情報システム案の評価方法と重み付け計算
重み付け総合評価法・総合評価落札方式・スコアリングモデルの計算問題を、表を見て2〜3分で正確に解けるようになる。あわせて「情報化案をどう評価するのが正しいか」を問う文章問題で、適切な選択肢を選べるようになる。
複数の案から1つを選ぶ場面は、システム企画でも調達でも必ずあります。試験では「重みを掛けて足すだけ」の計算問題として繰り返し出題されていて、手順を覚えれば確実に取れる得点源です。
このレッスンで稽古する(用語チェック・過去問)結論:案の評価は「重み×点数の合計」と「効用だけで決めない」の2本柱
このレッスンのポイントは2つです。
- 計算問題:各評価項目の点数に重み(その項目をどれだけ重視するかの倍率)を掛けて合計し、合計がいちばん大きい案を選びます。
- 文章問題:案を評価するときは、効用(得られる効果)だけでなく、リスク要因や新たに生じる問題点も評価の対象にします。
出題数が多いのは計算問題(重み付け総合評価法は本試験系4回・免除7回)です。ここを厚めに練習しましょう。
重み付け総合評価法:部屋探しと同じ考え方
部屋を探すとき、「駅近はとても大事(重み4)、広さはそこそこ(重み3)」のように優先度を決めて、物件ごとに点数を付けて比べますよね。重み付け総合評価法はこの考え方を表にしたものです。
手順
- 案ごとに「重み × 評価点」を項目ごとに計算する
- それを縦に足して総合点を出す
- 総合点が最大の案を選ぶ
大事なポイント:重みを掛けずに点数をそのまま足すと、別の案が1位になるように問題が作られています。過去問(H26春・H28秋)では、単純に足すと案3が1位になり、重みを掛けると案2が1位になります。
総合評価落札方式:価格と技術を合算する調達方法
前のレッスンで学んだ調達(RFP→提案→選定)の続きです。総合評価落札方式は、価格の安さだけで決めず、価格点+技術点の合計で落札者を決める方式です。
- 価格点は問題文の式で計算します。安いほど高得点になります(例:価格点=(1 − 入札価格÷予定価格)×100)。
- 予定価格(発注者が想定する上限額)を超えた入札は、評価の対象外です。
つまり技術点が満点でも、予定価格を超えた時点で失格になります。ここが定番のひっかけです。
スコアリングモデル:定性的な評価を%にする
スコアリングモデルは、「部分的に改善された」のような言葉による評価(定性的な評価)を点数に置き換えて、数値で扱える(定量的な)形にする方法です。
手順
- 判定内容を評価点に置き換える(4段階なら 0〜3点)
- 重み × 評価点を合計して実績点を出す
- 全項目が満点だったときの満点=重みの合計 × 最高点(3)を出す
- 目標達成度=実績点 ÷ 満点 × 100(%)
「4段階だから最高点は4」と思いこむのが最大の落とし穴です。0・1・2・3で4段階なので、最高点は3です。
3つの計算方法の比較
| 方法 | 使う場面 | 計算 | 答え方 | 要注意ポイント |
|---|---|---|---|---|
| 重み付け総合評価法 | 改善案・システム案を比べる | Σ(重み×評価点) | 総合点が最大の案を選ぶ | 重みを掛け忘れると別の案が1位になる |
| 総合評価落札方式 | 調達で落札業者を決める | 価格点+技術点 | 合計が最大の業者を選ぶ | 予定価格を超えた業者は対象外 |
| スコアリングモデル | 定性的な評価を数値にする | Σ(重み×評価点) ÷ 満点 | 目標達成度(%) | 4段階なら最高点は3(0〜3) |
評価方針の文章問題:正しい考え方を知っておく
情報化案(どの業務をどうIT化するかの案)を評価するときの正しい考え方は次の2つです。
- 効用だけでなくリスク要因も評価する(免除H21)
- 投資対効果・実現可能性に加えて、新たな問題点が発生しないかも見る(免除H21)
誤りの選択肢には次のようなパターンがあります。
- 「コストが最小の案を選ぶ」(効用が違うのにコストだけで比べている)
- 「定量化できない項目は評価から外す」(スコアリングモデルで定量化すればよい)
- 「評価基準はシステムの提案者が決める」(提案者に有利になってしまう。評価基準は発注者側が決める)
- 「どのようにするか(手段)を優先する」「ハードウェア構成を先に決める」(目的が先で、手段は後)
重み付け総合評価法で改善案を選ぶ(H28秋・H26春に同じ問題)
| 評価項目 | 評価項目の重み | 案 1 | 案 2 | 案 3 | 案 4 |
|---|---|---|---|---|---|
| 省力化 | 4 | 6 | 8 | 2 | 5 |
| 期間短縮 | 3 | 5 | 5 | 9 | 5 |
| 資源削減 | 3 | 6 | 4 | 7 | 6 |
ア 案 1
イ 案 2
ウ 案 3
エ 案 4
解き方と答えを見る
- 重みは、省力化=4、期間短縮=3、資源削減=3。
- 案1:4×6+3×5+3×6 = 24+15+18 = 57
- 案2:4×8+3×5+3×4 = 32+15+12 = 59
- 案3:4×2+3×9+3×7 = 8+27+21 = 56
- 案4:4×5+3×5+3×6 = 20+15+18 = 53
- 最大は案2の59点。
- 検算(ひっかけの確認):重みを掛けずに足すと案1=17、案2=17、案3=18、案4=16となり、案3が1位に見える。これは誤り。
答え:イ(案2・59点)
総合評価落札方式で落札者を決める(H27秋)
| 入札価格(万円) | 技術点 | |
|---|---|---|
| A 社 | 700 | 50 |
| B 社 | 800 | 65 |
