変更・構成管理と日々の運用作業
変更管理・構成管理・移行・日々の運用ツールについて、「記録を残す」「影響を確かめてから動く」「早くから一緒に動く」という3つの原則で、科目Aの選択肢を見分けられるようになる。シフト勤務の最少人数も自力で計算できるようになる。
このテーマの選択肢には「深夜に必ず実施」「全員に連絡」「変更は禁止」のような極端なルールが並び、正解は現実的で筋のよい運用になっていることがほとんど。原則さえ押さえれば知識が少なくても正解を選べるので、得点しやすい分野です。
このレッスンで稽古する(用語チェック・過去問)結論:運用の正解は「記録する・確かめる・早く組む」
このレッスンの問題は、ほぼ次の3原則で解けます。
- 記録する:変更した内容や構成(何がどこにあるか)は必ず書き残し、最新の状態に保つ
- 確かめる:影響を確かめてから変更・廃止する。確かめる順番は土台から上へ
- 早く組む:運用部門は完成後に引き継ぐのではなく、要件定義の段階から参加する
逆に「必ず深夜」「常に全員」「一切変えない」「全部止める」のように極端な言い切りの選択肢は、まず誤りです。
変更管理と構成管理の違い
変更管理は「システムを変えるときの手続き」、構成管理は「いま何がどうつながっているかの台帳づくり」です。家のリフォームでたとえると、工事の申請・記録が変更管理、間取り図と設備の一覧が構成管理にあたります。工事をしたら間取り図も書き直す、という関係です。
| 観点 | 変更管理 | 構成管理 |
|---|---|---|
| 目的 | 変更を安全に行う(影響評価・承認・記録) | 構成要素とその関係を正確に把握し続ける |
| 扱うもの | 変更依頼・変更内容・実施記録 | 機器管理台帳・ネットワーク図・ソフトウェア一覧など |
| 試験の正解の型 | 変更内容は必ず記録(障害の原因究明に使える) | 構成情報を適時更新しておく/廃止時は共有資産を識別 |
変更の記録が役立つ理由は、障害が起きたとき「直前に何を変えたか」が原因究明の最大の手がかりになるからです。変更依頼は到着順ではなく、影響と緊急度から優先度を決めて処理します。
サービス廃止時の資産の識別
ITサービスをやめるときは、使っていた資産(サーバ・ディスク・ライセンスなど)を洗い出して整理します。ここで怖いのは別のサービスと共有している資産を誤って消すことで、共有先のサービスが止まりインシデント(サービスの中断や品質低下)が起きます。
| ミスの方向 | 起きること |
|---|---|
| 消すべきでない資産を消した | 共有している別のITサービスでインシデント発生 |
| 消すべき資産を残した | ディスク領域・保守料金・ライセンス料の無駄 |
試験では「消しすぎ」を問うているのに「残しすぎ」の結果(無駄遣い)を並べてきます。問題文がどちらの方向のミスかを先に確認しましょう。
ネットワーク構成の変更に備える
運用を始めたネットワークも、拠点の追加や機器の入れ替えで必ず変わります。いつでも安全に変更できるよう、機器管理台帳やネットワーク図を適時更新しておくのが正解です。
ひっかけは「運用開始後は構成を変えない」「全業務を止めてから変える」「ベテランに任せる」のような非現実的なルールです。属人化(特定の人しか分からない状態)を防ぐのが台帳と図の役割です。
OSバージョンアップは「土台から上へ」確かめる
システムは積み木のように重なっています。一番下がOS、その上にデータベース(DB)、さらにその上で業務アプリケーションが動きます。OSを替えたら、すぐ上のDBが動くか → その上のアプリが動くかの順に確認し、問題がなければバージョンアップします。
| 層 | 確認の順番 |
|---|---|
| 業務アプリケーション | ③ 最後に確認 |
| データベースシステム | ② 次に確認 |
| OS(新バージョン) | ① 入れ替える土台 |
「サポートが終わるから検証なしですぐ更新」「同じメーカだから問題ないはず」は誤りです。確認を省いたり、一部の層だけ確認したりする選択肢を外しましょう。
【最頻出】開発部門と運用部門の協働
このレッスンで一番出ているテーマです(本試験2回・免除8回)。開発部門と運用部門が別組織だと、完成してから「こんな運用はできない」と分かる事故が起きがちです。そこで正解は、運用部門も要件定義・開発の段階から参加し、運用のしやすさ(運用性)の観点で要件を出したり助言したりすることです。
