衝突したらランダム時間後に再送」。
- 1000BASE-Tは4対UTP・最大100m。
ひっかけ
- 「ブリッジはIPアドレス」「ルータはMACアドレス」の入れ替え → ブリッジはMAC、ルータはIP。層の番号で確かめる。
- 「ゲートウェイは第1〜3層だけを変換」 → ゲートウェイはトランスポート層以上を含む。範囲を狭く書いていたら誤り。
- L2スイッチの問題に、全ポート転送(リピータハブ)・IPアドレスの動的割当て(DHCP)・フラグメンテーション(ルータ)が混ざる → 「宛先MACのポートだけ」が正解。
- ブロードキャストの選択肢は「全て/選択された複数」×「一度に/順番に」の4通り → 「全て+一度」だけが正解。
- CSMA/CDの問題に、トークン巡回(トークンパッシング)・タイムスロット(TDMA)・RTS/CTSとACK(CSMA/CA)が並ぶ → 「キャリア検知+衝突したら再送」を選ぶ。
用語(20)
通信の機能を物理層からアプリケーション層までの7つの層に分けて整理したモデル。
⚠ 機器の層を問われたら、物理=1、データリンク=2、ネットワーク=3、トランスポート=4 と番号で即答できるようにする。
物理層で信号を増幅・整形して、同種のセグメントを延長する機器。
⚠ アドレスは一切見ない。「MAC」「IP」が出てきたらリピータの説明ではない。
物理層で動き、受け取った信号を全ポートにそのまま中継する集線装置。
⚠ L2スイッチは宛先ポートだけに送る。「全てのポートに転送」はリピータハブ。
物理層で、光ファイバと銅線のように異なる伝送媒体をつなぎ、信号を変換する機器。
⚠ ゲートウェイの「プロトコル変換」と混同しない。メディアコンバータが変換するのは信号の種類だけ。
データリンク層でMACアドレスを見て、セグメント間でフレームを中継する機器。
⚠ IPアドレスを基に中継するのはルータ。ブリッジはMAC。
MACアドレスと接続ポートの対応を学習し、宛先MACアドレスのあるポートだけにフレームを転送する機器。
⚠ 全ポート転送はリピータハブ、IP割当てはDHCPサーバ、フラグメンテーションはルータ。
ネットワーク層で宛先IPアドレスを見て、経路を選んでパケットを中継する機器。
⚠ MACアドレスで中継するのはブリッジ・L2スイッチ。プロトコル変換はゲートウェイ。
ネットワーク層でIPアドレスを見て中継(ルーティング)できるスイッチ。
⚠ L2スイッチとの違いはIPアドレスを扱えるかどうか。「ネットワーク層で中継」ならL3。
トランスポート層以上が異なるシステム同士の間で、プロトコルを変換して通信できるようにする機器・ソフトウェア。
⚠ 「第1〜3層だけを変換」は誤り。4層以上を含むのがゲートウェイ。
機器のネットワークインタフェースに付く48ビットの識別番号で、データリンク層で送信元・宛先の特定に使う。
⚠ IPアドレス(第3層・後から割り当てる)やポート番号(第4層)とは層が違う。
MACアドレスの先頭24ビットで、機器のメーカー(ベンダ)を表す番号。
⚠ 後続24ビットは固有製造番号。「エリアID」「IPアドレス」は入っていない。
データリンク層で扱うデータのまとまりで、ヘッダに送信元と宛先のMACアドレスが入る。
⚠ ネットワーク層ではパケットと呼ぶ(試験では呼び方が混在することもある)。
ルータで区切られる前の、ひとつながりのLANの範囲。
同一セグメント内の全ノードに、送信元が1回の送信でデータを届ける送り方。
⚠ 選ばれた複数台に1回で送るのはマルチキャスト。「順番に送る」はどちらでもない。
あらかじめ決めたグループ(選択された複数ノード)に、1回の送信でデータを届ける送り方。
⚠ 「全て」ならブロードキャスト、「選択された複数」ならマルチキャスト。
伝送路が空いていれば送信し、衝突を検知したらランダムな時間待って再送する、有線イーサネットのアクセス制御方式。
⚠ RTS/CTSやACKはCSMA/CA(無線LAN)、送信権の巡回はトークンパッシング、タイムスロットはTDMA。
無線LANで使う方式で、RTS/CTSなどで衝突を避けてから送信し、ACKで受信を確認する。
⚠ 有線の「衝突を検出して再送」はCSMA/CD。
送信権を表す特殊なフレーム(トークン)を巡回させ、受け取ったノードだけが送信する方式。
⚠ 「環状」「送信権を受け渡し」が出たらこれ。CSMA/CDではない。
4対のUTPケーブルを使い、最大100mまで1Gbpsで通信するイーサネット規格。
⚠ 2対・100mは100BASE-TX。光ファイバを使う規格は1000BASE-SX/LXなど。
シールドのない、2本の銅線をより合わせた対を束ねたLANケーブル。
このレッスンの過去問
- LAN間接続装置の階層と機能令和6年度 基本情報技術者試験 科目A 公開問題 問8
- スイッチングハブ(L2スイッチ)の機能基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20240128 実施分 問24
- MACアドレスの構成平成24年度 秋期 基本情報技術者試験 午前 問33
- ブロードキャストフレームの宛先(同一セグメント全ノード)基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20250608 実施分 問24
- CSMA/CD方式の送信制御令和元年度 秋期 基本情報技術者試験 午前 問31
- 1000BASE-Tの規格(4対UTP・100m)基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20111218 実施分 問34