データ分析・AI活用と新しいIT活用
BI・データマイニング・ビッグデータ・AI活用・クロステックの用語を、似た用語と区別して選べるようになる。分析表の選び方と、ビッグデータ活用の4段階の見分け方も身につける。
「データを経営に活かす」はどの会社でも重要なテーマで、科目Aのストラテジ分野では用語の定義を問う問題として何度も出ています。用語の意味を正しく区別できれば、ほぼ確実に1点取れる分野です。
このレッスンで稽古する(用語チェック・過去問)全体像:データは「貯める→掘る→決める」
結論から言うと、このレッスンの用語はデータを貯める・掘る・判断や行動に使うという流れのどこにあたるかで整理できます。どの段階の話かが分かれば、選択肢の大半は消せます。
| 段階 | 代表的な用語 | ひとことで |
|---|---|---|
| 貯める | データウェアハウス | 分析用にデータを集めて保管する倉庫 |
| 整える | 非構造化データの構造化 | 文章などを分析できる形に変える |
| 掘る | データマイニング・マーケットバスケット分析 | 大量データから法則を見つける |
| 決める・動く | BI・ビッグデータ活用の第4段階 | 分析結果を経営判断や施策につなげる |
| 人と技術 | データサイエンティスト・機械学習・クロステック | 分析する人、学習する仕組み、ITと既存産業の組合せ |
BI(ビジネスインテリジェンス):最頻出
BIとは、業務システムなどに蓄積された社内外の大量のデータを集めて加工・分析し、経営の意思決定を速く的確にする手法や仕組みのことです。「業績評価」「経営戦略の策定」「意思決定の迅速化」と「蓄積データの分析」が同じ選択肢にあれば、それがBIです。
たとえるなら、店長がレジの記録を毎日集計して、曜日ごとの売れ筋から「来週は何をどれだけ仕入れるか」を決めるのがBIです。データは過去の記録で、目的は判断です。
試験では、別の経営手法やIT活用の説明が選択肢に並びます。次の表で区別しましょう。
| 用語 | 何をする | 見分けるキーワード |
|---|---|---|
| BI | 蓄積データを分析し意思決定に使う | 蓄積データ・分析・意思決定 |
| BPR | 業務の進め方を根本から作り直す | 抜本的・再構築 |
| BPM | 業務の流れを見える化し、改善を繰り返す | 継続的・改善サイクル |
| EAI | 社内の別々のシステムをつなぐ | システム連結・統合 |
| ワークフロー | 稟議や決裁などの手続を電子化する | 稟議・決裁・定型業務 |
| eラーニング | 教材をネット経由で学習させる | 学習教材・成績管理 |
| 競合調査 | 他社の刊行物から他社の状況を知る | アニュアルレポート・他社 |
データマイニングと分析手法の名前
データマイニングとは、大量のデータから人が気づかない有用な規則や関係を掘り出す手法です(mining=採掘)。似た名前の用語と取り違えやすいので、役割で区別します。
| 用語 | 役割 |
|---|---|
| データマイニング | 大量データから法則・関係を見つけ出す |
| データウェアハウス | 分析用にデータを蓄積する仕組み |
| データディクショナリ | データ項目の名前・型・意味など定義情報の集まり |
| データフローダイアグラム(DFD) | データと処理の流れを描く図 |
データマイニングの代表例がマーケットバスケット分析です。POS(レジで販売の記録を取る仕組み)のデータから、「パンを買う人は牛乳も買うことが多い」のような一緒に買われる商品の組合せを見つけます。名前の由来は買い物かご(バスケット)の中身です。
| 分析手法 | 何を分析するか |
|---|---|
| マーケットバスケット分析 | 同時に買われる商品の組合せ |
| ABC分析 | 売上の多い順に並べ、累計比率でA・B・Cの3ランクに分ける |
| 3C分析 | 顧客(Customer)・競合(Competitor)・自社(Company)の3視点で環境を分析 |
| コンジョイント分析 | 価格・機能などの組合せのうち、顧客がどれを重視するかを測る |
「組合せ」という語だけでコンジョイント分析を選ばないよう注意します。買われた商品の組合せならマーケットバスケット分析、商品の属性の組合せに対する好みならコンジョイント分析です。
優良顧客を絞り込む分析表:クロス表を選ぶ
