場合の数・確率・期待値
順列と組合せ(nCr)を使い分けて場合の数を数え、そこから確率・期待値・条件付き確率(ベイズ)を計算できるようになる。くじ・玉・さいころ・乱数・床関数の過去問を、選択肢の誤答パターンに引っかからずに解けるようにする。
確率の問題は「全部で何通りあるか」と「条件に合うのは何通りか」を数えて割るだけで解けるので、計算問題の中では得点しやすい分野です。ひっかけの選択肢は「順番を数えてしまう」「元に戻したことにする」「条件を無視する」の3種類にほぼ限られます。
このレッスンで稽古する(用語チェック・過去問)結論:確率は「当てはまる数 ÷ 全部の数」
確率は (条件に合う場合の数) ÷ (起こりうる全部の場合の数) で求めます。どの場合も同じくらい起こりやすいことが前提です。つまりこのレッスンは、ほぼ 正しく数えられるかどうか で決まります。
数え方の道具は次の3つだけです。
- 積の法則:「Aを選んでからBを選ぶ」なら 通り数 × 通り数
- 組合せ nCr:n個から r個を 順番を気にせず 選ぶ通り数
- 場合分け:条件がややこしければ、パターンごとに数えて足す
順列と組合せ:順番を区別するかどうか
順列は「並べ方」、組合せは「選び方」です。たとえば、5人から委員長と副委員長を1人ずつ選ぶのが順列、5人から委員を2人選ぶのが組合せです。
| 順列 nPr | 組合せ nCr | |
|---|---|---|
| 順番 | 区別する(AB と BA は別) | 区別しない(AB と BA は同じ) |
| 計算 | n×(n−1)×…(r個掛ける) | nPr ÷ (r×(r−1)×…×1) |
| 例 | 5P2 = 5×4 = 20 | 5C2 = 20÷2 = 10 |
| 出題例 | 委員長と副委員長を選ぶ | くじを同時に2本引く、8ビットのうち1になる4か所を選ぶ |
nCr の計算:8C4 = (8×7×6×5)÷(4×3×2×1) = 1680÷24 = 70。 「8ビットのうち0と1が4個ずつのものは何個か」は、1を置く4か所を選ぶ組合せなので 8C4 = 70 です。2^8=256 や、その半分の128 は誤答です。
条件つきの文字列を数える(場合分け)
免除試験で5回出ている頻出テーマです。「空白の後ろに数字は置けない」という制約は、空白が1つ出たら、そこから後ろはすべて空白という意味になります。
そこで、空白が始まる位置で場合分けします(先頭は数字だけ)。
| パターン | 通り数 |
|---|---|
| 数字・数字・数字 | 10×10×10 = 1,000 |
| 数字・数字・空白 | 10×10×1 = 100 |
| 数字・空白・空白 | 10×1×1 = 10 |
| 合計 | 1,110 |
制約を無視して 10×11×11 = 1,210 と計算させる選択肢が必ず入っています。条件の文を読んだら、まず許されない並びを1つ書き出すと見落としを防げます。
復元抽出と非復元抽出:引いたものを戻すか
復元抽出は引いたものを戻してから次を引くこと、非復元抽出は戻さずに続けて引くことです。トランプを1枚引いて山に戻すか、手元に持ったまま次を引くかの違いです。
| 復元抽出 | 非復元抽出 | |
|---|---|---|
| 2回目の母数 | 変わらない | 1つ減る |
| 赤5・白4から赤を2回 | 5/9 × 5/9 = 25/81 | 5/9 × 4/8 = 5/18 |
| 当たり2本・全5本から2本とも当たり | 2/5 × 2/5 = 4/25 | 2/5 × 1/4 = 1/10 |
| 試験での見分け方 | 「元に戻して」 | 「元に戻さないで」「同時に引く」 |
「同時に引く」は非復元抽出と同じです。組合せで解くなら、5C2 = 10通りのうち2本とも当たりは 2C2 = 1通りなので 1/10 です。順番に掛け算しても 2/5×1/4 = 1/10 になり、どちらで解いても答えは同じです。
2つの乱数・2つのさいころ(全通りを表で考える)
2つの値を組み合わせるときは 縦×横の表 を思い浮かべます。Random(10) を2回呼ぶと 10×10 = 100通りで、A=B(差が0)になるのは表の対角線の 10通り、確率は 1/10 です。1/100 は「特定の1組」になる確率なので誤答です。
さいころ2個の目の和は 6×6 = 36通りで、和が7になるのは (1,6)(2,5)…(6,1) の 6通りが最多 です。和が2や12になるのは1通りだけなので、分布は 中央の7が最も高い左右対称の山形(三角形) になります。棒の高さがすべて同じ「一様分布」は、さいころ 1個 のときの形です。
