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システム戦略・1/7・9分

業務プロセスの見直しと改善の進め方

ゴール

BPR・BPM・ワークフローシステム・EUC・情報リテラシの説明文を読んで、ERP・CRM・SCMなどの紛らわしい用語と取り違えずに正解を選べるようになる。BPMSの4フェーズ(計画・実行・検証・改善)のどれに当たるかも見分けられるようになる。

システム戦略の科目Aでは「〜の説明はどれか」「〜の目的はどれか」と業務改善の手法名を当てる問題が、言い回しを少し変えて何度も出ている。キーワードで見分けるコツさえ覚えれば確実に取れるうえ、実務で業務改善を話し合うときの共通語にもなる。

このレッスンで稽古する(用語チェック・過去問)

結論:作り直すのがBPR、回し続けるのがBPM

業務改善の手法は、大きく**「一度ゼロから作り直す」BPRと「改善を回し続ける」BPM**の2つに分かれる。試験はこの2つと、似た名前の経営用語(ERP・CRMなど)を取り違えさせる問題ばかり。まずはこの2つの違いを押さえる。

たとえるなら、BPRは家の建て替え(今の間取りは捨てて、暮らし方から設計し直す)、BPMは住みながら続ける定期メンテナンス(点検して直し、また点検する)。

手法 何をする 時間軸 試験のキーワード
BPR 業務プロセスを根本から再設計する 一度の大改革 抜本的・劇的・顧客視点・IT活用・リエンジニアリング
BPM 分析→設計→実行→改善のサイクルを回す 継続的 継続的な改善・マネジメントサイクル
業務改善(現場のカイゼン) 今のやり方を少しずつ直す 積み重ね 現場のニーズ・現行の手続に基づく
BPR:建て替え今の業務プロセス現行を前提にしないあるべき姿から再設計顧客視点・IT活用一度の大改革BPM:定期メンテ分析設計実行改善継続的改善を回し続ける
BPRは今の業務を捨てて一度で作り直し、BPMは分析・設計・実行・改善を回し続ける。

BPR:今のやり方を捨てて「あるべき姿」から作り直す

BPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング)は、業務の流れ(ビジネスプロセス)を根本から考え直して抜本的に再設計し、コスト・品質・サービス・スピードを劇的に改善する手法。単にリエンジニアリングとも呼ぶ。キーワードは顧客視点とITの活用で、目指すのは企業の体質や構造そのものを変えること。

BPRで押さえる3つの特徴

  • 顧客視点で業務プロセスを見直す(社内の都合を起点にしない)
  • IT(情報技術)を十分に活用して再設計する
  • 小さな改善ではなく、抜本的・劇的な変革を狙う

進め方の留意点(ここが一番問われる)

  • ○ 新しい視点で高い目標を立て、将来必要になる最上位の業務機能・業務組織のモデルから考える
  • × 現行の組織や業務手続を前提にして設計する → それは今の延長線上の改善にすぎない
  • × 将来像は気にせず、現場レベルのニーズへの対応を積み重ねる → それは業務改善
  • × 対象を定型業務(購買・製造・販売など決まった手順の仕事)だけに絞る → BPRは意思決定のような非定型業務も含め、業務全体を見直す

選択肢に「現行の〜に基づいて」「現場の〜を重視して」とあれば、BPRの答えから外すのが基本。

○ BPRの進め方× BPRではない新しい視点で高い目標最上位の業務機能モデル業務全体を抜本的に再設計非定型業務も含む現行の組織・手続が前提現場ニーズの積み重ね定型業務だけが対象=今の延長の業務改善抜本的にならない
BPRは高い目標と最上位のモデルから考え、現行前提・現場ニーズの積み重ね・定型業務だけの見直しは業務改善止まり。

BPM:業務プロセスを継続的に改善し続ける仕組み

BPM(ビジネスプロセスマネジメント)は、業務プロセスに分析→設計→実行→改善のマネジメントサイクル(PDCAのように回し続ける管理の流れ)を組み込み、改善を継続的に続ける手法。**目的は「業務プロセスの継続的な改善」**と覚えれば足りる。目的を問う問題では、ほかの選択肢は経営資源(ERP)・顧客情報(CRM)・情報資源の分析(BIなど)の目的なので、迷わず消せる。

