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基礎理論・10/13・13分

統計のばらつきと相関

ゴール

正規分布のグラフ、標準偏差の性質、相関係数と回帰直線の読み方、三角グラフの読み方を身につけ、過去問の4択を自分で解けるようになる。計算はほとんど要らず、図や式の意味が分かれば解ける。

科目Aの基礎理論では、データのばらつきと2つの量の関係を読む問題がよく出る。要件定義で売上データやアンケートを見るときにも、平均だけで判断しない力として役に立つ。

このレッスンで稽古する(用語チェック・過去問)

結論:4つの指標は「何を表すか」で区別する

このレッスンでは計算より読み取りが中心になる。指標ごとに何を表すかを覚えれば、ほとんどの選択肢を消せる。

指標 表すもの 値の範囲・特徴
平均 データの中心 全データの合計÷個数
標準偏差 平均からの散らばり具合 0以上。大きいほど散らばっている
相関係数 2つの量の直線的な関係の向きと強さ −1〜+1
回帰直線の傾き x が1増えたときの y の変化量 関係の強さは表さない

正規分布:平均を中心にした左右対称の釣鐘形

正規分布とは、身長やテストの点数のような自然なばらつきによく現れる、連続的な確率分布のこと。グラフは平均を頂点にした左右対称の釣鐘形になる。山の横の広がりは**標準偏差(σ、シグマ)**で決まり、σが大きいほど山は低く横に広がる。

平均±何σの範囲にどれだけ入るか(免除試験で出題あり)

範囲 範囲内に入る割合 範囲外の割合
μ±1σ 約68% 約32%
μ±1.6σ 約89%(1.645σで90%) 約11%
μ±1.96σ(≒2σ) 約95% 約5%
μ±3σ 約99.7% 約0.3%

(μ(ミュー)は平均のこと)

ほかの分布との区別

名前 形・性質 見分け方
正規分布 平均を中心に左右対称の釣鐘形。連続 「左右対称」「釣鐘」が出てきたらこれ
一様分布 すべての値が同じ確率。グラフは平ら 「全ての事象の確率が等しい」
ポアソン分布などの離散分布 飛び飛びの値(回数など)をとる 「離散的」とあれば正規分布ではない
バスタブ曲線 機器の故障率が時間とともにどう変わるか(初期故障→偶発故障→摩耗故障) 「故障」「バスタブ」。故障率曲線のこと

グラフ問題の見分け方

  • 左右対称でない図は×。
  • 山が2つある図(2峰性)は×。
  • 幅10が60〜70(平均から+1σ分)なら σ=10。55〜65の間に幅10が示される図は σ=5 の分布なので、σ=10 にならず不適。
σ=10σ=5(細く高い)σ=10(低く広い)40505560657080点数(平均μ=60で左右対称)
平均が同じ60点でも、σ=5の分布は山が高く細く、σ=10の分布は山が低く横に広がる。

標準偏差の性質:足し算では変わらず、掛け算ではその倍率で変わる

標準偏差とは、各データが平均からどれだけ離れているかを平均した大きさのこと(分散の平方根)。分散は「平均との差の2乗」の平均。

たとえば、クラス全員が厚さ5cmの靴を履くと、全員の身長は5cm増えるが、背の高さの差は変わらない。単位をcmからmmに変えると数値は全部10倍になり、差も10倍になる。

全データへの操作 平均 標準偏差 分散
定数 a を足す a 増える 変わらない 変わらない
k 倍する k 倍 k の絶対値倍 k² 倍

試験では「a を足すと標準偏差も a 増える」「2倍すると1/2になる」という誤りの選択肢が出る。

元の身長(cm)差10差10150160170全員に5cm足す → 散らばりは同じ差10差10155165175mmに直す(10倍)→ 散らばりも10倍差100差100150016001700a を足す → 標準偏差は変わらないk 倍 → 標準偏差は |k| 倍
全員に5cm足すと点の並びがそのまま右へずれるだけで差は10のまま、単位をmmにして10倍すると差も10倍の100になる(模式図)。

相関係数:符号は向き、絶対値は強さ

相関係数とは、2つの量(例: 勉強時間と点数)が直線的にどれだけ一緒に動くかを−1〜+1で表した値のこと。符号で向き(右上がりか右下がりか)が、絶対値で強さ(点が直線にどれだけ近く並ぶか)が分かる。

