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経営戦略マネジメント・6/7・13分

価格と利益の計算:需要の式・コストプラス・損益・顧客の移り変わり

ゴール

価格から需要を1次式で求める問題、コストプラス法の定義、固定費と変動費を使った利益の比較、顧客移行率の表の読み取り、リテンション率の計算を、どれも自力で解けるようにする。

科目Aの経営分野で計算問題が出る定番テーマで、同じ問題がほぼそのまま再出題されています。どれも四則演算だけで解けるので、型を覚えれば確実に得点できます。実務でも料金設計や解約率の議論にそのまま使える考え方です。

このレッスンで稽古する(用語チェック・過去問)

結論:5つとも「式を1本立てて代入する」だけ

このレッスンの計算問題は、どれも決まった式を1本立てて数字を入れれば解けます。

テーマ 使う式 出題の多さ
価格と需要 需要 = 傾き ×(需要が0になる価格 − 価格) 多い(計9回)
コストプラス法 価格 = 原価 + マージン 多い(計9回)
顧客移行率 移る人数 = 元の人数 × 移行率 多い(計9回)
利益の比較 利益 = 売上 − 変動費 − 固定費 免除試験で3回
リテンション率 (当月末 − 新規)÷ 前月末 1回(2026年の新顔)

※出題回数は公開過去問で観測した数で、CBT 方式の本試験での出題確率ではありません。

価格と需要の1次関数:2点から直線を引く

1次関数は、グラフにすると直線になる式のことです。「価格を1円下げると需要が何個増えるか」(これを傾きと呼びます)が、どの価格帯でも一定です。

たとえるなら、エレベーターのボタンを1階分押すごとに必ず同じ高さだけ上がるのと同じです。そのため、2つの点が分かれば、間のどの価格でも需要を計算できます。

解き方の型

  1. 2点の価格の差と需要の差から、1円あたりの増減を出す
  2. 「需要が0になる価格」から何円下げたかを掛ける

過去問は3回とも同じ数字(3,000円で0個、1,000円で60,000個、1,500円では?)で、答えは 45,000個 です。

需要 = 30 ×(3,000 − 価格)1円下げるごとに30個ずつ増える需要(個)1,000円で60,000個1,500円で45,000個60,00045,00001,000円1,500円3,000円価格(円)
2点(1,000円で60,000個・3,000円で0個)を結んだ直線を読むと、1,500円では45,000個になる。

価格の決め方4種類:コストプラス法を見分ける

コストプラス法は、自社のコスト(製造原価や仕入原価、営業費)に、希望するマージン(上乗せする利益)を足して価格を決める方法です。手作り弁当の材料費に「儲け分」を足して値札を付けるイメージです。

試験では、ほかの価格決定法の説明と並べて「どれがコストプラス法か」を選ばせます。

方法 何を基準に決めるか 選択肢の見分け方
コストプラス法 自社のコスト(原価・営業費)+ マージン 「原価」「営業費」に「マージンを乗せる」と書いてある
知覚価値価格設定(需要志向) 買い手がその品質をいくらと感じるか 「買い手が認める価格をリサーチ」
実勢価格設定(競争志向) 競合の価格や業界の水準 「競合企業の価格を参考」「市場で競争可能なレベル」
ターゲットリターン価格設定 目標販売量で総費用を回収し、目標利益率を確保する 「目標販売量」「総費用吸収後に一定の利益率」

ひっかけ:「値引きを前提にマージンを加える」のように「マージン」という言葉だけ入れた選択肢があります。基準がコストになっているかで判断します。

顧客移行率の表:行と列の意味を最初に決める

顧客移行率は、今の商品の購入者のうち、新しい商品へ乗り換える人の割合です。表の行が旧商品、列が新商品で、各マスの数字は「その行の人数に対する割合」です。

  • 旧Aから新Qへ移る人数 = Aの人数 × A行Q列の割合
  • 新商品の既存顧客数 = その列を上から順に「人数×割合」して合計したもの
  • 新商品の購入者合計 = 既存顧客数 + 新規顧客数

行の割合の合計が1.0にならないときは、その差の分だけ「新商品をどれも買わない人」がいるという意味です(例:B行は0.9なので10%はどれも買わない)。

行=旧商品 → 列=新商品旧A旧B新P新Qどれも買わない 10%人数 × 移行率B行の合計 0.9残り0.1新商品の購入者合計= 列の(人数×割合)の合計 + 新規顧客
行の旧商品から列の新商品へ「人数×割合」で流れ、B行のように合計が0.9なら残りの10%はどれも買わない。

