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経営戦略マネジメント・1/7・10分

経営環境を分析する:SWOT・PEST と自社の強み

ゴール

SWOT・PEST・コアコンピタンス・バリューチェーン・ベンチマーキングを説明した選択肢を見分けられるようになる。SWOTの4要素(強み・弱み・機会・脅威)がそれぞれ内部要因か外部要因かを、迷わず振り分けられるようになる。

経営戦略の分野では「この手法の説明はどれか」という定義問題が毎回のように出ます。用語さえ区別できれば確実に取れる、得点しやすい問題です。新規事業の企画書や提案書で「自社の強み」を説明するときにも、そのまま使える考え方です。

このレッスンで稽古する(用語チェック・過去問)

結論:5つの道具は「何を見るか」で見分ける

このレッスンの5つは、どれも自社の立ち位置を知るための分析手法です。試験ではお互いの説明文が選択肢として並ぶので、何を見る手法かの一点で見分けます。

手法 何を見るか 一言でいうと
SWOT分析 自社の内側と外側 強み・弱み・機会・脅威の4マスに整理する
PEST分析 社会全体の大きな流れ 政治・経済・社会・技術の4つの外部要因を見る
コアコンピタンス 自社の中核となる能力 他社がまねできない、競争優位の源泉
バリューチェーン分析 自社の活動の流れ どの活動で価値(利益)が生まれているかを見る
ベンチマーキング 他社の優れたやり方 優れた企業と比べて自社を測り、改善に使う

出題回数の多い順に、コアコンピタンス → SWOT → ベンチマーキングの3つを特に厚く押さえましょう。

SWOT分析:内か外か、プラスかマイナスか

SWOT分析は、企業を内部環境(自社が自分でコントロールできるもの)と外部環境(自社では変えられない市場や社会の状況)に分けて、強み・弱み・機会・脅威の4つの視点で評価する手法です。経営戦略を立てる出発点として使います。

プラス要因 マイナス要因
内部環境(自社の中) Strength=強み Weakness=弱み
外部環境(自社の外) Opportunity=機会 Threat=脅威

たとえるなら、マラソン大会の前に自分の状態を確かめる作業です。脚力やスタミナ(自分の体=内部)は鍛えられますが、当日の天気やライバルの顔ぶれ(外部)は変えられません。

振り分けは2つの質問で決まります。

  1. それは自社の中のことか、自社の外で起きていることか? → 中ならS/W、外ならO/T
  2. 自社にとってプラスかマイナスか?
要因の例 中か外か プラスかマイナスか 分類
競合より高い生産効率 中 プラス 強み
低いマーケットシェア 中 マイナス 弱み
事業ドメイン(自社が活動する事業領域)の高い成長率 外 プラス 機会
市場への強力な企業の参入 外 マイナス 脅威

よくある間違い:「低いマーケットシェア」は市場の話に見えるので、つい外部要因だと思いがちです。しかし、シェアは自社の成績なので内部環境=弱みです。

要因を1つ取るQ1 自社の中のことか?中外内部環境(S・W)外部環境(O・T)Q2 自社にとってプラスか?+−+−強み弱み機会脅威例:低いマーケットシェア自社の成績 → 中・マイナス → 弱み
Q1「自社の中のことか」で内部か外部かに分け、全体にかかるQ2「プラスか」で、強み・弱み・機会・脅威のどこに入るかが決まる。

SWOTと取り違えやすい「4つの○○」

SWOTの問題では、ほかの「4つの視点・4つの段階」系の手法が選択肢に並びます。キーワードで切り分けましょう。

選択肢に出るキーワード 手法名
強み・弱み・機会・脅威/内部環境と外部環境 SWOT分析
財務・顧客・業務プロセス・学習と成長 BSC(バランススコアカード)
導入期・成長期・成熟期・衰退期 PLC(プロダクトライフサイクル)
市場の成長性(成長率)と占有率(シェア) PPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)
競争に影響する要因(新規参入・代替品・買い手・売り手・業界内の競合) ファイブフォース分析
マーケティングツールの最適な組合せ 4P(マーケティングミックス)
顧客・競合・自社 3C分析
財務諸表から収益性・安全性を見る 財務分析

もう一つの見分け方として、「機会・脅威」と「強み・弱み」が両方そろっている選択肢がSWOTです。

PEST分析:外の大きな流れを4つに分ける

PEST分析は、Political(政治)・Economic(経済)・Social(社会)・Technological(技術)の4つの観点から、自社を取り巻く外部環境を見る手法です。SWOTの「機会・脅威」を洗い出すときの材料にもなります。

**税制の改正は、お金の話でも「法律・制度を変える」ことなので政治的要因(P)**です。景気や為替は経済(E)、人口構成や流行は社会(S)、新技術の登場は技術(T)に分類します。

外部環境(自社では変えられない)P 政治税制の改正E 経済景気・為替S 社会人口構成・流行T 技術新技術の登場外から影響自社=内部環境SWOTの機会・脅威を洗い出す材料に
点線の枠の中が自社では変えられない外部環境(政治・経済・社会・技術)。枠の外にいる自社に影響を与え、SWOTの機会・脅威を洗い出す材料になる。