相関係数 散布図(点を打った図)の見た目
+1 全ての点が右上がりの直線上にある
+0.9 など 右上がりで、点が直線の近くに並ぶ(強い正の相関)
+0.3 など 右上がりだが点がばらつく(弱い正の相関)
0 付近 直線的な関係がない(無相関)
−0.9 など 右下がりで、点が直線の近くに並ぶ(強い負の相関)
−1 全ての点が右下がりの直線上にある

注意点は2つある。

  • 関係が直線でない場合(例: U字形)は、関係があっても相関係数は0に近くなることがある。「非線形なら負になる」わけではない。
  • 無相関は0。−1は「完全な負の相関」で、無相関ではない。
+0.9:強い正の相関−0.9:強い負の相関0付近:無相関U字形:関係ありでも≒0
散布図の向きが符号、点が直線のまわりにどれだけ寄るかが絶対値の強さを表し、U字形のように関係があっても直線的でなければ相関係数は0に近くなる。

回帰直線:傾きと切片をそのまま読む

回帰直線とは、散布図の点の並びに最もよく合う直線 y = ax + b のこと。傾き a は x が1増えたときの y の変化量、切片 b は x = 0 のときの y の予測値を表す。

2010年度の問題は y = 1.1x + 10(x = 昨年度の得点、y = 今年度の得点)。どの得点 x でも 1.1x + 10 は x より大きいので、「同じ人なら今年度の方が高い点をとる傾向がある=今年度の方が得点しやすい」と読める。

読み方を間違えやすいところ

  • 切片は x = 0 のときの y。「昨年度0点の人が今年度は10点程度」が正しい読み方で、xとyを入れ替えて読まない。
  • 傾き1.1は「平均点が1.1倍」という意味ではない(回帰直線は平均点の組を通るので、今年度の平均 = 1.1×昨年度の平均 + 10 になる)。
  • 相関係数から分かるのは直線的な関係の向きと強さ、傾きから分かるのは x が1増えたときの y の変化量。どちらからも問題の質のような価値判断はできない。

三角グラフ:3つの割合を1つの点で表す

三角グラフとは、合計が100%になる3つの要素の割合を、正三角形の中の1点で表すグラフのこと。正三角形の内部の点から3辺に下ろした垂線の長さの合計は常に一定なので、各辺への垂線の長さをその辺の要素の割合として使う。

点の位置 意味
ある辺の上 その辺の要素が 0%
頂点 その頂点の向かい側の辺の要素が100%、ほかの2つは0%
ある辺から遠い その辺の要素の割合が大きい
三角形の中心 3つとも約33%

いちばん多いミスは、「辺の上にある点はその要素だけを使っている」と逆に読むこと。辺の上にある点は、その要素を使っていない。

50%20%30%Aの辺Bの辺Cの辺C 0%A50%+B20%+C30%=100%
点Pから3辺に下ろした垂線の長さがその辺の要素の割合になり、辺の上にある点はその辺の要素が0%になる。
例題 1

不良率5%未満にするには μ±何σ か

ある部品の長さは,平均μ,標準偏差σの正規分布に従う。良品の合格基準をμ±nσで表すとき,不良品の比率を 5%未満に抑えるための n の値として,最も近いものはどれか。

ア 1.0
イ 1.6
ウ 2.0
エ 3.0

出典:基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20260726 実施分 問2

解き方と答えを見る
  1. 合格範囲は μ±nσ。不良品はこの範囲の外側(左右両側)に出る。
  2. 不良率5%未満 ⇔ 範囲内に入る割合が95%より大きい。
  3. 正規分布では μ±1.96σ に約95%が入る。したがって n は1.96以上が必要。
  4. 選択肢を確認する。1.0 → 範囲内約68%、不良約32%で×。1.6 → 範囲内約89%、不良約11%で×。2.0 → 範囲内約95.4%、不良約4.6%で○。3.0 → 不良約0.3%で条件は満たすが、1.96に最も近いのは2.0。

答え:ウ(n ≒ 2.0)

例題 2

データを変えたときの標準偏差

標準偏差に関する記述のうち,適切なものはどれか。

ア すべてのデータに定数 a を加えたものの標準偏差は,元の標準偏差に a を加えたものになる。
イ すべてのデータに定数 a を加えたものの標準偏差は,元の標準偏差の a 倍になる。
ウ すべてのデータを 2 倍したものの標準偏差は,元の標準偏差の 1/2 となる。
エ すべてのデータを 2 倍したものの標準偏差は,元の標準偏差の 2 倍になる。

