計算問題の解き方・13/20
重み付け総合評価法・期待値による案の選び方
評価項目ごとの重みと各案の評価点、または状況ごとの発生確率と利益(費用)が表や図で示され、総合評価点や期待値が最も良い案を選ぶ問題です。項目ごとに「重み(確率)×点(金額)」を掛けて合計し、案どうしを比べます。
公開過去問での出題:本試験系 5 回・免除試験 17 回(観測値)
覚える式
- 総合評価点 = Σ(評価項目の重み × 評価点)
- 期待値 = Σ(発生確率 × その場合の利益または費用)
- 利益の期待値 = 売上の期待値 − 費用
解き方の手順
- まず何を比べるかを確認します。評価点や利益なら最大の案、費用なら最小の案を選びます。問題文に式(例: 効果 − リスク)があれば、その式に従います。
- 条件に合わない案(例: 予定価格を超える入札)を先に外します。
- 案ごとに、項目(状況)ごとの「重み × 評価点」または「確率 × 金額」を計算します。表の行と列を取り違えないよう、1案ずつ横に(または縦に)読みます。
- 掛けた値を案ごとに合計します。引く項目(リスク、初期費用・追加費用など)は、合計してから引きます。
- デシジョンツリーでは、右端(後ろ)の意思決定点から計算し、そこで良いほうの値を選んで、その値を一つ前の分岐に戻します。これを根まで繰り返します。
- 全案の値を並べて比べ、最も良い案を選びます。選択肢が値も問うときは、計算した値まで一致しているかを確かめます。
例題
改善の効果を定量的に評価するとき,複数の項目の評価点を統合し,定量化する方法として重み付け総合評価法がある。表の中で優先すべき改善案はどれか。
| 評価項目 | 評価項目の重み | 案 1 | 案 2 | 案 3 | 案 4 |
|---|---|---|---|---|---|
| 省力化 | 4 | 6 | 8 | 2 | 5 |
| 期間短縮 | 3 | 5 | 5 | 9 | 5 |
| 資源削減 | 3 | 6 | 4 | 7 | 6 |
ア 案 1
イ 案 2
ウ 案 3
エ 案 4
出典:平成28年度 秋期 基本情報技術者試験 午前 問64(解き方は当サイト作成)
解き方と答えを見る
- 比べるもの: 重み付けした評価点の合計が最大の案を選びます。
- 案1: 4×6=24、3×5=15、3×6=18 → 24+15+18=57
- 案2: 4×8=32、3×5=15、3×4=12 → 32+15+12=59
- 案3: 4×2=8、3×9=27、3×7=21 → 8+27+21=56
- 案4: 4×5=20、3×5=15、3×6=18 → 20+15+18=53
- 最大は案2の59点です。
答え:案2(イ)
ひっかけ
- 重みを掛けずに評価点をそのまま足してしまう誤りです。例題で素点を合計すると案1=17、案2=17、案3=18、案4=16となり、案3(ウ)を選んでしまいます。必ず重みを掛けてから合計します。
- 一つの項目だけが目立って高い案に引っ張られる誤りです。例題の案3は期間短縮が9点と最高ですが、重みの大きい省力化が2点なので合計では最大になりません。全項目を計算してから比べます。
- 費用の期待値を問われているのに最大の案を選んだり、利益を問われているのに売上の期待値のまま比べたりする誤りです。問題文で「費用」「利益」「売上」のどれかを確かめ、費用は引いてから比べます。
- 条件で対象外になる案(予定価格を超える入札など)を外し忘れる誤りです。点数が高く見えても、計算の前に条件で除外します。
類題(手順を使って解く)
類題 1
デシジョンツリーで、後ろの意思決定点から良いほうを選んで値を前に戻し、最後に初期費用を引く手順が試されます。
ビッグデータ分析の手法の一つであるデシジョンツリーを活用してマーケティング施策の判断に必要な事象を整理し,発生確率の精度を向上させた上で二つのマーケティング施策a,bの選択を行う。マーケティング施策を実行した場合の利益増加額(売上増加額-費用)の期待値が最大となる施策と,そのときの利益増加額の期待値の組合せはどれか。
デシジョンツリー(□:意思決定の分岐点,○:発生し得る可能性の分岐点)
根□から2本に分岐:
- マーケティング施策a 初期費用30億円 → ○
- 発生確率0.4 → □(意思決定)
- 追加費用60億円 → ○
- 発生確率0.3 → 売上増加額200億円
- 発生確率0.7 → 売上増加額100億円
- 追加費用なし → 売上増加額50億円
- 発生確率0.6 → 売上増加額120億円
- マーケティング施策b 初期費用40億円 → ○
- 発生確率0.3 → □(意思決定)
- 追加費用40億円 → ○
- 発生確率0.4 → 売上増加額150億円
- 発生確率0.6 → 売上増加額100億円
- 追加費用なし → 売上増加額70億円
- 発生確率0.7 → 売上増加額140億円
選択肢の表:
| 施策 | 利益増加額の期待値(億円) | |
|---|---|---|
| ア | a | 70 |
| イ | a | 160 |
| ウ | b | 82 |
| エ | b | 162 |
出典:基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20260125 実施分 問57(問題文は IPA の公開問題。答えと解説はリンク先)
類題 2
状況ごとの確率×利益を、マイナスの利益も含めて正しく合計できるかが試されます。
生産設備の導入に際し,予測した利益は表のとおりである。期待値原理を用いた場合,設備計画案 A ~ D のうち,期待利益が最大になるものはどれか。
単位 百万円
| 設備計画案\経済状況の予測 | 状況 1 | 状況 2 | 状況 3 | 状況 4 |
|---|---|---|---|---|
| 予想確率 | 0.2 | 0.3 | 0.4 | 0.1 |
| A | 40 | 10 | 0 | −6 |
| B | 7 | 18 | 10 | −10 |
| C | 8 | 18 | 12 | −5 |
| D | 2 | 4 | 12 | 30 |
出典:基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20250126 実施分 問57(問題文は IPA の公開問題。答えと解説はリンク先)
類題 3
効果とリスクをそれぞれ重み付きで合計し、問題文の式どおりに引き算する手順が試されます。
システムの改善に向けて提出された案 1~4 について,評価項目を設定して採点した結果を,採点結果表に示す。効果及びリスクについては 5 段階評価とし,それぞれの評価項目の重要度に応じて,重み付け表に示すとおりの重み付けを行った上で,次式で総合評価点を算出する。総合評価点が最も高い改善案はどれか。
総合評価点 = 効果の総評価点 - リスクの総評価点
採点結果表(列: 案1 | 案2 | 案3 | 案4)
効果 作業コスト削減: 5 | 4 | 2 | 4
効果 システム運用品質向上: 2 | 4 | 2 | 5
効果 セキュリティ強化: 3 | 4 | 5 | 2
リスク 技術リスク: 4 | 1 | 5 | 1
リスク スケジュールリスク: 2 | 4 | 1 | 5
重み付け表(評価項目 | 重み)
効果 作業コスト削減: 3
効果 システム運用品質向上: 2
効果 セキュリティ強化: 4
リスク 技術リスク: 3
リスク スケジュールリスク: 8
出典:基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20230723 実施分 問44(問題文は IPA の公開問題。答えと解説はリンク先)