入力データの品質管理と誤り防止
入力データのチェック方式(ニューメリックチェック・チェックディジットなど)を、名前と中身を結びつけて見分けられるようになる。あわせて、入力エラー・マスタ整備・ヒューマンエラー防止の問題で「誰が・いつ・どう対処するのが正しいか」を選べるようになる。
システムは入ってきたデータを疑わずに処理するため、入口で誤りを止められないと、請求額や在庫数の間違いが後ろへ広がっていく。試験では「どのチェックで何を見るか」と「誤りを誰が直すか」の2点が、用語の取り違えを狙った選択肢で繰り返し問われる。
このレッスンで稽古する(用語チェック・過去問)結論:誤りは「入口で」「発生元が」直し、「仕組みで」防ぐ
このレッスンの判断基準は3つだけです。
- 入力段階で検出する(処理段階まで進ませない)
- 誤りはデータの発生元(起票部門)が確認・修正する(運用部門が勝手に直さない)
- 人の注意に頼らず、仕組みで誤りを起こしにくくする(エラープルーフ化)
迷ったら、この3つに沿った選択肢を選べばほぼ正解です。
入力データチェック方式の見分け方(最頻出)
入力データチェックとは、データをシステムに取り込む前に「おかしな値」を機械的にはじく検査のことです。試験では説明文を読んで方式名を当てさせるか、その逆を問うので、説明文のキーワードで見分けます。
| チェック名 | 何を確かめるか | 例 | 説明文のキーワード |
|---|---|---|---|
| ニューメリックチェック | 数値項目に数字以外の文字が入っていないか | 数量欄に「1O」(オー)が入っている | 「数値として扱えない文字」 |
| チェックディジットチェック | データから計算した検査文字と、付加されている検査文字が一致するか | 会員番号の末尾1桁 | 「検査文字を算出し比較」 |
| 範囲(リミット)チェック | 値が上限・下限の範囲内にあるか | 売上数量が上限値を超えている | 「上限」「下限」「範囲」 |
| 論理(整合性)チェック | 関連する項目どうしに矛盾がないか | 在庫数 = 前月在庫 + 仕入数 − 販売数 | 「関連のある項目」「矛盾」 |
| 重複チェック | 同じキーのレコードが複数ないか | 顧客コードが二重に登録されている | 「キーの値が同じ」「複数件」 |
| フォーマットチェック | 桁数や書式が決まりどおりか | 日付が8桁(YYYYMMDD)になっていない | 「桁数」「形式」 |
| シーケンスチェック | 決められた並び順になっているか | 伝票番号が昇順に並んでいない | 「順序」「昇順・降順」 |
| 照合(存在)チェック | マスタに登録済みの値か | 顧客コードが顧客マスタに無い | 「マスタと突き合わせ」 |
ニューメリックチェックが見るのは文字の種類だけです。「数字かどうか」を見るもので、値の大きさや計算の正しさは見ません。
入力エラーは入口で止め、起票部門に戻す
入力エラーは入力段階で検出するほうが、処理段階で見つけるより効率的です。処理が進んでから見つかると、途中の結果まで作り直すことになるからです。
誤りを直すのはデータの発生元です。宅配便の送り状の住所が怪しいとき、配送センターの人が想像で書き換えず差出人に確認するのと同じで、正しい値を知っているのは書いた本人だけです。
flowchart LR
A["起票部門が入力原票を作成"] --> B["入力段階でチェック"]
B -->|"エラーなし"| C["運用部門が処理"]
B -->|"エラーあり"| D["起票部門へ差し戻し・確認"]
D --> A
| 運用部門の対応 | 正誤 | 理由 |
|---|---|---|
| 入力原票を起票した部門に確認してもらう | ○ | 正しい値を知っているのは発生元 |
| 上長の承認を得て運用部門で修正する | × | 承認があっても、運用部門は正しい値を知らない |
| エラーデータを破棄する | × | 売上などの実在する取引が消えてしまう |
| システム開発部門に問い合わせる | × | プログラムは正しく検出しており、誤りはデータ側にある |
マスタファイルの整備:消す前に「使われていないか」を確かめる
マスタファイルとは、顧客や商品など、何度も参照される基本情報をまとめたファイルです。顧客レコードを削除するときは、販売管理システムや関連システムでその顧客コードが参照されていないことを確認してから削除します。参照が残ったまま消すと、過去の売上データが「存在しない顧客」を指すことになり、集計や照合が壊れます。
「当月に売上が無いから物理削除する」「キーが違えば同じ顧客が重複していてもよい」はどちらも誤りです。
エラープルーフ化:人ではなく仕組みを変える
エラープルーフ化(ポカヨケ)とは、人が間違えようとしても間違えにくい仕組みを作ることです。USB端子が逆向きには挿さらない形になっているのが典型例です。
| 対策 | 分類 | エラープルーフ化か |
|---|---|---|
| ウィンドウごとに背景色を変え、取り違えを防ぐ | 仕組み・見た目の工夫 | ○ |
| 2時間おきに交代で休憩を取る | 人の体調管理 | × |
| ヒヤリハット情報を共有する | 人の注意喚起 | × |
| 臨時作業の教育・訓練を定期的に行う | 人の能力向上 | × |
×の3つはどれも良い取り組みですが、人に働きかける対策です。設問がエラープルーフ化を聞いているときは、「仕組み側を変えているか」で判断します。
試験での問われ方
