機械学習とAIの基本用語
AI・機械学習・ディープラーニング・ファインチューニング・ヒューリスティクスの説明文を見て、どの用語の話かを選べるようになる。特に「教師あり/教師なし/強化学習」の3つを選択肢の言い回しから見分けられるようになる。
AI の用語問題は計算が不要で、用語の定義と、間違い選択肢として出てくる別の用語を知っていれば確実に取れる得点源です。生成AI の普及に合わせて、令和7年度には大規模言語モデルのファインチューニングも出題されました。
このレッスンで稽古する(用語チェック・過去問)結論:入れ子の関係と「仲間外れの選択肢」を覚える
AI(人工知能)は、人の知的な働きをコンピュータで実現する技術の総称です。その中に機械学習(データからパターンを見つける)があり、さらにその中にディープラーニング(多層のニューラルネットワークで学ぶ)があります。
試験では、正解と一緒に別の AI 技術の説明が間違い選択肢として並びます。つまり、正解の定義だけでなく、間違い選択肢によく出る用語(エキスパートシステム・遺伝的アルゴリズムなど)も一言で言えるようにしておくのが近道です。
AI 用語の地図
下の図の矢印は「左が右を含む」という意味です。エキスパートシステムは機械学習の外側にある別系統(人がルールを書く方式)だという点が大事です。
flowchart LR
A["AI(人工知能)"] --> B["機械学習:データから学ぶ"]
B --> C["ディープラーニング:多層ニューラルネットワーク"]
C --> D["大規模言語モデル:事前学習→ファインチューニング"]
A --> E["エキスパートシステム:人が書いたルールで推論"]
A --> F["ヒューリスティクス:経験則で近い解を選ぶ"]
機械学習:データからパターンを見つける
機械学習は、蓄積したデータから規則やパターンを見つけ出し、人が自然に行っている「学習する能力」をコンピュータに持たせる技術です。
ポイントは「ルールを人が書かず、データから学ぶ」ことです。迷惑メールのフィルタは、大量のメールの例から迷惑メールらしい特徴を自分で見つけます。人が「この単語なら迷惑メール」と1つずつ書き込むわけではありません。
最重要:教師あり・教師なし・強化学習の区別
機械学習は、何を手がかりに学ぶかで3つに分かれます。選択肢の文中にあるキーワードで判定できます。
| 種類 | 何を手がかりに学ぶか | 選択肢に出るキーワード | 身近な例 |
|---|---|---|---|
| 教師あり学習 | 正解(ラベル)付きのデータ | 「正解のデータを提示」「誤りを指摘」「未知のデータの正誤」 | 「犬」「猫」と名前を付けた写真で学び、新しい写真を分類する |
| 教師なし学習 | 正解のないデータ(データの性質そのもの) | 「正解を提示せずに」「統計的性質」「クラスタリング」 | 購買履歴だけを見て、似た客をグループに分ける |
| 強化学習 | 行動の結果として得られる報酬(得点) | 「行動の善しあしを得点で」「得点が最も多くなる方策」 | ゲームで試行錯誤し、スコアが最大になる手を覚える |
たとえるなら、教師あり学習は答えの付いた問題集で勉強すること、強化学習は部活の試合で勝ち負けから学ぶことです。教師なし学習は、答えがないまま似たもの同士を仕分ける作業にあたります。
クラスタリングとは、似たデータ同士をグループ(クラスタ)にまとめることです。これが出てきたら教師なし学習と判断します。
ディープラーニング:脳の神経回路をまねた多層モデル
ディープラーニング(深層学習)は、人間の脳の神経回路をまねたニューラルネットワークを何層にも重ねて、画像認識などの複雑な判断をできるようにする手法です。出題回数がいちばん多い知識です(本試験1回・免除5回)。
仕組みは、層状に並べた素子(ノード)を信号線でつなぎ、信号線ごとの**パラメタ(重み)**を調整して、入力に対して正しい出力が出るようにすることです。学習とは、この重みを少しずつ直していく作業のことです。
正解の選択肢に出るキーワードは「脳神経回路を模倣」「多層」「ニューラルネットワーク」「パラメタ(重み)を調整」です。どの年度でも、この言い回しが入った選択肢が正解でした。
ディープラーニング問題で並ぶ「別の AI 技術」
ディープラーニングの問題では、間違い選択肢が毎回ほぼ同じ顔ぶれです。それぞれ一言で見分けられるようにします。
| 用語 | 一言で | 見分けるキーワード |
|---|---|---|
| ディープラーニング | 多層のニューラルネットワークで学ぶ | 脳神経回路・多層・重みの調整 |
| エキスパートシステム | 専門家の知識をルールにして推論する | 「AならばB」・ルールベース・専門知識・演繹・医療診断 |
| 遺伝的アルゴリズム | 生物の進化をまねて解を良くしていく | 遺伝子・突然変異・交配・とう汰 |
| バックトラック法 | 深さ優先で探索し、だめなら1つ前に戻る | 試行錯誤・後戻り |
| データマイニング | 大量のデータから未知の規則を発見する | 大量データ・新たな規則や仮説の発見 |
| 人工生命 | 生命現象や進化をコンピュータ上で再現する | 生命現象・進化のプロセスの再現 |
演繹(えんえき)とは、一般的なルールから個別の結論を導く推論のことです(例:「人は死ぬ」「ソクラテスは人」→「ソクラテスは死ぬ」)。ルールと演繹が出てきたらエキスパートシステムです。
大規模言語モデルのファインチューニング
**大規模言語モデル(LLM)**は、大量の文章で学習した、文章の理解や生成ができるモデルです。作り方は次の2段階です。
| 段階 | 何をするか | データ |
|---|---|---|