期待値:「値 × 確率」をすべて足す
期待値は、何度も繰り返したときの1回あたりの平均です。(値 × その確率) をすべて足すか、等確率なら 値の合計 ÷ 場合の数 で求めます。
さいころで1〜4の目は目の数が得点、5と6は0点なら、(1+2+3+4+0+0) ÷ 6 = 10/6 = 5/3 です。0点の目も 分母に入れるのがポイントで、4で割ると 5/2 という誤答になります。
床関数(切捨て)と四捨五入
床関数 [X](f(x) と書くこともあります)は「X以下で最大の整数」、つまり 小さい方向への切捨て です。負の数では f(−0.4) = −1 になり、0 にはなりません。
| 操作 | 式 | 2.4 のとき | 2.5 のとき | −0.4 のとき |
|---|---|---|---|---|
| 床関数(切捨て) | [X] | 2 | 2 | −1 |
| 四捨五入 | [X + 0.5] | 2 | 3 | 0 |
**四捨五入は「0.5を足してから床関数」**で表せます。平均値を四捨五入するなら [S/N + 0.5] です。
床関数の期待値問題(本試験で2回出題)は、x を1つずつ並べて、f の値が変わる境目を探す のが確実です。−0.9〜0.9 の小数第1位の数は 19個(0.0 を含む)で、20個と数えると誤答の 1/20 に誘導されます。
ベイズの定理:結果から原因の確率を逆算する
条件付き確率は「Bが起きたと分かったうえで、Aである確率」です。ベイズの定理は、結果(不良品だった)から原因(ラインAで作られた)の確率を逆算する考え方です。
式を覚えるより 具体的な個数に置き換える のが速くて確実です。製品を10,000個作ったと考えると次の図のようになります。
flowchart LR
P["製品 10,000個"] --> A["ラインA 6,000個"]
P --> B["ラインB 4,000個"]
A --> AF["不良 120個(2%)"]
B --> BF["不良 40個(1%)"]
AF --> T["不良の合計 160個"]
BF --> T
不良品160個のうちA由来は120個なので、120 ÷ 160 = 75% です。分母は「全製品」ではなく 「不良品だけ」 に絞ります。これが条件付き確率の核心です。製造割合の60%や不良率の2%をそのまま選ぶのが典型的な誤答です。
空白のあとに数字を置けない長さ3の文字列
ア 1,110
イ 1,111
ウ 1,210
エ 1,331
出典:基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20260125 実施分 問2
解き方と答えを見る
- 1文字目は数字だけなので10通り。2・3文字目は数字10種+空白で11種の候補がある
- 制約「空白の後に数字は不可」は、空白が出たらその後ろはすべて空白、という意味になる
- 空白が始まる位置で場合分けする。空白なし:10×10×10 = 1,000通り
- 3文字目だけ空白:10×10×1 = 100通り
- 2・3文字目が空白:10×1×1 = 10通り
- 合計:1,000 + 100 + 10 = 1,110通り
答え:ア:1,110。制約を無視した 10×11×11 = 1,210(ウ)は誤答。
8ビットで0と1が4個ずつの符号の数
ア 16
イ 24
ウ 70
エ 128
出典:基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20130623 実施分 問4
解き方と答えを見る
- 0と1が4個ずつ=8か所のうち1を置く4か所を選べば、符号が1つに決まる
- 選ぶだけで順番は関係ないので組合せ 8C4
- 8C4 = (8×7×6×5) ÷ (4×3×2×1) = 1,680 ÷ 24 = 70
答え:ウ:70。2^8 = 256 の半分の128や 2^4 = 16 は誤答。
5本中2本当たりのくじを同時に2本引く
ア 1/25
イ 1/20
ウ 1/10
エ 4/25
出典:基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20250727 実施分 問2
解き方と答えを見る
- 同時に引く=順番を気にしない=組合せで数える
- 全体:5本から2本を選ぶ 5C2 = (5×4) ÷ (2×1) = 10通り
- 2本とも当たり:当たり2本から2本を選ぶ 2C2 = 1通り
- 確率 = 1 ÷ 10 = 1/10
