進捗を図表で見える化し、遅れを数値で測る
ガントチャート・トレンドチャート・管理図・EVM を、選択肢の説明文から見分けられるようになる。進捗率・残作業量・遅れ日数・追加人数の計算問題を、式を立てて自力で解けるようになる。
過去問では、図表の見分け問題と、進捗率・残作業・追加人数の計算問題が繰り返し出題されています(本試験系より免除試験での出題が多い)。どの計算も「実際に終わった仕事の量」を数えれば解けるので、型を覚えておけば実務の進捗報告をチェックするときにも役立ちます。
このレッスンで稽古する(用語チェック・過去問)結論:進捗は「日付」ではなく「終わった仕事の量」で測る
このレッスンの計算問題は、どれも実際に終わった仕事の量を数えれば解けます。「今日は何日目か」「予定日はいつか」は、問題を難しく見せるための材料であることが多いです。
夏休みの宿題ドリルで考えます。30ページを30日で終える計画を立てて、10日目に7ページしか進んでいなければ「10日たった」ではなく「7ページ分終わった」が進捗です。プロジェクトも同じ考え方で、ここに金額や人数を掛けると EVM や増員の計算になります。
進捗の図表を見分ける
試験では「〜の説明はどれか」と聞き、ほかの図表の説明をひっかけの選択肢に並べます。何が見える図かで区別します。
| 図表 | 見た目 | 分かること | 分からないこと |
|---|---|---|---|
| ガントチャート | 作業ごとの横棒(縦=作業、横=日付) | 各作業の開始・終了の予定と実績、仕掛かり中の作業 | 作業同士の順序関係・クリティカルパス・余裕日数 |
| アローダイアグラム | 矢印と丸のネットワーク図 | 作業の順序関係、所要日数、余裕日数、クリティカルパス | 実績との比較 |
| トレンドチャート | 折れ線グラフ | 進捗状況と予算の消費状況を関連付けて時間の推移で見る | 個々の作業の日程 |
| マイルストーン | 節目の印 | 重要な締切・節目に着目した管理 | 作業ごとの細かい進み具合 |
| 責任分担マトリックス(RACI) | 作業×人の表 | 誰がどの作業に関与・責任を持つか | 日程 |
ガントチャートは部活の練習カレンダーに横棒で予定を書き、その下に実際にやった日を色を変えて塗るイメージです。ガントチャートの問題では、ほかに「バブルチャート(座標上の移動)」「レーダチャート(項目のバランス)」「パレート図(優先度)」の説明も、ひっかけの選択肢として出てきます。
品質の図:管理図とその仲間
管理図は、品質のデータを時系列の折れ線で描き、上下に引いた管理限界線の内側に収まっているかで、工程が安定しているかを判断する図です。点が線の外に出たら「何か異常が起きた」サインです。
選択肢には、ほかの QC 手法(品質管理の定番の道具)の説明が並びます。
| 図 | 一言でいうと | 見分けるキーワード |
|---|---|---|
| 管理図 | 時系列の折れ線+管理限界線 | 「時系列」「管理限界」「安定した状態か」 |
| パレート図 | 出現頻度の大きい順の棒グラフ+累積の折れ線 | 「大きさの順」「累積和」「問題点を絞り込む」 |
| 特性要因図 | 魚の骨の形 | 「原因と結果」「魚の骨」 |
| ヒストグラム | 区間ごとの個数の棒グラフ | 「区間に分類」「ばらつきの分布」 |
| 散布図 | 2つの量を点で打つ | 「2つの項目の相関」 |
EVM:進捗をお金に換算して測る
**EVM(アーンドバリューマネジメント)**は、進捗を金銭価値に換算し、コストとスケジュールを同時に評価する手法です。管理対象の組合せを聞かれたら「コスト、スケジュール」を選びます。品質とリスクは含まれません。
| 記号 | 正式名称 | 意味 |
|---|---|---|
| PV | Planned Value(計画価値) | 今の時点までに終わっている予定だった仕事の金額 |
| EV | Earned Value(出来高) | 実際に終わった仕事を予算の単価で金額にしたもの |
| AC | Actual Cost(実コスト) | 実際に使ったお金 |
| 指標 | 式 | 負(または1未満)のときの意味 |
|---|---|---|
| SV(スケジュール差異) | EV − PV | 進捗が計画より遅れている |
