マーケティングの基本:4P・4C と顧客との関係づくり
マーケティングミックス(4P)とその買い手側の言い換え(4C)、CRM・リレーションシップマーケティング、コンバージョン率を説明文から見分け、科目Aの4択で正解を選べるようになる。
マーケティング用語は「説明文に合う用語を選ぶ」という形式でよく出題され、SCM・ERP・POS などの紛らわしい選択肢が毎回並ぶ。特に CRM は観測されたかぎり出題回数がとても多い(本試験系 3 回・免除 16 回)ので、ここを確実に取れば1点を落としにくくなる。
このレッスンで稽古する(用語チェック・過去問)結論:このレッスンで押さえる5つ
このレッスンで扱うのは「売る仕組み」と「客とつながり続ける仕組み」の用語です。試験ではどれも説明文から用語を当てる形で出ます。
| 用語 | 一言でいうと | 視点 |
|---|---|---|
| マーケティングミックス(4P) | 製品・価格・流通・販促を組み合わせて売る | 売り手 |
| 4C | 4P を買い手の目線で言い換えたもの | 買い手 |
| リレーションシップマーケティング | 顧客と良い関係を長く続けて安定した売上を得る | 関係づくり |
| CRM | 顧客情報を全社で共有し、ロイヤルティと生涯価値を最大化する | 関係づくり |
| コンバージョン率 | サイト訪問者のうち購入などの最終成果に至った割合 | Web の効果測定 |
最も出題が多いのは CRM なので、後半のセクションで詳しく扱います。
マーケティングミックス(4P):4つのつまみを組み合わせる
マーケティングミックスとは、製品(Product)・価格(Price)・流通チャネル(Place:どこで買えるか)・販売促進(Promotion)の4つの戦略を適切に組み合わせて、自社製品を効果的に売る活動です。4つの頭文字をとって 4P と呼びます。
音響機器のミキサーにたとえると分かりやすいです。4本のつまみ(4P)を1本ずつではなく、全体のバランスを見ながら調整するイメージです。高級品なのに激安ショップで売るような組み合わせは、ちぐはぐになります。
試験では、同じ経営戦略分野にある別の手法の説明が選択肢に並びます。
| 用語 | 何をするか | 見分けるキーワード |
|---|---|---|
| マーケティングミックス | 製品・価格・チャネル・プロモーションを組み合わせる | 「組み合わせて販売」 |
| セグメンテーション(STP の S) | 市場を基準で細分化し、狙う市場を選ぶ | 「細分化」「市場を選定」 |
| PPM | 市場成長率 × 相対的市場シェアで事業の位置づけを決める | 「成長率」「シェア」 |
| プロダクトライフサイクル | 導入期→成長期→成熟期→衰退期で施策を変える | 「導入期・成長期…」 |
4P と 4C:売り手の言葉を買い手の言葉に置き換える
4C は、4P を買い手(顧客)の視点から言い換えたものです。試験では「4P の◯◯に対応する 4C はどれか」と、ペアを当てさせる形で出ます。
| 4P(売り手の視点) | 4C(買い手の視点) | 考え方 |
|---|---|---|
| Product(製品) | Customer Value(顧客にとっての価値) | 製品は、客にとっては「得られる価値」 |
| Price(価格) | Cost(顧客の負担) | 価格は、客にとっては「払う負担」 |
| Place(流通・場所) | Convenience(顧客の利便性) | 売る場所は、客にとっては「買いやすさ」 |
| Promotion(販売促進) | Communication(顧客との対話) | 宣伝は、客にとっては「企業とのやり取り」 |
flowchart LR
P1["Product 製品"] --> C1["Customer Value 顧客にとっての価値"]
P2["Price 価格"] --> C2["Cost 顧客の負担"]
P3["Place 場所"] --> C3["Convenience 顧客の利便性"]
P4["Promotion 販売促進"] --> C4["Communication 顧客との対話"]
Customer Value(得られる価値)と Cost(払う負担)は、どちらも「価値とお金の話」に見えるので取り違えやすいです。Product は Value、Price は Cost とペアで覚えましょう。Place は「近い・すぐ買える=Convenience」、Promotion は「呼びかけ=Communication」と連想すれば迷いません。
リレーションシップマーケティング:一度きりより長いお付き合い