- 検算:順番に引くと考えても 2/5 × 1/4 = 2/20 = 1/10 で一致する
答え:ウ:1/10。戻して引いた場合の 2/5×2/5 = 4/25(エ)は誤答。
白4・赤5の袋から戻さずに2個取り出す
ア 1/6
イ 16/81
ウ 5/18
エ 25/81
出典:基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 201012 実施分 問3
解き方と答えを見る
- 玉は全部で 4 + 5 = 9個
- 1個目が赤:5/9
- 戻さないので残りは8個、そのうち赤は4個。2個目も赤:4/8
- 2個とも赤 = 5/9 × 4/8 = 20/72 = 5/18
答え:ウ:5/18。戻した場合の 5/9×5/9 = 25/81(エ)は誤答。
Random(10) を2回呼んで差が0になる確率
ア 1/100
イ 1/20
ウ 1/10
エ 1/5
解き方と答えを見る
- A も B も 0〜9 の10通りで、組合せは 10×10 = 100通り
- C = A − B = 0 になるのは A = B のとき。(0,0)(1,1)…(9,9) の10通り
- 確率 = 10 ÷ 100 = 1/10
答え:ウ:1/10。特定の1組になる確率の 1/100(ア)は誤答。
さいころの得点の期待値
ア 5/3
イ 7/3
ウ 5/2
エ 20/3
出典:基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20211212 実施分 問3
解き方と答えを見る
- 目ごとの得点:1→1点、2→2点、3→3点、4→4点、5→0点、6→0点
- 各目の確率はすべて1/6
- 期待値 = (1+2+3+4+0+0) × 1/6 = 10/6 = 5/3
答え:ア:5/3。0点の目を除いて4で割る 10/4 = 5/2(ウ)は誤答。
床関数 f(x+0.5) の期待値
ア −1/20
イ 0
ウ 1/20
エ 1/19
解き方と答えを見る
- x の候補は −0.9, −0.8, …, 0.0, …, 0.9。負が9個、0.0が1個、正が9個で合計19個
- x = −0.9〜−0.6(4個):x+0.5 は −0.4〜−0.1 なので f = −1
- x = −0.5〜0.4(10個):x+0.5 は 0.0〜0.9 なので f = 0
- x = 0.5〜0.9(5個):x+0.5 は 1.0〜1.4 なので f = 1
- 合計 = (−1)×4 + 0×10 + 1×5 = −4 + 5 = 1
- 期待値 = 合計 ÷ 個数 = 1/19
答え:エ:1/19。x を20個と数えると 1/20(ウ)を選んでしまう。
平均値の四捨五入を床関数で表す
ア [S/N − 0.5]
イ [S/N − 0.4]
ウ [S/N + 0.4]
エ [S/N + 0.5]
解き方と答えを見る
- 四捨五入は「小数部が0.5以上なら切り上げ、未満なら切り捨て」
- 0.5を足すと、小数部0.5以上の数だけが次の整数に繰り上がる
- 具体例で確認:2.5 + 0.5 = 3.0 → [3.0] = 3(切り上げ)。2.4 + 0.5 = 2.9 → [2.9] = 2(切り捨て)
- 平均は S/N なので [S/N + 0.5]
答え:エ:[S/N + 0.5]。+0.4 では 2.5 + 0.4 = 2.9 → 2 となり四捨五入にならない。
不良品がラインAで作られた確率(ベイズ)
ア 40
イ 50
ウ 60
エ 75
解き方と答えを見る
- 製品を10,000個作ったと考える。ラインA 6,000個、ラインB 4,000個
- Aの不良:6,000 × 0.02 = 120個。Bの不良:4,000 × 0.01 = 40個
- 不良品の合計:120 + 40 = 160個(確率で書くと 0.6×0.02 + 0.4×0.01 = 0.012 + 0.004 = 0.016)
- 不良品の中でA由来の割合:120 ÷ 160 = 0.75(確率でも 0.012 ÷ 0.016 = 0.75)
答え:エ:75%。製造割合の60%(ウ)をそのまま選ぶのは誤答。
要点(試験直前に読む)
- 確率 = 条件に合う数 ÷ 全部の数。まず全体の通り数を正しく数える
- 「同時に引く」「戻さない」は非復元抽出。組合せ nCr か、分母を1つずつ減らす掛け算で解く
- 制約つきの文字列は、制約が効き始める位置で場合分けして足す(例:1,000 + 100 + 10 = 1,110)
- 期待値 = Σ(値×確率)。0点の場合も分母に入れる