利益の比較と損益分岐点

固定費は、売れた数に関係なくかかる費用です(広告費、家賃など)。変動費は、1個売るごとにかかる費用です(材料費など)。

利益 = (価格 − 1個あたりの変動費)× 数量 − 固定費

かっこの中の「価格 − 変動費」を限界利益と呼び、1個売るごとに固定費の回収に回せる金額を表します。

損益分岐点は、利益がちょうど0になる売上高で、固定費 ÷(1 − 変動費率) で求めます。損益分岐点が同じ2社を比べると、固定費が大きく変動費率が小さい会社のほうが、売上が分岐点を超えたあとに利益が速く増えます。グラフでは、費用線の傾きが緩やかな会社です。

金額売上高会社X:固定費大・傾きが緩やか会社Y:固定費小・傾きが急売上高の線損益分岐点(同じ)利益分岐点の先では、費用線が緩やかな会社Xのほうが利益が速く増える
損益分岐点が同じ2社でも、固定費が大きく費用線の傾きが緩やかな会社Xのほうが、分岐点を超えたあと売上高との差(利益)が速く広がる。

リテンション率:新規会員を引いてから割る

リテンション率は、前月末にいた会員のうち、当月末まで続けて残った人の割合です。

リテンション率 =(当月末会員数 − 当月新規会員数)÷ 前月末会員数

当月末の会員数には、当月に入った新規会員が含まれています。これを引かずに割ると、新規会員を多く集めたサービスほど高く見えてしまいます。

前月末会員数残った人退会 当月末会員数残った人当月新規リテンション率=(当月末 − 新規)÷ 前月末新規を引かないと、集客が多いほど高く見える
当月末の会員には当月新規が混ざっているので、それを引いた「残った人」だけを前月末会員数で割る。
例題 1

価格1,500円のときの需要を求める

ある製品の設定価格と需要との関係が 1 次式で表せるとき,a に入れる適切な数値はどれか。 (1) 設定価格を 3,000 円にすると,需要は 0 個になる。 (2) 設定価格を 1,000 円にすると,需要は 60,000 個になる。 (3) 設定価格を 1,500 円にすると,需要は [a] 個になる。

ア 30,000
イ 35,000
ウ 40,000
エ 45,000

出典:平成30年度 秋期 基本情報技術者試験 午前 問68

解き方と答えを見る
  1. 点を2つ書き出す:(3,000円, 0個)と(1,000円, 60,000個)
  2. 価格の差 = 3,000 − 1,000 = 2,000円。需要の差 = 60,000 − 0 = 60,000個
  3. 傾き = 60,000 ÷ 2,000 = 30。価格を1円下げるごとに需要が30個増える
  4. 1,500円は、需要が0になる3,000円より 3,000 − 1,500 = 1,500円安い
  5. 需要 = 30 × 1,500 = 45,000個
  6. 検算:1,000円なら 30 × 2,000 = 60,000個で、条件(2)と一致する

答え:エ(45,000個)

例題 2

4つの施策案のうち利益が最大のものを選ぶ

施策案a〜dのうち,利益が最も高くなるマーケティングミックスはどれか。ここで,広告費と販売促進費は固定費とし,1個当たりの変動費は1,000円とする。
施策案価格広告費販売促進費売上数量
a1,600円1,000千円1,000千円12,000個
b1,600円1,000千円5,000千円20,000個
c2,400円1,000千円1,000千円6,000個
d2,400円5,000千円1,000千円8,000個

ア a
イ b
ウ c
エ d

出典:基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20220612 実施分 問68

解き方と答えを見る
  1. 1個あたりの限界利益を出す:1,600円の案は 1,600 − 1,000 = 600円、2,400円の案は 2,400 − 1,000 = 1,400円
  2. a:600 × 12,000 = 7,200千円。固定費は 1,000 + 1,000 = 2,000千円。利益 = 5,200千円
  3. b:600 × 20,000 = 12,000千円。固定費は 1,000 + 5,000 = 6,000千円。利益 = 6,000千円
  4. c:1,400 × 6,000 = 8,400千円。固定費は 1,000 + 1,000 = 2,000千円。利益 = 6,400千円
  5. d:1,400 × 8,000 = 11,200千円。固定費は 5,000 + 1,000 = 6,000千円。利益 = 5,200千円
  6. 比べると c の 6,400千円が最大

