戦略を実行して測る:KGI・KPI・BSC と知識の共有
KGI・CSF・KPI の上下関係を見分けて、図の空欄に入る活動を選べるようになる。あわせて、バランススコアカードの戦略マップ、レーダチャートの用途、ナレッジマネジメントの定義を、似た用語と取り違えずに選べるようになる。
戦略は「立てて終わり」ではなく、数字で測って直す必要がある。その道具の名前と役割を、似た名前の手法と入れ替えて出すのが試験の定番。仕事でも、目標を『最終ゴール→効く要因→測る数字』に分ける考え方は、要件定義のゴール設定にそのまま使える。
このレッスンで稽古する(用語チェック・過去問)結論:このレッスンで覚える4つの道具
戦略を実行して測るための道具を、役割ごとに分けて覚える。
| 道具 | 一言でいうと | 試験での問われ方 |
|---|---|---|
| KGI・CSF・KPI | 目標を「最終ゴール→成功の鍵→測る数字」の3段に分ける | 図の空欄に入る活動を選ぶ |
| バランススコアカード(BSC)の戦略マップ | 4つの視点で目標の因果関係を描く図 | 説明文を選ぶ |
| レーダチャート | 複数の項目のバランスを見るクモの巣型グラフ | 用途とグラフの組合せを選ぶ |
| ナレッジマネジメント | 社内に散らばった知識を共有して組織を強くする | 定義を選ぶ |
出題回数(公開過去問での観測値。CBT での出題確率ではない)は、ナレッジマネジメントが最も多く、レーダチャートと KGI・KPI がそれに続く。
KGI・CSF・KPI:目標を3段に分ける
大きいゴールから順に KGI → CSF → KPI と覚える。KGI は最終的に達成したい数字、CSF はそれを達成するために決定的に効く要因、KPI は CSF がうまく進んでいるかを測る具体的な数値目標。
たとえるなら、ダイエットで「3か月で5kg減」が KGI、「間食を減らす・歩く量を増やす」が CSF、「間食は週2回以内・1日8,000歩」が KPI。
flowchart TD
A["KGI:最終目標<br>例 物流コスト10%削減"] --> B["CSF:成功の鍵になる要因<br>例 在庫の削減・誤出荷の削減"]
B --> C["KPI:途中経過を測る数値<br>例 在庫日数7日以内・誤出荷率3%以内"]
C --> D["改善活動の実施"]
D --> E["成果の計測とギャップ分析"]
E --> A
| 用語 | 正式名称 | 中身 | 見分け方 |
|---|---|---|---|
| KGI | Key Goal Indicator(重要目標達成指標) | 最終ゴールの数字 | 一番上。「〇〇を10%削減」のように結果そのもの |
| CSF | Critical Success Factor(重要成功要因) | ゴール達成に効く要因 | 「何をするか」の言葉。数字が無いことが多い |
| KPI | Key Performance Indicator(重要業績評価指標) | CSF の進み具合を測る数字 | 「〇日以内」「〇%以内」など途中経過の数値 |
| MBO | Management by Objectives(目標管理制度) | 社員が上司と目標を決め、自分で管理する人事の仕組み | 個人の評価制度の話。目標の階層とは別物 |
バランススコアカード(BSC)と戦略マップ
バランススコアカード(BSC) は、売上や利益といったお金の数字だけで会社を評価せず、財務・顧客・内部ビジネスプロセス・学習と成長の4つの視点からバランスよく目標を立てて評価する手法。戦略マップは、この4視点の課題・施策・目標がどうつながるか(因果関係)を矢印で描いた図。
因果関係は下から上へ積み上がる。「社員が学ぶ(学習と成長)→ 業務が良くなる(内部プロセス)→ 顧客が満足する(顧客)→ 利益が出る(財務)」という流れ。
試験では、ほかの「図で表す経営手法」の説明と並べて出る。
| 図・手法 | 何を表すか |
|---|---|
| 戦略マップ(BSC) | 4つの視点で課題・施策・目標の因果関係 |
| ポジショニングマップ | 2つの軸で、市場での自社や自社製品の位置 |
| PPM(プロダクトポートフォリオマネジメント) | 市場の成長率と自社のシェアなど2軸の4マスに事業を分類 |