出典:基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20250608 実施分 問2

解き方と答えを見る
  1. 定数 a を足しても、全データが同じだけずれるだけなので平均との差は変わらない → 標準偏差は不変。よってアとイは×。
  2. 全データを2倍すると、平均も2倍になり、平均との差もすべて2倍になる → 標準偏差は2倍(分散は4倍)。
  3. ウ「1/2になる」は逆なので×。エ「2倍になる」が○。

答え:エ

例題 3

回帰直線 y = 1.1x + 10 の読み取り

昨年度と今年度の入社試験問題を比較するために,多数の社員に両年度の問題を解答させた。昨年度の問題の得点をx軸に,今年度の問題の得点をy軸にとって,相関係数と回帰直線を求めた。〔結果〕から分かることはどれか。 〔結果〕 相関係数は,0.8であった。 回帰直線の傾きは,1.1であった。 回帰直線のy切片の値は,10であった。

ア 回帰直線のy切片の値から,今年度の問題の得点が0点の人でも,昨年度の問題では10点程度とれることが分かる。
イ 回帰直線の傾きから,今年度の問題の平均点は,昨年度の問題の平均点の1.1倍であることが分かる。
ウ 回帰直線の傾きとy切片の値から,今年度の問題は昨年度の問題に比べて得点しやすい傾向にあることが分かる。
エ 回帰直線の傾きと相関係数の値から,今年度の問題は質が高いことが分かる。

出典:平成22年度 春期 基本情報技術者試験 午前 問76

解き方と答えを見る
  1. x = 昨年度の得点、y = 今年度の得点。回帰式は y = 1.1x + 10。
  2. ア: 切片10は x = 0(昨年度0点)のときの y の予測値。今年度0点の人の話として読むのは逆なので×。
  3. イ: 傾き1.1は x が1点増えたときの y の増え方で、平均点の比ではないので×。
  4. ウ: 例えば x = 50 なら y = 1.1×50 + 10 = 65 で、x より大きい。x ≧ 0 ならどの得点でも 1.1x + 10 > x になるため、今年度の方が得点しやすい傾向がある → ○。
  5. エ: 相関係数0.8は直線的な関係の強さを表すだけで、問題の質は判断できないので×。

答え:ウ

例題 4

三角グラフで使用率を読む

正三角形の内部の点から,各辺に下ろした垂線の長さの和は一定である(図 1 参照)。三角グラフは,この性質を利用して,三つの辺に対応させた要素の割合を各辺への垂線の長さとして表したグラフである。図 2 の三角グラフは,3 種類のソフトについて,A~D の 4 人の使用率を図示したものである。正しい解釈はどれか。
図 1 正三角形の性質: 正三角形の内部の点から各辺へ下ろした垂線の長さを x(底辺への垂線),y(右辺への垂線),z(左辺への垂線)とし,x+y+z=一定。 図 2 三角グラフ: 正三角形。左辺に「ワープロソフト」,右辺に「表計算ソフト」,底辺に「データベースソフト」のラベル。点 A は左辺上(ワープロソフト辺の上),点 B は三角形内部の左寄り中ほど,点 C は三角形内部の右下(右下頂点寄り),点 D は左下頂点。

ア A さんは,ワープロソフトだけを使用している。
イ B さんは,ほかのソフトに比べて表計算ソフトの使用率が高い。
ウ C さんは,データベースソフト,表計算ソフト,ワープロソフトの順に使用率が高い。
エ D さんは,表計算ソフトを使用していない。

出典:基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20230122 実施分 問3

解き方と答えを見る
  1. ルール: 各辺への垂線の長さ=その辺のソフトの使用率。辺の上なら0%、向かい側の頂点なら100%。
  2. ア: A はワープロソフトの辺の上 → ワープロの使用率は0%。「ワープロだけ」は逆なので×。
  3. イ: B は内部の左寄りで、右辺(表計算)から遠い → 表計算への垂線が最も長く、表計算の使用率が高い → ○。
  4. ウ: C は右下の頂点寄り。右下の頂点で接するのは底辺(データベース)と右辺(表計算)なので、この2つは小さく、ワープロが最も大きい。順序が合わないので×。
  5. エ: D は左下の頂点。接する左辺(ワープロ)と底辺(データベース)が0%で、表計算が100% → 「表計算を使用していない」は×。