| C 社 | 900 | 80 |
| D 社 | 1,100 | 100 |
ア A 社
イ B 社
ウ C 社
エ D 社
解き方と答えを見る
- まず予定価格1,000万円を超える業者を除外する。D社は1,100万円なので評価の対象外。
- A社の価格点:(1 − 700÷1000)×100 = 0.3×100 = 30。総合点 = 30+50 = 80
- B社の価格点:(1 − 800÷1000)×100 = 20。総合点 = 20+65 = 85
- C社の価格点:(1 − 900÷1000)×100 = 10。総合点 = 10+80 = 90
- 最大はC社の90点。
答え:ウ(C社・90点)。技術点100のD社は予定価格を超えているため選べない
スコアリングモデルで目標達成度を出す(H21春・免除R4に同じ問題)
| 評価項目 | 重み | 判定内容 |
|---|---|---|
| 省力化効果 | 5 | 予定どおりの効果があった |
| 期間の短縮 | 8 | 従来と変わらない |
| 情報の統合化 | 12 | 部分的には改善された |
ア 27
イ 36
ウ 43
エ 52
解き方と答えを見る
- 判定内容を評価点に置き換える:予定どおり=3、変わらず=0、部分改善=1。
- 実績点:5×3+8×0+12×1 = 15+0+12 = 27
- 満点:重みの合計(5+8+12=25)× 最高点3 = 75
- 目標達成度:27÷75 = 0.36 → 36%
- ひっかけの確認:最高点を4として満点を100にすると27%になり、選択肢アを選んでしまう。
答え:イ(36%)
要点(試験直前に読む)
- 重み付け総合評価法=Σ(重み×評価点)で、総合点が最大の案を選ぶ。重みを必ず掛ける。
- 総合評価落札方式=価格点+技術点。予定価格を超えた業者は最初に除外する。
- スコアリングモデル=実績点÷(重みの合計×最高点)。4段階評価の最高点は3(0〜3)。
- 案の評価では、効用だけでなくリスク要因も評価する。投資対効果・実現可能性に加えて、新たな問題点の発生も見る。
- 定性的な項目も点数化して評価に含める。評価基準は提案者ではなく評価する側が決める。
ひっかけ
- 重みを掛けずに単純に合計すると別の案(H26/H28では案3)が1位に見える。必ず重み×点数で計算する。
- 技術点が最高の業者(D社)を選ばせるひっかけ。予定価格を超えていないかを最初に確認する。
- 4段階評価の最高点を4にすると満点が100になり、答えが27%(選択肢ア)になる。0〜3の4段階なので最高点は3。
- 「コスト最小の案を選ぶ」「定量化できない項目は評価から外す」「評価基準は提案者が決める」はどれも誤り。
- 「どのようにするか(手段)を優先する」「ハードウェア構成を先に決める」は順序が逆。目的(何をするか)が先。
用語(15)
案を実行したときに得られる効果や便益のこと。
⚠ コストとは別物。効用が案ごとに違うなら、コストが最小というだけでは選べない。
案を実行したときに失敗や損失につながるおそれのある要素。
⚠ 効用と対になる評価軸。正しい評価方針は「効用とリスクの両方を見る」。
かけた費用に対してどれだけの効果が得られるかの比率。
⚠ 実現可能性(そもそも実行できるか)とは別の観点。
技術・予算・体制の面から、その案を本当に実行できるかどうか。
⚠ 投資対効果とは別の観点。どちらも見たうえで、さらに新たな問題点の発生も評価する。
どの業務を、どんな目的でIT化するかをまとめた計画案。
⚠ 手段(ハードウェア構成など)より先に「何をするか」を決める。
評価項目ごとの点数に重みを掛けて合計し、総合点で案を比べる方法。
⚠ スコアリングモデルは結果を%(達成度)で出すが、こちらは総合点の大小で案を選ぶ。
評価項目の重要度を表す倍率。
⚠ 評価点(各案の出来ばえ)とは別の数値。掛け忘れが典型的なミス。
案を比べるときの観点(省力化、期間短縮など)。
各評価項目で何点を付けるかの物差し。
⚠ システムの提案者ではなく、評価する側(発注者)が決める。
定性的な評価を段階ごとの点数に置き換え、重み付きの合計を満点で割って達成度を出す方法。
⚠ 重み付け総合評価法と計算は似ているが、満点で割って%にする点が違う。
「改善された」「変わらない」のように言葉で表す評価。
⚠ 定量的評価は数値で表す評価。定性的な項目も、点数を付ければ評価に使える(除外しない)。
金額・時間・件数などの数値で表す評価。
⚠ 定性的評価と対になる言葉。
全項目が目標どおりだった場合の満点に対する、実績点の割合(%)。
⚠ 満点は「重みの合計×最高点」。4段階評価なら最高点は3。
入札で、価格点と技術点を合計した総合点が最も高い業者を落札者にする方式。
⚠ 価格だけで決める最低価格落札方式とは違う。予定価格を超えた入札は対象外。
発注者があらかじめ決めておく、契約金額の上限の目安。
⚠ これを超えた入札は、技術点が高くても評価されない。
このレッスンの過去問
- 情報システム案の評価方針(効用とリスク要因)基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 200906 実施分 問62
- 情報化案の評価観点(投資対効果・実現可能性・新たな問題点)基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 200906 実施分 問65
- 重み付け総合評価法による案の選定計算平成28年度 秋期 基本情報技術者試験 午前 問64
- スコアリングモデルによる達成度計算平成21年度 春期 基本情報技術者試験 午前 問64