| CV(コスト差異) | EV − AC | コストが予算を超過している |
| SPI(スケジュール効率) | EV ÷ PV | 1未満なら遅れ |
| CPI(コスト効率) | EV ÷ AC | 1未満なら割高 |
覚え方は**「EV が主役で、PV と比べれば日程、AC と比べればお金」**です。EV − PV が負という条件だけでは「進捗が遅れている」としか言えません。「完了が遅くなる」と言い切る選択肢は言い過ぎです。
計算の型①:工程の配分から全体の進捗率を出す
工程ごとの工数の比率(合計 1.00)が与えられる問題です。完了した工程は比率をそのまま足し、途中の工程は「比率×完成割合」を足します。
- 完了済みの工程:比率をそのまま足す
- 途中の工程:比率 ×(完成本数 ÷ 全本数)
- 未着手の工程:0
工程ごとに「進んだ割合」が書かれた表(例:仕様設計 100本中100本、開発 100本中80本、テスト 100本中40本)でも同じで、0.45×1.0 + 0.30×0.8 + 0.25×0.4 = 0.79 → 79% です。完成割合を単純平均((100+80+40)÷300 ≒ 73%)すると誤答の選択肢になります。
計算の型②:残作業量と遅れ日数
残作業量 = 全体の作業量 − 実際に終わった量です。設計書の例なら、残工数=(作成予定枚数 − 作成済み枚数)× 1枚当たり工数を設計書ごとに出して足します(0 + (300−200)×2 + (500−50)×2 = 1,100人時)。作成済み分を引き忘れると誤答になります。
遅れ日数は「今終わっている量は、計画では何日目に終わるはずだったか」と、今日との差で出します。1日あたりの計画ペースで割るのがコツです。
計算の型③:追加人数と超過工数は「実績の生産性」で計算する
いちばん大事な一点は、これからの見込みは計画の生産性ではなく、実績の生産性で計算することです。問題文に「今後も同じ生産性が続く」「追加要員の効率は今までと同じ」とあれば、これが合図です。
- 実績の生産性 = 終わった量 ÷ 投入した人数×日数(または投入工数)
- 残りの量 = 全体 − 終わった量
- 必要人数 = 残りの量 ÷(残り日数 × 実績の生産性)
- 追加人数 = 必要人数 − 今いる人数(最後の引き算を忘れない)
例:88人月の仕事に5か月×10名=50人月を投入して、40人月分しか終わっていない → 効率 0.8。残り 48人月分を3か月で終えるには 48 ÷ (3 × 0.8) = 20名。今10名なので追加は10名です。効率を無視した 48 ÷ 3 = 16名(追加6名)がひっかけの選択肢です。
工程の配分から全体の進捗度を出す
| 基本設計 | 詳細設計 | プログラム設計 | プログラミング | テスト |
|---|---|---|---|---|
| 0.08 | 0.16 | 0.20 | 0.25 | 0.31 |
ア 40
イ 44
ウ 54
エ 59
解き方と答えを見る
- 工程の配分を確認する:基本設計 0.08、詳細設計 0.16、プログラム設計 0.20、プログラミング 0.25、テスト 0.31(合計 1.00)。
- 完了した工程の比率を足す:0.08 + 0.16 + 0.20 = 0.44。
- 途中のプログラミングは「比率×完成割合」:完成割合 = 1,200 ÷ 3,000 = 0.4、0.25 × 0.4 = 0.10。
- テストは未着手なので 0。
- 合計:0.44 + 0.10 + 0 = 0.54 → 54%。
答え:ウ(54%)
終わった量から残作業量の割合を出す
| 作業 | 計画作業量(人日) | 完了予定日 |
|---|---|---|
| 仕様書作成 | 2 | 6 月 2 日(火) |
| プログラム設計 | 5 | 6 月 9 日(火) |
| テスト計画書作成 | 1 | 6 月 10 日(水) |
| コーディング | 4 | 6 月 16 日(火) |
| コンパイル | 2 | 6 月 18 日(木) |
| テスト | 3 | 6 月 23 日(火) |
ア 30
イ 47
ウ 52
エ 53
解き方と答えを見る
- 全体の作業量を足す:2 + 5 + 1 + 4 + 2 + 3 = 17人日。