**BPMS(ビジネスプロセスマネジメントシステム)**は、BPMを支えるITツール。業務の流れを設計し、その設計どおりに仕事を流して実績を記録できる。免除試験では、どの作業がどのフェーズに当たるかが問われた。

フェーズ やること 見分けのキーワード
計画 業務プロセスを設計し、画面や基幹システムとの連携など業務アプリケーションを作る 設計・構築
実行 業務リストに沿って担当者に仕事を割り振り、実施状況を記録する 割り振り・記録
検証 業務リストの実績や個人別の実績で業務を分析し、ノウハウを登録するなどやった仕事を振り返る 実績・振り返り
改善 業務ごとの実績の詳細分析や、業務を変えた後のシミュレーションを基に業務を見直す 見直し・シミュレーション

検証と改善はどちらも「分析」を含むので紛らわしい。過去を振り返るのが検証、この先どう変えるかを決めるのが改善と区別する。

設計・構築割り振り・記録計画実行検証改善実行の実績を振り返る変えた後をシミュレーション検証=過去を見る/改善=先を見る
BPMSの4フェーズのうち、検証は実行の実績を振り返り、改善は変えた後をシミュレーションして先を決める。

ひっかけ用語の見分け表

BPR・BPMの問題では、不正解の選択肢にほかの経営用語の説明文が並ぶ。キーワードでどの用語の説明かを当てられれば、消去法で解ける。

用語 ひとことで 選択肢に出るキーワード
BPR 業務プロセスを抜本的に再設計 抜本的・劇的・顧客視点・IT活用
BPM 業務プロセスを継続的に改善 分析・設計・実行・改善のサイクル
ERP 基幹業務の情報を一元管理 生産・物流・販売・財務・人事/経営資源の全体最適
CRM 顧客との関係を管理 顧客データベース・問合せ・クレーム対応
SCM 供給から販売までの連鎖を最適化 部品供給〜販売・在庫削減・リードタイム短縮
コアコンピタンス 他社に勝る自社の中核能力 他社より優越した独自の技術・経営資源の集中
ベンチマーキング 優れた他社と比べて学ぶ 最強の競合・先進企業と比較
アライアンス 企業どうしの提携 提携・協力
ゴーイングコンサーン 企業が将来も続く前提 継続企業の前提
EDI 企業間の電子データ交換 取引先とのデータ交換の標準規約

ワークフローシステム:申請から決裁までを電子化して速くする

ワークフローシステムは、稟議や経費精算のような申請→承認→決裁の事務手続を電子化し、処理速度を上げる仕組み。紙の稟議書にハンコを順番にもらって回るリレーを、システム上の回覧に置き換えるイメージ。ひっかけは、購入額に応じた割引(CRM)、取引先とのデータ交換の規約(EDI)、倉庫の搬入出の自動化(物流システム)の効果。

紙の稟議書:人が持って回る申請承認決裁1人ずつハンコを順番にもらうワークフローシステム:電子で回覧申請承認決裁処理速度が上がる
紙の稟議書を人が持って回るリレーを、ワークフローシステムでは電子の回覧に置き換えて処理を速くする。

EUCと情報リテラシ:利用者が自分でITを使いこなす

EUC(エンドユーザコンピューティング)は、システムを使う現場の人(エンドユーザ)が自分で表計算ソフトや簡易データベースを使い、必要な情報を参照・加工して業務をこなすこと。情報システム部門に頼まずに済むので、部門の開発待ち案件(バックログ)は減る方向に働く。「情報システム部門が主導して開発する」「開発要員が増える」はEUCの逆。統合開発環境(IDE)やプロトタイピングといった開発者側の用語とも混同させてくる。

情報リテラシは、業務に必要なデータの収集・加工・発信のために、コンピュータやネットワークを有効に使う能力。全社員向けの向上策として正しいのはこれの習熟で、プログラミング能力・簿記の資格・タイピング速度の競争は本質から外れる。

要点(試験直前に読む)

  • BPR=顧客視点+IT活用で業務プロセスを抜本的に再設計し、劇的に改善する(リエンジニアリング)。
  • BPRは高い目標と将来の最上位モデルから考える。現行の組織・手続や現場ニーズを起点にしたら×。
  • BPM=分析・設計・実行・改善のサイクルを回す。目的は「業務プロセスの継続的な改善」。
  • BPMSのフェーズ:計画は設計・構築、実行は割り振り・記録、検証は実績の振り返り、改善はシミュレーションを基にした見直し。
  • ワークフローシステム=申請〜決裁の電子化で処理を速くする。EUC=利用者自身が表計算などで情報を加工する。
  • 情報リテラシ=データの収集・加工・発信にコンピュータとネットワークを使いこなす能力。

