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企業活動・5/9・16分

財務諸表と売上原価・キャッシュフロー

ゴール

損益計算書の5つの利益、売上原価、先入先出法の在庫計算を手で計算できるようになる。貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書・仕訳日記帳を見分けられるようになる。

会計の問題は、科目Aの企業活動分野でほぼ毎回1〜2問出ます。用語の見分けと四則演算だけで解けるので、確実に点を取りたい分野です。決算書の数字や在庫評価の考え方は、実務で事業計画やSaaSの原価を話すときにもそのまま使えます。

このレッスンで稽古する(用語チェック・過去問)

結論:まず「どの帳票か」を見分ける

会計の帳票は2種類に分かれます。日々の取引を記録する帳簿と、決算でまとめる財務諸表(会社の成績表)です。試験では表を見せて「これは何か」と聞くので、並んでいる列から判断します。

帳票 種類 中身 見分けるポイント
仕訳日記帳 帳簿 取引を日付順に借方・貸方へ記録したもの 日付・伝票No.・借方科目・貸方科目・金額・摘要が並ぶ
総勘定元帳・預金元帳など 帳簿 勘定科目ごとに集計したもの 1つの科目(例:当座預金)だけの増減が並ぶ
貸借対照表(B/S) 財務諸表 ある時点の資産・負債・純資産 財政状態
損益計算書(P/L) 財務諸表 ある期間の収益・費用・利益 経営成績
キャッシュフロー計算書(C/F) 財務諸表 ある期間の現金の出入り 営業・投資・財務の3区分
株主資本等変動計算書 財務諸表 純資産がどう変わったか 配当や増資による変動

仕訳とは、1つの取引を左(借方)と右(貸方)の2つの面から記録することです。借方科目と貸方科目が横に並んでいて、複数の科目が混ざっていれば仕訳日記帳です。

貸借対照表:一時点の「写真」

貸借対照表は、決算日という一時点の財産の状態を写した写真です。損益計算書は1年間の期間を撮った動画だと考えると区別しやすくなります。「一定時点」「財政状態」と書いてあれば貸借対照表、「一定期間」「経営成績」と書いてあれば損益計算書です。

区分 意味 代表的な項目
資産 会社が持っている財産 現金、売掛金、商品、建物、投資有価証券
負債 いずれ返す義務があるもの 買掛金、借入金、社債
純資産 返さなくてよい自分のお金 資本金、資本剰余金、利益剰余金

「資産 = 負債 + 純資産」が必ず成り立ちます。社債は名前に「債」が付くとおり、会社が借りたお金なので負債です。投資有価証券は会社が持っている株などなので資産です。

損益計算書:1年間=動画期首決算日貸借対照表:決算日の一時点=写真資産現金・売掛金・商品負債買掛金・借入金・社債純資産資本金・利益剰余金資産 = 負債 + 純資産
損益計算書は1年間を撮る動画、貸借対照表は決算日を撮る写真。写真の中身はいつも「資産=負債+純資産」でつり合う。

損益計算書:利益は5段階で計算する

損益計算書では、売上高から費用を順に引いていき、5つの利益を段階的に出します。試験では「どこまで引いた数字か」が問われるので、順番と、それぞれの段階で何を足し引きするかを覚えます。

flowchart TD
  A["売上高"] -->|"− 売上原価"| B["売上総利益(粗利)"]
  B -->|"− 販売費及び一般管理費"| C["営業利益"]
  C -->|"+ 営業外収益 − 営業外費用"| D["経常利益"]
  D -->|"+ 特別利益 − 特別損失"| E["税引前当期純利益"]
  E -->|"− 法人税等"| F["当期純利益"]
利益 計算式 何を表すか
売上総利益 売上高 − 売上原価 商品そのものの儲け(粗利)
営業利益 売上総利益 − 販管費 本業の儲け
経常利益 営業利益 + 営業外収益 − 営業外費用 利息なども含めた、いつもの儲け
税引前当期純利益 経常利益 + 特別利益 − 特別損失 臨時の損益も含めた儲け
当期純利益 税引前当期純利益 − 法人税等 最終的な儲け

販売費及び一般管理費(販管費)は、人件費・広告費・家賃など本業を回すための費用です。営業外の損益は、受取利息や支払利息など本業以外で毎年発生するものです。特別損益は、固定資産売却損や災害損失のような臨時の損益です。

売上原価:売った分だけを原価にする

売上原価は、仕入れた額のうち実際に売れた分の原価です。売れ残った在庫は翌期に回すので、今期の原価には含めません。

売上原価 = 期首棚卸高 + 当期仕入高 − 期末棚卸高

棚卸高は、その時点で手元にある在庫の金額です。「期首に残っていた在庫と今期の仕入れを足し、期末に残った分を引くと、売れた分が残る」と考えれば、符号を間違えません。