「最近いつ買ったか(期間)」と「いくら買ったか(金額)」の2つの条件で顧客数を見比べたいときは、片方を行、もう片方を列にしたクロス表(2つの軸の交わるマスに数値を入れる表)が最適です。行で期間、列で金額を見ると、どの条件で区切れば優良顧客が何人になるかを一目で比べられます。
選択肢には、同じ数字を縦に1行ずつ並べた一覧表(縦持ちの表)が混ざります。中身の数字は同じでも2軸で比べにくいので、選択基準を検討する表としては不適切です。下の例題で手順を確認しましょう。
ビッグデータ:構造化と活用の4段階
構造化データは表の行と列にきちんと収まるデータ(売上表など)、非構造化データは文章・画像・音声など決まった形のないデータ(SNSの口コミなど)です。ビッグデータ分析では、非構造化データを分析できる形(構造化データ)に加工する前処理が必要になります。
試験では「口コミを単語に分解・要約し、データベースに保管する」が正解でした。データベースからの抽出、匿名化、住所表記の統一は、もともと表になっているデータを扱う処理なのでひっかけです。
ビッグデータ活用は、次の4段階に分けて考えます。
| 段階 | 問い | 英語での呼び方 | 例(製品の操作履歴) |
|---|---|---|---|
| 第1 | どうだったのか | 記述的(Descriptive) | 機能ごとの使用割合を明らかにする |
| 第2 | どうしてそうだったのか | 診断的(Diagnostic) | 誤操作とその原因を見つける |
| 第3 | どうなりそうなのか | 予測的(Predictive) | 故障率の増加をシミュレーションで推定する |
| 第4 | どうしたら良いのか | 処方的(Prescriptive) | 誤操作しにくいUIに改良する |
見分けるコツは選択肢の文末の動詞です。「明らかにする」は第1段階、「原因を見つける」は第2段階、「推定する」は第3段階、「改良する・施策を打つ」は第4段階です。
AI活用とデータサイエンティスト
機械学習とは、蓄積したデータからコンピュータが規則を自分で学び、判断や予測をする技術です。AIを活用した事例を選ぶ問題では、「過去の履歴から最適な回答を自動で導き出す」が正解になります。マニュアルを画面に表示する、ベテランに転送する、研修をするといった選択肢は、学習を伴わない従来の方法です。
データサイエンティストは、ビッグデータから事業の価値を生み出す専門人材です。求められるスキルは次の3つの領域に分けられます。
| 領域 | 中身 | 該当する具体例 |
|---|---|---|
| ビジネス力 | 事業の課題を整理し、解決する | 事業モデルや課題を構造的に理解する |
| データサイエンス力 | 統計やAIの知識で予測・検定・可視化する | 決定木やニューラルネットワークなどの手法を選び、評価する |
| データエンジニアリング力 | 分析の仕組みを実装・運用する | オンプレミスかクラウドかを判断する、分散処理の仕組みを設計する |
「設計・構築・実装」とあればエンジニアリング力、「モデル・統計手法」とあればサイエンス力、「事業・課題」とあればビジネス力です。
クロステック
**クロステック(X-Tech)**とは、既存の産業に最先端のITを組み合わせ、新しい価値やサービスを生み出す取組みです。金融と組み合わせればFinTech(フィンテック)、教育ならEdTech(エドテック)のように、「〇〇×Tech」がすべてクロステックにあたります。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| クロステック | 既存産業×最先端IT=新サービス |
| B2B | 企業同士の取引 |
| ERP | 会計・人事・生産などの基幹業務を一体で管理する仕組み |
| キュレーション | ネット上の情報を選んでまとめ、編集して提供する |
優良顧客の選定基準を検討する表を選ぶ
ア [図] 顧客購入分析表(列: 金額(※),期間,顧客数(人))。10 / 最近1か月 / 550,(空)/ 最近2か月 / 700,⋮,9 / 最近1か月 / 650,⋮。※万円以上
イ [図] 顧客購入分析表(列: 期間,金額(※),顧客数(人))。最近1か月 / 10 / 550,(空)/ 9 / 650,⋮,最近2か月 / 10 / 700,⋮。※万円以上
ウ [図] 顧客購入分析表(人)(行: 期間,列: 金額(※))。| 期間\金額(※) | 10 | 9 | … |,最近1か月: 550,650,…,最近2か月: 700,850,…,最近3か月: 850,1050,…,⋮。※万円以上