- 実際に終わった作業を数える:仕様書作成 2、プログラム設計 5、テスト計画書作成 1 → 8人日。
- コーディングは 25% 終了:4 × 0.25 = 1人日。
- 終わった量の合計:8 + 1 = 9人日。残りは 17 − 9 = 8人日。
- 割合:8 ÷ 17 ≒ 0.47 → 約47%。
- 補足:同じ表で日付だけ「6月16日」に変えた問題も答えは同じ47%。日付ではなく、終わった量だけで決まる。
答え:イ(約47%)
計画ペースから遅れ日数を出す
ア 1
イ 2
ウ 3
エ 4
出典:基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 201001 実施分 問52
解き方と答えを見る
- 計画のペースを出す:50項目 ÷ 10日 = 1日あたり5項目。
- 完了した20項目は、計画では何日目に終わるはずだったか:20 ÷ 5 = 4日目の終わり。
- 今は5日目の終わり:5 − 4 = 1日の遅れ。
答え:ア(1日)
実績の生産性で追加人数を出す
ア 2
イ 7
ウ 10
エ 20
解き方と答えを見る
- 全体の作業量(計画):10人 × 0.5kステップ/人日 × 30日 = 150kステップ。
- 残りの量と残りの日数:150k − 30k = 120kステップ、30日 − 10日 = 20日。
- 実績の生産性:30k ÷ (10人 × 10日) = 0.3kステップ/人日(計画の0.5ではない)。
- 1日に必要な量:120k ÷ 20日 = 6kステップ/日。
- 必要人数:6k ÷ 0.3k = 20人。
- 追加人数:20人 − 10人 = 10人。
- 計画の0.5で計算すると 6k ÷ 0.5k = 12人 → 追加2人となり、選択肢アのひっかけに当たる。
答え:ウ(10名)
実績の生産性で超過工数を出す(EVMの考え方)
ア 50
イ 90
ウ 105
エ 140
解き方と答えを見る
- 出来高(EV):150人月 × 0.3 = 45人月分の仕事が終わった。
- 投入工数(AC):60人月。
- 生産性(CPI と同じ考え方):45 ÷ 60 = 0.75。
- 完了までの総投入工数:150 ÷ 0.75 = 200人月。
- 超過:200 − 150 = 50人月。
- 検算:残りの仕事 150 − 45 = 105人月分 ÷ 0.75 = 140人月。60 + 140 = 200人月で一致。
答え:ア(50人月)
要点(試験直前に読む)
- ガントチャート=作業ごとの横棒で予定と実績を見せる。順序関係・余裕日数・クリティカルパスはアローダイアグラム。
- トレンドチャート=進捗と予算消費を関連付けた折れ線。管理図=時系列の折れ線+管理限界線で工程の安定を判断。
- EVM はコストとスケジュールを管理する。SV = EV − PV(負なら遅れ)、CV = EV − AC(負ならコスト超過)。
- 進捗率=完了工程の比率の合計+途中工程の「比率×完成割合」。
- 残作業・遅れ日数は「実際に終わった量」で数える。日付や予定日に惑わされない。
- 追加人数・超過工数は実績の生産性で計算し、最後に「必要人数 − 今の人数」を引く。
ひっかけ
- ガントチャートの説明に「順序関係」「余裕日数」「クリティカルパス」を混ぜる選択肢 → それはアローダイアグラムの特徴なので外す。
- 管理図の問題で、パレート図(大きい順・累積)、特性要因図(魚の骨)、ヒストグラム(区間の個数)の説明を並べてくる → 「時系列」「管理限界」の語がある選択肢を選ぶ。
- EVM の管理対象に品質やリスクを入れた選択肢 → 正しい組合せは「コスト、スケジュール」だけ。
- 増員の計算で計画の生産性を使わせる → 「終わった量 ÷ (人数×日数)」で実績の生産性を出し直す。必要人数をそのまま答えず、今いる人数を引く。
- 進捗率で完成本数の単純平均を取らせる、または作成済み分を引き忘れさせる → 工程の比率で重み付けし、残りは「全体 − 完了」で出す。
用語(16)
作業ごとに実施期間を横棒で描き、開始・終了の予定と実績や仕掛かり中の作業を一目で見せる工程管理図。