- 方式名 ↔ 説明文:ニューメリックチェックを問う問題では、チェックディジット・論理・重複チェックの説明が誤りの選択肢として並びます。キーワード表で見分けてください。
- 誰が直すか:「運用部門が修正」「運用部門長の承認で修正」「破棄」「開発部門に問い合わせ」が誤りの選択肢の定番です。正解は「起票部門(発生元)に確認」です。
- いつ見つけるか:「処理段階で」より「入力段階で」が正解です。
- 最も適切な対策を選ぶ:休憩・共有・訓練は「良いこと」なので正解に見えます。設問が聞いている対策の種類(仕組みで防ぐか、人に働きかけるか)を先に確かめてください。
要点(試験直前に読む)
- ニューメリックチェック=数値項目に数字以外の文字が無いかを見る(値の大きさは見ない)。
- チェックディジット=検査文字の照合/論理チェック=関連項目の矛盾/重複チェック=同じキーが複数ないか。
- 入力エラーは処理段階より入力段階で見つけるほうが、検出も修正も効率が良い。
- 誤りは運用部門が直さず、入力原票の起票部門(発生元)に確認してもらう。
- マスタのレコードは、関連システムで参照されていないことを確認してから削除する。
- エラープルーフ化=仕組みで誤りを防ぐこと(背景色を変えるなど)。教育・休憩・共有は該当しない。
ひっかけ
- 「検査文字を算出して比較」はニューメリックではなくチェックディジット。説明文のキーワードで方式を判定する。
- 「運用部門長の承認を得て運用部門で修正」は承認があっても誤り。正しい値を知っているのは起票部門だけ。
- 「プログラムが検出したので開発部門に問い合わせ」は誤り。プログラムは正しく動いており、直すべきはデータ。
- 「売上が無い顧客は月末に物理削除」は誤り。削除の前には参照されていないかの確認が必要。
- ヒヤリハット共有や教育訓練は正しい取り組みだが、エラープルーフ化の例を問われたら選ばない。
用語(15)
数値として扱う項目に、数字以外の文字が含まれていないかを確かめる検査。
⚠ チェックディジットチェックと混同しやすい。ニューメリックは文字の種類だけを見て、チェックディジットは計算した検査文字と比較する。
データから一定の規則で検査文字を計算し、付加されている検査文字と一致するかで入力ミスを見つける検査。
⚠ ニューメリックチェックとの違いは「検査文字を算出」という語があるかどうか。
値があらかじめ決めた上限・下限の範囲内にあるかを確かめる検査。
⚠ 論理チェックは複数項目の関係を見て、範囲チェックは1項目の大きさを見る。
販売数・在庫数・仕入数のように関連する項目どうしに矛盾がないかを確かめる検査。
⚠ 範囲チェックは1項目の値の大きさを見る。複数項目の関係を見ていれば論理チェック。
同じキーの値を持つレコードが複数件含まれていないかを確かめる検査。
⚠ 照合チェックはマスタに存在するかを見る。重複チェックは同じものが二つ以上ないかを見る。
桁数や書式など、データの形式が決まりどおりかを確かめる検査。
⚠ ニューメリックチェックは数字かどうかだけを見る。桁数や書式まで見るのがフォーマットチェック。
データが決められた順序(昇順・降順など)に並んでいるかを確かめる検査。
入力されたコードなどがマスタファイルに登録済みかを突き合わせて確かめる検査。
⚠ 重複チェックとは逆向きの検査。照合チェックは「無いこと」を、重複チェックは「二つ以上あること」をエラーとする。
システムへ入力するデータの元になる伝票や書類。
入力原票を作成した、データの発生元となる部門。入力データの誤りはここが確認・修正する。
⚠ 運用部門はデータを処理する側で、データの正しい値を判断する立場にはない。
顧客・商品など、業務で繰り返し参照される基本情報をまとめたファイル。
⚠ トランザクションファイル(日々の売上などの取引記録)は、マスタを参照する側のファイル。
レコードを記憶領域から実際に消去すること。参照が残っていると整合性が壊れる。
⚠ 論理削除は削除の印を付けるだけでデータを残すため、後から参照や復元ができる。
レコードは残したまま、削除済みの印を付けて使わない扱いにすること。
⚠ 物理削除とは違い、データ自体は残る。
人が誤りを起こしにくい、または起こしても影響が出にくい仕組みに作業や設備を変えること。
⚠ 教育訓練・休憩・ヒヤリハット共有は人への働きかけで、エラープルーフ化ではない。
事故には至らなかったが、ヒヤリとした・ハッとした危ない出来事。
⚠ 情報共有は人の注意に頼る対策で、仕組みで防ぐエラープルーフ化とは別物。
このレッスンの過去問
- 入力データチェック方式の分類(ニューメリック等)平成22年度 秋期 基本情報技術者試験 午前 問57
- 入力データエラーの検出・修正は入力段階で行う基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20221211 実施分 問57
- 入力データエラー時の運用部門の対応(起票部門への確認)基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 200907 実施分 問58
- マスタファイル整備の留意点(削除前の参照確認)基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20111218 実施分 問59
- エラープルーフ化(ポカヨケ)の例基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20210725 実施分 問57