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システム戦略・6/7・10分

クラウドとネット経由で使うサービスの形態

ゴール

SaaS・ASP・ホスティング・オンデマンド・ハイブリッドクラウド・BYODの定義を区別できるようになり、それぞれの「説明はどれか」問題を4択から即答できるようになる。

前のレッスンでは業務を外部に任せる話をしました。このレッスンは、システムを自分で持たずに「ネット越しに借りる」形の見分け方です。SaaSとBYODは本試験・免除試験の両方で繰り返し出ているので、確実に取れる得点源です。

このレッスンで稽古する(用語チェック・過去問)

結論:「どこまで自分で持つか」で分ける

このレッスンの用語は、**「何を事業者から借りて、何を自分で持つか」**で区別できます。アプリまで丸ごと借りるのが SaaS、サーバだけ借りるのが ホスティング、自分のサーバを事業者の建物に預けるのが ハウジング です。

BYODだけは逆向きで、会社ではなく従業員が自分の端末を持ち込む話です。「誰の持ち物を、何に使うか」で判断します。

SaaSホスティングハウジングアプリ借りるサーバ借りる設置場所借りるアプリ自分で持つサーバ借りる設置場所借りるアプリ自分で持つサーバ自分で持つ設置場所借りる事業者から借りる自分で持つ右へ行くほど自分で持つ範囲が広い
SaaS・ホスティング・ハウジングは、アプリ・サーバ・設置場所のどこまでを事業者から借りるかで分かれる。

SaaS(最頻出):アプリを必要な分だけネットで使う

SaaS(サース) は、事業者が動かしているアプリケーションを、インターネット経由で、必要な機能だけ・必要なときに使う形態です。Gmail、Slack、会計のfreeeなどが身近な例です。利用者はインストールもサーバ管理もせず、ブラウザでログインするだけで使えます。

たとえるなら ホテル です。部屋・家具・掃除まで全部ホテル側が用意し、客は泊まるだけです。

クラウドで借りる範囲は3段階あり、シラバスでもこの3つがセットで扱われます。

形態 事業者が提供するもの 利用者が用意・管理するもの 例
SaaS アプリまで全部 使うだけ(データと設定) Gmail、Salesforce
PaaS OS・ミドルウェア・実行環境 自分で作ったアプリ Heroku、Google App Engine
IaaS サーバ・ストレージ・ネットワーク(仮想マシン) OSから上すべて AWS EC2

覚え方は 「S=Software(アプリ)まで借りる」「P=Platform(土台)まで」「I=Infrastructure(機械)だけ」 です。

ひっかけ選択肢でよく並ぶ用語

SaaSの問題は、正解以外の選択肢に クラウドと無関係な経営・業務用語 を並べてきます。それぞれの正体を知っていれば消去法で解けます。

用語 正体(一言) 見分け方
ERP 会計・人事・生産など基幹業務を統合管理するソフト(またはその考え方) 「経営資源を統合的に管理」=ERP
SCM 調達から販売までの供給の流れ(サプライチェーン)全体を最適化する管理 「供給連鎖」「在庫・物流」=SCM
XBRL 財務報告などの情報を記述するためのXMLベースの言語(規格) 「財務情報の記述言語」=XBRL
BPR 業務の流れや組織を根本から作り直すこと 「抜本的に見直し・再設計」=BPR
SLA 提供者と利用者でサービス品質を合意した文書 「品質について合意した文書」=SLA

どれも 「インターネット経由で」「必要なときだけ」 という言葉を含みません。この2語があればSaaSです。

ASP:SaaSの先輩にあたるサービス事業者

ASP(Application Service Provider) は、汎用的なアプリの機能を、ネットワーク経由で複数の顧客に提供する事業者です。中身はSaaSとほぼ同じで、SaaSより前の時代から使われている呼び名だと考えて構いません。

試験では「ASPとはどんな事業者か」と聞かれ、ハウジング・ホスティング・BPOの説明が誤りの選択肢として並びます。「アプリの機能をネットワークで提供」 と書かれた選択肢がASPです。

用語 何を提供するか
ASP / SaaS アプリの機能(ネット経由で複数顧客へ)
ホスティング 事業者のサーバ(の利用権)を貸す
ハウジング 顧客のサーバを置く場所・回線・設備を貸す
BPO 総務・人事・経理などの業務そのものを外部が請け負う

ホスティングとハウジング:サーバは誰のものか

ホスティングは、事業者が用意したサーバの利用権を貸し出すサービスです。ハウジングは、利用者が自分のサーバを事業者の施設(データセンター)に持ち込んで預けるサービスです。