ひっかけ

  • BPRの留意点で「現行の組織・業務手続に基づいて」「現場のニーズを重視して」とあれば、それは業務改善の説明なので×。
  • BPMの説明・目的の問題には、ERP(経営資源の一元管理)、CRM(顧客)、SCM(在庫・リードタイム)の説明が並ぶ。主語のキーワードで消去する。
  • BPRの説明・名前の問題には、コアコンピタンス(独自の強み)、ベンチマーキング(他社比較)、アライアンス(提携)、ERPが紛れ込む。「抜本的・劇的」を探す。
  • BPMSの検証と改善はどちらも分析を含む。過去の実績を振り返るのが検証、シミュレーションを基に変え方を決めるのが改善。
  • EUCの選択肢には、情報システム部門主導の開発やIDE・プロトタイピングが並ぶ。「利用者自身が」を探す。

用語(15)

BPR Business Process Reengineering(ビジネスプロセスリエンジニアリング)
顧客視点とITの活用で業務プロセスを根本から再設計し、コスト・品質・サービス・スピードを劇的に改善する手法。リエンジニアリングとも呼ぶ。
⚠ BPMは継続的な改善、BPRは一度の抜本的な作り直し。「抜本的・劇的」ならBPR。
BPM Business Process Management(ビジネスプロセスマネジメント)
業務プロセスについて分析・設計・実行・改善のサイクルを回し、継続的に改善していく管理手法。
⚠ BPRとの違いは「継続的」かどうか。目的を問われたら答えは「業務プロセスの継続的な改善」。
BPMS Business Process Management System(ビジネスプロセスマネジメントシステム)
BPMを支えるITツールで、業務の流れを設計・実行・記録・分析できる。
⚠ フェーズを問われたら、振り返りが検証、シミュレーションを基にした見直しが改善。
ワークフローシステム わーくふろーしすてむ
申請から承認・決裁までの事務手続を電子化し、処理を速くする仕組み。
⚠ 取引先とのデータ交換はEDI、顧客向けのサービスはCRMの話。
EUC End User Computing(エンドユーザコンピューティング)
利用者自身が表計算ソフトや簡易データベースで情報を参照・加工し、業務をこなすこと。
⚠ IDEやプロトタイピングは開発者側の用語。情報システム部門主導の開発はEUCの逆。
情報リテラシ じょうほうりてらし
業務に必要なデータを収集・加工・発信するために、コンピュータやネットワークを有効に使う能力。
⚠ プログラミング能力・簿記・タイピング速度は情報リテラシの本質ではない。
ERP Enterprise Resource Planning(エンタープライズリソースプランニング)
生産・物流・販売・財務・人事などの基幹業務の情報を一元管理し、経営資源の全体最適を図る仕組み。
⚠ 「経営資源」「一元管理」ならERP。BPMの目的(継続的な改善)とは別物。
CRM Customer Relationship Management(カスタマーリレーションシップマネジメント)
顧客データベースを基に、販売から保守・問合せ対応まで顧客との関係を一貫して管理する手法。
⚠ 「顧客」が主語ならCRM。
SCM Supply Chain Management(サプライチェーンマネジメント)
部品の調達から製品の販売までの情報を企業間で共有し、在庫削減とリードタイムの短縮を図る手法。
⚠ 「供給〜販売の連鎖」「在庫削減」ならSCM。
EDI Electronic Data Interchange(電子データ交換)
企業間の取引データを、標準の規約に沿って電子的に交換すること。
⚠ 社内の申請・決裁ならワークフローシステム、企業間のデータ交換ならEDI。
コアコンピタンス Core Competence(こあこんぴたんす)
他社がまねできない、自社独自の中核となる技術や能力。
⚠ 「他社より優越した独自の強み」ならこれ。BPRの説明ではない。
ベンチマーキング Benchmarking(べんちまーきんぐ)
最強の競合や先進企業と自社を比べ、差を把握して改善に生かす手法。
⚠ 「他社と比較」ならベンチマーキング。
アライアンス Alliance(あらいあんす)
企業どうしが目的を共有して提携・協力すること。
⚠ 「劇的な改善」の名前を問う問題で並ぶダミー。提携の意味しかない。
プロトタイピング Prototyping(ぷろとたいぴんぐ)
開発の初期に試作品(画面など)を作り、利用者に確認してもらいながら進める開発手法。
⚠ 開発者側の手法。利用者が自分でITを使うEUCとは別物。
IDE Integrated Development Environment(統合開発環境)
エディタ・コンパイラ・デバッガなどの開発ツールを1つの画面にまとめた開発環境。
⚠ EUCの選択肢に紛れ込むダミー。開発者向けの道具。

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