| 事業ドメイン | 誰に・何を・どの経営資源で提供するかという事業の範囲 |
レーダチャート:複数の項目のバランスを見る
レーダチャートは、中心から放射状に伸びた軸に各項目の値をとり、点を結んだ多角形で複数の特性のバランスを見るグラフ。ゲームのキャラクターの能力値(攻撃・防御・素早さ…)の図がまさにこれ。
「複数の評価項目」「機種ごとの特徴」「バランス」という言葉が出たら、レーダチャートを選ぶ。
| グラフ | 用途 | 見分ける言葉 |
|---|---|---|
| レーダチャート | 複数の項目のバランスを比較 | 放射状・複数の評価項目 |
| Zグラフ | 毎月の実績・累計・移動合計で売上の動向を分析 | 月次・累計・移動合計 |
| 散布図 | 2つの数値の相関関係を見る | 2つの特性・ばらつき |
| 損益分岐点図 | 固定費と変動費から採算点を分析 | 固定費・変動費・採算 |
| ガントチャート | 作業の日程計画と進捗 | 日程・スケジュール |
| 円グラフ・帯グラフ | 構成比(市場占有率など) | シェア・割合 |
| 棒グラフ | 量の大小(支店ごとの売上など) | 大きさの比較 |
ナレッジマネジメント:社内の知識を共有して強くする
ナレッジマネジメントは、社員一人ひとりの頭の中や部署ごとに散らばっている知識・ノウハウを共有し、組織全体の問題解決力を高める経営手法。ベテランしか知らない「この顧客にはこう対応する」というコツを、社内の誰でも使える形にするイメージ。
キーワードは「散在する知識を共有化」。この言葉が入った選択肢を選べばよい。
| 用語 | 中身 | 見分ける言葉 |
|---|---|---|
| ナレッジマネジメント | 社内の知識を共有して組織の力にする | 知識・共有化・問題解決力 |
| ベンチマーキング | 優れた他社と比べて自社を改善する | 優れた企業・比較分析 |
| コアコンピタンス | 他社がまねできない自社独自の強み | 独自のノウハウ・技術・まねできない |
| フラット型組織 | 階層を減らして意思決定を速くする組織 | 階層を少なく・迅速な意思決定 |
改善活動の図で、空欄 c に入る活動を選ぶ
ア CSF (Critical Success Factor) の抽出
イ KGI (Key Goal Indicator) の設定
ウ KPI (Key Performance Indicator) の設定
エ MBO (Management by Objectives) の導入
出典:基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20231210 実施分 問46
解き方と答えを見る
- 図の右側にある「目標の設定例」を、a・b・c の順に読む。
- a は「10%の物流コストの削減」。最終的に達成したい結果なので KGI(最終目標)にあたる。
- b は「在庫の削減・誤出荷の削減」。a を達成するために効く要因で、数字が無い。だから CSF(重要成功要因)にあたる。
- c は「在庫日数7日以内・誤出荷率3%以内」。b がうまく進んでいるかを測る具体的な数値なので KPI(重要業績評価指標)にあたる。
- 選択肢を確認する。アの CSF は b、イの KGI は a。エの MBO は個人の目標管理制度なので、この階層には入らない。
- c に入るのは KPI の設定なので、ウを選ぶ。
答え:ウ(KPI の設定)。KGI(a)→ CSF(b)→ KPI(c)の順で、具体的な数値目標は KPI。
要点(試験直前に読む)
- 目標は KGI(最終ゴール)→ CSF(成功の鍵になる要因)→ KPI(測る数字)の順。「〇日以内」「〇%以内」は KPI。
- MBO は個人の目標管理制度。KGI・CSF・KPI の階層には入らない。
- 戦略マップ=BSC の4視点(財務・顧客・内部ビジネスプロセス・学習と成長)で、課題・施策・目標の因果関係を描く図。
- レーダチャート=放射状の軸で複数の項目のバランスを見るグラフ。Zグラフは売上動向、散布図は相関。
- ナレッジマネジメント=社内に散在する知識を共有化し、組織の問題解決力を高める。