財務指標から逆算させる問題も出ます。売上原価率 = 売上原価 ÷ 売上高、売上高営業利益率 = 営業利益 ÷ 売上高です。まず利益率を使って売上高を出し、そこに原価率を掛けます。

手元にあった+仕入れた売れた+売れ残った期首棚卸高当期仕入高=売上原価売れた分だけ期末棚卸高↑翌期へ回す売上原価=期首+仕入−期末
期首の在庫と当期の仕入れを1つの箱にまとめ、期末に残った分を除くと、売れた分=売上原価が残る。

先入先出法:在庫は古いものから出ていく(最頻出)

先入先出法(FIFO)は、先に仕入れたものから先に払い出したとみなして原価を計算する方法です。牛乳を古い日付から棚の手前に並べて売るイメージです。そのため、売上原価には古い単価が、期末在庫には新しい単価が使われます。

評価方法 考え方 期末在庫の単価
先入先出法 古いものから出す 新しい仕入れの単価
移動平均法 仕入れのたびに平均単価を計算し直す その時点の平均
総平均法 期間全体の平均単価を一括で使う 期間の平均
後入先出法 新しいものから出す(現在の日本の会計基準では使えない) 古い単価

手順は2通りあります。売上原価を聞かれたら、払出しのたびに古い在庫から順に崩していきます。期末在庫を聞かれたら、残った個数を最も新しい仕入れから遡って数えるのが速い方法です。期首在庫10個と、4月・6月・7月・9月の仕入れがあり、期末在庫が12個の問題なら、9月4個、7月3個、6月2個、4月1個、期首2個の順に数えて合計します。

期末在庫は新しい仕入れから遡って数える新古9月 4個7月 3個6月 2個4月 1個期首 2個期末在庫12個新しい単価それより古い在庫は先に払い出し済み→ 売上原価(古い単価)
先入先出法では古い在庫から出ていくので、期末に残る12個は新しい仕入れから遡って数え、それより古い分が売上原価になる。

キャッシュフロー計算書:財布の中の現金の動き

キャッシュフロー計算書は、1年間で現金がどこから入り、どこへ出ていったかを3つの区分で示します。黒字でも、代金を回収する前に支払いが来ると現金が足りなくなります。財布の中身を見る計算書だと考えてください。

区分 中身 例
営業活動 本業による現金の出入り 商品の販売による収入、商品の仕入による支出、給料の支払
投資活動 設備や有価証券の売買 有形固定資産の売却による収入、設備の購入
財務活動 資金の調達と返済 株式の発行による収入、借入金の返済、配当の支払

キャッシュフローの改善とは、入金を早くし、出金を遅くすることです。

行為 キャッシュフローへの影響
売掛金を早く回収する 改善
受取手形の期日を長くする(入金が遅れる) 悪化
買掛金を早く支払う 悪化
支払手形の期日を短くする(出金が早まる) 悪化

売掛金は、商品は渡したがまだ受け取っていない代金です。買掛金は、商品を受け取ったがまだ払っていない代金です。

入金を早く・出金を遅くすると現金が足りる売掛金を早く回収する(改善)販売入金+支払−現金があり払える売掛金の回収が遅い(悪化)販売支払−入金+現金が足りない
同じ黒字の取引でも、売掛金の入金が支払より先なら払えるが、入金が後になると支払の時点で現金が足りなくなる。
例題 1

損益計算書から経常利益を求める

図の損益計算書における経常利益は何百万円か。ここで,枠内の数値は明示していない。
損益計算書(単位 百万円) Ⅰ.売上高 1,585 Ⅱ.売上原価 951 [枠(数値非表示)] Ⅲ.販売費及び一般管理費 160 [枠(数値非表示)] Ⅳ.営業外収益 80 Ⅴ.営業外費用 120 [枠(数値非表示)] Ⅵ.特別利益 5 Ⅶ.特別損失 15 [枠(数値非表示)]

ア 424
イ 434
ウ 474
エ 634

出典:平成24年度 春期 基本情報技術者試験 午前 問76

解き方と答えを見る
  1. 売上総利益 = 売上高 − 売上原価 = 1,585 − 951 = 634(百万円)
  2. 営業利益 = 売上総利益 − 販管費 = 634 − 160 = 474(百万円)
  3. 経常利益 = 営業利益 + 営業外収益 − 営業外費用 = 474 + 80 − 120 = 434(百万円)
  4. 特別利益5と特別損失15は経常利益の後の段階なので、ここでは使わない

答え:イ:434百万円(営業利益の474や売上総利益の634で止めない)