コアコンピタンス:他社がまねできない中核能力(最頻出)

コアコンピタンスとは、競争優位の源泉となる、他社がまねしにくい自社独自のスキル・技術・経営資源のことです。「うちが勝てる理由の核」と覚えましょう。

たとえるなら、老舗の鰻屋が何十年も継ぎ足してきた秘伝のタレです。お店の内装(他店でもまねできる)ではなく、他店が簡単には再現できないものこそがコアです。

コア技術かどうかの見分け方:「競合他社がまねできない独自の技術か?」だけを確かめます。過去問では「自動車エンジンのアイドリングストップ技術」が正解でした。一方、「他社と共通で使う技術」「他社と同じCPUコアを採用」「汎用部品の組合せ」は、どれも独自性が無いのでコア技術ではありません(「コア」という言葉に釣られないこと)。

選択肢には、次の用語の説明が並ぶのが定番です。

選択肢の説明 正体
他社より優越した自社独自のスキル・技術(競争優位の源泉) コアコンピタンス
経営活動の基本精神・行動指針 経営理念
事業戦略を遂行して達成すべき到達目標 経営目標
自社を取り巻く環境の機会と脅威 SWOT分析の外部環境
経営資源の配分を統合的に管理して効率を上げる ERP(企業資源計画)
業務プロセスを根本から設計し直して劇的に改善する BPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング)
競合や先進企業と比較して自社を把握する ベンチマーキング
企業内の知識を共有して問題解決力を高める ナレッジマネジメント
競合他社がまねできない独自の技術か?自動車エンジンのアイドリングストップ技術○ コア技術他社と共通で使う技術× 独自性なし他社と同じCPUコアを採用× 独自性なし汎用部品の組合せ× 独自性なし
「競合他社がまねできない独自の技術か?」のふるいに通すと、残るのはアイドリングストップ技術だけ。

ベンチマーキング:優れた相手と比べて改善する

ベンチマーキングは、競合や業界内外の優れた企業のやり方(ベストプラクティス)と自社を比べ、製品・サービス・業務のレベルを定性的・定量的に把握して改善に活かす手法です。ITサービスマネジメントの文脈で出題されても、意味は同じです。

コアコンピタンスとは、視線の向きが逆だと押さえておきましょう。

視線の向き キーワード
コアコンピタンス 自社の内側(自分の強み) 独自・まねできない・競争優位の源泉
ベンチマーキング 自社の外(優れた他社) 比較・ベストプラクティス・先進企業

サービスマネジメントの問題では、「財務・顧客・内部プロセス・学習と成長」(BSC)や「強み・弱み・機会・脅威」(SWOT)が、ひっかけの選択肢として並びます。

バリューチェーン分析:どの活動で利益が生まれるか

バリューチェーン分析は、事業活動を主活動(製品が顧客に届くまでの直接の流れ)と支援活動(全体を支える活動)に分け、どこで価値(利益)が生まれているかを分析する手法です。

主活動は、購買物流 → 製造 → 出荷物流 → 販売とマーケティング → サービスの順に流れます。支援活動には、全般管理・人事・技術開発・調達などがあります。

衣料品会社の場合、購買物流は材料が入ってくる側の活動です。つまり「生地を発注・検品・在庫管理する」が該当します。購入者への配送は出荷物流、縫製は製造、広告は販売とマーケティングです。

支援活動(主活動全体を支える)全般管理・人事・技術開発・調達支える主活動(流れる順)衣料品会社の例購買物流生地を発注・検品・在庫管理(材料が入ってくる側)製造縫製出荷物流購入者への配送販売とマーケティング広告サービス修理・問い合わせ対応顧客へ
支援活動が主活動の流れ全体を上から支え、主活動は購買物流からサービスへ流れて顧客に届く。衣料品会社の例を横に並べた。
例題 1

SWOTの「脅威」を選ぶ

SWOT 分析において,一般に脅威として位置付けられるものはどれか。

ア 競合他社に比べて高い生産効率
イ 事業ドメインの高い成長率
ウ 市場への強力な企業の参入
エ 低いマーケットシェア

出典:平成29年度 秋期 基本情報技術者試験 午前 問67

解き方と答えを見る
  1. 脅威の定義を確認する:脅威=外部環境 × マイナス要因
  2. ア「競合他社に比べて高い生産効率」:自社の中のこと+プラス → 強み
  3. イ「事業ドメインの高い成長率」:市場(自社の外)のこと+プラス → 機会
  4. ウ「市場への強力な企業の参入」:自社の外で起きること+マイナス → 脅威
  5. エ「低いマーケットシェア」:自社の成績(中)+マイナス → 弱み

答え:ウ(市場への強力な企業の参入)。「外かつマイナス」に当てはまるのはウだけ。

要点(試験直前に読む)