| 事前学習 | 言葉の一般的な知識を広く身に付けさせる | 大量のテキストデータ |
| ファインチューニング | 事前学習済みのモデルを、目的のタスク用に調整する | 特定のデータで追加学習 |
たとえると、事前学習は「大学までの一般教養」、ファインチューニングは「入社後の業務研修」です。試験では「大量のテキストで学習」(事前学習の説明)と取り違えさせてきます。**「特定のデータ」「追加で学習」「目的のタスクに適用」**の3つがそろっていれば正解です。
ヒューリスティクス:経験則で「だいたい正しい解」
ヒューリスティクスは、経験的な知識(経験則)を使い、厳密ではないものの正解に近い解を短時間で選ぶ手法です。過去問では、サンプリング(一部のデータを抜き出す)や入力ミスの自動訂正の説明が間違い選択肢として並びました。「経験的」「正解に近い解」の2語で判断します。
要点(試験直前に読む)
- AI ⊃ 機械学習 ⊃ ディープラーニング。エキスパートシステムは人がルールを書く別系統。
- 教師あり=正解付きデータ、教師なし=正解なし(クラスタリング)、強化学習=得点(報酬)が最大になる方策を学ぶ。
- ディープラーニング=脳神経回路をまねた多層のニューラルネットワーク。重み(パラメタ)を調整して学ぶ。
- ファインチューニング=事前学習済みモデルに特定のデータで追加学習し、目的のタスクに合わせる。
- ヒューリスティクス=経験的な知識で正解に近い解を選ぶ。
ひっかけ
- 「得点が最も多く得られる方策」は強化学習、「正解を提示せずにクラスタリング」は教師なし学習。教師あり学習の問題では、この2つが間違い選択肢として必ず並ぶ。
- 「AならばB」「ルール」「演繹」「専門知識」はエキスパートシステム。ディープラーニングやAIの説明として出てきても選ばない。
- 「遺伝子・突然変異・交配」は遺伝的アルゴリズム、「後戻り」はバックトラック法。どちらもディープラーニングではない。
- 「大量のテキストデータで学習」はファインチューニングではなく事前学習。ファインチューニングは「特定のデータで追加学習」。
- ヒューリスティクスの問題で「データの一部を抽出」(サンプリング)や「誤記の自動訂正」が出ても選ばない。キーワードは「経験的」。
用語(15)
推論・認識・学習など、人の知的な働きをコンピュータで実現する技術の総称。
データからパターンや規則を見つけ出し、学習する能力をコンピュータに持たせる技術。
⚠ エキスパートシステムは人が書いたルールで推論する方式。データから学ぶのが機械学習。
正解(ラベル)の付いたデータで学習し、未知のデータの正誤や分類を判断できるようにする方法。
⚠ 「正解のデータを提示」があれば教師あり、「正解を提示せずに」なら教師なし学習。
正解の付いていないデータから、その統計的な性質をもとにデータを分類したりグループ分けしたりする方法。
⚠ 「クラスタリング」とあれば教師なし学習。正解データがあれば教師あり学習。
行動の善しあしを報酬(得点)として与え、得点が最大になる行動の方針を試行錯誤で学ぶ方法。
⚠ 「得点」「報酬」「方策」があれば強化学習。正解データを与える教師あり学習とは別のもの。
似た特徴を持つデータ同士をグループ(クラスタ)にまとめること。
⚠ 教師なし学習の代表的な使い方。正解ラベルで分ける「分類」(教師あり学習)とは別。
脳の神経回路をまねたニューラルネットワークを多層に重ね、重みを調整することで複雑な認識や判断を可能にする機械学習の手法。
⚠ 「ルールを人が設定」はエキスパートシステム、「遺伝子・交配」は遺伝的アルゴリズム。
層状に並べた素子を信号線でつなぎ、信号線のパラメタ(重み)を調整して入力から適切な出力を得るモデル。
大量のテキストデータで事前学習した、文章の理解や生成ができる大規模なモデル。
大量の汎用的なテキストデータで、モデルに言葉の一般的な知識を身に付けさせる最初の学習段階。
⚠ 「大量のテキストデータで学習」は事前学習。特定データでの追加学習はファインチューニング。
事前学習済みのモデルに特定のデータで追加の学習を行い、目的のタスクに合わせて調整すること。
⚠ 事前学習(大量データ)や強化学習(報酬で学ぶ)と取り違えさせる。キーワードは「特定のデータ」「追加で」。
経験的な知識を用いて、厳密ではないが正解に近い解を効率よく選ぶ手法。
⚠ 一部のデータを抜き出すのはサンプリング。ヒューリスティクスのキーワードは「経験的」「正解に近い」。
専門家の知識を「AならばB」といったルールとして入力し、そのルールに基づく推論で問題を解くシステム。
⚠ データから学ぶ機械学習やディープラーニングとは別。キーワードは「ルール」「専門知識」「演繹」。
解の候補を遺伝子に見立て、突然変異・交配・とう汰を繰り返して、より良い解に近づける手法。
⚠ ディープラーニングの問題で間違い選択肢としてよく出る。「生物の進化」「遺伝子」で見分ける。
生命現象や進化のプロセスをコンピュータ上で再現する技術。
⚠ 機械学習の問題で間違い選択肢として出る。「生命現象の再現」なら人工生命。
このレッスンの過去問
- 機械学習の定義平成30年度 秋期 基本情報技術者試験 午前 問3
- 教師あり学習・教師なし学習・強化学習の区別平成31年度 春期 基本情報技術者試験 午前 問4
- ディープラーニングの定義(ニューラルネットワーク)平成30年度 春期 基本情報技術者試験 午前 問3
- 大規模言語モデルのファインチューニング令和7年度 基本情報技術者試験 科目A 公開問題 問1
- ヒューリスティクスの定義(AI)基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20260726 実施分 問3