ひっかけ
- 数値目標(在庫日数7日以内など)を KGI や CSF と取り違えさせる。最終結果なら KGI、要因なら CSF、途中経過の数字なら KPI と順番で判断する。
- 戦略マップの説明に、ポジショニングマップ(2軸で位置)・PPM(4マスで分類)・事業ドメイン(誰に何を)の説明を混ぜる。「4つの視点」と「因果関係」があれば戦略マップ。
- グラフの用途と種類を入れ替えた組合せを並べる。各グラフの用途を1語(バランス・動向・相関・日程・大小・構成比)で覚えて照合する。
- ナレッジマネジメントの選択肢に、ベンチマーキング(他社と比較)・コアコンピタンス(独自の強み)・フラット型組織(階層を減らす)を混ぜる。「知識の共有化」のキーワードで選ぶ。
用語(15)
組織が最終的に達成したいゴールを表す数値目標。
⚠ KPI と混同しやすい。KGI は最終結果、KPI はその途中経過を測る数字。
最終目標を達成するために決定的に効く要因。
⚠ KPI と混同しやすい。CSF は「何をするか」、KPI はそれを測る具体的な数値。
成功要因が計画どおり進んでいるかを測る、具体的な数値目標。
⚠ KGI と混同しやすい。「〇日以内」「〇%以内」のような途中経過の数字は KPI。
社員が上司と相談して自分の目標を決め、自分で達成度を管理する人事の仕組み。
⚠ KGI・CSF・KPI の階層と並べてひっかけに使われる。MBO は個人の評価制度の話。
財務・顧客・内部ビジネスプロセス・学習と成長の4つの視点から、バランスよく目標を立てて業績を評価する手法。
⚠ 財務の数字だけで評価する従来の方法との違いが「4視点のバランス」。
BSC の4つの視点で、課題・施策・目標の因果関係を矢印でつないで描いた図。
⚠ ポジショニングマップ(2軸で位置)、PPM(2軸の4マスで分類)と混同しやすい。因果関係なら戦略マップ。
2つの切り口を縦軸と横軸にとり、市場での自社や自社製品の位置を表す図。
⚠ PPM も2軸だが、PPM は事業を4つのマスに分類して資源配分を考えるもの。
市場の成長率と自社の占有率など2つの軸の4マスに事業や製品を分類し、経営資源の配分を考える手法。
⚠ ポートフォリオ図は日程管理の図ではない。日程と進捗ならガントチャート。
どの顧客に、どの経営資源を使い、どんな製品・サービスを提供するかという事業の範囲。
⚠ 戦略マップの説明と並べて出る。「誰に・何を・どう」なら事業ドメイン。
放射状の軸に複数の項目の値をとり、多角形の形で項目間のバランスを見るグラフ。
⚠ Zグラフ(売上の動向)、散布図(2つの相関)と混同しやすい。「複数の項目のバランス」ならレーダチャート。
毎月の実績・累計・移動合計の3本の線で、売上の動向を分析するグラフ。
⚠ 市場占有率の表現には使わない。占有率は円グラフや帯グラフ。
2つの数値を縦軸と横軸にとって点を打ち、2つの特性の相関関係を見る図。
⚠ 支店ごとの売上の大きさの比較には使わない。大小の比較は棒グラフ。
社内に散らばった知識やノウハウを共有し、組織全体の問題解決力を高める経営手法。
⚠ ベンチマーキング(他社と比較)、コアコンピタンス(独自の強み)と混同しやすい。「知識の共有化」ならナレッジマネジメント。
優れた業績を上げている他社のやり方と比較分析して、自社の改善に生かす手法。
⚠ ナレッジマネジメントは社内の知識の共有、ベンチマーキングは社外との比較。
他社がまねできない、自社独自のノウハウや技術などの中核的な強み。
⚠ ナレッジマネジメントと並べて出る。「まねのできない強みを核に」ならコアコンピタンス。
このレッスンの過去問
- CSF・KGI・KPIの関係(目標設定の階層)基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20250727 実施分 問46
- バランススコアカードの戦略マップ平成26年度 秋期 基本情報技術者試験 午前 問71
- レーダチャートの用途(項目間のバランス)基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20120624 実施分 問56
- ナレッジマネジメントの定義平成30年度 春期 基本情報技術者試験 午前 問70