ホスティング ハウジング
サーバの持ち主 事業者 利用者
機種の選定・組合せ 事業者が用意したものから選ぶ 利用者が自由に選ぶ
事業者が貸すもの サーバ(の利用権) 場所・電源・回線・耐震設備

「サーバを持ち込む」「機種を自由に選ぶ」と書いてあればハウジング、つまりホスティングの問題では誤りの選択肢です。

オンデマンド型:利用者が求めたときに提供される

オンデマンドは「要求(demand)に応じて」という意味で、利用者が求めたタイミングで提供されるサービスです。好きなときに再生できる動画配信がその例です。

決まったスケジュールで届く配信(プッシュ型)や、先に作って売る商品(印刷済みの本、購入したDVD)は、利用者の要求で提供されていないのでオンデマンドではありません。

オンデマンド:求めたときに届く要求要求時間すぐ提供すぐ提供プッシュ型:決まった時刻に届く時間配信配信配信利用者が求めていなくても届く
オンデマンドは利用者が求めた瞬間に提供され、プッシュ型は利用者の要求と関係なく決まった時刻に届く。

クラウドの配置形態:ハイブリッドは「つなぐ」こと

クラウドは「誰と共有するか」でも分類されます。

形態 説明
パブリッククラウド 不特定多数が共有する汎用のクラウド(AWS、Azureなど)
プライベートクラウド 1つの組織が専用で使うクラウド
ハイブリッドクラウド プライベートとパブリックを連携・相互運用できるようにした環境

「一部をカスタマイズ」「消費者向けと法人向けの両方」「有償と無償に分ける」などは、どれもハイブリッドクラウドではありません。自社専用と汎用のクラウドの間でデータやアプリを連携させることがハイブリッドの条件です。

ハイブリッドクラウドプライベート1つの組織が専用自社だけで使うパブリック不特定多数が共有AWS、Azureなど連携データやアプリを連携させる=相互運用できればハイブリッド
ハイブリッドクラウドは、自社専用のプライベートと共有のパブリックを連携させ、データやアプリを行き来させる環境。

BYOD(頻出):私物の端末を仕事に使う

BYOD(Bring Your Own Device) は、従業員が個人で持っている端末(スマホ・PCなど)を業務に使うことです。自分のスマホで会社のSlackやメールを見るのが典型例です。

判断のポイントは 「持ち主=個人」×「用途=業務」 の組み合わせだけです。

端末の持ち主 用途 BYODか
個人 業務 ◯ BYOD
会社 業務(携行して使う) ✕ ただの貸与端末
会社 私的利用 ✕ 私的流用
個人 私的利用 ✕ ただの私物利用

リスク:私物の端末は会社がセキュリティ設定を管理しきれません。そのため設定の不備によるウイルス感染や、端末の紛失による情報漏えいのリスクが高まります。対策としては、MDM(モバイル端末を一元管理する仕組み)などで会社が端末を管理する方法があります。

試験での問われ方

  • 「〜の説明はどれか」型がほぼすべてです。計算はありません。
  • SaaS:正解の選択肢に「インターネット経由」「必要な機能だけ」「必要なときに」が入ります。誤りの選択肢はERP・SCM・XBRL・BPR・SLAです。
  • ASP:誤りの選択肢はハウジング(施設を貸す)・BPO(業務を請け負う)・ホスティング(サーバを貸す)です。
  • ホスティング:「利用者のサーバを持ち込む」はハウジングなので誤りです。
  • ハイブリッドクラウド:「混ぜる」雰囲気の選択肢(カスタマイズ・顧客層・有償と無償)で誤らせます。
  • BYOD:持ち主と用途の片方だけをずらした選択肢が3つ並びます。リスクまで聞く問題では「私物を業務に使う」+「セキュリティ設定の不備」の組み合わせが正解です。

要点(試験直前に読む)

  • SaaS=インターネット経由で、アプリの必要な機能だけを必要なときに使う。ASPもほぼ同じで「アプリ機能をネットで複数顧客へ提供する事業者」。
  • 借りる範囲:SaaS(アプリまで)>PaaS(実行環境まで)>IaaS(機械だけ)。
  • ホスティング=事業者のサーバを借りる/ハウジング=自分のサーバを事業者の施設に預ける。
  • オンデマンド=利用者が求めたときに提供される。スケジュール配信や事前に作った商品は違う。
  • ハイブリッドクラウド=自社専用(プライベート)と汎用(パブリック)のクラウドを連携・相互運用できる環境。
  • BYOD=個人所有の端末×業務利用。リスクはセキュリティ設定の不備によるウイルス感染や情報漏えい。