リレーションシップマーケティングは、顧客と良い関係を保ち、1人の顧客から長い期間にわたって安定した売上を得ることを目指す手法です。新しい客を探し続けるより、今の客に通い続けてもらうことを重視します。
選択肢には「短時間だけネットで売る(タイムセール型)」「GPS で近くの店の広告を出す(位置情報広告)」「テレビ・新聞・雑誌を併用する(メディアミックス)」などの別の手法が並びます。正解のキーワードは**「良好な関係」「長期間」「安定した売上」**です。
CRM:顧客情報を全社で共有し、長く付き合う仕組み(最頻出)
CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)は、顧客に関する情報(購入履歴・問い合わせ・好みなど)を社内のすべての窓口で共有して、サービスの質を上げる考え方とその仕組みです。目的は顧客ロイヤルティ(その会社を選び続けたいという気持ち)の獲得と、顧客生涯価値(LTV:1人の客が取引期間を通じてもたらす利益の合計)の最大化です。
たとえるなら、行きつけの美容院のカルテです。どのスタッフが担当しても「前回はこの髪型でしたね」と分かるので、客は満足して通い続けます。これを会社全体の営業・コールセンター・Web などで行うのが CRM です。
試験では、他の経営システムの説明がひっかけとして並びます。過去問では次の対応がそのまま使われました。
| 用語 | 正式名称 | 目的・中身 | 選択肢での言い回し |
|---|---|---|---|
| CRM | Customer Relationship Management | 顧客ロイヤルティ獲得・生涯価値最大化 | 「顧客チャネルで情報共有」「顧客満足度」「ロイヤルティ」 |
| SCM | Supply Chain Management | 調達〜生産〜物流〜販売の連鎖全体を効率化 | 「在庫不足による機会損失」「サプライチェーン全体」 |
| ERP | Enterprise Resource Planning | 企業全体の経営資源を統合して計画・管理 | 「経営資源を総合的に計画」 |
| MRP | Material Requirements Planning | 必要な資材の量と発注時期を決める | 「資材の発注量と発注時期」 |
| POS | Point Of Sale | 販売した時点で商品ごとの売上を記録 | 「販売時点」「商品ごとの販売情報」 |
リレーションシップマーケティングは「長期の関係で売上を得る考え方・手法」、CRM はそれを支える「顧客情報を共有・活用する経営の仕組み」です。説明文に「顧客」「ロイヤルティ」「生涯価値」が出てきたら CRM を疑いましょう。
コンバージョン率:最終成果に至った人の割合
コンバージョン率(CVR)は、サイトを訪れた人のうち、購入や申込みなどの最終成果(コンバージョン)に至った人の割合です。式は「コンバージョン数 ÷ 訪問者数 × 100(%)」で、たとえば訪問者 10,000 人のうち 200 人が購入すれば 200 ÷ 10,000 × 100 = 2% です。
「購入に至る割合を高めたい施策の効果を直接示す値」を問われたら、答えはコンバージョン率です。ほかの指標は途中経過や広告の効率を表すもので、最終成果そのものを示しません。
| 指標 | 何を測るか | 最終成果を直接示すか |
|---|---|---|
| コンバージョン率 | 訪問者のうち購入などに至った割合 | 示す |
| ROAS | 広告経由の売上 ÷ 広告費(広告費の回収効率) | 示さない(広告の効率) |
| クリック率(CTR) | 広告の表示回数のうちクリックされた割合 | 示さない(入口の数字) |
| ページビュー(PV) | ページが閲覧された回数 | 示さない(閲覧量) |
要点(試験直前に読む)
- マーケティングミックス(4P)=製品・価格・チャネル・プロモーションを「組み合わせて」売ること。細分化(STP)・PPM・ライフサイクルとは別物。
- 4P→4C の対応:Product↔Customer Value、Price↔Cost、Place↔Convenience、Promotion↔Communication。
- リレーションシップマーケティング=顧客との良好な関係を長く保ち、安定した売上を得る手法。
- CRM の目的=顧客ロイヤルティの獲得と顧客生涯価値(LTV)の最大化。そのために顧客情報を全窓口で共有する。
- コンバージョン率=訪問者のうち購入などの最終成果に至った割合。施策の効果を「直接」示す値を問われたらこれ。
ひっかけ
- CRM の選択肢に SCM(在庫・機会損失)、ERP(経営資源の統合)、MRP(資材の発注量・時期)、POS(販売時点の情報)が並ぶ。「顧客」「ロイヤルティ」「生涯価値」の語があるものを選ぶ。