要件定義をする人なら、「運用チームを最初の要件定義に呼んでおけば、監視項目やバックアップ時間の要件が漏れない」と考えると分かりやすいでしょう。
| 選択肢のパターン | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 運用部門も要件抽出・開発に積極的に参加する | ◯ | 早い段階から協働できる |
| 運用テストの完了後に開発部門が説明する | × | 遅すぎる |
| 運用テストを運用部門だけで実施する | × | 協働していない |
| 開発部門が運用テスト・マニュアル作成をして引き渡す | × | 運用部門が関わっていない |
見破り方は単純で、「両部門が・早い段階から関わっているか」を見ます。「後で」「だけで」「〜が作って引き渡す」はすべて×です。この問題は年度をまたいで、ほぼ同じ選択肢で繰り返し出ています。
日々の運用を助けるツール
たくさんのPCを少人数で管理するために、クライアント管理ツールを使います。機能ごとの役割を区別させる問題が出ます。
| 機能 | 何をするか | 向いている用途 |
|---|---|---|
| インベントリ収集 | 各PCのハード・ソフト情報を自動で集める | 業務に関係ないソフトや、ライセンス違反の検出 |
| 遠隔操作 | 離れたPCを画面越しに操作する | 利用者のサポート |
| ソフトウェア配信 | ソフトや更新プログラムを一斉に配る | 配布・インストール |
| Wake on LAN | LAN経由で電源の入っていないPCを起動する | 夜間など遠隔地のPCのソフトウェア保守 |
「検出したい」ならインベントリ収集、「電源を入れたい」ならWake on LANです。Wake on LANは起動するだけの機能なので、誤動作の検知・トラフィック管理・不正アクセスの監視といった監視系の選択肢は誤りです。
運用のアウトソーシングとシフトの人数
アウトソーシング(外部委託)でシステム運用を外に出す最大の利点は、自社の情報システム部門を企画や開発に専念させられることです。「いつでも自社運用に戻せる」「問題を把握しやすい」「自社で対応しやすい」は、ノウハウが社外に出るぶん、むしろ逆になります。
24時間365日の有人運用は、シフト勤務の最少人数を計算させる問題として出ます。下の例題で手順を確認しましょう。
24時間365日のオペレーターは最少何人か
ア 8
イ 9
ウ 10
エ 16
出典:基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20250608 実施分 問44
解き方と答えを見る
- 1日に必要な勤務枠を数える:3シフト × 各2人 = 6人回/日
- 1週間(7日)に必要な延べ勤務回数を出す:6人回 × 7日 = 42回/週
- 1人が週に勤務できる上限で割る:42回 ÷ 5回/人 = 8.4人
- 人数は小数にできず、8人では 8 × 5 = 40回 < 42回 で足りないので切り上げる:9人(9 × 5 = 45回 ≧ 42回)
答え:イ:9人(端数は必ず切り上げる。切り捨ての8人は、2回分が足りず条件を満たさない)
OSバージョンアップの判断手順
ア 業務アプリケーションは長期間使用しているが,データベースシステムは比較的新しいので,OS とデータベースシステムの相性をチェックしバージョンアップをする。
イ 今回のバージョンアップに伴い現在使用している OS はサポート終了となるので,すぐにバージョンアップをする。
ウ データベースシステムは,OS のメーカが提供するデータベース管理機能を使っているのでトラブルはないと判断し,業務アプリケーションと OS の関係を調査し,問題がなければバージョンアップをする。
エ バージョンアップされた OS でのデータベースシステムの稼働を確認した後に,業務アプリケーションの稼働を確認し,問題がなければバージョンアップをする。
解き方と答えを見る
- システムの層を下から並べる:OS → データベースシステム → 業務アプリケーション
- 新しいOSの上で、すぐ上の層のデータベースシステムが動くか確認する
- 次に、その上の業務アプリケーションが動くか確認する
- すべて問題がなければバージョンアップする(サポート終了でも検証は省かない)
答え:エ:新OSでDBの稼働を確認 → 業務アプリの稼働を確認 → 問題なければバージョンアップ
要点(試験直前に読む)