  • SWOT=内部(強み・弱み)×外部(機会・脅威)。振り分けは「中か外か」「プラスかマイナスか」の2問で決まる
  • マーケットシェアは自社の成績なので内部環境。「市場への参入」「市場の成長率」は外部環境
  • コアコンピタンス=他社がまねできない独自の強み(競争優位の源泉)。共通技術・汎用部品はコアではない
  • ベンチマーキング=優れた他社(ベストプラクティス)と比べて改善する。視線が外を向いている
  • バリューチェーン=主活動と支援活動に分ける。購買物流は「入ってくる側」(調達・検品・在庫)
  • PEST=政治・経済・社会・技術。税制改正は政治

ひっかけ

  • 「低いマーケットシェア」を脅威(外部)と答えさせる → シェアは自社の成績なので弱み(内部)
  • 「財務・顧客・業務プロセス・学習と成長」の4視点をSWOTと思わせる → それはBSC。SWOTの4語は強み・弱み・機会・脅威
  • コアコンピタンスの選択肢に、ERP・BPR・ベンチマーキング・ナレッジマネジメントの説明を混ぜる → 「独自・まねできない」の語がある選択肢を選ぶ
  • 「他社と同じCPUコア」のように「コア」の文字で釣る → まねできる共通の技術はコア技術ではない
  • 税制改正を経済的要因と答えさせる → 制度を変えるのは政治(Political)

用語(16)

SWOT分析 スウォットぶんせき(Strengths, Weaknesses, Opportunities, Threats)
内部環境の強み・弱みと、外部環境の機会・脅威の4視点で、企業の置かれた状況を整理する手法。
⚠ BSC(財務・顧客・業務プロセス・学習と成長)やPPM(成長率×シェア)。「強み・弱み・機会・脅威」の4語がそろっていればSWOT。
内部環境 ないぶかんきょう
技術・人材・シェア・生産効率など、自社の中にあって自社で変えられる要因。SWOTの強み・弱みに当たる。
⚠ 外部環境。マーケットシェアは自社の成績なので内部環境。
外部環境 がいぶかんきょう
市場の成長、競合の参入、法改正など、自社の外にあって自社では変えられない要因。SWOTの機会・脅威に当たる。
⚠ 内部環境。「市場」「参入」「法律」が主語なら外部環境。
機会 きかい(Opportunity)
市場の成長など、外部環境のうち自社にとってプラスになる要因。
⚠ 強み。どちらもプラスだが、強みは自社の中、機会は自社の外。
脅威 きょうい(Threat)
強力な企業の新規参入など、外部環境のうち自社にとってマイナスになる要因。
⚠ 弱み。どちらもマイナスだが、弱みは自社の中、脅威は自社の外。
PEST分析 ペストぶんせき(Political, Economic, Social, Technological)
政治・経済・社会・技術の4観点から、自社を取り巻くマクロな外部環境を分析する手法。
⚠ 税制改正は「お金」の話でも、制度変更なので経済ではなく政治(P)。
コアコンピタンス Core Competence
他社がまねしにくく、競争優位の源泉となる自社独自のスキル・技術・経営資源。
⚠ ベンチマーキング(他社と比較する)、経営理念(行動指針)、経営目標(到達目標)。「独自・まねできない」があればコアコンピタンス。
バリューチェーン分析 Value Chain Analysis
事業活動を主活動と支援活動に分け、どの活動で価値(利益)が生まれているかを分析する手法。
⚠ 3C・SWOT・ファイブフォースは環境や競争の分析。「主活動と支援活動」の語があればバリューチェーン。
主活動 しゅかつどう
購買物流・製造・出荷物流・販売とマーケティング・サービスという、製品が顧客に届くまでの直接の活動。
⚠ 支援活動(人事・技術開発・全般管理など、主活動を支える活動)。
購買物流 こうばいぶつりゅう
原材料の調達・受入れ・検品・在庫管理など、モノが会社に入ってくる側の物流活動。
⚠ 出荷物流(完成品を顧客へ届ける側の物流)。
ベンチマーキング Benchmarking
競合や優れた企業のやり方と自社を比較してレベルを把握し、改善に活かす手法。
⚠ コアコンピタンス(自社独自の強みそのもの)。「比較」「ベストプラクティス」があればベンチマーキング。
ベストプラクティス Best Practice
業界内外で最も優れた成果を上げている業務のやり方。
BSC バランススコアカード(Balanced Scorecard)
財務・顧客・業務プロセス・学習と成長の4視点から、戦略を目標とアクションプランに落とし込む手法。
⚠ SWOT分析。4視点の中身が「財務・顧客…」ならBSC。
PPM プロダクトポートフォリオマネジメント(Product Portfolio Management)
市場成長率と市場占有率の2軸で各事業を位置付け、資源の配分を考える手法。
⚠ SWOT分析。「成長性と占有率」があればPPM。
ファイブフォース分析 Five Forces Analysis
新規参入・代替品・買い手・売り手・業界内の競合という5つの競争要因から、業界の収益性を分析する手法。
⚠ SWOTの脅威。「競争に影響する要因」と書かれていればファイブフォース。
3C分析 Customer, Competitor, Company
顧客・競合・自社の3つの視点から事業環境を分析する手法。
⚠ バリューチェーン分析(自社の活動を分解する手法)。

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