例題 2

棚卸高から売上原価を求める

期首商品棚卸高 20 百万円,当期商品仕入高 100 百万円,期末商品棚卸高 30 百万円のとき,当期の売上原価は何百万円か。

ア 50
イ 70
ウ 90
エ 110

出典:基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20250608 実施分 問59

解き方と答えを見る
  1. 公式:売上原価 = 期首棚卸高 + 当期仕入高 − 期末棚卸高
  2. 代入:20 + 100 − 30
  3. 計算:120 − 30 = 90(百万円)

答え:ウ:90百万円

例題 3

財務指標から売上原価を逆算する

当期の財務諸表分析の結果が表の値のとき,売上原価は何万円か。
売上原価率80 %
売上高営業利益率10 %
営業利益200 万円

ア 1,400
イ 1,600
ウ 1,800
エ 2,000

出典:基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20230611 実施分 問59

解き方と答えを見る
  1. 売上高営業利益率 = 営業利益 ÷ 売上高 なので、売上高 = 営業利益 ÷ 営業利益率
  2. 売上高 = 200万円 ÷ 0.10 = 2,000万円
  3. 売上原価 = 売上高 × 売上原価率 = 2,000万円 × 0.80 = 1,600万円

答え:イ:1,600万円

例題 4

先入先出法で売上原価を求める

ある商品の前月繰越と受払いが表のとおりであるとき,先入先出法によって算出した当月度の売上原価は何円か。
日付摘要受入払出単価(円)
1 日前月繰越100200
5 日仕入50215
15 日売上70
20 日仕入100223
25 日売上60
30 日翌月繰越120

ア 26,290
イ 26,450
ウ 27,250
エ 27,586

出典:平成30年度 秋期 基本情報技術者試験 午前 問77

解き方と答えを見る
  1. 払出し前の在庫:前月繰越 100個@200円、5日の仕入 50個@215円
  2. 15日に70個を売る:古い200円の在庫から出すので 70個 × 200円 = 14,000円(200円の在庫は残り30個)
  3. 20日に100個@223円を仕入れる(25日の払出しまでは使わない)
  4. 25日に60個を売る:残っている200円の30個を先に出して 30 × 200 = 6,000円。残り30個は215円の在庫から出して 30 × 215 = 6,450円。小計 12,450円
  5. 売上原価 = 14,000 + 12,450 = 26,450円

答え:イ:26,450円

例題 5

先入先出法で月末在庫を評価する

商品 A の当月分の全ての受払いを表に記載した。商品 A を先入先出法で評価した場合,当月末の在庫の評価額は何円か。
日付摘要受入払出単価(円)
1前月繰越10100
4仕入40120
5売上30(斜線)
7仕入30130
10仕入10110
30売上30(斜線)
(受入・払出は受払個数)

ア 3,300
イ 3,600
ウ 3,660
エ 3,700

出典:平成30年度 春期 基本情報技術者試験 午前 問78

解き方と答えを見る
  1. 受入の合計:10 + 40 + 30 + 10 = 90個。払出の合計:30 + 30 = 60個
  2. 月末在庫 = 90 − 60 = 30個
  3. 先入先出法では新しいものが残るので、最新の仕入れから遡る:10日の 10個@110円 = 1,100円
  4. 残り20個は7日の仕入れ(30個@130円)から:20 × 130 = 2,600円
  5. 在庫評価額 = 1,100 + 2,600 = 3,700円

答え:エ:3,700円

要点(試験直前に読む)

  • 「一定時点・財政状態」なら貸借対照表、「一定期間・経営成績」なら損益計算書、「現金の増減」ならキャッシュフロー計算書
  • 純資産は資本金と剰余金。社債は負債、売掛金と投資有価証券は資産
  • 利益は5段階:売上総利益(−原価)→ 営業利益(−販管費)→ 経常利益(±営業外)→ 税引前当期純利益(±特別)→ 当期純利益
  • 売上原価 = 期首棚卸高 + 当期仕入高 − 期末棚卸高
  • 先入先出法:売上原価は古い単価から、期末在庫は新しい仕入れから遡って数える
  • キャッシュフローの区分:仕入・販売は営業、固定資産の売買は投資、株式発行・借入・返済は財務。改善とは「入金を早く・出金を遅く」すること