エ [図] 顧客購入分析表(列: 顧客数(人),期間,金額(※))。⋮,1050 / 最近3か月 / 9,850 / 最近3か月 / 10,850 / 最近2か月 / 9,700 / 最近2か月 / 10,650 / 最近1か月 / 9,⋮。※万円以上
出典:基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20220612 実施分 問23
解き方と答えを見る
- 目的を確認する:「最近の購入実績」と「購入金額」の2条件で優良顧客を決めたい。比べたい軸は〈期間〉と〈金額〉の2つ。
- 2軸を比べるには、片方を行、もう片方を列にしたクロス表が適していると判断する。
- 選択肢を見る:ア・イ・エは、期間・金額・顧客数を1行ずつ縦に並べた一覧表。同じ期間の金額ごとの人数を横に並べて比べられない。
- ウは、行が期間(最近1か月・2か月・3か月)、列が金額(10万円以上・9万円以上…)で、交わるマスに顧客数が入っている。
- ウの表で確かめる:最近1か月なら10万円以上は550人、9万円以上は650人。最近2か月に広げると10万円以上は700人。期間を延ばす・金額を下げるとどう増えるかが一目で分かり、基準を検討できる。
答え:ウ(期間×金額のクロス表)
ビッグデータ活用の第4段階に当たる事例を選ぶ
ア 製品のインターネット接続機能を用いて,販売後の製品からの多数の利用者による操作履歴をビッグデータに蓄積し,機能の使用割合を明らかにする。
イ 多数の利用者による操作履歴が蓄積されたビッグデータの分析結果を基に,当初,メーカが想定していなかった利用者の誤操作とその原因を見つけ出す。
ウ ビッグデータを基に,利用者の誤操作の原因と,それによる故障率の増加を推定し,利用者の誤操作を招きにくいユーザインタフェースに改良する。
エ 利用者の誤操作が続いた場合に想定される製品の故障率の増加を,ビッグデータを用いたシミュレーションで推定する。
解き方と答えを見る
- 第4段階の問いは「どうしたら良いのか」で、施策を実行するところまで進んでいるかを確かめる。
- 各選択肢の文末を見る。ア「機能の使用割合を明らかにする」は事実の確認なので第1段階。
- イ「誤操作とその原因を見つけ出す」は状況の解釈なので第2段階。
- エ「故障率の増加をシミュレーションで推定する」は予測なので第3段階。
- ウは、原因と故障率の推定を踏まえて「UIに改良する」。施策を実行しているので第4段階。
答え:ウ
要点(試験直前に読む)
- BIは「蓄積データを分析し、経営の意思決定を速くする」。BPR(抜本的な再構築)、BPM(継続的な改善)、EAI(システム連携)、ワークフロー(稟議の電子化)と区別する。
- データマイニングは大量データから法則を「見つける」。データウェアハウスは「貯める」、データディクショナリは「定義を集めたもの」、DFDは「流れの図」。
- マーケットバスケット分析は一緒に買われる商品の組合せ。ABC分析は売上順の3ランク分け、コンジョイント分析は属性の好みを測る。
- ビッグデータ活用の4段階は、確認→解釈→予測→施策。選択肢の文末が「改良する・施策を打つ」なら第4段階。
- 非構造化データ(口コミなどの文章)を分解・要約して分析できる形にするのが構造化。抽出・匿名化・表記の統一は該当しない。
- データサイエンス力=統計やAIの手法の選択と評価。システムの設計はデータエンジニアリング力、事業の理解はビジネス力。
ひっかけ
- BIの問題で「アニュアルレポートで他社を把握」(競合調査)、「稟議の電子化」(ワークフロー)、「教材をネット配信」(eラーニング)が並ぶ。「自社に蓄積したデータを分析して意思決定」があるかで見破る。
- 「組合せ」という語でコンジョイント分析を選ばせる。POSで同時に買われた商品ならマーケットバスケット分析。
- ビッグデータの4段階で「推定する(予測)」を第4段階と取り違えさせる。第4段階は推定の先にある「改良・施策の実行」。
- 構造化の問題で、住所表記の統一やデータベースからの抽出を選ばせる。元データが文章・画像などの非構造化データかどうかを確認する。
- AI活用の事例で、マニュアルのポップアップ表示や担当者への転送を選ばせる。蓄積データから自動で最適な答えを導いているかで判断する。
用語(20)
社内外に蓄積した大量のデータを加工・分析し、経営の意思決定を速く的確にする手法や仕組み。
⚠ BPR(業務の抜本的な作り直し)、BPM(継続的な業務改善)、EAI(システム同士の連携)。「蓄積データを分析して意思決定」ならBI。
これまでの慣行にとらわれず、業務プロセスを根本から作り直してコストや品質を改善する手法。