- 変更内容は必ず記録する(障害の原因究明の手がかりになる)。構成情報(台帳・ネットワーク図)は適時更新しておく
- サービス廃止で共有資産を誤って消すと、別サービスでインシデントが起きる。消し忘れ(残しすぎ)は無駄遣い
- OSを替えたら、下から順にDB → 業務アプリの稼働を確認してからバージョンアップする
- 【最頻出】開発と運用が別組織なら、運用部門も要件定義・開発の段階から参加する
- 不要ソフトの検出はインベントリ収集。電源OFFのPCを遠隔起動して保守するのはWake on LAN
- 運用アウトソーシングの利点は、自社部門を企画・開発に専念させられること。シフト人数は延べ回数 ÷ 上限で、端数は切り上げ
ひっかけ
- 「必ず深夜」「常に全社員」「一切変更しない」「全業務を停止」のような極端な言い切りは、まず誤り
- 開発・運用の協働問題では「テスト完了後に説明」「運用部門だけで」「開発部門が作って引き渡す」が×。両部門が早期に関わる選択肢を選ぶ
- 資産廃止の問題は、問われているのが「消しすぎ」か「残しすぎ」かを先に確認する(無駄遣い系の選択肢は残しすぎの結果)
- Wake on LANやクライアント管理ツールの問題では、「起動・収集・配信・操作」という機能そのものと、監視・検知という別の用途をすり替えてくる
- シフト計算は8.4人を切り捨てて8人にするのが典型的なミス。人数は必ず切り上げる
用語(14)
システムへの変更を、影響評価・承認・記録の手続きに沿って安全に行う管理活動。
⚠ 構成管理は「いまの構成を正確に把握する」活動。変更管理は「変える手続き」、構成管理は「台帳」と覚える。
ハード・ソフト・ネットワークなどの構成要素とその関係を記録し、常に最新に保つ管理活動。
⚠ 変更管理と組で出る。台帳・図・資産の識別の話なら構成管理。
ITサービスの予定外の中断や品質低下のこと。
⚠ 問題(problem)はインシデントの根本原因のこと。発生した事象そのものがインシデント。
どの機器がどこに何台あり、どんな設定かを一覧にした記録。
機器どうしの接続関係を図にしたもので、構成変更の前提になる資料。
OSを新しい版に入れ替えることで、上で動くDBやアプリへの影響を下の層から順に確認してから行う。
開発したシステムやサービスを本番運用の状態へ切り替えること。
監視・バックアップ・障害対応などの運用作業のしやすさ。
本番に近い環境で、実際の運用手順どおりにシステムを動かせるか確かめるテスト。
⚠ 運用部門だけで行う、または開発部門だけで行う選択肢は誤り。両部門で協働する。
多数のPCの情報収集・遠隔操作・ソフト配信などをまとめて行う管理ソフト。
各PCのハードウェア・ソフトウェア情報を自動で集める機能で、不要なソフトの検出に使う。
⚠ ソフトウェア配信は「配る」機能、遠隔操作は「操作する」機能。「見つける」のはインベントリ収集。
ソフトや更新プログラムを管理サーバから各PCへ一斉に配布する機能。
⚠ インベントリ収集と取り違えやすい。検出が目的なら配信ではない。
LAN経由の信号で、電源の入っていないPCを遠隔から起動する機能。
⚠ 監視や検知の機能ではない。用途は遠隔地のPCのソフトウェア保守などの「起動が必要な作業」。
業務の一部を外部の専門業者に委託すること。
⚠ 利点は「自社部門を企画・開発に専念させる」こと。元に戻しやすい・自社対応しやすい、は逆。
このレッスンの過去問
- 変更管理における変更内容の記録基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20131215 実施分 問58
- サービス廃止時の資産識別(構成管理)平成26年度 秋期 基本情報技術者試験 午前 問56
- ネットワーク構成変更時の構成情報(台帳・図)の更新基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20120624 実施分 問60
- OSバージョンアップ時の検証順序平成21年度 春期 基本情報技術者試験 午前 問57
- 開発・運用部門間の円滑な移行のための協働令和6年度 基本情報技術者試験 科目A 公開問題 問14
- クライアント管理ツールのインベントリ収集機能平成21年度 秋期 基本情報技術者試験 午前 問55
- Wake on LANの用途平成22年度 春期 基本情報技術者試験 午前 問53
- システム運用アウトソーシングの利点基本情報技術者試験 科目A免除 修了試験 20250608 実施分 問44