ひっかけ

  • 経常利益を聞かれているのに、営業利益や売上総利益の段階で止めた数字が選択肢に並ぶ。特別損益まで加減した数字も混ざっているので、どこで止めるかを先に決めてから計算する
  • 売上原価の計算で期首と期末の符号を逆にした値が選択肢にある。「期首は足し、期末は引く」と確認する
  • 先入先出法の問題で、平均単価や後入先出(新しいものから出す)で計算した値が選択肢に混ぜてある。期末在庫は「最新の仕入れから遡る」と決めておく
  • キャッシュフローの区分で、株式発行・借入返済(財務)や固定資産売却(投資)を営業活動に見せかける。本業の取引(仕入・販売・給料)だけが営業活動
  • 「改善する行為」では、支払を早めたり入金を遅らせたりする選択肢が並ぶ。正解は売掛金の早期回収のように「入金が早まる」ものだけ

用語(17)

仕訳日記帳 しわけにっきちょう
すべての取引を日付順に借方と貸方の2面で記録した帳簿。
⚠ 元帳(総勘定元帳・預金元帳)は勘定科目ごとにまとめた帳簿。借方科目と貸方科目が横に並んでいれば仕訳日記帳。
借方・貸方 かりかた・かしかた
仕訳の左側(借方)と右側(貸方)で、1つの取引を2つの面から記録する。
⚠ 名前の意味(借りる・貸す)で考えず、左・右の位置の名前として覚える。
貸借対照表 たいしゃくたいしょうひょう(B/S:Balance Sheet)
一定時点の資産・負債・純資産を示し、財政状態を表す財務諸表。
⚠ 損益計算書は一定期間の経営成績。「時点」ならB/S、「期間」ならP/L。
純資産 じゅんしさん
資産から負債を引いた、返す必要のない部分で、資本金や利益剰余金からなる。
⚠ 社債は負債。売掛金と投資有価証券は資産。
損益計算書 そんえきけいさんしょ(P/L:Profit and Loss Statement)
一定期間の収益と費用から利益を段階的に計算し、経営成績を表す財務諸表。
⚠ キャッシュフロー計算書は利益ではなく現金の増減を表す。
キャッシュフロー計算書 きゃっしゅふろーけいさんしょ(C/F:Cash Flow Statement)
一定期間の現金の出入りを、営業・投資・財務の3つの活動に分けて示す財務諸表。
⚠ 損益計算書の利益と現金の増減は一致しない(売掛金が回収前だと、利益はあっても現金はない)。
株主資本等変動計算書 かぶぬししほんとうへんどうけいさんしょ
期中に純資産がどう変わったか(配当や増資など)を示す財務諸表。
⚠ 貸借対照表は純資産の残高を、株主資本等変動計算書はその変化を示す。
売上総利益 うりあげそうりえき(粗利)
売上高から売上原価を引いた、商品そのものの儲け。
⚠ 販管費まで引くと営業利益、営業外損益まで加減すると経常利益。
営業利益 えいぎょうりえき
売上総利益から販売費及び一般管理費を引いた、本業の儲け。
⚠ 経常利益は、さらに受取利息などの営業外収益を足し、支払利息などの営業外費用を引いたもの。
経常利益 けいじょうりえき
営業利益に営業外収益を足し、営業外費用を引いた、いつもの事業活動による儲け。
⚠ 特別利益と特別損失は経常利益の後で加減する。
特別損失 とくべつそんしつ
固定資産売却損や災害損失など、臨時・例外的に発生する損失。
⚠ 売上原価と販管費は毎期発生する経常的な費用なので、特別損失ではない。
売上原価 うりあげげんか
当期に売れた商品の仕入原価で、期首棚卸高+当期仕入高−期末棚卸高で求める。
⚠ 当期仕入高とは違う。売れ残った分(期末棚卸高)は含めない。
棚卸高 たなおろしだか
ある時点で手元にある在庫(商品)の金額。
⚠ 期首は足し、期末は引く。
先入先出法 さきいれさきだしほう(FIFO:First-In, First-Out)
先に仕入れたものから先に払い出したとみなして、売上原価と在庫を評価する方法。
⚠ 移動平均法・総平均法は平均単価を使う。FIFOでは期末在庫に新しい単価が残る。
移動平均法・総平均法 いどうへいきんほう・そうへいきんほう
移動平均法は仕入れのたびに平均単価を計算し直し、総平均法は期間全体の平均単価で評価する方法。
⚠ 問題文が「先入先出法で」と指定していれば、平均単価は使わない。
売上原価率・売上高営業利益率 うりあげげんかりつ・うりあげだかえいぎょうりえきりつ
売上原価率は売上原価÷売上高、売上高営業利益率は営業利益÷売上高で、どちらも売上高に対する割合。
⚠ どちらも分母は売上高。まず利益率から売上高を出す。
売掛金・買掛金 うりかけきん・かいかけきん
売掛金はまだ受け取っていない販売代金(資産)、買掛金はまだ払っていない仕入代金(負債)。
⚠ 売掛金は早く回収し、買掛金は遅く払うとキャッシュフローが改善する。

このレッスンの過去問

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