答え:ウ(c)

例題 3

A案とB案の月の利益を比べる

販売価格が 14 万円の製品を製造する案として,表の A 案と B 案がある。月当たりの販売数量が 500 個の場合,A 案と B 案の評価のうち,適切なものはどれか。
案月当たり固定費変動費単価
A1,500 万円9 万円/個
B2,500 万円7 万円/個

ア A 案,B 案ともに利益が出ない。
イ A 案と B 案の利益は等しい。
ウ A 案の方が利益が多い。
エ B 案の方が利益が多い。

出典:基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20131215 実施分 問76

解き方と答えを見る
  1. 売上 = 14万円 × 500個 = 7,000万円(両案で同じ)
  2. A案:変動費 = 9万円 × 500個 = 4,500万円。利益 = 7,000 − 4,500 − 1,500 = 1,000万円
  3. B案:変動費 = 7万円 × 500個 = 3,500万円。利益 = 7,000 − 3,500 − 2,500 = 1,000万円
  4. どちらも1,000万円で等しい

答え:イ(A案とB案の利益は等しい)

例題 4

顧客移行率の表から、正しい記述を選ぶ

T 社では 3 種類の商品 A,B,C を販売している。現在のところ,それぞれの商品には毎月 10,000 人,20,000 人,80,000 人の購入者がいる。来年から商品体系を変更して,4 種類の新商品 P,Q,R,S を販売する予定である。そこで,既存の顧客が新商品を購入する割合と新規の顧客数を試算した。この試算について,適切な記述はどれか。ここで,表の各行に記載されている小数第 1 位までの数値が,該当する旧商品から新商品に乗り換える人の割合を表す。
人数PQRS
A10,0000.50.30.10.1
B20,0000.10.60.10.1
C80,0000.10.10.30.3
既存顧客数15,00023,00027,00027,000
新規顧客数5,0007,00013,00023,000

ア 商品 A の購入者のうち,1,000 人が新商品 Q を購入すると予想している。
イ 商品 B の購入者は,新商品 P,Q,R,S のどれかを購入すると予想している。
ウ 新商品 P の購入見込者の 5 割は,商品 A の購入者であると予想している。
エ 新商品 S の新規顧客数は,商品 C の購入者のうち新商品 S を購入する人数より少ないと予想している。

出典:平成30年度 秋期 基本情報技術者試験 午前 問69

解き方と答えを見る
  1. ア:A→Q = 10,000 × 0.3 = 3,000人。1,000人ではないので誤り
  2. イ:B行の合計 = 0.1 + 0.6 + 0.1 + 0.1 = 0.9。10%(2,000人)は新商品をどれも買わないので誤り
  3. ウ:Pの購入見込者 = 既存15,000 + 新規5,000 = 20,000人。そのうちA由来は 10,000 × 0.5 = 5,000人で25%。5割ではないので誤り
  4. エ:C→S = 80,000 × 0.3 = 24,000人。Sの新規顧客23,000人はこれより少ないので正しい

答え:エ

例題 5

リテンション率が最も高いサービスを選ぶ

サービス A~D の中で会員のリテンション率が最も高いものはどれか。なお,リテンションの対象は前月末から当月末まで継続して在籍した会員とし,当月新規会員は月末までの退会はないものとする。
単位 人
サービス前月末会員数当月新規会員数当月末会員数
A1,000500800
B1,000200800
C1,5005001,100
D1,5001,0001,800

ア サービス A
イ サービス B
ウ サービス C
エ サービス D

出典:令和8年度 基本情報技術者試験 科目A 公開問題 問17

解き方と答えを見る
  1. 継続した会員数 = 当月末会員数 − 当月新規会員数
  2. A:(800 − 500) ÷ 1,000 = 300 ÷ 1,000 = 30%
  3. B:(800 − 200) ÷ 1,000 = 600 ÷ 1,000 = 60%
  4. C:(1,100 − 500) ÷ 1,500 = 600 ÷ 1,500 = 40%
  5. D:(1,800 − 1,000) ÷ 1,500 = 800 ÷ 1,500 ≒ 53.3%
  6. 最も高いのは B の 60%

答え:イ(サービスB)

要点(試験直前に読む)