ひっかけ

  • SaaSの問題にERP・SCM・XBRL・BPR・SLAが並ぶ → 「インターネット経由」「必要なときだけ」を含む選択肢を選ぶ。
  • ASPの問題にハウジング・ホスティング・BPOの説明が並ぶ → 「アプリの機能をネットワークで提供」がASP。
  • ホスティングの問題で「利用者のサーバを持ち込み、機種を自由に選ぶ」 → それはハウジングなので誤り。
  • ハイブリッドクラウドの問題で「一部カスタマイズ」「消費者向けと法人向け」「有償と無償」 → どれも違う。「専用と汎用の連携」が正解。
  • BYODの問題で「会社の貸与端末を業務に」「会社の端末を私的に」「私物を私的に」 → 持ち主が個人で用途が業務の選択肢だけが正解。

用語(15)

SaaS Software as a Service
事業者のアプリケーションを、インターネット経由で必要な機能だけ必要なときに利用する形態。
⚠ PaaS・IaaSとは借りる範囲が違う(SaaSはアプリまで全部)。ERPは基幹業務を統合管理するソフトであり、利用形態ではない。
PaaS Platform as a Service
アプリを動かすためのOS・ミドルウェアなどの実行環境をネット経由で借りる形態。
⚠ SaaSは完成したアプリを使い、PaaSは自分で作ったアプリを載せる。
IaaS Infrastructure as a Service
サーバ・ストレージ・ネットワークなどの基盤(仮想マシン)をネット経由で借りる形態。
⚠ OSから上を自分で管理するのがIaaS、OSまで事業者が用意するのがPaaS。
ASP Application Service Provider
汎用的なアプリケーションの機能を、ネットワーク経由で複数の顧客に提供する事業者。
⚠ ハウジング(場所を貸す)、ホスティング(サーバを貸す)、BPO(業務を請け負う)ではない。
ホスティングサービス ほすてぃんぐさーびす
事業者が用意したサーバの利用権を利用者に貸し出すサービス。
⚠ ハウジングとの違いは、サーバが事業者のものであること(持ち込まない)。
ハウジングサービス はうじんぐさーびす
利用者が所有するサーバを事業者の施設に設置し、場所・電源・回線などを借りるサービス。
⚠ 「サーバの持ち込み」「機種を自由に選ぶ」はハウジング。ホスティングは事業者のサーバを借りる。
オンデマンド型サービス おんでまんどがたさーびす
利用者の要求に応じて、そのタイミングで提供されるサービス。
⚠ 決まったスケジュールで配信されるもの(プッシュ型)や、事前に生産して販売するものとは違う。
パブリッククラウド ぱぶりっくくらうど
不特定多数の利用者が共有する汎用のクラウドサービス。
⚠ 1組織の専用ならプライベートクラウド。
プライベートクラウド ぷらいべーとくらうど
特定の1組織が専用で使うクラウド環境。
⚠ 汎用で共有するのはパブリッククラウド。
ハイブリッドクラウド はいぶりっどくらうど
自社専用のクラウドと汎用のクラウドの間で、データやアプリの連携・相互運用ができるようにした環境。
⚠ カスタマイズや有償・無償の区分ではない。「専用と汎用をつなぐ」が条件。
BYOD Bring Your Own Device
従業員が個人で所有する情報機器を業務に使うこと。
⚠ 会社から貸与された端末を使う場合や、私物を私的に使う場合はBYODではない。「個人所有×業務」の組み合わせで判断する。
ERP Enterprise Resource Planning
会計・人事・生産など企業の基幹業務を統合的に管理し、経営資源を有効に活用するための仕組み(ソフトウェアパッケージ)。
⚠ SaaSの問題で誤りの選択肢になる。ネット経由の利用形態の話ではない。
SCM Supply Chain Management
調達・生産・物流・販売という供給の流れ全体を最適化する管理手法。
⚠ SaaSの問題で誤りの選択肢になる。
XBRL eXtensible Business Reporting Language
財務情報などを記述・交換するためのXMLベースの言語。
⚠ SaaSの問題で誤りの選択肢になる。サービス形態ではなく言語(規格)。
BPO Business Process Outsourcing
総務・人事・経理などの業務プロセスを、まとめて外部の事業者に委託すること。
⚠ ASPがアプリの機能を提供するのに対し、BPOは業務そのものを請け負う。

このレッスンの過去問

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