- 4C の問題は Customer Value と Cost を入れ替えて誘う。Product は Value、Price は Cost とペアで確認する。
- マーケティングミックスの問題では「市場を細分化」(STP)、「成長率とシェア」(PPM)、「導入期・成長期…」(ライフサイクル)が誤答になる。「組み合わせて販売」が正解の目印。
- Web 指標の問題では ROAS・クリック率・ページビューが並ぶ。どれも途中経過や広告の効率で、「購入に至った割合」はコンバージョン率だけ。
- リレーションシップマーケティングの問題ではタイムセール・位置情報広告・メディアミックスが並ぶ。「長期間」「良好な関係」がある選択肢を選ぶ。
用語(15)
製品・価格・流通チャネル・販売促進の4つの戦略を組み合わせて、製品を効果的に売る活動。
⚠ セグメンテーション(市場の細分化)、PPM(成長率×シェア)、プロダクトライフサイクル(導入期〜衰退期)と混同しやすい。「4つを組み合わせて販売」と書かれていればマーケティングミックス。
マーケティングミックスを構成する、売り手から見た4つの要素(製品・価格・場所・販売促進)。
⚠ 4C は同じ4要素を買い手の視点で言い換えたもの。「売り手=P、買い手=C」と覚える。
4P を買い手の視点で言い換えた4要素(顧客にとっての価値・顧客の負担・利便性・対話)。
⚠ 対応の取り違えに注意。Product↔Customer Value、Price↔Cost、Place↔Convenience、Promotion↔Communication。
4C の1つで、Product(製品)を顧客の側から見た「得られる価値」。
⚠ Cost(顧客の負担)と入れ替えるひっかけがある。Product は Value、Price は Cost。
4C の1つで、Price(価格)を顧客の側から見た「支払う負担」。
⚠ Customer Value と取り違えやすい。価格に対応するのは負担(Cost)。
4C の1つで、Place(流通・場所)を顧客の側から見た「買いやすさ」。
⚠ Communication と頭文字が同じで紛らわしい。場所=便利さ、と連想する。
4C の1つで、Promotion(販売促進)を顧客の側から見た「企業とのやり取り」。
⚠ Convenience と混同しやすい。宣伝・呼びかけ=対話、と連想する。
顧客と良好な関係を保ち、1人の顧客から長期間にわたって安定した売上を得ることを目指す手法。
⚠ タイムセール、位置情報広告、メディアミックスの説明と並ぶ。キーワードは「良好な関係」「長期間」「安定した売上」。
顧客情報を社内の全窓口で共有してサービスを高め、顧客ロイヤルティの獲得と顧客生涯価値の最大化を図る考え方・仕組み。
⚠ SCM(在庫・供給の連鎖)、ERP(経営資源の統合管理)、MRP(資材の発注計画)、POS(販売時点の情報)と並ぶ。「顧客」「ロイヤルティ」「生涯価値」があれば CRM。
顧客が特定の企業や商品を信頼し、選び続けようとする気持ち。
1人の顧客が、取引を始めてから終えるまでの期間に企業にもたらす利益の合計。
⚠ 1回の購入額ではなく、長い期間の合計である点がポイント。
調達・生産・在庫・物流・販売の流れ全体で情報を共有し、効率を高める経営手法。
⚠ CRM の誤答として「在庫不足による販売機会損失の削減」「サプライチェーン全体の効率」の形で出る。
企業全体のヒト・モノ・カネなどの経営資源を統合的に計画・管理して、経営を効率化する手法。
⚠ CRM の誤答として「経営資源を有効かつ総合的に計画して管理」の形で出る。
サイト訪問者のうち、購入や申込みなどの最終成果に至った人の割合。
⚠ ROAS(広告費の回収効率)、クリック率(広告がクリックされた割合)、ページビュー(閲覧回数)は最終成果を直接示さない。
広告経由の売上を広告費で割った、広告費がどれだけ売上として返ってきたかを示す指標。
⚠ コンバージョン率と混同しやすい。ROAS は広告の効率、コンバージョン率は訪問者が成果に至った割合。
このレッスンの過去問
- マーケティングミックスの定義(4P)平成23年度 秋期 基本情報技術者試験 午前 問69
- マーケティングミックス4Pと4Cの対応平成28年度 秋期 基本情報技術者試験 午前 問68
- マーケティング手法の名称と定義(リレーションシップ等)令和元年度 秋期 基本情報技術者試験 午前 問66
- CRMの定義平成28年度 秋期 基本情報技術者試験 午前 問69
- コンバージョン率の定義(Web指標)平成31年度 春期 基本情報技術者試験 午前 問69