  • 需要の1次式:傾き=需要の差÷価格の差(30個/円)。需要=30×(3,000−価格)なので、1,500円なら45,000個
  • コストプラス法=コスト(原価・営業費)+マージン。基準が買い手なら知覚価値、競合なら実勢価格、目標販売量と利益率ならターゲットリターン
  • 利益=(価格−変動費単価)×数量−固定費。広告費などの固定費を引き忘れない
  • 損益分岐点が同じなら、変動費率が小さい(固定費が大きい)会社のほうが、分岐点を超えたあとの利益が大きい
  • 移行表は行=旧商品、列=新商品。人数=元の人数×割合。行の合計が1未満なら、残りはどれも買わない人
  • リテンション率=(当月末−新規)÷前月末

ひっかけ

  • 需要の問題:比例や平均で計算すると30,000や40,000が出てしまう。需要が0になる3,000円を起点に、そこから何円下げたかで数える
  • 価格決定法:「マージン」という語は他の選択肢にも入っている。「原価・営業費を基準」と書いてあるかで判断する
  • 利益の比較:売上数量が多いb案が最大に見えるが、販売促進費5,000千円を引くと逆転する。必ず固定費まで引く
  • 損益分岐点:「固定費が少ないほうが利益が大きい」は誤り。分岐点を超えたあとの差は費用線の傾き(変動費率)で決まる
  • 移行表とリテンション率:割合を人数として読む、行と列を取り違える、新規会員を引かずに割る、の3つが典型的な誤答パターン。D社の「当月末÷前月末=120%」は新規会員を含めた数字なので選ばない

用語(15)

需要 じゅよう
ある価格で買われると見込まれる数量のこと。
1次関数(1次式) いちじかんすう
グラフが直線になる関係で、価格が1単位変わるごとに需要が一定量ずつ変わる。
⚠ 比例(価格が0のとき需要も0)と混同しやすい。需要が0になるのは価格3,000円の点なので、比例として計算してはいけない。
コストプラス法 コストプラスほう(cost-plus pricing)
製造原価や仕入原価、営業費などのコストに、希望するマージンを足して価格を決める方法。
⚠ ターゲットリターン価格設定も費用から考えるが、こちらは「目標販売量」と「目標利益率」を基準にする。
マージン margin
コストに上乗せする利益の部分。
知覚価値価格設定 ちかくかちかかくせってい
買い手がその品質をいくらと感じるかを調べて価格を決める、需要志向の方法。
⚠ コストプラス法は自社のコストが基準。「買い手」「リサーチ」と書いてあればこちら。
実勢価格設定(競争志向型) じっせいかかくせってい
競合の価格や業界の水準を参考に価格を決める方法。
⚠ 「競合」「市場で競争可能」という語があればこちらで、コストプラス法ではない。
ターゲットリターン価格設定 target return pricing
目標販売量で総費用を回収し、目標とする利益率が残るように価格を決める方法。
⚠ 費用から考える点はコストプラス法と同じだが、「目標販売量」「利益率」が出てきたらこちら。
固定費 こていひ
販売数量に関係なく一定額かかる費用(広告費、家賃など)。
⚠ 変動費は数量に比例して増える費用。問題文で「〜は固定費とし」と指定されたら必ずその指定に従う。
変動費 へんどうひ
1個売るごとにかかり、数量に比例して増える費用。
⚠ 固定費と逆。比較問題では変動費単価×数量を出すのを忘れやすい。
変動費率 へんどうひりつ
売上高に占める変動費の割合。
⚠ 損益分岐点のグラフでは費用線の傾きにあたる。縦軸の切片(固定費)と取り違えない。
限界利益 げんかいりえき
売上から変動費を引いた額で、固定費の回収と利益に回る部分。
⚠ 営業利益は、限界利益からさらに固定費を引いたもの。
損益分岐点 そんえきぶんきてん
利益がちょうど0になる売上高で、固定費÷(1−変動費率)で求める。
⚠ 損益分岐点が同じでも、分岐点を超えたあとの利益の増え方は変動費率によって違う。
顧客移行率 こきゃくいこうりつ
今の商品の購入者のうち、別の新商品へ乗り換える人の割合。
⚠ 割合を人数と読み違えない。人数は必ず「元の人数×割合」で出す。
新規顧客 しんきこきゃく
これまで自社の商品を買っていなかった顧客。
⚠ 既存顧客(旧商品から移ってくる人)とは表の中で別の行になっている。
リテンション率 retention rate(顧客維持率)
前月末の会員のうち、当月末まで続けて残った人の割合。
⚠ 当月末÷前月末で計算すると新規会員が含まれてしまう。新規会員を引いてから割る。

このレッスンの過去問

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