- 床関数は小さい方向への切捨てで f(−0.4) = −1。四捨五入は [X + 0.5]
- ベイズは個数に置き換える(10,000個中A不良120・B不良40 → 120/160 = 75%)
ひっかけ
- 戻さない(同時に引く)問題なのに、戻した場合の積(4/25、25/81)を選ばせる → 2回目の分母が1減っているか確認する
- 制約を無視した単純な掛け算(10×11×11 = 1,210)を選ばせる → 許されない並びを1つ書き出してから数える
- 期待値で、得点のない目を分母から外す(10/4 = 5/2) → さいころの目は全部で6つなので分母は6
- −0.9〜0.9 の個数を20個と数える(1/20) → 0.0 を含めて負9個・0が1個・正9個の19個
- ベイズの問題で製造割合の60%や不良率2%をそのまま選ばせる → 分母は「不良品全体」に絞る
用語(15)
ある事柄の起こり方が全部で何通りあるかという数。
「Aを選んでからBを選ぶ」ように続けて決めるとき、通り数どうしを掛けて全体を求める考え方。
⚠ 和の法則(場合分けしたパターンを足す)と区別する。続けて決めるなら掛け算、別々のパターンなら足し算。
n個から r個を選び、順番も区別して並べる通り数。
⚠ 組合せは順番を区別しない。AB と BA を別に数えるなら順列。
n個から r個を、順番を気にせず選ぶ通り数で、nPr を r×(r−1)×…×1 で割って求める。
⚠ 順列と混同しやすい。「同時に選ぶ」「どこに置くかを選ぶ」は組合せ。
条件に合う場合の数を、同じくらい起こりやすい全部の場合の数で割った値。
取り出したものを元に戻してから次を取り出すため、毎回の母数が変わらない抽出。
⚠ 非復元抽出と取り違えやすい。問題文に「元に戻して」とあれば復元。
取り出したものを戻さずに続けて取り出すため、2回目以降は母数と該当数が減る抽出。
⚠ 「同時に引く」も非復元と同じ扱い。分母を減らし忘れると復元の答えになる。
決められた範囲のどの値も同じ確率で出る乱数。
すべての値が同じ確率で現れる分布で、棒グラフにすると高さがそろう。
⚠ さいころ1個の目は一様分布だが、2個の目の和は中央が高い山形になる。
それぞれの値がどのくらいの確率で現れるかを表したもの。
各値にその確率を掛けてすべて足した、繰り返したときの1回あたりの平均値。
⚠ 単純平均と混同しやすい。0点の場合も分母(確率)に含める。
X以下で最大の整数を返す関数で、負の数も小さい方向へ切り捨てる。
⚠ 0方向への切捨てと違い、f(−0.4) は 0 ではなく −1 になる。
端数が0.5以上なら切り上げ、未満なら切り捨てる丸め方で、床関数を使うと [X + 0.5] と書ける。
⚠ [X + 0.4] や [X − 0.5] は四捨五入にならない。
ある事柄Bが起きたと分かったうえで、別の事柄Aが起きている確率。
⚠ 分母を全体ではなく「Bが起きた場合だけ」に絞る点が普通の確率と違う。
結果が分かったときに、その原因ごとの確率を逆算する計算方法。
⚠ 元の割合(事前の60%など)をそのまま答えにしないこと。
このレッスンの過去問
- 組合せ(nCr)による場合の数基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20130623 実施分 問4
- 文字列パターンの場合の数(空白後に数字不可)基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20260125 実施分 問2
- 組合せによる同時当選確率計算基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20250727 実施分 問2
- 非復元抽出の確率計算基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 201012 実施分 問3
- 一様乱数の差がゼロになる確率計算令和元年度 秋期 基本情報技術者試験 午前 問6
- 2個のさいころの目の和の分布基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 200907 実施分 問4
- さいころの得点の期待値計算基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20211212 実施分 問3
- 床関数を用いた期待値計算平成27年度 春期 基本情報技術者試験 午前 問3
- ベイズの定理による条件付き確率計算平成28年度 秋期 基本情報技術者試験 午前 問2