⚠ BPMは小さな改善を繰り返すもの。BPRは「抜本的」「再構築」が目印。
業務の流れを見える化し、改善サイクルを回して継続的に改善する手法。
⚠ BPRは一度に根本から作り直すもの。BPMは「継続的」が目印。
社内にある別々のシステムをつなぎ、データや処理を統合する仕組み。
⚠ BIは分析が目的。EAIは「システムを連結する」が目印。
分析に使うため、さまざまな業務システムのデータを時系列で集めて保管しておくデータベース。
⚠ データマイニングはデータから法則を「見つける」手法。データウェアハウスは「蓄積する」入れ物。
大量のデータを分析し、人が気づいていない有用な規則や関係を見つけ出す手法。
⚠ データウェアハウス(蓄積)、データディクショナリ(定義情報の集まり)、DFD(データと処理の流れの図)。
データ項目の名前・型・意味などの定義情報をまとめたもの。
⚠ 名前が似ているデータマイニングとは役割が別。こちらは分析しない。
POSデータなどから、一緒に買われやすい商品の組合せを見つけるデータマイニングの手法。
⚠ ABC分析は売上順のランク分け、コンジョイント分析は顧客が重視する属性の組合せを測る手法。
商品を売上の多い順に並べ、累計比率でA・B・Cの3ランクに分けて重点商品を見極める手法。
⚠ マーケットバスケット分析は商品同士の組合せを見る。ABC分析は「累計比率」「3ランク」が目印。
顧客・競合・自社の3つの視点から事業環境を分析する手法。
⚠ データマイニングの手法ではなく、経営戦略の環境分析。
価格や機能などの組合せを示し、顧客がどの属性をどれだけ重視するかを測る手法。
⚠ マーケットバスケット分析は「実際に一緒に買われた商品」の組合せ。コンジョイントは「属性の好み」。
レジで商品が売れた時点で、何がいつどれだけ売れたかを記録する仕組み。
2つの項目を行と列にとり、交わるマスに件数などを入れて2軸で比べられるようにした表。
⚠ 1行ずつ縦に並べた一覧表は、同じ数字でも2軸の比較がしにくい。
量が膨大で、種類が多く、発生が速いため、従来の方法では扱いにくいデータの集まり。
表の行と列のように、決まった形式に整理されたデータ。
⚠ 非構造化データは文章・画像・音声など形式が決まっていないデータ。
SNSの口コミや画像・音声など、決まった形式を持たないデータ。
⚠ 住所表記の統一や匿名化は、構造化済みのデータを扱う処理で、非構造化データの加工ではない。
蓄積したデータからコンピュータが規則を自ら学び、判断や予測を行う技術。
⚠ 人が決めた手順で情報を表示したり転送したりするだけのシステムは機械学習ではない。
ビッグデータを分析して事業の価値を生み出す専門人材で、ビジネス力・データサイエンス力・データエンジニアリング力が求められる。
⚠ モデル手法の選択と評価はサイエンス力、システムの設計と運用はエンジニアリング力、事業課題の整理はビジネス力。
既存の産業に最先端のITを組み合わせ、新しい価値やサービスを生み出す取組み。
⚠ ERP(基幹業務の統合管理)、B2B(企業間の取引)、キュレーション(情報をまとめて提供)とは別の概念。
稟議や決裁などの定型的な社内手続を電子化し、確実かつ迅速に回す仕組み。
⚠ BIの選択肢でひっかけとして出る。データ分析はしない。
このレッスンの過去問
- BI(ビジネスインテリジェンス)の定義平成31年度 春期 基本情報技術者試験 午前 問63
- データマイニング手法の名称(マーケットバスケット分析等)令和7年度 基本情報技術者試験 科目A 公開問題 問16
- 優良顧客の絞り込み分析表(期間×回数のクロス表)基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20220612 実施分 問23
- 非構造化データの構造化加工の事例令和6年度 基本情報技術者試験 科目A 公開問題 問15
- ビッグデータ活用の発展段階(記述・診断・予測・処方)平成30年度 春期 基本情報技術者試験 午前 問63
- 機械学習・パターン認識の活用事例の判別平成30年度 春期 基本情報技術者試験 午前 問61
- データサイエンティストに求められるスキルセット(3領域)基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20220123 実施分 問63
- クロステックの定義基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20260614 実施分 問47