答え:イ

要点(試験直前に読む)

  • 正規分布は平均を中心にした左右対称の釣鐘形(連続)。σが大きいほど低く広い山になる。
  • μ±1σで約68%、μ±1.96σ(≒2σ)で約95%、μ±3σで約99.7%が範囲内に入る。
  • 全データに定数を足しても標準偏差は変わらない。k倍すると標準偏差はkの絶対値倍、分散はk²倍。
  • 相関係数は−1〜+1。符号は向き、絶対値は強さ。全点が右上がりの直線上なら+1、無相関なら0。
  • 回帰直線 y = ax + b の傾きは x が1増えたときの y の変化量、切片は x = 0 のときの y。
  • 三角グラフは各辺への垂線の長さがその要素の割合。辺の上なら0%、向かい側の頂点なら100%。

ひっかけ

  • 正規分布の説明に、バスタブ曲線(故障率)、一様分布(等確率)、離散分布を混ぜてくる → 「左右対称・釣鐘・連続」がそろっているものを選ぶ。
  • 「定数を足すと標準偏差も増える」「2倍すると1/2になる」 → 足し算では不変、掛け算ではその倍率で変わる。
  • 相関係数の符号と強さを取り違えさせる → −0.9は右下がりで点が直線の近くに並ぶ図。無相関は−1ではなく0。
  • 回帰直線の切片をxとy逆に読ませる、傾きを平均点の比と読ませる、相関係数から問題の質を判断させる → 式の意味どおりに読むだけにする。
  • 三角グラフで辺の上の点を「その要素だけ」と読ませる → 辺の上はその要素が0%。

用語(15)

平均 へいきん
全データの合計を個数で割った値で、データの中心を表す。
分散 ぶんさん
各データと平均との差を2乗し、それを平均した値。
⚠ 標準偏差は分散の平方根。データをk倍すると分散はk²倍、標準偏差はkの絶対値倍。
標準偏差 ひょうじゅんへんさ(σ:シグマ)
データが平均からどれだけ散らばっているかを、元のデータと同じ単位で表した値。
⚠ 分散と混同しやすい。定数を足しても変わらない点が試験に出る。
正規分布 せいきぶんぷ
平均を中心にした左右対称の釣鐘形をとる連続的な確率分布。
⚠ 一様分布(平ら)、離散分布(飛び飛びの値)、バスタブ曲線(故障率)と区別する。
一様分布 いちようぶんぷ
すべての値が同じ確率で起こる分布。
⚠ 「全ての事象の確率が等しい」なら一様分布で、正規分布ではない。
ポアソン分布 ぽあそんぶんぷ
一定時間内に起こる回数のような、飛び飛びの値をとる離散分布の一つ。
⚠ 「離散的」とあれば連続分布の正規分布ではない。
バスタブ曲線 ばすたぶきょくせん
機器の故障率が、初期故障→偶発故障→摩耗故障と時間とともに変わる様子を表す浴槽形の曲線。
⚠ 故障の話であり、正規分布の説明ではない。
2峰性 にほうせい
分布の山が2つあること。
⚠ 正規分布の山は1つだけ。
散布図 さんぷず
2つの量の組を点として平面に打った図。
相関係数 そうかんけいすう
2つの量の直線的な関係の向きと強さを−1〜+1で表した値。
⚠ 回帰直線の傾きとは別物。傾きが急でも、点がばらついていれば相関は弱い。
正の相関・負の相関 せいのそうかん・ふのそうかん
一方が増えるともう一方も増える関係が正の相関、減る関係が負の相関。
⚠ 符号は向き、絶対値は強さ。−0.9は「弱い」ではなく「強い負の相関」。
無相関 むそうかん
直線的な関係がなく、相関係数が0に近い状態。
⚠ −1は無相関ではなく、完全な負の相関。
回帰直線 かいきちょくせん
散布図の点の並びに最もよく合う直線 y = ax + b。
傾き・切片 かたむき・せっぺん
傾きは x が1増えたときの y の変化量、切片は x = 0 のときの y の値。
⚠ 傾きを平均点の比と読んだり、切片を「y = 0 のときの x」と逆に読んだりしない。
三角グラフ さんかくぐらふ
合計100%になる3要素の割合を、正三角形内の点から各辺への垂線の長さで表すグラフ。
⚠ 辺の上の点はその要素が0%。100%になるのは、その辺の向かい側の頂点。

このレッスンの過去問

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