⚠ アローダイアグラムと混同しやすい。順序関係・余裕日数・クリティカルパスが分かるのはアローダイアグラムで、ガントチャートでは分からない。
作業を矢印、作業の区切りを丸で表したネットワーク図で、作業の順序関係・所要日数・余裕日数・クリティカルパスが分かる。
⚠ ガントチャートは予定と実績の比較が得意で、順序関係は表せない。
作業の進捗状況と予算の消費状況を関連付けて、時間の推移を折れ線で示す図。
⚠ 「計画と実績を帯状に対比」はガントチャート、「関与する人と責任をマトリックスで示す」は責任分担マトリックス。キーワードは「予算」と「折れ線」。
プロジェクトの重要な節目(締切・判断点)に置く印で、節目に着目して管理するために使う。
⚠ 作業ごとの期間を描くのはガントチャート。
品質データを時系列の折れ線で描き、管理限界線の内側に収まっているかで工程が安定しているかを判断する図。
⚠ パレート図(大きい順の棒+累積の折れ線)、特性要因図(魚の骨)、ヒストグラム(区間ごとの個数)と混同させる。キーワードは「時系列」と「管理限界」。
管理図の上下に引く線で、データがこの線の外に出たら工程に異常が起きたと判断する目安。
項目を出現頻度の大きい順に棒グラフで並べ、累積比率を折れ線で重ねて、重点的に対策すべき問題を絞り込む図。
⚠ 管理図は時系列で並べ、パレート図は大きさの順に並べる。
結果(特性)とそれに関係する原因を、魚の骨の形に整理した図。
⚠ 管理図・パレート図と並べて出される。キーワードは「魚の骨」と「原因と結果」。
データをいくつかの区間に分け、区間ごとの個数を棒グラフにして、ばらつきの分布を見る図。
⚠ パレート図は項目別で大きさの順に並べる。ヒストグラムは数値の区間順に並べる。
進捗を金銭価値に換算し、コストとスケジュールの両方の効率を評価するプロジェクト管理手法。
⚠ 管理対象は「コストとスケジュール」で、品質・リスクは含まない。クリティカルパス法(日程)、ファンクションポイント法(規模の見積り)、モンテカルロ法(確率シミュレーション)とは別物。
ある時点までに終わっている予定だった作業の予算額。
⚠ EV は実際に終わった分の金額で、PV は予定の分の金額。
実際に完了した作業を、予算上の単価で金額に換算したもの。
⚠ AC(実際に使ったお金)と混同しやすい。EV は終わった仕事の価値、AC は払った額。
ある時点までに実際に費やしたコスト。
⚠ EV と比べるとコストの良し悪し(CV = EV − AC)が分かる。
SV = EV − PV で負なら進捗の遅れ、CV = EV − AC で負ならコストの超過を表す。
⚠ EV − PV(日程)と EV − AC(お金)の取り違えに注意。SV が負というだけでは「完了が遅くなる」とまでは言えない。
SPI = EV ÷ PV、CPI = EV ÷ AC で、どちらも1未満なら計画より悪い。
⚠ 差異(引き算)と効率指数(割り算)の違い。
作業量の単位で、1人が1日(1か月)働いた分の量。
⚠ 「10人で3日」も「30人で1日」も30人日。人数と期間に分けるときは割り算する。
このレッスンの過去問
- ガントチャートの用途(予定と実績の表現)基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20260125 実施分 問42
- トレンドチャートの定義平成29年度 春期 基本情報技術者試験 午前 問54
- 管理図の定義(管理限界線)基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20190127 実施分 問54
- アーンドバリューマネジメントの定義基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20251214 実施分 問42
- 出来高に基づく残作業量の計算平成30年度 秋期 基本情報技術者試験 午前 問53
- 工程別工数配分と完成本数からの進捗度計算平成30年度 春期 基本情報技術者試験 午前 問52
- 進捗実績に基づく遅れ日数の計算基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20110626 実施分 問54
- 進捗実績に基づく増員必要数の計算平成27年度 秋期 基本情報技術者試験 午前 問53